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2024年11月30日 (土)

11月30日 名曲100選 映画音楽(邦画)篇・63 Wの悲劇

「Wの悲劇」は1984年に公開された夏樹静子原作のミステリー映画です。
実際には、この原作を劇中劇に使った別物のストーリーになっています。
主演は薬師丸ひろ子で、主題歌も薬師丸ひろ子が歌っています。
主題歌の「Woman "Wの悲劇"より」は作詞松本隆、作曲呉田軽穂ですが、呉田軽穂は松任谷由実が他のアーチストへの作品提供の際に時々使用する女優のグレタ・ガルボをもじったペンネームです。
薬師丸ひろ子の4枚目のシングルとして発売されオリコンの1位となっています。

2024年11月29日 (金)

11月29日 名曲100選 器楽曲篇・63 2つの前奏曲集(ドビュッシー)

ドビュッシーは24曲からなるピアノのための前奏曲集を作曲しています。
全2巻からなる曲集で、第1巻12曲は1910年に、第2巻12曲は1913年に完成しました。
24曲というと、バッハの平均律クラヴィーア曲集やショパンの24の前奏曲を連想しますが、この2つの曲集は全曲異なる24の調性で1曲ずつになっていますが、ドビュッシーの場合はこれらとは異なり24の調を1曲ずつ割り振ったものではありません。
特に知られているのが第1巻の第6曲「雪の上の足跡」、第8曲「亜麻色の髪の乙女」、第10曲「沈める寺」あたりでしょう。ドビュッシーはこの前奏曲集には管弦楽編曲を全く施していませんが、これらの曲には他の作曲家などによる編曲版が存在しています。

2024年11月28日 (木)

11月28日 名曲100選 海外のポップス篇・63 ラヴィング・ユー

ラヴィング・ユー(Lovin' You)はミニー・リパートンが1974年に発売した2枚目のアルバムに収録され11月に3枚目のシングルとしてリリースされた曲です。1975年4月にBillboard全米ヒットチャートの1位を獲得しています。
この曲が有名になったのは、何と言っても驚異的なハイトーンと全編にわたって聞こえる鳥のさえずり。ミニー・リパートンは5オクターヴ以上の声域を持っていて、後にマライア・キャリーやセリーヌ・ディオンなどに影響を与えた歌手でした。この曲でも2オクターヴ半が使われています。
残念なことにミニー・リパートンは1979年に癌で31歳という若さで亡くなっています。
メロディの美しさや演奏解釈の自由度からカバー曲としても人気が高く、日本でも平井堅、本田美奈子、今井美樹、大黒摩季など多くのミュージシャンにカバーされています。

2024年11月27日 (水)

11月27日 名曲100選 声楽曲篇・63 朧月夜

「朧月夜」は高野辰之作詞岡野貞一作曲の唱歌。
高野が生まれ育った長野県の北信地方の春に一面の菜の花畑が広がる光景を元に作られています。
歌詞が脚韻を踏んで、起承転結で構成された美しい歌詞が特徴です。

2024年11月26日 (火)

11月26日 名曲100選 J-POP、歌謡曲篇・63 上を向いて歩こう

「上を向いて歩こう」は坂本九が1961年に発表した曲。作詞永六輔、作曲中村八大。
当時はまだオリコンは無く、「ミュージック・ライフ」誌に掲載されていた国内盤レコード売上ランキングで1961年11月から3か月にわたり1位を独走という大ヒットでした。
1962年にヨーロッパでこの曲が紹介されて大ヒット。アメリカではジャズ・トランペッターのケニー・ポールが来日した際にお土産にもらった数枚のレコードの中で、この曲が気に入り、ジャズとしてリリースしようとしましたが、日本語のタイトルしか印刷されていかなったため意味がわからず、「UE WO MUITE ARUKOU」ではタイトルが長いという事で短く分かり易い日本語の曲名を付けようと、当時彼が知っていた日本語の「SUKIYAKI」というタイトルを付けてレコードを発売しましたがチャートには入りませんでした。
その後ラジオのDJリッチ・オズボーンが高校生リスナーから日本の文通相手からもらった坂本九のレコードを入手し番組で紹介したところ、リクエストが殺到し1963年5月3日に正式に発売されBillboard Hot100で6月15日から4週連続の1位という大ヒットとなりました。
唯一全米チャートで1位になった日本の楽曲です。
その後、日本のみならず様々な国で多くのアーチストに愛されカバーされています。

