6月9日 名曲100選 舞台芸術のための管弦楽曲篇・40 アルルの女
「アルルの女」はビゼーがドーデの短編小説「アルルの女」に基づく戯曲の上演のために1872年に作曲したものです。
現在では、第1組曲と第2組曲の2つの組曲が広く知られています。
小説のストーリーは、アルルの闘牛場でみかけた女性に心を奪われた南フランスの豪農の息子フレデリの悲劇を描いたものですが、組曲になっている曲は悲劇的な雰囲気の物は無く、明るい伸びやかな雰囲気になっています。
第1組曲はビゼー自身が編んだものですが、第2組曲はビゼーの死後彼の友人のギローが、「アルルの女」以外の作品からも一部引用して編曲したもので、こちらの方がかなり知られています。
第1組曲は「前奏曲」「メヌエット」「アダージェット」「カリヨン」の4曲。「前奏曲」はプロヴァンス民謡「3人の王の行列」に基づく第1部、アルトサックスによるフレデリの弟の知的障害を表す動機による第2部、フレデリの恋の悩みを表す第3部から構成されています。「メヌエット」は劇音楽第17曲間奏曲からのフルートの軽快な旋律から始まるメヌエット、「アダージェット」は第19曲のメロドラマの中間部分を用いた静謐な音楽、「カリヨン」はホルンが鐘の音を強く吹く中で、力強いメロディが演奏されます。
第2組曲は「パストラール」「間奏曲」「メヌエット」「ファランドール」の4曲。「パストラール」は三部形式で主部は力強い牧歌、中間部はプロバンス太鼓を用い、フルート、クラリネットにピッコロの合いの手が入るリズミカルなパートになっています。「間奏曲」は弦などのユニゾンの力強い主部とアルトサックスによる「神の子羊」という歌曲としても歌われる敬虔な旋律による中間部から構成されています。「メヌエット」は「アルルの女」の音楽では無く、ビゼーが作曲した「美しいパースの娘」を転用したハープ伴奏のフルート独奏が中心の有名なメロディによる曲です。「ファランドール」第1組曲にも出てきた「3人の王の行列」のメロディとファランドールが絡み合ってクライマックスめがけて山を作っていく音楽です。
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