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2025年6月30日 (月)

6月30日 名曲100選 協奏曲篇・96 ピアノ協奏曲第1番(チャイコフスキー)

チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番変ロ長調op.23は、友人でありモスクワ音楽院の院長であったニコライ・ルビンシテインの献呈しようと考えて1874年から75年にかけて作曲されたものです。
草稿の段階でルビンシテインに聴かせたところ、ルビンシテインから「陳腐、演奏不能、書き直した方が良い」と酷評されましたが、チャイコフスキーは献呈先をタネーフに変更して作曲を進めたというエピソードがある曲です。
結局献呈先はハンス・フォン・ビューローになり初演はアメリカで行われました。
最終的にはルビンシテインは指揮者としてモスクワ初演に参加し、その後何度も独奏ピアノを受け持ってこの曲の普及に貢献したという事です。
3楽章の協奏曲構成です。第1楽章は、有名な雄大な序奏から始まりますが、この序奏のテーマは登場するのはここだけ。第1主題はウクライナ民謡のリズムに基づくもの、第2主題はクラリネットによって提示されます。第3主題まであって、最後は第3主題から短いコーダへ進みます。
第2楽章は弦のピツィカートの上をフルートがロシア風のゆったりとしたメロディを吹き、中間部ではフランスの古いシャンソンが元になっている軽快なメロディとピアノのリズムの絡みが美しい楽章です。
第3楽章は自由なロンド形式。ウクライナ民謡に基づく第1主題から始まり最後は怒涛の響きで終わります。
第1回チャイコフスキー国際コンクールで優勝したヴァン・クライバーンの録音したピアノ協奏曲第1番がビルボードのポップスアルバムチャートで7週連続1位となったという大フィーバーにより、この曲は一躍有名になりました。

2025年6月29日 (日)

6月29日 名曲100選 舞台芸術のための管弦楽曲篇・95 「シチリアの夕べの祈り」序曲

ヴェルディの歌劇「シチリアの夕べの祈り(シチリアの晩鐘)」は1855年に初演された5幕からなる歌劇です。
1282年にシチリアで起こった住民暴動と虐殺を舞台とした作品で、ヴェルディの作品の転換点ともなる中期の大作で3時間以上を要する作品です。
序曲は、シチリア舞曲風の長い序奏ではじまり、戦争を表す激しい第1主題と穏やかな第2主題を持ち、コーダは劇的なものになっています。

2025年6月28日 (土)

6月28日 名曲100選 映画音楽(邦画)篇・95 愛・おぼえてますか

「愛、おぼえてますか」は、1984年に公開されたアニメーション映画「超時空要塞マクロス 愛・おぼえてますか」の主題歌です。
「機動戦士ガンダム」によって火が付いたロボットアニメのひとつ「マクロスシリーズ」の人気を受けて制作されたもので、「文化=カルチャー」をテーマとした作品です。
宇宙で抗争を続ける巨人族の二大勢力ゼントラーディとメルトランディの戦火が地球にも及び、地球を離れる民間人を運ぶ巨大宇宙戦艦がマクロス。マクロスの中でデビューした歌手リン・ミンメイが歌う「愛・おぼえてますか」は、先史銀河文明の廃墟で見つけられたメモリープレートに刻まれた詞を元に作られたもの。この曲が巨人族の文化因子を呼び起こし、文化を取り戻す事で平和に向かっていくというキーとなる曲です。
歌っているのは、リン・ミンメイ役の声優飯島真理です。

2025年6月27日 (金)

6月27日 名曲100選 器楽曲篇・95 ペトルーシュカからの三楽章

「ペトルーシュカからの3楽章」は、バレエ「ペトルーシュカ」を基にアルトゥール・ルービンシュタインの依頼によって1921年にストラヴィンスキー自身が編曲したピアノ曲です。
第1楽章 第1場より「ロシアの踊り」
第2楽章 第2場より「ペトルーシュカの部屋」
第3楽章 第3場より「謝肉祭」
の3つの楽章からなっています。オーケストラの曲をピアノ1台で表現しようとしているため、3段譜や4段譜で書かれた(通常のピアノ曲は2段)かなりの難曲です。
この曲、「のだめカンタービレ」の国内のコンクールの課題曲とし演奏する事になっていました。ところがコンクール間近になって高熱を出して練習不足になり、会場に行く途中のバスで聴いた「NHKきょうの料理」の着信音が頭にインプットされてしまい、第1楽章の「ロシアの踊り」が「きょうの料理」に似ている部分がある事で混乱し、本番途中で「きょうの料理」の音楽が混ざってしまった・・・という事で知られた曲です

2025年6月26日 (木)

6月26日 名曲100選 海外のポップス篇・95 ウィ・アー・オール・アローン

「ウィ・アー・オール・アローン」はボズ・スキャッグスのアルバム「シルク・ディグリーズ」に収録された曲。当初は「リド・シャッフル」という曲のB麺でしたが、多くのアーティストにカバーされ再評価されて、ボズ・スキャッグスの代表曲になりました。
特に、リタ・クーリッジのカバーはBillboard全米チャートの第7位となって、再評価のきっかけとなりました。
題名の「We're All Alone」は、「二人きり」と「しょせんひとりぼっち」という2つの解釈があって今でも定まっていないようです。ボズ・スキャッグス自身が語ったのにはどちらでも解釈できるように歌詞を設定したという事です。