2024年11月25日 (月)

11月25日 名曲100選 協奏曲篇・63 チェロ協奏曲第1番(ショスタコーヴィチ)

ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番変ホ長調op.107は1959年に作曲されています。
第3楽章が長大なカデンツァという4楽章構成の曲になっています。編成は金管楽器がホルン1本のみという変則的な編成です。
第1楽章は自由なソナタ形式で、冒頭の序奏部にライトモティーフ的な音型が用いられ、それが第3楽章と第4楽章にも現れます。
第2楽章は抒情的な楽章で、1本のみの金管楽器であるホルンがソロ的な活躍をします。
第3楽章は第2楽章の中間部のモティーフからカデンツァが始まります。
第4楽章は木管のグリッサンドから始まり軽快なリズムに乗って進行していきます。

2024年11月24日 (日)

11月24日 名曲100選 舞台芸術のための管弦楽曲篇・62 歌劇「ルイザ・ミラー」序曲

ヴェルディの歌劇「ルイザ・ミラー」は1849年に初演された全3幕のオペラです。
原作はシラーの戯曲「たくらみと恋」です。
村娘ルイザはカルロという恋人がいますが、ルイザの父ミラーはカルロの素性がわからず心配でした。
領主のヴァルター伯爵がルイザとの結婚を望みますが、ミラーは娘の自由と取り合いません。伯爵の秘書官からカルロが実は伯爵の息子であることを知らされます。
秘書官は伯爵に息子のロドルフォが村娘と恋に落ちていると告げ口をし、伯爵はロドルフォに公爵の未亡人との結婚を命じます。ロドルフォは未亡人に実は恋人がいる事を告げ、未亡人は策略でルイザとロドルフォの間を割こうとし、ルイザは自殺を考えます。
ロドルフォは心中をしようとしてルイザと共に毒を飲み、伯爵へ「あなたの罪だ」と叫んでふたりとも息絶えます。
通常のヴェルディの序曲はオペラの中の旋律やその断片を繋いで構成されていますが、この序曲は終始ひとつの主題で構成されています。
この旋律はオペラ全曲を通じて顔をのぞかせる旋律になっています。

2024年11月23日 (土)

11月23日 名曲100選 映画音楽(邦画)篇・62  VOYAGER~日付のない墓標

「さよならジュピター」は1984年に公開されたSF映画。小松左京の原案をもとに作られた作品で、映画公開前にノベライズされて出版されました。
2125年地球の人口は180億人に達し、太陽系宇宙空間でも5億人が暮らして、エネルギー問題も深刻化。木星を太陽化する計画を進めていました。
そんな状況の中太陽の質量の十分の一の大きさのブラックホールが太陽に衝突するコースを取っており、エネルギー問題は重大な危機に直面。そこで考えられたのが木星太陽化のプロセスを応用して木星を爆発させてブラックホールに衝突させブラックホールの軌道を変えるという計画。
そこへ過激な環境保護団体ジュピター教団が爆破阻止のための妨害工作をする中、計画は成功する、というストーリー。
「VOYAGER~日付のない墓標」は、松任谷由実がこの映画の為に書き下ろした主題歌。キャッチコピーは「ボイジャーはソルジャーの鎮魂歌」。同じ「VOYAGER」というタイトルのアルバムが松任谷由実によってリリースされましたが、映画公開が遅れてアルバム発売に間に合わず、アルバムからタイトル曲がはずされました。作詞作曲は松任谷由実、編曲は松任谷正隆、B面は挿入歌として使われた「青い船で」でした。

