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2021年8月29日 (日)

今日の音楽 8月29日 2つの伝説(再掲載)

リストの「2つの伝説」は1865年8月29日にリスト自身のピアノ独奏で初演されました。

「2つの伝説」はリストの信仰が深まって行った時期に作曲されたキリスト教を題材としたピアノ曲です。アッシジのフランチェスコとパオラのフランチェスコという2人の聖人の伝説を基にしたもので、当時は指揮者のハンス・フォン・ビューローの妻となっていた娘コジマに献呈されています。

第1曲は「小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ」、第2曲は「波の上を渡るパオラの聖フランチェスコ」です。1975年にリスト自身による管弦楽版が発見されました。今でも、管弦楽版かピアノ独奏版のどちらが原曲かはっきりしていません。

 

2020年2月24日 (月)

パイオニア交響楽団第33回定期演奏会のご案内・4

2020年3月8日(日) ティアラこうとう大ホール(都営新宿線/東京メトロ半蔵門線 住吉駅 徒歩4分) 午後2時開演
指揮 黒岩英臣
曲目 ワーグナー 歌劇「リエンツィ」序曲
   モーツァルト 交響曲第41番ハ長調「ジュピター」 K.551
   シューマン  交響曲第3番変ホ長調op.97「ライン」

今日は、シューマンの交響曲第3番「ライン」のご紹介PART1です。

この曲は、番号では4曲の交響曲中第3番という番号がついていますが、実際に作曲されたのは4番目になります。1850年にデュッセルドルフのオーケストラと合唱団の音楽監督に招かれ、当地でライン川沿岸を好んで散歩し上流のケルンでも大聖堂に感銘を受けて作曲したものです。「ライン」の副題はシューマンが名づけたものではありませんが、ライン川と関係が深い音楽になっています。それぞれの楽章がライン川周辺にまつわる音楽になっています。

よく言われるようにシューマンのオーケストレーションは決して巧いとは言えません。特に感じるのは、とにかく音が多い事、楽器の重ねすぎ、楽器の特性を十分に理解していない事です。楽器の重ねすぎはクリアな音を妨げ、くすんだ音に聴こえます。そのため多くの指揮者が、オーケストレーションの変更や間引きを行って演奏する事が多かったようです。有名なところではマーラーの編曲版が挙げられますが、最近では、このくすんだような音色がシューマンの音色であるとしてオリジナルで演奏する事が多いようです。

そんなわけで、この曲技術的にも簡単ではありませんが、何と言っても体力。特にフレンチ弓のコントラバスの場合練習の最後の方では右手の握力が限界を迎えるわけで、第5楽章の最後のテンポが上がるところあたりでは、弓を持っているのがやっと。まともに元気よく弾けた事が一度も無いという有様です。練習時は本番と違って止まって何回も繰り返すので余計に体力を消耗しますので本番は大丈夫だとは思いますが、前回のショスタコの5番の時の第1楽章後半で腕が攣ったという経験があるので若干心配ではあります。

「ライン」は5楽章という通常の交響曲とは異なる構成になっています。

第1楽章は、いきなり勢いのある第1主題から始まります。この楽章は3拍子なのですが、実は音楽としては2小節で3拍子になっているように聴こえますが、そのように演奏しては絶対にイケナイわけで、ここがとってもわけわからなくなる要因です。第2主題は哀愁を帯びた旋律になります。展開部はシューマンらしくあまり工夫はありませんが、ホルンの雄叫びがあった後コーダに入ります。
この楽章で3小節以上の休みがあるのが、たった4箇所。それも最も長いのが5小節の休みなので、殆ど弾きっぱなし。これだけ弾きっぱなしの楽章は経験した記憶がありません。

第2楽章は、スケルツォ楽章。川の流れの中に漂うような感じのする曲です。中間部はホルンなどで演奏されるイ短調の曲です。休みの小節があるのは1ヶ所。それも最後から5小節前からの3小節間だけ。しかも途中に28小節にわたってドの音の刻みがあって、ここでは弦をおさえる左手の指も限界に達します。