2025年6月25日 (水)

6月25日 名曲100選 声楽曲篇・95 アヴェ・ヴェルム・コルプス

モーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」ニ長調K.618は、1791年6月に妻コンスタンツェの療養を世話した合唱指揮者のアントン・シュトルのために作曲されたものです。
テキストのアヴェ・ヴェルム・コルプスはカトリックの聖体讃美歌で主に聖体際のミサに用いられたものです。「めでたし、まことのお体」という意味で、お体はイエス・キリストのこと。
わずか46小節の小品ですが、絶妙な転調と静かな雰囲気でモーツァルト晩年の傑作と言われています。
編成は混声四部合唱とヴァイオリン、ヴィオラ、コントラバスと通奏低音のオルガンです。
フランツ・リストはこの曲をピアノ用に編曲し「アレグリとモーツァルト システィーナ礼拝堂にて」S.461を残し、チャイコフスキーはリストの曲をベースにオーケストラ編曲して、組曲第4番「モーツァルティアーナ」の第3曲「祈り」としています。

2025年6月24日 (火)

6月24日 名曲100選 J-POP、歌謡曲篇・95 アメリカン・フィーリング

「アメリカン・フィーリング」は1979年5月にコーラス・グループのサーカスがリリースした曲。
オリコン最高位5位のヒット曲となりました。この曲は日本航空グループの旅行会社「旅行開発」(現ジャルパック)のキャンペーンソングに採用されました。
作詞は狩人の「あずさ2号」、竹内まりやの「ドリーム・オブ・ユー」などの作詞をした竜真知子、作曲は杏里の「CAT'S EYE」、松田聖子の「青い珊瑚礁」などを作曲した小田裕一郎。CMタイアップの関係で最初にサビの部分が出来たものの、Aメロが出来るまでが一苦労だったという、よくあるパターンです。

2025年6月23日 (月)

6月23日 名曲100選 協奏曲篇・95 ピアノ協奏曲第5番「エジプト風」

サン=サーンスのピアノ協奏曲といえば第2番と第4番が比較的よく演奏されますが、1896年に作曲されたサン=サーンス最後のピアノ協奏曲である第5番を選びました。
演奏頻度が低いのはピアノの難易度が非常に高い事が災いしたと思われます。

この曲はエジプトのカイロで書かれ、エキゾチックな雰囲気を持つ曲です。
第1楽章は、第1主題、第2主題ともにピアノで提示されます。第1主題はシンプルで、第2主題はヘミオラを特徴にしています。
第2楽章は、「エジプト風」の愛称の由来となった楽章。三部形式ですが、主部が帰って来る部分は短縮されています。ナイル川で聴いたヌビアの愛の歌によるメロディや虫の鳴き声、ガムランの響きなどが現れてきます。
第3楽章はサンサーンスが「航海の楽しみ」と言っている楽章。
とにかく、ピアノがキラキラしていて、それに合わせてオーケストラもキラキラもの。理屈抜きで「音」を聴く事が大事な曲だと思います。

2025年6月22日 (日)

6月22日 名曲100選 舞台芸術のための管弦楽曲篇・94 「魔笛」序曲

「魔笛」は1971年にモーツァルトが作曲した最後のオペラです。
とにかく、オペラ自体が大変ユニーク。台本はこのオペラの作曲を依頼した興行主のシカネーダ。従来の宮廷で上演するオペラと異なり、一般大衆向けの作品なので非常に分かり易いもの。レチタティーヴォに変えて台詞で筋を進行します。
王子タミーノ、ザラストロ、夜の女王、鳥刺しのパパゲーナとその恋人パパゲーノ、どれも魅力的な人物です。
序曲はモーツァルトの序曲の中で唯一トロンボーンを編成に入れたもの。ゆったりとした序奏から始まるソナタ形式で、序奏は再現部の前にも表れてきます。

2025年6月21日 (土)

6月21日 名曲100選 映画音楽(邦画)篇・94 光の天使(幻魔大戦)

1983年に公開されたアニメーション映画「幻魔大戦」は、平井和正の小説「幻魔大戦」と石ノ森章太郎との共作の漫画を原作とした作品です。
原作の「幻魔大戦」は文庫本で20巻にもわたる長編シリーズで、映画は第3巻あたりまでをベースにしたものにオリジナルの結末を加えたものです。
宇宙全体の一歳の破壊を目論む幻魔一族と、神から選ばれたルナ王女、サイボーグ戦士ベガ及び東丈をはじめとする超能力者の戦いを描いた作品です。
主題歌は、ローズマリー・バトラーが歌う「光の天使」。作詞はトニー・アレン、作曲編曲はキース・エマーソン。

2025年6月20日 (金)