2024年11月22日 (金)

11月22日 名曲100選 器楽曲篇・62 スラヴ舞曲集

ドヴォルザークは尊敬するブラームスの「ハンガリー舞曲集」の成功を受けて、ジムロック社から要望されてピアノ連弾のための8曲からなる「スラヴ舞曲集」を2作品作曲しました。第1集がop.46、第2集がop.72です。
すぐにドヴォルザーク自身によって管弦楽曲に編曲され、今では演奏会のアンコールピースなどを中心に頻繁に演奏されています。
第1集はチェコの舞曲が中心となっていてフリアント、ドゥムカ、ポルカ風、ソウセツカー風、スコチナーとヴルタークによるロンド形式、ソウセツカー、テトカ(モラヴィアの舞曲)とクヴァピーク(チェコの舞曲)の組み合わせ、フリアントの8曲。
第2集はチェコ以外のスラヴ地域の舞曲も取り入れ、オドゼメック(スロヴァキアの舞曲)、ドゥムカまたはソウセツカー、チェコ風舞曲、ウクライナ風ドゥムカ、シュパツィールカ、スタロダーヴニ(ポーランドの舞曲)、コロ(クロアチアの舞曲)、ソウセツカーにマズルカの要素を加えたもの、の8曲です。
上段が第1集、下段が第2集です。

 

2024年11月21日 (木)

11月21日 名曲100選 海外のポップス篇・62 青春に乾杯

1960年代後半から1970年代前半、日本でも海外のポップス・シーンでひとつの流れがありました。フレンチ・ポップスと呼ばれる音楽です。
シルヴィ・バルタン、ミシェル・ポルナレフ、フランス・ギャル、フランソワーズ・アルディ、アダモなどが代表的なアーチストでした。
70年代半ばを過ぎると日本のレコード会社もアメリカ偏重になってしまい、日本では殆どこれらの音楽が紹介されなくなってしまいました。
ミシェル・デルペッシュもそのひとり。
「青春に乾杯」(Pour un flirt)は1971年にヒットした、軽快な曲です。

2024年11月20日 (水)

11月20日 名曲100選 声楽曲篇・62 ウィーン、わが夢の街

「ウィーン、わが夢の街」(Wien, du Stadt meiner Traume)は、オーストリアのジチンスキーが作詞作曲した歌曲です。
ジーチンスキーはシュランメル音楽と言われるオーストリアの民俗音楽の作曲家で、この曲1曲で名前が残っている作曲家です。
「ウィーン、わが夢の街」を元に1957年に同名の映画が作られています。

2024年11月19日 (火)

11月19日 名曲100選 J-POP、歌謡曲篇・62 微笑がえし

「微笑がえし」は1978年2月に発売されたキャンディーズの活動期間内ラストのシングルです。最初で最後のオリコン1位を獲得した曲で最大のヒット曲となりました。
作詞は阿木燿子、作曲は穂口雄右。穂口の要請によってレコーディングは初見で行われ一発でOKとなりキャンディーズの歌唱力の進化が確認されたというエピソードがあります。しかも一部は三声や二声の和音になっていました。
歌詞は、阿木燿子がキャンディーズへのはなむけとして、今までのヒット曲のタイトルが随所に入れられています。内容は、昔への回想と共に解散してそれぞれの道を歩いて行くキャンディーズの3人の決意が込められたものになっています。
歌詞の中に入れられたタイトルは、「春一番」「わな」「ハートのエースが出てこない」(本曲の歌詞ではハートのエースが出てきましたよ、になっています)、「年下の男の子」(歌詞では年下の人)、「やさしい悪魔」、「アンドゥトロワ」です。

2024年11月18日 (月)

