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2025年10月14日 (火)

アマチュア・オーケストラのお話 第5回 アマオケの収支 その2

常設のオーケストラではなくて、1回の演奏会のために結成されたオーケストラの会計は、演奏会会計のみですが、それ以外のオーケストラの場合、多くは一般会計と演奏会会計に分けて管理しているという事は前回述べさせていただきました。
そこで、今回は演奏会会計についてお話致します。
演奏会会計は、演奏会に直接かかわる収支になります。団によっては、一般会計から不足分を補填したり、余剰分を一般会計に戻したりという事を柔軟にしている団もありますが、一応建前での演奏会会計をご説明します。
まず収入です。
収入の殆どは団員からあつめる演奏会参加費です。参加費は演奏会にかかる費用が一般会計に比べて流動的なのでその都度金額が変化します。
企業や自治体が主催または協賛するオーケストラについては協賛金が頂ける事もあります。また有料コンサートの場合、チケットの売上金額も収入となりますが、数千円から万単位の料金のプロオケに比べると1,000円から2,000円が相場なので大した金額にはなりません。
一般的なオーケストラの通常の参加費は20,000円~30,000円というのが相場のようです。
支出は、金額の多くを占めるのが演奏会場の費用。
演奏会場は、自治体の公民館、公会堂、文化ホールなど公共のホールや、都内で言えばサントリーホールやオーチャードホールを代表とする企業が運営するホールがありますが、観客の収容人員が600人程度の小さなホールを除けば企業運営のホールは普通のアマオケには手が出ません。
アマチュアのフルのオーケストラの場合、収容人数が少ないホールは、オーケストラがステージに乗り切らない事が多いので、結局1,000人以上の収容人数の大ホールを借りるしかありません。
演奏会用のホールは殆どのホールが午前・午後・夜間の3コマに分けて管理されています。演奏会自体は2時間程度なのですが、セッティングと片付け、ステージ・リハーサル(ステージの音響を確認しながらの最終練習)が必要なため、2コマが必要になります。
都内の公共団体のホールも、ピンからキリまであって、2コマ借りるだけで50万円を超えるホールもあれば、10万円代で借りられるホールもあります。どのホールが借りられるかも、演奏会の支出に大きく関係してきます。さらに、付帯設備の料金がプラスでかかります。
会場費の基本料金には、ステージと客席を借りる料金と通常の照明、冷暖房費などは含まれていますが、それ以外の料金、椅子、演奏者の座席を嵩上げする山台、譜面台などは別料金。ピアノ協奏曲をやればピアノのレンタル料も別途になりますし、調律も有料です。
これらの料金もホールによって設定料金が大きく異なり、オーケストラの人数や並び方でも大きく変動します。
次に大きな費用は、指揮者への謝礼やコンチェルトをやれば独奏者への謝礼、その他特殊な楽器(ハープやオルガンなど)はプロの方にお願いする事になるので謝礼が発生します。これも人によって数倍の開きが生じます。
・・・続く・・・

2025年9月30日 (火)

アマチュア・オーケストラのお話 第4回 アマオケの収支 その1

アマチュア・オーケストラは、営利団体では無いので利益を出す必要はありませんが、活動するためにはお金が必要です。
演奏会1回単位で集まって活動する所謂一発オケは、その演奏会1回分の収支がトントンになるようにすれば良いのですが、継続的に活動している団体は、企業などと同じように1年単位で収支を見ます。それとは別に演奏会の収支をチェックしている団体も結構多いので、通常の収支と演奏会の収支を別々にご紹介していきましょう。