6月20日 名曲100選 器楽曲篇・94 英雄ポロネーズ

「英雄ポロネーズ」はショパンが1842年に作曲したポロネーズ第6番変イ長調op.53の通称です。
ポロネーズはフランス語で「ポーランド風」の意味でポーランド起源の踊りまたは舞曲の事で、本来はゆったりとしたポーランドの民族舞踊でしたが、ショパンは舞曲から離れたピアノ曲のジャンルとして確立しました。
「英雄ポロネーズ」は、もうピアノ曲を超えた管弦楽的な表現を遺憾なく発揮したもので、ポーランドの栄光をたたえた力強い曲とされています。
主部は長い前奏の後に輝かしい第1主題が提示されます。第2主題はポロネーズのリズムを刻みます。中間部は少し落ち着いた雰囲気を見せ、再現部になりますが、不完全なまま壮大なコーダに入ります。

2025年6月19日 (木)

6月19日 名曲100選 海外のポップス篇・94 タイム・イン・ア・ボトル

「タイム・イン・ア・ボトル」はジム・クロウチの死後発売され全米1位となった曲です。
ジム・クロウチは、1966年からシンガー・ソングライターとして活動していましたが、なかなか芽が出ず、トラックの運転手や建設工事の作業員をいて生計を立てていました。1972年にリリースした「ジムに手を出すな」からシングルカットした表題曲が全米8位となり、続く「オペレーター」も全米17位となり、ようやく日の目を浴びるようになり、1973年春にリリースした「リロイ・ブラウンは悪い奴」が全米1位となってスター歌手の仲間入りをしました。そんな矢先の1973年9月20日にコンサートへ向かう小型チャーター機が離陸直後に木に激突し、ジム・クロウチは帰らぬ人となってしまいました。事故の日は、映画「ラスト・アメリカン・ヒーロー」の主題歌「アイ・ガッタ・ネイム」がリリースされる前日で、正しく「ラスト・アメリカン・ヒーロー」となってしまったわけです。
ジム・クロウチの死後、1973年11月に発売されたのが最初のヒットアルバム「ジムに手を出すな」に収録されていた「タイム・イン・ア・ボトル」で、2曲目の全米1位シングルとなり、それに合わせてアルバム「ジムに手を出すな」も5週連続1位となり、翌年の第1回アメリカン・ミュージック・アワードではエルトン・ジョンやスティーヴィー・ワンダーをおさえて最優秀ポップ/ロック男性アーティストに選出されました。
ジム・クロウチの音楽はカントリーミュージックでは無いのですが、ちょっと土臭くて、それでいてとっても優しい内容の音楽。日本での評価はあまり高くありませんが、これぞアメリカの音楽という感じでした。
「タイム・イン・ア・ボトル」は、愛する人との時間があまりに短く、瓶の中に時間を閉じ込められたら永遠に君と過ごす時間を残したい、という内容の曲です。

2025年6月18日 (水)

6月18日 名曲100選 声楽曲篇・94 筑後川 

混声合唱組曲「筑後川」は1968年に久留米音協合唱団の5周年記念委嘱作品として作られました。作詞丸山豊、作曲は團伊玖磨。 
5曲からなる組曲で、筑後川の源流から河口までを歌ったものです。
1.みなかみ 「今生まれたばかりの川」の歌詞から始まります。ソプラノ、アルト、テノール、バスの順に歌い始め、細い川がやがて大きな川になっていく様子を歌っています。
2.ダムにて テンポの速い曲。最後に終曲の「河口」のフレーズが顔を出します。
3.銀の魚  「筑後川」だけど獲れる「エツ」という魚の事。歌詞自体は魚ではなく、銀の魚を獲る漁師を歌ったものです。
4.川の祭  有名な筑後川の花火大会と久留米市のマスコット河童がコラボする曲、調子の良い曲です。
5.河口   フィナーレを で始まる雄大な曲です。最後に有明海に注いで川としての役割を終えます。

2025年6月17日 (火)

6月17日 J-POP、歌謡曲篇・94 ハーフムーン・セレナーデ

「ハーフムーン・セレナーデ」は1986年にリリースされた河合奈保子の26枚目のシングル。河合奈保子が全曲を作曲したアルバム「スカーレット」からのシングルカットで、作詞は吉元由美。河合奈保子がアイドルからアーティストへと転身するターニングポイントとなった曲です。
河合奈保子には仕事の関係で何回かお会いしましたが、当時のアイドル歌手の中では次元の違う音楽性を持っていた方で、時代がアイドル全盛時代でなかったら、プロダクションも違う売り出し方を出来、もっと長く活動が出来たと思っています。もっとも当時のプロダクション芸映は本格的な歌手を売り出すのはあまり得意では無かったようですが・・・
「ハーフムーン・セレナーデ」はオリコンでは6位となりましたが、これが最後のトップ10入りのシングルとなりました。
スケールの大きなバラード曲で、翌年には香港の男性歌手ハッケン・リーが広東語でカバーして大ヒットとなり、その後多くの歌手がカバーして2021年度には国外からJASRACに支払われる国内作品の著作権使用料分配額で年間8位となっています。