11月18日 名曲100選 協奏曲篇・62 ピアノ協奏曲第3番(ラフマニノフ)

ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番ニ短調op.30は1909年に作曲されました。
ラフマニノフが1909年秋に予定していた第1回アメリカ演奏旅行のために作曲したもので、完成が9月23日になってしまい、ロシア国内で練習する事ができなかったため、アメリカへ向かう船の中で音の出ない鍵盤を持ち込んで練習したという逸話があります。
演奏旅行中の1909年11月28日にダムロッシュ指揮ニューヨーク交響楽団(後にフィルハーモニック・シンフォニー・ソサエティ・オブ・ニューヨークと合併して現在のニューヨーク・フィルハーモニックとなった)でカーネギーホールで初演されました。
技術的に非常に難しく、暫くの間はこの曲を演奏するピアニストは少なく、作品を献呈されたヨゼフ・ホフマンも演奏する事はありませんでした。
そんな中で、この曲を気に入って取り上げたのが、ホロヴィッツとギーゼキングでした。
この曲は一般的な協奏曲の形式を採用しています。
第1楽章は、冒頭から華やかな音楽を展開する第2番のピアノ協奏曲とは異なり、静かで少し陰鬱な雰囲気をもつ主題から始まります。この第1主題は全曲を貫く共通主題となっています。特徴としてカデンツァが展開部から再現部への移行部分に挿入されています。
第2楽章は三部形式と変奏曲の2つを合わせ持つ形式で、間奏曲と題されています。ニ短調-嬰へ短調-変ニ長調-変ロ短調-嬰へ短調-ニ短調と目まぐるしく調性が変化します。中間部は第1楽章の第1主題が変形して登場し、ワルツ風の経過部を過ぎると冒頭の主題が戻り高揚して、アタッカで第3楽章へ入ります。
第3楽章は力強い楽章、ピアノによって第1主題が提示されオーケストラに渡されますが、第2主題もピアノによって抒情的に提示されます。展開部では第1楽章の第1主題を元にした音楽が出て再現部へ突入します。
コーダはテンポを上げて一気にクライマックスを迎えラフマニノフ終止で曲を閉じます。

2024年11月17日 (日)

11月17日 名曲100選 舞台芸術のための管弦楽曲篇・61 森のささやき

「森のささやき」は、ワーグナーの楽劇「ジークフリート」の第2幕第2場の冒頭で演奏される管弦楽曲です。
「ジークフリート」は「ニーベルンクの指環」四部作の3作目で、主人公のジークフリートが「ワルキューレ」を除名され岩山に捕らえられ魔の炎に包まれたブリュンヒルデを救い出すところまでのお話。
「森のささやき」は、指環を欲しくてジークフリートを自分の子として育てたミーメに連れられて森にやってきて、ミーメを追い払って父母への想いに浸る音楽です。

2024年11月16日 (土)

11月16日 名曲100選 映画音楽(邦画)篇・61 ALWAYS三丁目の夕日

「ALWAYS 三丁目の夕日」は西岸良平の漫画を原作とした2005年の映画です。
主演は吉岡秀隆。
昭和33年の東京の下町を舞台に、夕日町三丁目に暮らす人々の交流を描くドラマ。
日本アカデミー賞13部門中12部門受賞をはじめキネマ旬報読者選出日本映画ベスト10 第1位、エランドール賞、報知映画賞など数多くの部門で受賞し2作の続編も作られています。
VFXとセットを駆使して、昭和33年を表現し、ノスタルジックな・・・と言っても私にとっては生まれた頃のお話ですが・・作品でした。
主題歌はD-51が歌った「ALWAYS」で、いつも変わらないものをテーマにした歌です。

2024年11月15日 (金)

