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2025年6月12日 (木)

6月は演奏会だらけ~  その3

6月の演奏会第3弾・・・最終回は6月28日です。
パイオニア交響楽団第36回定期演奏会 サンパール荒川大ホール
指揮 高橋俊之
シューベルト 劇音楽「ロザムンデ」序曲
ベートーヴェン 交響曲第1番ハ長調
チャイコフスキー 交響曲第5番ホ短調

さて、3つが重なってしまった6月最後の演奏会です。会場のサンパール荒川は初めての会場。
毎年演奏会場がほぼ固定されている和光市民オーケストラと異なって、パイオニア交響楽団は本当のジプシー楽団。
私が入団してからは、15か所目(海外公演、特別公演除く)の会場になります。
プログラムは超ハード。
「ロザムンデ」序曲は、元々は「魔法の竪琴」という劇音楽の序曲として作られたもの。だいたい劇音楽「ロザムンデ」専用の序曲は存在しておらず、初演の時は序曲の作曲が間に合わず「アルフォンゾとエストレッラ」という歌劇の序曲を転用。その後序曲をきちんと書き直せばよかったのに、それをせず、この「魔法の竪琴」の序曲を転用して、そのまま現在に至っているわけです。まあ、シューベルトのムラ気は有名な話で、だからこそ「未完成交響曲」が何故未完成に終わったのかという命題に諸説が語られるわけですが。なので当然「ロザムンデ」の中身とは全く関連性の無い序曲というわけです。1つのオペラに4つもの序曲を次々と書いたベートーヴェン(フィデリオの事です)とは正反対です。

ベートーヴェンの交響曲第1番は、2回目。もっとも前回取り上げた定期演奏会の後ベルギー公演でもやっているので3回以上は弾いています。
ベートーヴェンの交響曲の中ではどちらかと言えば地味な曲で、まだハイドン・モーツァルトの世界からほんの少し足を踏み出したといった感じの曲です。第1楽章の序奏の冒頭、普通だと主和音から始まりますが、この曲は属七、いわゆるドミナントコードから始まります。曲の頭が主和音(トニック)で始まらないのはベートーヴェンの交響曲の中では、この曲と第九だけです。
第2楽章の始まりは、モーツァルトの40番によく似ています。第3楽章はメヌエットと書かれていますが、どう見てもスケルツォ。ベートーヴェンの第3楽章で明確なメヌエットは第8番だけです。(第九は第2楽章にスケルツォが来ています)
第4楽章はとっても楽しい楽章です。突然pからfになる箇所が2か所。ハイドンの「驚愕」のミニ版です。実はここは版によってフォルテになる箇所が異なっているという事で、本来のベトーヴェンの譜面では、なるべくしてならないところからフォルテになるのですが、ベーレンライター版では、これはベートーヴェンの記譜ミスとして、つまらない当たり前の所からフォルテになる・・・面白く無いです。

チャイコフスキーの交響曲第5番は3回目の演奏です。表情の変化が激しく同じチャイコフスキーの第4番や悲愴に比べてメロディックな曲で日本人には大変な人気曲です。特徴は、「運命の主題」とも言われるメロディが全ての楽章に現れる事です。
第1楽章 序奏に「運命の主題」がホ短調でクラリネットによって現れ、主部に入ると「運命の主題」から派生した第1主題がクラリネットとファゴットで提示されます。第2主題は弦楽器によって奏でられるワルツのような旋律。コーダは最後にファゴット、チェロ、コントラバス、ティンパニが残って第1主題が反復され次第に静かになり、最後は消えるように楽章を終えます。低弦が最後に残るのはチャイコフスキーの常套手段です。
第2楽章 弦楽器の低音によるコラーフ風の前奏は緊張します。何かの楽器の音程が少しでもズレると楽章全体を壊してしまいそう。途中も1か所コントラバスが裸になるところがあって、そこが見せ場のひとつです。
第3楽章 ワルツの楽章。3つのワルツが現れ、コーダでは「運命の主題」が静かに現れ、最後に強い和音で閉じられます。この楽章はコントラバスはそれ程難しく無いので気持ち的には一休み。
第4楽章 序奏は「運命の主題」がホ長調で現れ、クライマックスが築かれ、ティンパニとトレモロとコントラバスが残り、テンポを急速に早めて第1主題に入ります。ここのうねりはコントラバスならでは。主部に入ると高速の分散和音の連続やらダウンボウの連続やら目と手の疲労は極限に達しながら「運命」との戦いの勝利を高らかに歌って曲を閉じます。