2025年6月16日 (月)

6月16日 名曲100選 協奏曲篇・84 ヴァイオリン協奏曲第1番(ブルッフ)

ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番ト短調op.26は、1866年に作曲されました。
ブルッフは、ヴァイオリン協奏曲を3曲とスコットランド幻想曲というヴァイオリンと管弦楽のための作品がよく知られていますが、決してヴァイオリニストだったわけではありません。
ヴァイオリンの曲が多い理由は、ブルッフ特有の魅力的な旋律を歌うのに最も適した楽器であるという事だそうです。持続音の苦手なピアノよりヴァイオリンの方が旋律を歌いやすいという事でしょう。
このヴァイオリン協奏曲第1番は友人のヴァイオリニスト ヨーゼフ・ヨアヒムの助言を受けて作曲されたもの。緩徐楽章である第2楽章が最も長く、そのあたりもブルッフらしい曲でしょう。
第1楽章は幻想曲風の序奏から始まる幻想的な音楽です。前奏曲と題されていて、このあたりも第2楽章に重点が置かれているという事がわかります。
第2楽章は展開部の無いソナタ形式。旋律美が存分に発揮された楽章です。
第3楽章は打って変わってエネルギッシュな楽章。第1主題を予告するオーケストラの導入にはじまり、独奏ヴァイオリンで第1主題が提示されます。第2主題は、雄大な抒情性豊かな音楽です。

2025年6月15日 (日)

6月15日 名曲100選 舞台芸術のための管弦楽曲篇・93 歌劇「どろぼうかささぎ」序曲

歌劇「どろぼうかささぎ」はロッシーニが1817年に作曲した2幕の作品です。
女中が銀食器の窃盗の罪を疑われ、当時の法律によって死刑を宣告されますが、その窃盗がかささぎの仕業とわかり女中は無罪となるというお話。
ロッシーニのオペラの序曲は結構使いまわしが多くてストーリーとリンクしていないものもありますが、この「どろぼうかささぎ」の序曲はオペラ本体の音楽から採用されています。
ドラムロールから始まる勇壮なメロディ、中間部では美しいメロディが続き、最後はロッシーニ・クレッシェンドでクライマックスを築いて終わります。

2025年6月14日 (土)

6月14日 名曲100選 映画音楽(邦画)篇・93 時をかける少女

「時をかける少女」は、1983年に公開された大林亘彦監督作品で、尾道三部作の第1作とされる作品です。
原作は筒井康隆で、最初に映像化されたのは NHK テレビの「少年ドラマシリーズ」第1作として1972年に「タイムトベラー」というタイトルで放映。その後も何度も映像化されている名作ですが、その中の代表作が、この1983年の映画になります。

主演は原田知世。彼女の映画デビュー作品となりました。
主題歌は「時をかける少女」。映画では劇中の撮影現場をつないだエンディングに使われていました。作詞作曲は松任谷由実。

2025年6月13日 (金)

6月13日 名曲100選 器楽曲篇・93 子供の情景

「子供の情景」op.15は、シューマンが1838年に作曲したピアノのための曲集です。
シューマンは後に「子供のためのアルバム」や「子供のための3つのピアノソナタ」など子供の学習用のピアノ曲を作曲していますが、「子供の情景」はそれらとは異なる、「子供心を描いた大人のための作品」です。
13曲からなる曲集で、それぞれの曲に標題がつけられています。
第1曲「異国から」   とてもやさしく可愛らしい曲
第2曲「不思議なお話」 リズミックなわくわくするような感じの曲
第3曲「鬼ごっこ」   遊びに夢中になっている子供をせわしなく表現しています
第4曲「おねだり」   第1曲の冒頭が引用されています
第5曲「幸せいっぱい」 ちょっとダイナミックな雰囲気で、あふれる幸せを表現しています
第6曲「重大な出来事」 付点のはずむようなリズムが特徴。重大な出来事って何でしょう?
第7曲「トロイメライ」
第8曲「炉端で」    トロイメライから派生した
第9曲「木馬の騎士」  シンコペーションによる弾むような曲
第10曲「むきになって」リズムはシンコペーションながら全曲とは異なり静かなメロディです
第11曲「おどかし」   静かに始まって、いきなりテンポが上がったりと変化を楽しむ曲です
第12曲「眠りに入る子供」ゆったりとした動きの曲です
第13曲「詩人は語る」  詩人はシューマン自身の事
この中では、第7曲の「トロイメライ」がダントツに有名で、様々な楽器に編曲もされています。「トロイメライ」はドイツ語の「Traum」(夢)から派生した「夢想」という意味の言葉です。

2025年6月12日 (木)

6月は演奏会だらけ~  その3

6月の演奏会第3弾・・・最終回は6月28日です。
パイオニア交響楽団第36回定期演奏会 サンパール荒川大ホール
指揮 高橋俊之
シューベルト 劇音楽「ロザムンデ」序曲
ベートーヴェン 交響曲第1番ハ長調
チャイコフスキー 交響曲第5番ホ短調