まずは、通常の活動における収支です。一般会計という名称で管理しているところも多いようです。
収入の殆どは団費とよばれる、団員から定期的に集めるお金です。平均的な団体では月3,000円前後の所が多いようですが、これについては団員の数に左右されます。非常に少ないですが、自治体や企業からの補助金などが受けられる団体もあります。それ以外には殆ど収入は無いと思っていただいて結構だと思います。
支出では、練習会場の費用、練習の指導者への謝礼、大型楽器の運搬費やレンタル代が殆どを占めます。企業のオーケストラで練習に会議室を使用できる場合、学生オーケストラで学内で練習できる施設がある場合は発生しませんが、それ以外の場合、公民館などの公共施設を借りる必要があります。団体の規模によって必要な練習場の広さは変わりますが、3~4時間が一枠で数千円から1万円前後が通常の相場です。民間の施設ではもっと高いところもあります。
指導者は、本番を振って頂く指揮者以外に、他のプロの指揮者、プロの音楽家で1回につき2~3万円ぐらい。
大型楽器は、主にティンパニや大太鼓などの打楽器。市民オーケストラや企業オーケストラの中で、いつも同じ場所で練習が出来て、その場所に楽器を保管できる団体は費用は発生しませんが、楽器を所有していても練習場がその時によって異なる場合は運搬費が発生しますし、楽器を所有していない団体はその都度レンタル代が発生します。
上記の3つの経費が一般会計の主たる費用になります。その他の費用としては、団体によってはコントラバスなどの大型楽器所有者の練習場での駐車場代を団体の負担にしている所も少なからずありますし、打楽器をはじめ楽器を所有している団体では維持費がかかったりします。

つまり、収入は団員の人数によって増減がありますが、支出は人数の増減に関わらず発生する固定費的なもので占められているという事になります。

2025年9月13日 (土)

アマチュア・オーケストラのお話 第3回 いろいろなアマオケ その2

次に、市民オーケストラ。と言っても実際にそれらしい名称でも自治体とは無関係なものもありますし、自治体との関わりも、その団体によっていろいろなパターンがあるので、明確な区別は難しいのが実情です。
自治体から運営費が100%出ている団体はありませんので、何らかの形で自治体から援助されているオーケストラを市民オーケストラと考える事にします。
市民オーケストラが出来るきっかけのひとつは、市の記念式典か何かのために募集されて、その行事が終わった後も活動を継続したいメンバーを主体に結成されたものなど、きっかけを自治体が作ったものが多いようです。
市民オーケストラと言っても、自治体との関わりは様々で、要件も当該自治体の住人か、そこで働いている人が50%以上で構成されている・・等あります。まあ、自治体の行事に参加した場合に諸費用を補助してもらえる以外には、どこも現金をもらえる事は稀です。
メリットとしては、練習場を優先的に借りられるとか、市の予算で購入した楽器を使わせてもらえるなどがあります。
練習場がある程度一定の場所を使えるのは、実は大変なメリットです。

そして一番多いのが、今まで説明した以外のオーケストラ。大学のOBが主体となって作られたものや、個人ベースで集まったものなど様々な生い立ちで、特にアマオケの数が多い東京都内では4分の3ぐらいが、このカテゴリーだと思われます。
当然の事ながら、全て自主運営。ほとんどが何の後ろ盾も無いので、ちょっとしたきっかけで消えるものも少なくありません。

次回は、アマチュア・オーケストラの収支についてお話をしましょう。

2025年9月 8日 (月)

アマチュア・オーケストラのお話 第2回 いろいろなアマオケ その1

前回は、アマオケは成り立ちでいくつかに分類してみました。勿論、大雑把な分類なのできっちりと分けられるものではありませんが、おおよその特徴はつかめると思います。

まずは中学・高校・大学などのクラブ活動のオーケストラ。文字通り、その学校に通う生徒や学生がメンバー。費用は一部学校からの援助がありますが、部費などの名目でメンバーから徴収するところが多いと思います。中学・高校では吹奏楽部がある学校に比べると管弦楽部がある学校は極端に少ない。その理由は、吹奏楽コンクールと運動部の応援が大きなもの。そして、人数。オーケストラには大規模なコンクールは無いし、運動部の応援はやらないし、人数も最低50人は必要。
特徴としては、
●練習時間が豊富・・・最近は顧問の先生の働き方改革の影響で練習時間短くなっているようですが、それでも社会人になると、パート毎の練習の時間は殆ど取れず、週1日3~4時間程度の合奏。しかも学生には夏休み中の合宿というアンサンブル力向上の最大の武器があります。
●メンバーは入学・卒業で入れ替わるので長年一緒にアンサンブルを・・・というアンサンブル力はありませんが、それを練習密度と若さでカバー。
●演奏会は、メインの演奏会は年1回。それに加えて小さな演奏会や学校行事参加などがいくつかある場合もあり。
●大学のオーケストラは、マンモス大学では昨今キャンパスがかなり散らばっているため練習に行くのも結構大変みたいです。
●指揮者は殆どがプロの指揮者を招聘。普段の練習のトレーナー(コーチ)は、OBOGとプロの音楽家またはその卵。