どの曲も、初めての曲では無いので、前回弾いた時とは違う音楽を表現できればと思っています。

2025年3月18日 (火)

3月18日 名曲100選 J-POP、歌謡曲篇・81 秋の一日

「秋の一日」はシンガー・ソングライター下成佐登子のデビュー曲です。1978年高校2年で出場した第15回ヤマハポピュラーソングコンテスト九州大会で歌って、長渕剛の「巡恋歌」と共にグランプリを受賞。本選では入賞を逃しましたが、ヤマハ音楽振興会から記念の1枚という事でレコーディングのお誘いがありビクターからデビューし、その後も「星になりたい」や、多くのアニメ主題歌などを歌っています。
片想い(と思われる)のもどかしさを切なく歌った曲で、とても高校2年生とは思えない曲です。

2023年7月 7日 (金)

7月7日 名曲100選 室内楽曲篇・93 ピアノ三重奏曲(ラヴェル)

ラヴェルのピアノ三重奏曲イ短調は1914年に作曲されました。
ラヴェルはピアノ三重奏という曲が作曲上非常に難しいジャンルであるという認識を持っていたようです。ピアノと弦楽器の音色の調和、3つの楽器のバランス、特にチェロを聴き取りやすくする事に腐心したようです。
結局ラヴェルは管弦楽的な書法を持ち込んで対処しました。
古典的な4楽章の形式を踏襲していますが独創性を忘れずに発揮しています。
第1楽章はバスク地方のソルツィーコという舞曲を模したものです。8分の8拍子ですが、それぞれの小節は3+2+3というリズムパターンに分割されています
第2楽章はパントゥムという四行連詩の形式を再現しています。
第3楽章はパッサカリア。
第4楽章は4分の5拍子や4分の7拍子が交互に現れる変則的な拍子を使った華麗なコーダを持つ終楽章です。

2023年2月11日 (土)

2月11日 名曲100選 映画音楽(洋画)篇・73 史上最大の作戦マーチ

「史上最大の作戦」(The Longest Day)は1962年に公開された映画です。
第二次世界大戦における連合国のノルマンディー上陸作戦を描いた映画で、オールスター・キャストの豪華な作品でした。
監督はケン・アナキン、ベルンハルト・ヴィッキ、アンドリュー・マートン。
出演者は、ジョン・ウェイン、ロバート・ミッチャム、ヘンリー・フォンダ、リチャード・バートン、クルト・ユルゲンス、ロバート・ワーグナー、ポール・アンカ、メフ・ファーラー、ロッド・スタイガー、ショーン・コネリー、クルト・ユルゲンスなど。
この作戦の成功は、ナチス・ドイツの第二次大戦敗北に拍車をかける事となりました。
音楽担当は、アラビアのロレンスなどを担当したモーリス・ジャールでしたが、主題歌の史上最大の作戦マーチは、出演者のひとりポール・アンカが撮影中に作詞作曲をしてミッチー・ミラーの楽団と合唱団が演奏した曲で、映画音楽の代表作のひとつともなっています。

2022年2月27日 (日)