11月15日 名曲100選 器楽曲篇・61 ハープサルの思い出

「ハープサルの思い出」op.2はチャイコフスキーが1867年に作曲したチャイコフスキー初のピアノのための連作曲集です。
ハープサルは、当時ロシア帝国領で現在エストニアの地名で、妹アレクサンドラの義母が住んでいた地です。曲はアレクサンドラの義理の姉妹にあたるヴェラ・ダヴィドヴァに献呈されています。
組曲は3曲からなる曲です。
第1曲「城の廃墟」 Adagio musterioso 重い足取りで荒れ果てた城の情景を描いた作品。中間部ではアレグロに転じますが、再びアダージョに戻って静かに終わります。
第2曲「スケルツォ」Allegro vivo   軽やかなスケルツォ。
第3曲「無言歌」  Allegretto grazioso e cantabile  チャイコフスキーのピアノ曲の中でも非常に有名な曲。穏やかな雰囲気で始まりカノン風の掛け合いの中間部を挟んで最後は主題に戻って静かに終わります。

2024年11月14日 (木)

11月14日 名曲100選 海外のポップス篇・61 幸せのバラ

多人数の兄弟のグループといえば、ジャクソン・ファイヴが有名ですが、オズモンド・ブラザーズも負けず劣らす知られた存在でした。
そのオズモンド・ブラザーズの妹がマリー・オズモンドで兄のダニーとデュエットを歌ったり、カントリー系のポップスを歌ったりしていました。
幸せのバラ(Paper roses)は、1960年にアニタ・ブライアントが歌って大ヒットした曲を1973年にマリー・オズモンドがリバイバルヒットさせた曲です。
この曲はBillboard全米チャートの5位、カントリー・チャート1位となるヒット曲となりました。この時マリーは14歳でカントリー・チャート1位の最年少女性アーティストと最年少ソロ・アーティストとなり現在もその記録は破られていません。

2024年11月13日 (水)

11月13日 名曲100選 声楽曲篇・61 ヴェーゼンドンクの5つの詩

「ヴェーゼンドンクの5つの詩」はリヒャルト・ワーグナーが1862年に作曲した連作歌曲です。
ワーグナーの当時のパトロン、オットー・ヴェーゼンドンクの夫人、マティルデ・ヴェーゼンドンクの詩に曲をつけたもので、実はワーグナーとマティルデは不倫関係にあり、内容もトリスタンとイゾルデの先駆けとなるものになっています。
天使、とまれ、温室にて、悩み、夢の5曲からなっていて、最後に完成された「夢」と「温室にて」には後に「トリスタンとイゾルデ」に使われる事になった楽想が登場します。
「夢」は第2幕の二重唱、「温室にて」は第3幕の前奏曲に含まれています。
女声とピアノのための曲ですが、後にワーグナー自身が「夢」のみ管弦楽伴奏版を作成しています。その後ワーグナー指揮者として有名だったフェリックス・モットルが残りの4曲を管弦楽伴奏に編曲し、現在ではこれで演奏されるようになっています。

2024年11月12日 (火)

11月12日 名曲100選 J=POP、歌謡曲篇・61 浅い夢

「浅い夢」は、1976年にリリースされた来生たかおの1stアルバムのタイトル曲で、シングル発売もされました。
メロディはバーンスタインの「ウェストサイド物語」の「Somewhere」がモチーフになっています。
複数の歌手によってカバーされていますが、私は1983年発売の河合奈保子の5枚目のアルバム「あるばむ」にカバー収録された事で、この曲に出会いました。
歌詞は恋のはじまりを歌ったものです。

2024年11月11日 (月)

11月11日 名曲100選 協奏曲篇・61 ホルン協奏曲第1番(モーツァルト)

