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2024年6月30日 (日)

6月30日 名曲100選 舞台芸術のための管弦楽曲篇・43 王の狩と嵐

ベルリオーズが1858年に作曲した歌劇「トロイアの人々」は5幕のグランドオペラです。
ウェルギリウスの壮大な叙事詩「アエネーイス」を題材としたもので、ベルリオーズらしい特大のオーケストラ編成でカットなしだと4時間もの上演時間がかかるため、簡単には上演できませんが、それでも時々上演されているようです。
この曲の中で第4幕の前に演奏される間奏曲が「王の狩と嵐」として演奏会で単独で演奏されています。
森を思わせる神秘的で静かなメロディから始まり、やがて狩を象徴するホルンの調べ、次第に不穏な雰囲気から激しい嵐が始まります。最後は静けさが戻って第4幕へと繋がっていきます。

2024年6月29日 (土)

6月29日 名曲100選 映画音楽(邦楽)篇・43 青春の門(織江の唄)

「青春の門」は五木寛之の大河小説で「週刊現代」で1969年6月から1994年まで断続的に連載され、2017年には23年ぶりに連載を再開した作品です。
太平洋戦争真っ只中九州の筑豊で生まれた少年伊吹信介の波乱に満ちた人生を描いた小説で、筑豊篇と自立篇が東宝で映画化されました。
両作品とも浦山桐郎が監督し筑豊篇は「青春の門」のタイトルで1975年に公開され、第2作は「青春の門 自立篇」として1977年に公開されました。
主人公の伊吹信介には田中健、幼馴染の牧織江は大竹しのぶが演じています。
原作者の五木と浦山監督の意見が合わず対立したため、この後を続けるためにこれとは別に、東映で1981年に第1作、翌年に第2作が作られました。監督は第1作が蔵原惟繕と深作欣二、第2作の自立篇が蔵原惟繕で、こちらは伊吹信介を佐藤浩市、織江を杉田かおりが演じています。
結局、この自立篇の興行成績が奮わず続編が作られる事はありませんでした。
この東映作品の音楽監督が山崎ハコで、彼女の歌った「織江の唄」が主題歌でした。

2024年6月28日 (金)

6月28日 名曲100選 器楽曲篇・43 ドリー

フォーレの「ドリー」op.56は、ピアノ連弾のための組曲で、6曲で構成されています。
フォーレが妻マリーを通じて親しくなった銀行家の娘エンマ・バルダックの娘で1892年に生まれたエレーヌの誕生祝いに書かれた曲を中心に編まれた曲。「ドリー」はエレーヌの愛称で、この曲をエレーヌに献呈しています。
後にラボーによる管弦楽編曲版が出版され、そちらも現在も演奏されています。
第1曲 子守歌  1893年に作曲。ゆりかごのような分散和音に穏やかなメロディが歌われます。
第2曲 ミ・ア・ウ 1894年エレーヌの2歳を祝って作曲。エレーヌが兄を呼び幼児言葉「メシュー・アウル」というタイトルを付けたのですが、出版社が勘違いで猫の鳴き声を示すこのタイトルになってしまったようです。リズミカルなワルツで、猫が飛び回っているようにも聞こえるので勘違いも無理ない事かもしれません。
第3曲 ドリーの庭 1895年エレーヌ3歳の誕生日に送られた曲。自作ヴァイオリンソナタ第1番の終楽章の主題が引用されています。
第4曲 キティー・ヴァルス 1896年エレーヌ4歳の誕生日に送られた。この曲も出版社の勘違いでフォーレが付けたのは「ケティ・ヴァルス」。ケティは兄ラウルの飼い犬の事。流麗なワルツです。
第5曲 やさしさ 1896年に作曲された曲。
第6曲 スペインの踊り 1897年作曲。非常に華やかなフィナーレです。

2024年6月27日 (木)

6月27日 名曲100選 海外のポップス篇・43 ホワイ・ミー

アメリカのカントリー&ウェスタンの歌手であり映画俳優でもあるクリス・クリストファーソンが1972年に発売された「ホワイ・ミー」は、キャリア最大のヒット曲となりました。
ホワイ・ミーはキリスト教的な意味合いも持つ曲で、後に結婚するリタ・クーリッジもバックボーカルとして参加しています。