2月27日 名曲100選 管弦楽曲篇・23 交響詩「海」

ドビュッシーが1905年に作曲した交響詩「海」。正式な曲名は「海」管弦楽のための3つの交響的素描です。
ドビュッシーは楽譜を出版する際に、表紙のデザインに葛飾北斎の「富嶽三十六景」のひとつ「神奈川沖浪裏」の左半分を指定しましたが、具体的にこの海を描写したというわけでは無いようです。
正式題名のとおり3つの楽章から出来ていて、それぞれの楽章に標題がつけられています。
第1楽章 会場の夜明けから真昼まで、第2楽章 波の戯れ、第3楽章 風と海の対話です。
ドビュッシーの管弦楽曲の中では、最もドラマチックな曲でありドビュッシー得意の色彩感と相まって高い人気を得た要因になっています。

2021年12月10日 (金)

12月10日 名曲100選 室内楽篇・14 弦楽四重奏曲第1番 アイヴズ

アメリカ現代音楽のパイオニア的存在チャールズ・アイヴズがエール大学在学中に作曲した作品のひとつが弦楽四重奏曲第1番です。
アイヴズというと、様々なアメリカの曲を引用したり不必要なほど不協和音を使ったり実験的な作品を多く残した作曲家ですが、さすがにまだ大学2年だったアイヴズは大胆な不協和音を使うことはありませんでしたが、引用は行っています。
この曲は、賛美歌が多く引用された曲です。
第1楽章冒頭から「Missionary  hymm(北のはてなる)」という賛美歌の旋律がフーガ風に扱われる美しい楽章です。
第2楽章は「Beulah Land」という賛美歌をアレンジしています。
第3楽章は「Nettleton」という賛美歌をベースとし、第4楽章は「Coronation」「Stand up for Jesus」を用いています。しかも最後はアーメン終止(一旦主和音で終止した後、四度の和音から主和音という「アーメン」を付け加えるような形の終止形)を使っています。
この第1番から17年後に完成した第2番の弦楽四重奏曲は不協和音の嵐ですし、引用もアメリカ音楽「コロンビア・大洋の宝」だったりベートーヴェンの第九だったりチャイコフスキーの悲愴だったりとアメリカとヨーロッパの芸術の討論という賑やかな曲なので、同じ作曲家とは思えない変化が見られます。

 

2021年5月 7日 (金)

今日の音楽 5月7日 ジークフリート牧歌

2019年1月のパイオニア交響楽団第31回定期演奏会、後半の1曲目はワーグナーのジークフリート牧歌でした。

ワーグナーといえば、歌劇、楽劇の作曲家というイメージで、他に作曲した交響曲などは殆ど演奏される事がありません。オペラ以外の演奏会で演奏されるのは、殆どがオペラの序曲か劇中の管弦楽曲。

そんなワーグナーのオペラ以外の作品の中で最も知られているのが、このジークフリート牧歌でしょう。
ワーグナーの2番目の妻で、フランツ・リストの娘であり、高名な指揮者ハンス・フォン・ビューローから略奪した妻であるコジマ・マーラーの誕生日及びクリスマスのプレゼントとして作曲し、コジマが寝ている最中に寝室脇の曲がり階段にセッティングして、早朝の7時30分から演奏されたのが初演になりました。

フルート、オーボエ、ファゴット各1、クラリネット2、ホルン2、トランペット1、弦五部という小編成の曲で、ジークフリートは、コジマが産んだ息子のジークフリートから取ったものです。

穏やかな主題から始まり、終始静かなアンサンブルの曲。後に楽劇「ジークフリート」へ転用されたメロディも出てきます。素晴らしい曲なのですが20分間の長さなので、ちょっと演奏途中で眠くなるのが玉に瑕。コントラバスは特にホ長調からト長調に転調された13小節でpizzが一発だけ、次の変ホ長調に転調された10小節間でpizzが一発だけ、その後変イ長調に転調された後46小節間でシ♭がひとつだけ、次のハ長調での6小節間とロ長調の16小節間は全休というのが、練習中は眠くなって辛かった。後も変イ長調、ヘ長調、ハ長調、ホ長調、ハ長調、ホ長調と目まぐるしく転調されていきます。実に転調回数は11回。この転調が無ければ、とっても単調な曲として後世に残るような事は無かったかもしれません。