モーツァルトのホルン協奏曲第1番ニ長調K.412/514(386b)は、現在の研究では4つのホルン協奏曲の内、一番最後に作曲されたものと考えられています。
これら4つのホルン協奏曲はモーツァルトの友人でありホルンの名手であったヨーゼフ・ロイトゲープのために作曲されたと考えられています。2番から4番までが変ホ長調ですが、この第1番だけニ長調という調性になっています。これは、ロイトゲープが老齢のため技量が衰えたため半音音を下げて作曲されたと見られています。また、1番は技術的にも最も平易な曲という事も同じ理由だと考えられています。
第1番は緩徐楽章を持たない2楽章の形式になっているのも珍しく、また第2楽章のロンド楽章には初稿と改訂稿の2つの譜面が存在しています。この2つの譜面には編成上の違いもあります。管弦楽の編成はオーボエ2本、ファゴット2本と弦楽合奏ですが、第2楽章は初稿では管楽器なし(未完成だったと思われています)、改訂稿ではファゴットが使われていません。
愛らしくも伸びやかな主題を持つ第1楽章、躍動的な第2楽章と10分に満たない短い曲ですが、モーツァルトらしい明るく楽しい曲です。

2024年11月10日 (日)

11月10日 名曲100選 舞台芸術のための管弦楽曲篇・60 歌劇「3つのオレンジの恋」行進曲

「3つのオレンジの恋」はカルロ・ゴッツィの寓話劇を元に1921年にプロコフィエフが作曲した歌劇です。
「3つのオレンジに恋をする」という呪いをかけられた王子の物語で、最後は3つのオレンジがあるクレオンタの城の王女と結ばれるというストーリーです。
プロコフィエフは、この歌劇から6曲を抜粋して組曲として編曲しました。
変わり者たち、カルタ遊びをする魔法使いチェリオファタ・モルガーナ、行進曲、スケルツォ、王子と王女、逃亡の6曲ですが、中でも第3曲の行進曲は単独で取り上げられる曲です。

2024年11月 9日 (土)

11月9日 名曲100選 映画音楽(邦画)篇・60 月のしずく(黄泉がえり)

「黄泉がえり」は2003年に公開された、梶尾真治の同名小説を映画化した作品です。
熊本市及びその周辺で突如発生する死んだはずの人間が蘇って来るという超常現象を描いた作品。この現象の謎を探るため生まれ故郷でもある現地に赴いた厚労省職員の川田と、川田の幼馴染で同じ幼馴染の婚約者が事故死してしまった葵がこの現象の謎に迫りますが、実は葵も事故死したが直後に黄泉がえったために本人も気が付かず普通に生活していた黄泉がえりの人間だったという話。原作のSF要素を排して、抒情性を前面に表現された作品で、最後にはせつない思いが残った作品でした。
主題歌は RUIの「月のしずく」。柴咲コウのRUI名義での2作目のシングルでオリコン最高位1位となっています。

2024年11月 8日 (金)

11月8日 名曲100選 器楽曲篇・60 「夏の名残のバラ」による変奏曲(タールベルク)

タールベルクはショパン、リストと並ぶ19世紀を代表するピアニストで作曲家でもありました。特にリストと同い年だった事もあって、リストのライバルとして知られていましたが、現在ではリストに遥かに及ばない知名度になってしまいました。
「夏の名残のばら」はアイルランドの詩人トーマス・ムーアが書いた詩をアイルランド民謡「ブラーニーの木立」の旋律に乗せて出版されました。
日本でも小学唱歌「庭の千草」として知られる曲で、多くの作曲家からも愛され19世紀を中心に非常に多くの編曲や変奏曲が作られました。
ベートーヴェン、ジュリアーニ、レーガー、ヒンデミット、ブリテンなども扱っていますが、有名なところでは、フロトーの歌劇「マルタ」の中にアリアとして使われ、メンデルスゾーンがピアノ独奏用の幻想曲の主題として取り上げ、エルンストが無伴奏ヴァイオリンのための6つの練習曲の中の第6曲に変奏曲として取り入れ、そしてこのタールベルクがピアノ独奏用に変奏曲を作り上げています。
5分程度の曲で、主題の前にオリジナルの序奏がありますが、まああっても無くても良いような気もします。