第3楽章は、緩徐楽章です。が、通常の緩徐楽章と違って動きのある音楽です。この曲も連続5小節の休暇が冒頭からある以外は年中無休。しかも今度は6.5小節間ラソラソラソラソラソラソラソラソ(ラは♭ラ)という試練も与えられています。

to be continued

2020年2月15日 (土)

パイオニア交響楽団第33回定期演奏会のご案内・3

2020年3月8日(日) ティアラこうとう大ホール(都営新宿線/東京メトロ半蔵門線 住吉駅 徒歩4分) 午後2時開演
指揮 黒岩英臣
曲目 ワーグナー 歌劇「リエンツィ」序曲
   モーツァルト 交響曲第41番ハ長調「ジュピター」 K.551
   シューマン  交響曲第3番変ホ長調op.97「ライン」

今日は、モーツァルトの交響曲第41番のご紹介です。
パイオニア交響楽団では、第35番以降のモーツァルト後期6大交響曲で唯一演奏していない作品です。私個人では約40年ぶりです。
モーツァルトの曲は、どの曲も演奏会で良い演奏を聞かせるのが難しいです。古典派の譜面はダイナミクスなどは最低限の事しか書かれていないので、曲の構成・フレージングなどを理解しないで譜面通りの演奏をすると無味乾燥な、場合によっては滑稽な音楽になってしまうので演奏の上手下手以上に出来の差が現れてしまいます。

41番は、モーツァルトの最後の交響曲です。最後らしく、またハ長調という基本的な調性を使った堂々とした曲になっています。木管楽器はオーボエとファゴットは2本ずつですが、フルートは1本、ハ長調が苦手なクラリネットは無しという編成です。

第1楽章は全く序奏なく、木管と全弦楽器のユニゾンでいきなり第1主題が提示されます。最初はハ長調で、ヴァイオリンの経過句のあとト長調で演奏されます。ベートーヴェンの交響曲第1番の第1楽章よく似た主題です。モーツァルトでは、ド・ソラシド・ソラシドですが、ベートーヴェンはドーソシ ドーソシ ドで、主題の転調はト長調ではなくニ長調でした。第2主題はモーツァルトらしい可愛らしい音楽ですが、この楽章全体を通して瑞々しくしかも堂々としている音楽です。

第2楽章は個人的には一番難しい楽章。モーツァルトの交響曲は全般的に緩徐楽章がとっても難しいです。理由は息の長いフレーズ。弓の使用量の多いコントラバスにとっては息の長いフレーズはとっても難しいです。ヴァイオリンだけが弱音器をつけてゆっくりですがリズムの変化が多い主題を奏でます。第2主題は一転短調の厳しい表情の音楽。こちらはフレーズの長さがめまぐるしく変化していきます。最後は天国に上るような美しい音楽で終わります。

第3楽章はメヌエット。非常に優美なメヌエットです。トリオ後半で短調のジュピター音型が出てきて終楽章を暗示しています。

第4楽章はドレファミというモーツァルトが好んで使った音型、ジュピター音型による第1主題がいきなり提示されます。ここでおわかりと思いますが、この41番の交響曲は全楽章とも頭から主題が演奏されます。これって実は結構難しいんです。この終楽章では1stヴァイオリンの全音符の主題のバックで2ndヴァイオリンが音楽を作る作業をやっていますが、序奏もなくていきなりテンポを作らなければならないので、かなり大変です。
終楽章の目玉は何と言っても、複雑なフーガ。フーガって立ての線(簡単に言えば、各楽器間の拍)が合わないとグシャグシャになるのですが、それぞれの楽器の出るタイミングが一定ではなくて複雑なので、きちんと聴こえるように演奏するのは非常に難しいフーガです。

