5月14日 名曲100選 声楽曲篇・89 山に祈る
合唱組曲「山に祈る」は1960年に清水脩が作曲した男声合唱組曲です。後に混声合唱へも編曲されています。
昭和34年秋、長野県警察本部が山での遭難事故の頻発に業を煮やし、遭難者の遺族たちの手記を集めた「山に祈る」という小冊子を発行して遭難防止を訴えました。
ダークダックスが、その巻頭に掲載された上智大学山岳部の飯塚揚一氏の遭難を、彼の残した日誌と彼の母親の手記によって合唱組曲を作る企画を立て、作詞作曲を清水脩に依頼して出来上がったのが合唱組曲「山に祈る」でした。元々は小管弦楽の伴奏ですが、ピアノ伴奏版もあります。
昭和33年3月、北アルプス登山を目指して先発隊を2人の部員が追いかけました。飯塚さんの同行者は前泊の燕山荘で体調を崩し登山を断念し、飯塚さんは単独で合流地点へ向かいますが、天候が急変し遭難、凍死してしまいました。
この事実を基に、若干の脚色を交えて作られた曲です。曲と曲の間には一部母親の朗読という形でモノローグが入ります。
アルプホルン風の短い前奏の後
第1曲 「山の歌」 山への憧れや登山の楽しみを歌った曲
第2曲「リュックサック」 重たいけれど頼りになるリュックサックへの想いを歌った曲
第3曲 「山小屋の夜」 山小屋から空を見上げる感傷的な曲です
第4曲 「山を憶う」 なぜ山に登るのか、なえ山を憶うのかを通して山の厳しさを歌った激しい曲です
第5曲 「吹雪の歌」 激しい吹雪を表現した強烈な曲です。
第6曲 「お母さんごめんなさい」 死を目前にした手記。実際の手記の最後の一節「山でうぬぼれず、つねに自重する事」の朗読を挟んで「お母さん、ごめんなさい」で曲を閉じます。