2024年11月 7日 (木)

11月7日 名曲100選 海外のポップス篇・60 スリラー

「スリラー」はマイケル・ジャクソンが1983年に発表した楽曲で、Billboard全米チャート第4位となった曲です。これだけの大ヒット曲が何故最高位4位かと言えば、前年末に発売した同名のアルバムがあまりに売れすぎたから。売上は7,000万枚とも1億枚とも言われて史上最も売れたアルバムとされています。アルバムの方は、Billboard全米アルバムチャートで37週間1位、つまり1年の4分の3が1位だったという驚異的な売上を記録しました。
もう5年昔だったら、これほどのヒットはしなかったと思います。理由はミュージック・ビデオ。今のように配信も無い時代で、家庭用のビデオ機器もようやく普及し始めた頃でしたが、従来より多額の費用を使って製作されたミュージックビデオはテレビ局で流されると同時に、家庭用ビデオの普及にも一役買った曲でした。また、この曲自体も映像があったために、これだけのヒットとなったと言える、音楽産業が音だけの時代から映像と音の時代への先駆けとなった楽曲だったわけです。
映像の内容も、大量のゾンビと狼男となったマイケルが踊りを踊ったりホラー映画風の作品で、多くのパロディを生んでいます。

2024年11月 6日 (水)

11月6日 名曲100選 声楽曲篇・60 マリアの子守歌

「マリアの子守歌」は19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したドイツの作曲家マックス・レーガーのか「素朴な歌」op.76という60曲からなる歌曲集の第52曲の曲です。
レーガーはオルガニストやピアニストとしても活躍し様々な分野で曲を残しましたが43歳で心筋梗塞のため急死してしまい、本人が大作を志向していたにもかかわらず、殆どが完成しませんでした。
「マリアの子守歌」は本人の編曲によって合唱曲としても知られるようになった代表作です。
聖母マリアが我が子イエスをあやしつけるベーリッツという人の作詞によるものです。実際のところこのメロディは古くからある民謡に手を加えたものだそうです。

2024年11月 5日 (火)

11月5日 名曲100選 J-POP、歌謡曲篇・60 春なのに

「春なのに」は1983年に発売された柏原芳恵の12枚目のシングル。作詞作曲は中島みゆき。
日本レコード大賞の金賞を受賞した曲です。
デビューが早かった(14歳)柏原芳恵は、この当時でもまだ18歳、仕事の関係でこの1年ほど前に何回かお会いした事がありましたが素顔は子供だけど、歌は大人っぽい歌い方をする女の子でした。
「春なのに」は今でも卒業ソングとして歌われる曲です。卒業ソングには「旅立ち」と「別れ」の2つの要素がありますが、この曲はひたすら「別れ」を歌った曲です。

2024年11月 4日 (月)

11月4日 名曲100選 協奏曲篇・60 ピアノ協奏曲第1番(リスト)

19世紀を代表するピアニストのひとりフランツ・リストは3曲のピアノ協奏曲を作曲しています。
そのうち、第3番はあまり演奏される事がなく、第1番が圧倒的に演奏される機会が多い曲です。
ピアノ協奏曲第1番変ホ長調S.124/R.455は1830年代にスケッチが書かれ1935年に初稿が完成しました。初稿は全3楽章のものでしたが、その後単一楽章に改訂され、演奏活動などの忙しさからの中断を経て1949年に最終稿を完成させました。さらに最終稿の発表前に改訂して1855年に初演、初演後1856年にさらに改訂したものが現在演奏されているものです。
曲は連続して演奏されますが全体的には4つの楽章から構成されています。
第1楽章 アレグロ・マエストーソ 自由なソナタ形式で、オーケストラのトゥッティによって第1主題が提示され、直後にピアノによるカデンツァ風の音楽が出てきます。
第2楽章 クワジ・アダージョ 自由な形式による緩徐楽章で8分の12拍子と4分の4拍子が複合的に使われています。
第3楽章 アレグレット・ヴィヴァーチェーアレグロ・アニマート スケルツォ楽章で、トライアングルが使われて、トライアングル協奏曲と揶揄される事もあります。
第4楽章 アレグロ・マルツァーレ・アニマート 行進曲風の華やかな曲。既存の動機を取り入れながら最後にピウ・プレストとなって第1楽章の冒頭主題が登場して曲を閉じます。