このモーツァルトのジュピター音型は、モーツァルト自身も交響曲第1番など多くの楽曲で使用していますし、後の作曲家にも大きく影響を与えています。ブラームスは4つの交響曲を作曲していますが、第1番はハ短調、第2番はニ長調、第3番はヘ長調、第4番はホ短調。ドレファミですよね。シューマンの4つの交響曲も作曲順に並べると第1番変ロ長調、第2番ハ長調、第3番変ホ長調、第4番ニ短調ですが、各調を1度(半音2つ分)上げるとハ長調、ニ長調、へ長調、ホ短調になってドレファミになります。まあ、シューマンの交響曲の場合は作曲順ではないので、こじつけかもしれませんけど。

2020年2月11日 (火)

パイオニア交響楽団第33回定期演奏会のご案内・2

2020年3月8日(日) ティアラこうとう大ホール(都営新宿線/東京メトロ半蔵門線 住吉駅 徒歩4分) 午後2時開演
指揮 黒岩英臣
曲目 ワーグナー 歌劇「リエンツィ」序曲
   モーツァルト 交響曲第41番ハ長調「ジュピター」 K.551
   シューマン  交響曲第3番変ホ長調op.97「ライン」

今回はワーグナーの歌劇「リエンツィ」序曲のご紹介です。
「リエンツィ、最後の護民官」は、ワーグナーがドイツで成功できずパリに逃れて完成させた初期のオペラで、この作品の成功によってワーグナーのオペラ作曲家としての方向性が定まった作品です。まだまだ旧来のドイツ・オペラの延長線上の作品であり、初稿は6時間以上を要する長大なものであり(現在は3時間40分程度に短縮されています)、バイロイト音楽祭の演目にも入っていないため、全曲が演奏される事はごく稀です。

ストーリーは14世紀のローマに実在した政治家コーラ・ディ・リエンツィの話。貧しい家に生まれたリエンツィは弁説によって頭角を現し教皇庁がアヴィニョンに移っていたため(アヴィニョンの捕囚)荒廃していたローマを建て直し、絶大な権限を与えられるようになりました。税制改革などの改革を行いましたがやがて皇帝のように振舞うようになり、意に沿わないものを次々と処刑するなど恐怖政治を行うようになり、かつての部下に殺されてしまうという史実が下敷きになっています。

序曲は、このオペラの中の曲を使って構成されています。
冒頭から数回登場するトランペットの単一の音は、民衆蜂起のための召集ラッパ。ここから荘厳なチェロとコントラバスのメロディによって導入され、やがてアレグロの主要部に入ります。第2幕で自身の暗殺者を赦したリエンツィを民衆が讃える賛歌による行進曲風のメロディ、第3幕の反乱軍との戦争を制圧して歌われる「精霊よ、護り給え」といったメロディが繰り返され、華々しくコーダを迎えます。

ワグネリアンからすると、官能的なものも無く、神々しさもなく、この曲はワーグナーらしさが殆ど見られない、稚拙な曲と思われるかもしれませんが、これはこれで、いかにもドイツ音楽という感じで今回の演奏会には相応しいと思います。

とにかくコントラバスとしては最初の部分のメロディでいかにお客さんを引き込めるかが勝負、というとっても重要な役割を担わされる曲です。

2020年2月 9日 (日)

パイオニア交響楽団第33回定期演奏会のご案内・1

私の所属するパイオニア交響楽団の第33回定期演奏会まであと1ヶ月となりました。

今回は久々のオール・ドイツ・プログラムです。全て本格的なドイツ音楽というのは第22回定期以来です。しかも古典派音楽、中期ロマン派、後期ロマン派とドイツ音楽の歴史を感じさせるプログラムとなっています。

古典派音楽は、モーツァルト最後の交響曲である第41番「ジュピター」。パイオニア交響楽団としては35番以降のモーツァルト6大交響曲の最後となる曲です。モーツァルトの交響曲を取り上げるのは38番「プラハ」以来10年ぶりです・・・私自身もこれ以来の演奏になります。