2020年7月20日 (月)

今日の音楽 7月20日 交響曲第6番「田園」

2001年6月にパイオニア交響楽団の第10回定期演奏会が東京芸術劇場で催されました。
第10回という事で、合唱団との共演で「カルミナ・ブラーナ」を演奏、前プロとしてベートーヴェンの交響曲第6番ヘ長調「田園」op.68を演奏しました。

ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」は、交響曲という分野で様々な冒険をしてきたベートーヴェンの最も画期的なチャレンジとなる曲です。完全なる標題音楽であり、各楽章にコメントをつけた描写音楽でもあります。第1楽章で、田園地帯にやってきた清々しい気持ちが描かれ、第2楽章では小川の流れや森の情景、おまけに鳥の鳴いている様子までも描いています。連続して演奏される第3楽章から第5楽章にかけては、村の祭り、突然襲ってきた嵐、そして嵐が去った後の澄んだ空気と喜びが描かれています。

ところが、私は一生この曲を演奏したくなかったのが本音でした。原因のひとつが、清々しい第1楽章、第2楽章と第5楽章がコントラバスは非常につまらない(まあ、ベートーヴェンの曲とは思えないほど簡単)事。もうひとつが、第4楽章の殆どの部分が、嵐を表現する効果音として使われている事。そしてこの効果音がポジション移動が激しくて、指が弦の上で擦れて痛い!事、また終わりの方には五弦ベースでないと(五弦ベースでもアマチュアレベルには)演奏不能の箇所がある事。効果音なので音が多少違っても良いのでしょうか、でも一応譜面には音符が音程をもって書いてあるわけですから、弾けなきゃ悔しいわけで、悔しい思いをしたくないので、演奏したくなかったわけです。

曲は素晴らしい曲ですが。。。でとうとう演奏してしまったわけですが、もう一回演奏したいとは全く思いません。

2017年12月26日 (火)

今日の音楽 12月26日 ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード ;Music for today Dec.26 The Long and Winding Road

1960年代に活躍した名プロデューサー フィル・スペクターは1940年12月26日にニューヨークで生まれました。

十代からやっていた音楽活動ではザ・テディ・ベアーズを結成して「会ったとたんに一目惚れ」で全米1位となりましたが、興味が制作に移ったため音楽プロデューサーの活動を始め1961年にフィレス・レコードを設立し1963年にロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」をヒットさせました。早い時期からビートルズと親交がありアルバム「レット・イット・ビー」のプロデュースなどを手がけました。

特に「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」ではオーケストラやコーラスの過剰な多重録音がポール・マッカートニーに不満を持たれたようですが、結局、シンフォニックな作品は今でも強く我々の心に刻み込まれています。

その後は麻薬中毒などで錯乱状態になり第一線から退き、2003年には女優ラナ・クラークソンを射殺した容疑で逮捕され有罪となって刑務所の薬物中毒治療施設に収監されています。

2017年8月 5日 (土)

今日の音楽 8月5日 ケーゲルシュタット・トリオ ;Music for today Aug.5 Kegelstatt Trio

モーツァルトのピアノ、クラリネットとヴィオラのための三重奏曲変ホ長調K.498「ケーゲルシュタット・トリオ」は1786年8月5日に作曲されました。

ピアノ三重奏曲第2番とも呼ばれる曲です。通常のピアノ三重奏曲はヴァイオリンとチェロとピアノという編成ですが、この曲はピアノとクラリネットとヴィオラという風変わりな編成になっています。これは、この曲が友人のクラリネットの名手シュタットラー(クラリネット五重奏やクラリネット協奏曲なども彼のために作曲された)などと仲間内で演奏するために作曲された為と言われています。
3つの楽章からなる20分程度の曲ですが、モーツァルトが愛したクラリネットという楽器の魅力を余す事無く発揮しています。

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