さて、3つが重なってしまった6月最後の演奏会です。会場のサンパール荒川は初めての会場。
毎年演奏会場がほぼ固定されている和光市民オーケストラと異なって、パイオニア交響楽団は本当のジプシー楽団。
私が入団してからは、15か所目(海外公演、特別公演除く)の会場になります。
プログラムは超ハード。
「ロザムンデ」序曲は、元々は「魔法の竪琴」という劇音楽の序曲として作られたもの。だいたい劇音楽「ロザムンデ」専用の序曲は存在しておらず、初演の時は序曲の作曲が間に合わず「アルフォンゾとエストレッラ」という歌劇の序曲を転用。その後序曲をきちんと書き直せばよかったのに、それをせず、この「魔法の竪琴」の序曲を転用して、そのまま現在に至っているわけです。まあ、シューベルトのムラ気は有名な話で、だからこそ「未完成交響曲」が何故未完成に終わったのかという命題に諸説が語られるわけですが。なので当然「ロザムンデ」の中身とは全く関連性の無い序曲というわけです。1つのオペラに4つもの序曲を次々と書いたベートーヴェン(フィデリオの事です)とは正反対です。

ベートーヴェンの交響曲第1番は、2回目。もっとも前回取り上げた定期演奏会の後ベルギー公演でもやっているので3回以上は弾いています。
ベートーヴェンの交響曲の中ではどちらかと言えば地味な曲で、まだハイドン・モーツァルトの世界からほんの少し足を踏み出したといった感じの曲です。第1楽章の序奏の冒頭、普通だと主和音から始まりますが、この曲は属七、いわゆるドミナントコードから始まります。曲の頭が主和音(トニック)で始まらないのはベートーヴェンの交響曲の中では、この曲と第九だけです。
第2楽章の始まりは、モーツァルトの40番によく似ています。第3楽章はメヌエットと書かれていますが、どう見てもスケルツォ。ベートーヴェンの第3楽章で明確なメヌエットは第8番だけです。(第九は第2楽章にスケルツォが来ています)
第4楽章はとっても楽しい楽章です。突然pからfになる箇所が2か所。ハイドンの「驚愕」のミニ版です。実はここは版によってフォルテになる箇所が異なっているという事で、本来のベトーヴェンの譜面では、なるべくしてならないところからフォルテになるのですが、ベーレンライター版では、これはベートーヴェンの記譜ミスとして、つまらない当たり前の所からフォルテになる・・・面白く無いです。

チャイコフスキーの交響曲第5番は3回目の演奏です。表情の変化が激しく同じチャイコフスキーの第4番や悲愴に比べてメロディックな曲で日本人には大変な人気曲です。特徴は、「運命の主題」とも言われるメロディが全ての楽章に現れる事です。
第1楽章 序奏に「運命の主題」がホ短調でクラリネットによって現れ、主部に入ると「運命の主題」から派生した第1主題がクラリネットとファゴットで提示されます。第2主題は弦楽器によって奏でられるワルツのような旋律。コーダは最後にファゴット、チェロ、コントラバス、ティンパニが残って第1主題が反復され次第に静かになり、最後は消えるように楽章を終えます。低弦が最後に残るのはチャイコフスキーの常套手段です。
第2楽章 弦楽器の低音によるコラーフ風の前奏は緊張します。何かの楽器の音程が少しでもズレると楽章全体を壊してしまいそう。途中も1か所コントラバスが裸になるところがあって、そこが見せ場のひとつです。
第3楽章 ワルツの楽章。3つのワルツが現れ、コーダでは「運命の主題」が静かに現れ、最後に強い和音で閉じられます。この楽章はコントラバスはそれ程難しく無いので気持ち的には一休み。
第4楽章 序奏は「運命の主題」がホ長調で現れ、クライマックスが築かれ、ティンパニとトレモロとコントラバスが残り、テンポを急速に早めて第1主題に入ります。ここのうねりはコントラバスならでは。主部に入ると高速の分散和音の連続やらダウンボウの連続やら目と手の疲労は極限に達しながら「運命」との戦いの勝利を高らかに歌って曲を閉じます。

どの曲も、初めての曲では無いので、前回弾いた時とは違う音楽を表現できればと思っています。

6月12日 名曲100選 海外のポップス篇・93 愛の告白

「愛の告白」(I Honestly Love You)は、1974年にオリヴィア・ニュートン=ジョンが発表した楽曲。Billboard全米チャートで2週連続1位となりグラミー賞の最優秀レコード賞と最優秀女性ポップ・ボーカル・パフォーマンス賞を受賞しました。
「レット・ミー・ビー・ゼア」「愛しい貴方」とカントリー路線でヒットを飛ばしていたオリヴィア・ニュートン=ジョンがアダルト路線へ舵を変更した記念すべき作品で、彼女にとっても初の全米1位となった曲です。

2025年6月11日 (水)