中期ロマン派音楽は、シューマンの交響曲第3番「ライン」。シューマンは4曲の交響曲を作曲していますが、番号は出版順に付けられていて作曲順ではありません。そのため実質的にはこの第3番が最後の交響曲になっています。シューマンを取り上げるのは2009年の第1番「春」以来。この10年でシューマンを演奏する苦労を忘れてしまい、選曲してしまいました。

後期ロマン派音楽は、ワーグナーの歌劇「リエンチ」序曲。後期ロマン派音楽といっても、まだワーグナー初期の作品で、トリスタン和音も出てこないワーグナー音楽っぽくない曲ですが、この曲の成功でワーグナーの名が世に出るきっかけとなったものです。

そして、この3曲。譜めくりが大変。体力的に非常にハード。個人的にこういうプログラムを演奏できるのは年齢的に最後かもしれません・・・

2020年2月 2日 (日)

パイオニア交響楽団第33回定期演奏会 中止のお知らせ

所属するパイオニア交響楽団の第33回定期演奏会のお知らせです。

2020年3月8日(日) ティアラこうとう大ホール(都営新宿線/東京メトロ半蔵門線 住吉駅 徒歩4分) 午後2時開演
指揮 黒岩英臣
曲目 ワーグナー 歌劇「リエンツィ」序曲
   モーツァルト 交響曲第41番ハ長調「ジュピター」 K.551
   シューマン  交響曲第3番変ホ長調op.97「ライン」

今回は久々にオール・ドイツのプログラムです。

本日2月27日の安部首相のイベント自粛の要請を受けて、演奏会は中止とさせていただきます。
チケット・プレゼントに応募された皆様にはお詫びを申し上げます。

 

 

2019年9月 8日 (日)

パイオニア交響楽団第32回定期演奏会のご報告

8月31日にパイオニア交響楽団の第32回定期演奏会が無事、大きな事故もなく終了いたしました。
ご来場頂いたお客様、ありがとうございました。

無事、事故も無くと書きましたが、実は私個人にとっては、無事な演奏で終わった、とは言えませんでした。
前半の「祝典序曲」と「仮面舞踏会」は何事も無く終える事ができましたが、後半のショスタコーヴィチの交響曲第5番は100%満足という結果にはなりませんでした。

この曲第1楽章の展開部のところでト音記号の非常に高い音域の音が出てきます。しかも音が飛ぶし、テンポも速い。アマチュア演奏家の多くはこの部分を演奏するために、指板の横などに目印をつける人も多いという演奏が難しい箇所です。目印をつけたところで簡単に弾けるというわけでも無いのですが、今回の本番では、練習時の苦戦からは考えられないぐらい巧く弾けました。これで張り切り過ぎたせいか、展開部が終わったあたりで、弓を持つ右腕が曲げ伸ばしできなくなってしまいました。靭帯かなんかを痛めてしまったかと思い、最悪ステージからリタイアも頭を過ぎりました。幸いこの後は暫くは強い音の場面があまりないので、腕さえ曲げなければ弾けるので、休みの場面では必死にマッサージをしながら何とか弾いたのですが、なにしろ集中力が欠如しているので、1ヶ所テンポが緩くなるところで指揮よりも飛び出ししてしまいました。第1楽章の後半は大きな音を出す場面が少ないので何とか弾けるのですが、その後待ち構えているのが、チェロとコントラバスのダウン弓の連続ではじまる第2楽章。ここは今の状況では弾けません。腕揉みをずっと続けている内に、ちょっとずつ筋肉が柔らかくなって来たようです。(結局は筋肉が攣った状態になったようです)第1楽章の最後までには多少の痛みは残るものの、運動障害は解決。第2楽章には何とか間に合いました。

ただ、演奏中に腕が攣ったなどという事は初めてのこと。老化が進んじゃったんでしょうかね。

それ以外では自分としては弾けた演奏会だったと思います。ただ、本番で興奮すると速くなっていくというオーケストラの習性は健在で、第2楽章の冒頭もオーケストラが速くなるのを必死に抑えながら弾きましたが、最終楽章は異常に速くなってました。