続いて、会社の文化活動のため、またはクラブ活動のオーケストラ、以下企業オケ。
メンバーは、当該企業やその関連会社の社員や家族、友人がメイン。私の所属するパイオニア交響楽団も以前は完全な企業オケとして、クラブ活動費としての援助や、練習場は会社の会議室を無料で借りたりしていましたが、会社の縮小などで現在は宣伝に会社のHPをお借りしたり、組合からの協賛金を頂いたりはしていますが、そのほかは一般のアマオケと同じ状況です。
あまり数の増減は無さそうです。有名どころでは東芝フィル、リコー・フィル、ソニー・フィル、NTTフィルなど。
●練習は毎週土曜か日曜の3~4時間程度の所が多い。
●メンバーは社員や関連会社の社員と家族のみというところもあれば、基本は社員だが誰でもOKというところもあります。
●演奏会は年に1~2回の定期演奏会と社内行事などが不定期にある場合もあります。
●練習会場は、会社でできるオーケストラもありますが、近年大会議室を設けない会社が増えているので外部練習場の場合も多いようです。
●指揮者はプロの指揮者を招聘。練習のトレーナーもプロの音楽家。

続く

2025年8月26日 (火)

アマチュア・オーケストラのお話 第1回 アマチュア・オーケストラとは

 名曲100選が終了して、暫くお休みしていましたが、これからは複数の視点でクラシック音楽の世界を綴っていきたいと思います。
まずは、アマチュア・オーケストラ(以後アマオケ)の実情のご紹介です。
 アマオケの対義語はプロ・オケです。
 要するにオーケストラ活動を生業としない人たちによるオーケストラです。
 では、アマオケの演奏会のステージに乗っている人たちは全員アマチュアかと言えば、そんな事はありません。
多くのアマオケの演奏会の指揮者はプロの指揮者かそれに類する方、コンチェルトをやればソリストは大概はプロの奏者。
オーケストラによっては、足りないパートなどをプロの奏者で補充する事もあります。
 またハープ、オルガンや特殊楽器はアマチュアの奏者が殆どいないのでプロにお願いする事が多いです。
 もっと難しい事を言えば、学校や音楽教室の音楽の先生も在団している場合もあります。音楽に対してはプロですが、
オーケストラではアマチュアなのです。
 プロオケはスポンサーや友の会のような組織からの拠出金や聴衆の入場料で演奏会費用を賄っていますが、アマオケは殆どの費用を団員から集金して賄っています。これがプロオケとアマオケの大きな違いでしょうかね。
 そうは言っても、全てのアマオケが全ての費用を団員からの拠出金で賄っているかと言えば、必ずしもそうではありません。

 それを語るには、アマオケ自体の成り立ちを説明しないとなりません。と言っても明確な分類があるわけでは無いのですが、大まかに分類してみます。まず中学校・高校・大学の部活動としてもオーケストラがあります。団員は一応その教育機関の生徒や学生。ですが、オーケストラの場合対外競技を行うわけでは無いので、演奏会には手助けとしてその学校のOBOGなどが参加する事もあります。吹奏楽のようなコンクールも無いので明確な規定はありません。
 それから自治体が文化事業の一環で援助しているオーケストラ、いわゆる市民オーケストラです。しかしながら自治体名を冠しているオーケストラが全てこのカテゴリーに入るわけではありません。
 企業のクラブ活動や文化活動としてのオーケストラ。いわゆる企業オーケストラ。
 アマチュア・オーケストラの多くは、上のカテゴリーに属さないもので、大学のOBOGのオーケストラが発展して作っているオーケストラ、一部愛好家が個人的に呼びかけて作られたオーケストラ等々、様々な形態があります。

次回は、各カテゴリーをもう少し掘り下げていきます。