6月11日 名曲100選 声楽曲篇・93 カルミナ・ブラーナ 

「カルミナ・ブラーナ」はオルフが1936年に作曲したカンタータです。
19世紀初めに、ドイツ南部のベネディクト会の修道院で発見された詩歌集を元に作曲したもので、収録されていた300篇以上の歌の中から24篇を選んで世俗カンタータに仕上げたものです。
「序」と「エピローグ」を挟んで、「初春に」「酒場で」「愛の誘い」の3部で構成されています。
編成は、3管編成の大規模なオーケストラとティンパニ以外に奏者5人を必要とする多数の打楽器、チェレスタ、ピアノ2台及びソプラノ、テノール、バリトンの独唱、混声合唱と児童合唱です。
序は、今でも様々なテレビ番組などでBGMとして使われる「おお、運命の女神」と「運命の女神の痛手を」の合唱による2曲です。
これから先は、曲数も多いのでお気に入りの曲だけ簡単に取り上げます。
第1部 初春に 第3曲「見よ、今は楽しい」 さあ、見てごらん、待ち望んだ春がよろこびをもたらした。で始まる冬が去った事への喜びがあふれる楽しい曲です。
芝生の上で 第1曲 踊り オーケストラのみの演奏。「踊り」の曲なのですが、変拍子なので踊りにくいです(笑)
                 第3曲 小間物屋さん、色紅をください  若い男が私に惚れるように紅をください、と女声合唱が歌う間に、オーケストラがのんび 
       りとしたメロディを演奏するという事が繰り返されます。何を表現しているのかはよくわかりません。
第2部 酒場で 第2曲 昔は湖に住んでいた  テノール独唱が、焼き鳥の役。昔は湖に住んでいた美しい姿の白鳥だった、と歌うと、それを茶化すように男声合唱が「みじめだ、みじめだ」と歌う対比が面白い曲です。
第3部 愛の誘い  第4曲 私の胸をめぐっては  バリトン独唱で、美しい女性への愛を歌うと、女声合唱が 私の愛しい人は来ない と歌います。これもバリトンと女声合唱のやり取りが面白い曲です。
         第8曲「今こそ愉悦の季節」  ソプラノ独唱、バリトン独唱、合唱と少年合唱のカンタータ中最も大掛かりな曲です。
白い花とヘレナ  アヴェ・この上なく姿美しい女  合唱によるクライマックスを築き、そのままエピローグへ繋がっていきます。
エピローグは冒頭の「おお、運命の女神よ」がリプライズされます。
 オルフは後に「カトゥーリ・カルミナ」と「アフロディーテの勝利」という続編を作曲していますが、あまり演奏される事はありません。

2025年6月10日 (火)

6月10日 名曲100選 J-POP、歌謡曲篇・93 あなたの空を翔びたい

「あなたの空を翔びたい」は、1978年に発売された、高橋真梨子のペドロ&カプリシャス脱退後のソロ・デビュー曲です。
作詞作曲は尾崎亜美。男性への愛情をうまく表現できなくて、結局別れてしまった事を後悔してしまうという非常に残念な内容の歌なのですが、曲自体のスケールが大きくて、高橋真梨子の歌唱力の高さと相まって、素晴らしい楽曲になっています。
尾崎亜美がセルフカバー・アルバムで録音したものも素敵でした。

2025年6月 9日 (月)

6月9日 名曲100選 協奏曲篇・93 ピアノ協奏曲第5番「皇帝」

ピアノ協奏曲第5番変ホ長調「皇帝」op.73は、ベートーヴェン最後のピアノ協奏曲です。初演は1811年。
「皇帝」という通称の由来は、ベートーヴェンとほぼ同世代の作曲家兼ピアニストで楽譜出版事業も手掛けていたヨハン・パプティスト・クラーマーがこの曲で抱いた印象から付与したもので、定着したのはベートーヴェンの死後です。

3楽章から構成されているごく普通の協奏曲のつくりですが、第2楽章から第3楽章が続けて演奏されるなどベートーヴェンらしい斬新な部分も備えた曲になっています。
第1楽章は独奏協奏曲式のソナタ形式ですが、いきなりピアノのカデンツァ風の序奏から始まります。その後は、まずオーケストラが第1主題を提示してからピアノが加わっていく伝統的な形式になります。また、通常第1楽章のコーダ直前にあるカデンツァは、ベートーヴェン自身がカデンツァ不要と指示があります。
第2楽章は変奏曲形式。非常に穏やかな旋律の楽章。楽章の最後に次の楽章の主題の断片が出てきて、そのまま終楽章へなだれ込んでいきます。
第3楽章はロンド形式。快活な主題の楽章ですが、最後はティンパニのリズムのみをバックにテンポを落として静かになっていきますが、いきなりピアノで上行・下行の音階が奏され、最後に全楽器が登場し曲を閉じます。

2025年6月 8日 (日)

6月8日 名曲100選 舞台芸術のための管弦楽曲篇・92 「リエンツィ」序曲

ワーグナーの歌劇「リエンツィ、最後の護民官」は1842年に初演されました。
14世紀ローマの政治家コーラ・ディ・リエンツィを題材にした悲劇で、上演に4時間弱という長大な作品。
ワーグナーのオペラの中では、あまりメジャーな作品ではありませんが、序曲は非常に分かり易い作品です。