次回の演奏会は来年3月ですが、モーツァルトのジュピターとシューマンのライン、ワーグナーのリエンチ序曲というオーストリア・ドイツプロ。久しぶりに譜面自体を演奏するのも難しいというプログラムになります。個人の技術の見直しには良いプログラムだと思いますので、練習すると同時に、腕をもう少し鍛えないとね。

 

 

 

2019年8月27日 (火)

パイオニア交響楽団第32回定期演奏会・5

ショスタコーヴィチの交響曲第5番の第3楽章は緩徐楽章です。弦楽器が全部で8部の分けられた暗い内省的な旋律からスタート。このあたりの和声はなかなか難しい。第2部は弦楽器のトレモロの中で木管楽器の旋律が続く寂寞とした音楽。第3部は木琴が加わって大きなクライマックスが訪れます。コーダではハープとチェレスタが静かに曲を閉じます。勿論ハープもチェレスタもエキストラさんですので、普段の練習の時は不在。この楽章の最後は本番の直前まで私たちも聞くことができないという貴重なものです(笑)。この楽章はマーラーの「大地の歌」やロシア正教のパニヒダからの引用があるそうですが、私にはわかりませんでした。

終楽章は木管楽器のトリルとティンパニーの行進曲風のリズムの上を金管が主題を奏でます。と言っても、ここはまだ短調。やがて瞑想的な展開が続きますが次第に明るさを増して行きます。途中ではトレーナーの先生が「共産独裁主義的な音楽(本当は具体的な国名を言っていましたが)」で行進曲風な展開も登場し、カルメンの前奏曲のオマージュとも言えるメロディでコーダに入ります。
このコーダのテンポがバーンスタインの演奏で代表する速いテンポとムラヴィンスキーなどのゆったりとしたテンポに最近の演奏は2分されるようですが、黒岩先生は前者。速いテンポで終わりまで突っ込んで生きます。演奏する方は大変ですが・・・

この終楽章はショスタコーヴィチの複雑な思想を読み解く様々な見解が多くの人に語られている、という程味わい深い楽章です。一見派手で、勝利の凱歌という感じなのですが、本当に込められた想いは、作曲者にしかわからないのでしょうね。

 

2019年8月31日(土) PM2:00開演
場所 めぐろパーシモン大ホール(東急東横線 都立大学駅下車7分)
指揮 黒岩英臣
全席自由 1,500円

先着10組様に入場チケットのプレゼントを行っています。詳しくは こちらへ。

2019年8月24日 (土)

第32回パイオニア交響楽団定期演奏会・4

メイン曲のショスタコーヴィチの交響曲第5番について、もう少し言及しておきましょう。
この曲の演奏については大別すると2種類の演奏があるそうです。(そんな大雑把な分け方が正しいとは思いませんけど)
特に終楽章のコーダの前のテンポに顕著に現れます。運命からの解放だとか歴史的背景を深堀りした演奏では概ねゆったりとしたテンポで演奏されます。代表例はムラヴィンスキーなど。そして勝利の音楽を奏でて終楽章らしく終わらせる演奏では速いテンポで演奏されます。代表例はバーンスタイン。

また、ショスタコーヴィチのかつての恋人が結婚して「カルメン」と性が変わった事にひっかけて、ビゼーのカルメンをかなりしつこく引用しているとも言われています。

まず、第1楽章は、非常にインパクトの強いカノン(低弦から始まり高弦が追いかける)からスタートします。コントラバスにとっては第一の難関がここ(最初からかい)。タタ~~~、タタ~~~の~~~の部分は殆どの指揮者がクレッシェンドを要求しますが、これテンポが遅いので弓が足りない。でも、弓が足りないからと言って弓を折り返すオーケストラは見たことがありません。ひたすら粘りに粘って音を出さなければならないのです。