2024年6月26日 (水)

6月26日 名曲100選 声楽曲篇・43 水のいのち

「水のいのち」は高田三郎が1964年度文化庁芸術祭参加作品としてTBSの委嘱によって作曲された混声合唱曲。作詩は高野喜久雄。
日本の合唱曲の中ではトップクラスの人気曲で女声合唱、男声合唱にも編曲されています。
「水のいのち」のタイトル通り、雨として落ちてきた水がやがて川となり海に注いで、また蒸発によって再び空に戻っていくという輪廻が歌われています。
第1曲 雨 しとしとと降る雨を静けさの中に表現し、人々に恵みをもたらす水が地上に生まれて来る様子を歌っています。
第2曲 水たまり 雨が集まって水たまりとなる。水たまりの泥に人間社会の醜さを、水面に映る空の美しさに人の焦がれる気持ちを表現。
第3曲 川 12分の8拍子で、山や空の高みに憧れながらも下っていくしかない川を歌っています。
第4曲 海 大きな海の描写で海の静けさを表し、終盤では大自然が人間への問いかけという形式をとっています
第5曲 海よ 海に注いだ水が再び空に昇り、また雨となって落ちるという輪廻を歌ったスケールの大きな曲です。

2024年6月25日 (火)

6月25日 名曲100選 J-POP、歌謡曲篇・43 名前のない愛でもいい

「名前のない愛でもいい」は、シンガー・ソングライター白井貴子が1994年に発売した24枚目のシングルです。
1980年代にはロック色を強め、学園祭の女王と言われる時期もありましたがシングルはあまり売れず、後に結婚するギタリストの本田清巳と渡英して帰国後の1990年からポップス色を強めて再活動をはじめました。
「名前のない愛でもいい」は、遠くばかりを見つめず、近すぎて見えない直ぐ傍らに幸せがある事もある。という内容の曲です。火曜サスペンス劇場の第13代の主題歌としてだ使用さました。作曲は白井貴子ですが作詞は秋元康です。

2024年6月24日 (月)

6月24日 名曲100選 協奏曲篇・43 ヴァイオリン協奏曲第1番(パガニーニ)

18世紀から19世紀にかけて活躍したヴァイオリンの鬼才、ニコロ・パガニーニはヴァイオリン作品を中心に作曲家としても多くの作品を残しています。
パガニーニはヴァイオリン協奏曲を12曲作曲していると言われていますが、自らの技術が他人に知られる事を非常に嫌っていたため、譜面を全て自らが管理し、演奏会でもオーケストラのパート譜は演奏会の数日前に配布し、本番終了後回収したという事で、死後譜面が散逸し現在6曲しか残っていません
ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調op.6は、1817年から18年にかけて作曲された3楽章の曲です。
第1楽章は協奏的ソナタ形式で、左手のピツィカートが使われています。
第2楽章は緩徐楽章。ドラマチックな前奏に始まり、アリアのようなヴァイオリンによるメロディが登場します。
第3楽章はロンド形式。第2楽章から休みなく演奏され、スタッカートやピツィカートが駆使されます。
全体を通して、二重フラジオレットやスピッカート、3度のダブルストップなど難しい技巧が駆使される難曲になっています。

2024年6月23日 (日)

6月23日 名曲100選 舞台芸術のための管弦楽曲篇・42 歌劇「フィデリオ」序曲

様々な分野で数々の傑作を残したベートーヴェンですが、完成したオペラは1曲のみ。1805年に完成した「フィデリオ」です。
この曲、現在の形になるまでに紆余曲折ありました。
原作はブイイというフランス革命期の劇作家が書いた史実に基づく2幕の詩と散文「レオノーレ、あるいは夫婦の愛」という作品で、当初は「レオノーレ」という題名で初演される予定でしたが、これ以前にガヴォーという作曲家の「レオノール」とパエールという作曲家の「レオノーラ」が先行していて、初演するアン・デア・ウィーン劇場が混同を避けて「フィデリオ」のタイトルで上演する事になりました。
その後初稿の3幕を改めて2幕物として第2稿を1806年に初演。その後何度か推敲を重ね、最終的にはベートーヴェンも「レオノーレ」のタイトルへの拘りを捨てて「フィデリオ」とする事にしたようです。