2024年11月 3日 (日)

11月3日 名曲100選 舞台芸術のための管弦楽曲篇・59 歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲

歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」はオットー・ニコライが1849年に完成させたシェークスピア原作の喜劇です。
太った騎士フォルスタッフを主人公に、お金に困ったフォルスタッフがウィンザーにやってきて、裕福な女房たちへ言い寄ってお金をせしめようとしますが、ことごとく失敗し懲らしめられるというお話。同じ題材をヴェルディが歌劇「ファルスタッフ」として作曲しています。
序曲はニコライの代表作として唯一現在でも演奏される曲です。

2024年11月 2日 (土)

11月2日 名曲100選 映画音楽(邦画)篇・59 愛を謳おう

「愛を謳おう」は2005年に公開された「妖怪大戦争」の主題歌です。
「妖怪大戦争」は1968年公開の大映の同名映画のリメイク版ですが、内容的にはかなり異なったもののようです。
ひ弱な都会っ子稲生タダシは、両親の離婚で母の故郷鳥取で祖父と3人暮らし。田舎になじめず、イジメも受けていましたが、、夏祭りでこの世が危機に陥った時に人々を救うと言われている「麒麟送子」に選ばれ、大天狗の住む山へ聖剣を取りに行かなければならないとけしかけられて山に行きますが、恐ろしくて逃げかえって来ます。しかし、行方不明になった祖父の助けを求める声が山から聞こえて再び山へ行くと、そこには妖怪たちが待ち受けていました。
彼らとの出会いによってタダシは歴史の闇に追いやられた古代日本の先住民族の怨念をまとった魔人加藤保憲率いる悪霊たちとの戦いに引き込まれていきます。
監督は三池崇史、主役のタダシは神木隆之介、加藤保憲は豊川悦司が演じていました。
主題歌は忌野清志郎with井上陽水が歌った「愛を謳おう」。忌野清志郎は映画の中でも「ぬらりひょん」を演じていました。

2024年11月 1日 (金)

11月1日 名曲100選 器楽曲篇・59 24の前奏曲

ショパンの24の前奏曲op.28は1839年にマジョルカ島で完成されたピアノ曲集です。
ここでいう前奏曲は、所謂何かの曲の前奏という意味ではなく前奏曲風の作品という意味合いで、バッハの平均律クラヴィーア曲集にある前奏曲のような形式にとらわれない曲という事です。
バッハにならって、24曲全てが異なる調性で作曲されたものです。

24曲全てを紹介すると膨大な量になってしまいますので、この中で特に知られている3曲をご紹介いたします。
第7番イ長調 アンダンティーノ 4分の3拍子 日本では「太田胃散」のCMに使用されて耳馴染みの曲で、ショパンの曲をバレエ音楽にアレンジした「レ・シルフィード」のロイ・ダグラス編曲版では冒頭に使われています。
第15番変ニ長調 ソステヌート 4分の4拍子 「雨だれの前奏曲」として有名な曲で、この曲集中最も長い曲(約5分)です。三部形式になっていて、中間部は同名異音の同主調の嬰ハ短調の暗い音楽になっています。
第20番ハ短調 ラルゴ 単純なコラールの中に半音階的和声の進行がある、後にプゾーニが「ショパンの前奏曲第20番による変奏曲とフーガ」、ラフマニノフが「ショパンの主題による変奏曲」op.22を作曲しています。

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