その後静かにゆったりとしたテンポで第1主題が出てきますが、この間は長~いお休み。そして、タンタタ タンタタというリズムを延々と刻まされるのですが、これ第1楽章の3回登場します。それぞれ場面が違っていて調も異なって(3回目などは長調になります)、こういうリズムパートで表情や音色を変えろ!と言われるのが最も難しい事のひとつです。で、このリズムに乗って登場するのが、カルメンの「ハバネラ」を思わせる(一部は全く同じ)ゆったりとした音楽。再現部ではこれが長調になって、ノホホンとした雰囲気で出てきますが、最後はチェレスタが半音階を演奏する中で、静かに第1楽章は終わります。

第2楽章は、スケルツォで、これもチェロとコントラバスが全部ダウンボウ(下げ弓)で弾く演奏する方は忙しいけど、かっちりと聞こえるように弾かなければならないという疲れる場面です。これ、きっちり弾かないと演奏が忙しい(すべての音を弾くために弓を一回一回戻すので)から速くなってしまいます(我々の世界では 走る といいます)。ここで走るようなオーケストラはこの後期待できません(笑)

このスケルツォのメロディは様々に楽器や形を変えて、時には弦楽器のピチカートだけで何回も登場してきます。
中間部は妙に色っぽい音楽がヴァイオリンソロでスタートします。スケルツォと言っても完全にスケルツォの主題に戻っていくわけでもなく、絡み合いながら中間部のメロディもからんで終わっていきます。

 

2019年8月31日(土) PM2:00開演
場所 めぐろパーシモン大ホール(東急東横線 都立大学駅下車7分)
指揮 黒岩英臣
全席自由 1,500円

先着10組様に入場チケットのプレゼントを行っています。詳しくは こちらへ。

2019年8月11日 (日)

第32回パイオニア交響楽団定期演奏会・1

所属するパイオニア交響楽団の第32回定期演奏会のPRです。今回はショスタコーヴィチを中心とする20世紀のロシア音楽プロです。
前プロで演奏するのはショスタコーヴィチの祝典序曲です。

1954年のロシア革命37周年記念演奏会のために急遽依頼され3日間で書き上げ11月6日に初演されています。3日間という短時間で書き上げることが出来たのにはネタ元があったわけで、1947年の十月革命30周年を記念して作曲された未発表曲を改作したという説もありますが、新作と考えても複数の自作曲の引用があるので不可能では無いと思われます。

冒頭のファンファーレは娘の誕生日のために1944年ごろ作曲した7つのピアノ小品曲「子供のノート」の第7曲「誕生日」の冒頭からの引用。
第1主題は、オラトリオ「森の歌」の第5曲「スターリングラード市民は前進する」からの引用。
終盤では「ジャズ組曲」第2番の第3曲が引用されています。

ショスタコーヴィチの音楽といえば、ソヴェト共産党、とりわけスターリン体制との確執が曲の内容に大きく影響していますが、この曲もスターリンの死の翌年に完成されたことから、スターリン体制からの解放を祝って書かれたなどとも言われています。

冒頭トランペットによるファンファーレからはじまる荘重な序奏が終わると、テンポはPrestoに変わってクラリネットによって物凄く速い第1主題が演奏されます。第2主題はこのテンポの中でホルンとチェロによって朗々と聞こえるメロディですが、テンポは速いままなので、結構演奏は大変。

最後はファンファーレが戻ってきますが、ここではバンダが使われています。バンダの人数は基本的に10人という大人数。バンダをどこに配置するかなどはまだ決まっていないし、実際にバンダの演奏が聴けるのは演奏会当日のステージ・リハーサルだけなので、演奏する我々も楽しみです。

2019年8月31日(土) PM2:00開演
場所 めぐろパーシモン大ホール(東急東横線 都立大学駅下車7分)
指揮 黒岩英臣
全席自由 1,500円

 

先着10組様に入場チケットのプレゼントを行っています。詳しくは こちらへ。

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