2025年6月 7日 (土)

6月7日 名曲100選 映画音楽(邦画)篇・92 草の想い

「草の想い」は映画「ふたり」の主題歌です。
原作は赤川次郎。原作の舞台は東京ですが、新尾道三部作の第1作として大林亘彦監督、石田ひかり主演で1991年5月に公開されています。
主人公の北尾実加には成績優秀でピアノ、スポーツ、演劇と何をやっても優れた才能を見せる千津子という姉がいますが、その姉は登校中に交通事故に巻き込まれ突然亡くなってしまいます。姉とは正反対の何をやってもダメな実加に、死んだはずの姉の声が聞こえるようになり、姉が見守る中、次第に成長していきます。その後父の浮気が発覚し家庭が崩壊してしまう時に、実加が感情的に言ってしまった一言で姉の声が聞こえなくなっていまう、というストーリーです。
主題歌の「草の想い」は、大林亘彦&FRIENDSの歌。と言っても歌っているのは作詞の大林と作曲した久石譲のデュエットです。

2025年6月 6日 (金)

6月6日 名曲100選 器楽曲篇・92 モーツァルトの主題による序奏と変奏曲

19世紀初頭のスペインの作曲家フェルディナンド・ソルの代表作が、「モーツァルトの主題による序奏と変奏曲(モーツァルトの魔笛の主題による変奏曲)op.9」です。
ソルは、古典派の時代になって以降クラシック音楽から遠ざけられて当時居酒屋などで演奏されていた楽器に過ぎなかったギターの作品を多く作ったスペインの作曲家です。
「モーツァルトの主題による序奏と変奏曲」は「魔笛」の第1幕第17場でパパゲーノが鳴らす魔法の鈴のメロディを主題として変奏曲。2分弱の序奏の後、変奏曲が展開されていきます。

2025年6月 5日 (木)

6月5日 名曲100選 海外のポップス篇・92 グッバイ・イエロー・ブリック・ロード

「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」は1973年9月位に発売されたエルトン・ジョンのシングルでBillboard全米チャートの最高位2位のヒットとなりました。
同名のアルバム(日本ではアルバムのみ「黄昏のレンガ道」という邦題がつけられましたが)のタイトル曲。アルバムの方は全米チャートの1位になり、ここから「ベニーとジェッツ」「土曜の夜は僕の生きがい」の3曲がシングルカットされ、それぞれ全米1位、12位のヒットとなっています。
ここで歌われた「黄色いレンガ道」はオズの魔法使いに由来するもの。
作詞したバーニー・トーピンが幼い頃に過ごしたリンカンシャーの牧場を思い描き、「エメラルドシティ」へ向かう憧れと理想を象徴する黄色いレンガ道に別れを告げ原点へ帰りたいというノスタルジックな思いを歌った曲です。

2025年6月 4日 (水)

6月4日 名曲100選 声楽曲篇・92 冬の旅

「冬の旅」op.89,D911はシューベルトが1827年に作曲した連作歌曲集です。
ミュラーの詩集によるもので24曲からなる歌曲集です。失恋した若者が街を捨ててさすらいの旅をつづけていくという内容になっていて、シューベルトの3大歌曲集の中でも最も人気の高い曲集です。
恋人の住んでいる町から去っていく「おやすみ」から始まり、風見の旗、凍った涙、氷結と続き、5曲目が有名な「菩提樹」。続いて、あふれる涙、川の上で、回想、鬼火、休息、春の夢、孤独。ここまでが第1部です。
第2部は、郵便馬車、霜おく頭、鳥、最後の希望、村にて、嵐の朝、まぼろし、道しるべ、宿屋、勇気、幻の太陽と続き、最後は辻音楽師。年老いた辻音楽師との出会い、凍える指で、周りの人間にも注目されない中ひたすら手回しオルガンを回す孤独な老人との出会いは「ただひたすら自分の出来る事を続ける」という僅かな希望を見出して今日を終えています。

2025年6月 3日 (火)

6月3日 名曲100選 J-POP、歌謡曲篇・92 負けないで

「負けないで」は1993年に発売されたZARDの6作目のシングルです。作詞は坂井泉水、作曲は織田哲郎。
ZARD最大のヒット曲で、オリコン週間ランキングで1位を獲得し年間ランキングでも6位、歴代シングルランキングでは58位になっています。
遥かな夢を追いかける恋人に寄り添い、励ます内容の応援ソングになっていて、所謂「応援ソング」の代表曲となっています。

2025年6月 2日 (月)

6月は演奏会だらけ~  その2 

6月の演奏会第2弾は、一週間にも満たない6日後の6月7日です。
保谷弦楽アンサンブル 第18回定期演奏会  タクトホームこもれびGRAFAREホール(保谷こもれびホール)
ハイドン チェロ協奏曲第1番ハ長調Hob.Ⅶb:1
バルトーク ルーマニア民俗舞曲
ベリツァイ 弦楽セレナーデ
今回はハンガリーゆかりの曲を集めたコンサートです。バルトーク、ベリツァイはハンガリー人で、ハイドンはハンガリーのフェルテードにあったエルテルハーザ宮殿を本拠地とするエルテルハージ公のオーケストラの宮廷楽長を務め、チェロ協奏曲は同楽団所属でハンガリー生まれのチェリスト ヴァイグルのために作曲したものです。

ハイドンのチェロ協奏曲は本来の編成では弦楽器に加えてオーボエとホルンが入っているのですが、今回は独奏チェロと弦楽合奏のみの編成になっています。オーボエもホルンもソロになる部分が無いので完全に音が欠けてしまうところは殆ど無い(少しはある)ので大きな問題では無さそうです。楽譜が長い間紛失していて1961年に筆写譜が発見されたもので、自筆譜が散逸してしまっているため正確なオリジナルの編成はわかっていません。
バロックから古典への過渡期的な作品で、楽章構成は古典の協奏曲の急-緩-急になっています。
一部バロックのリトルネッロ形式が採用されていて、しつこく何度も同じようなパターンが繰り返されるので飽きる部分もありますが、コントラバスはチェロと完全なユニゾンで(というかコントラバスという楽器は編成では存在していない)殆ど休みなく弾かされてかなり大変です。

当時ルーマニアのトランシルヴァニア地方はハンガリー王国の領土でした。ハンガリーの民族音楽の収集に力を注いでいたバルトークが、トランシルヴァニア各地の民謡を題材にして作曲したのが7曲からなるピアノのための組曲「ルーマニア民俗舞曲」です。この曲はバルトーク自身が小管弦楽に編曲し、さらにアーサー・ウィルナーが弦楽合奏に編曲するなどピアノ以外でも頻繁に演奏されています。
基本的には全ての曲間はアタッカ(休みなく続く) が指定されていますが、実際は第5曲から第7曲以外は若干の間が取られます。第5曲から第7曲は完全に続けて演奏されます。
それぞれの曲には「棒踊り」「帯踊り」「踏み踊り」「角笛の踊り」「ルーマニア風ポルカ」と第6・7曲が「速い踊り」というタイトルがついています。まあ、どちらにしてもバルトークなので、聴きなれない和音やら慣れないリズムがいっぱい出て来るので技術以上の難しさがある曲です。

ベリツァイの弦楽セレナーデは、あまり馴染みのない曲だと思いますが、セレナーデと言っても弦楽のための交響曲っぽい音楽です。何といっても聴いてもらいたいのは緩徐楽章の第3楽章。非常に美しい曲です。


6月2日 名曲100選 協奏曲篇・92 ヴァイオリン協奏曲(シベリウス)

シベリウスが作曲した唯一の協奏曲が、このヴァイオリン協奏曲ニ短調op.47です。
1903年に作曲し、1904年に初演をしましたが、結果は芳しくありませんでした。翌年、ブラームスのヴァイオリン協奏曲を初めて聴いて、自分の作品に比べてさらに徹底して交響的な曲に衝撃を受けて、自らの曲を改訂しました。改訂はヴァイオリンの技巧的なところを抑えて、交響的な響きを追求したオーケストレーションへと変更したものです。シベリウスはこの改訂後初版の演奏を禁止したため、基本的には現在演奏されるのは改訂版です。
第1楽章は「極寒の澄み切った北の空を悠然と滑空する鷲」とシベリウスが述べた冒頭部から始まる楽章で、カデンツァが展開部の中央に挿入されているのが最大の特徴です。
第2楽章は、劇的な中間部を持つ緩徐楽章。
第3楽章は、ティンパニと低弦がリズムを刻む上を華やかにヴァイオリンが飛び回るというちょっとシベリウスっぽくない主題で始まります。A-B-A-B-A'のロンド形式で、Bの副楽節も短調ですがリズミックな音楽です。

2025年6月 1日 (日)

6月1日 名曲100選 舞台芸術のための管弦楽曲篇・91 歌劇「運命の力」序曲

ヴェルディの歌劇「運命の力」は1862年に初演されました。但し、この時の初版は序曲は無く簡単な前奏曲のみでした。ところが登場人物が次々の死ぬという結末が評判が悪かったり、主人公が修道院長に罵声を浴びせて自殺するというカトリックの国イタリアでは受け入れ難いものだったりという原因で、イタリアではあまり演奏されなかったため1968年に改訂をしました。その際に作曲されたのが序曲です。この序曲は、オペラの内容を踏まえて作曲されたものです。
この頃になると、イタリアのオペラでは大袈裟な序曲をオペラの前に演奏する事はすたれてきていたため、ヴェルディ自身もこの作品以降のオペラには序曲は作曲していませんので、これが最後の序曲となりました。ヴェルディ以降の作曲家はプッチーニを含めて序曲は作曲していません。
序曲は、第4幕第2場のレオノーラのアリア「神よ平和を与えたまえ」の序奏から始まる曲で、ヴェルディの序曲の中では最も演奏頻度の高い曲です。

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