ベートーヴェンは改訂の都度序曲も書き直しています。初稿の序曲は現在のレオノーレ序曲第2番、第2稿のものはレオノーレ序曲第3番で、単独演奏の序曲とは最も良く知られている曲です。但しオペラの序曲としては長い上に濃密なため、もっと軽いものとしてレオノーレ序曲第1番が書かれました。そして、最終稿の「フィデリオ」のために作曲されたのが「フィデリオ」序曲で、最もオペラの序曲らしい曲になっています。
ところで、レオノーレとフィデリオの関係はというと、レオノーレは主人公の囚人フロレスタンの妻の名前で、フィデリオはレオノーレが監獄に潜入するために男装した時の名前です。

2024年6月22日 (土)

6月22日 名曲100選 映画音楽(邦画)篇・42 マルサの女

「マルサの女」は1987年に公開された映画。伊丹十三監督、宮本信子主演で、国税庁査察部(マル査)に勤務する女性査察官と、脱税者の戦いのコミカルに皮肉っぽく描いた作品です。
1988年にはマルサの女2が公開されています。
「マルサの女」では巨額の脱税をしているラブホテル経営者に山崎務、「マルサの女2」では新興宗教の教団の管長でありヤクザでもあるターゲットに三國連太郎が扮しています。
音楽は本多俊之が担当しテーマ曲は4分の5拍子の不思議なサウンドです。

2024年6月21日 (金)

6月21日 名曲100選 器楽曲篇・42 無伴奏チェロ組曲第1番

バッハは無伴奏のチェロのための組曲を6曲作曲しています。
ケーテン時代に宮廷オーケストラのヴィオラ・ダ・ガンバ奏者でありチェリストでもあったアーベルのために作曲されたと言われていますが、単純な練習曲として忘れ去られていたものを、パブロ・カザルスが発見して、今ではチェリストの聖典的な作品となりました。
その中でも最も有名な曲が第1番ト長調BWV1007です。
第1番は前奏曲、アルマンド、クーラント、サラバンド、メヌエットⅠ・Ⅱ、ジーグからなる組曲です。
中でも分散和音が美しく連続する前奏曲は、バッハ音楽を代表する1曲とも言える曲です。

2024年6月20日 (木)

6月20日 名曲100選 海外のポップス篇・42 さよならは悲しい言葉

「さよならは悲しい言葉」(Neither One of Us)は1972年にグラディス・ナイト&ザ・ピップスが発売した曲です。
グラディス・ナイト&ザ・ピップスは、この曲を最後にモータウンレコードからブッダレコードへ移籍したため、モータウンでの最後のシングルになった曲です。全米チャートで2位となり、グラミー賞の最優秀ポップ・ボーカル・パフォーマンス部門を受賞しました。
二人の関係は、もう別れなければならないような状況になってしまったのに別れを告げる勇気が持てない、という苦悩を歌った曲です。

2024年6月19日 (水)

6月19日 名曲100選 声楽曲篇・42 カロ・ミオ・ベン

カロ・ミオ・ベン(Caro mio ben)はトンマーゾ・ジョルダーニが作曲したイタリアの歌曲で、作詞者は不詳の作品です。
どうやら、作曲者ジュゼッペ・ジョルダーニというのが通常の情報のようですが、どうやらこれは誤りでトンマーゾが正しいようです。
音楽の教科書にも掲載され、声楽を志す者のほとんどが歌った事のある曲です。
日本訳では「つれない女」という訳もあるようですが、正しく訳すと「いとしい女(ひと)よ」という意味の、愛する女性に自分の事を想ってくるように願う歌です。

2024年6月18日 (火)

6月18日 名曲100選 J-POP、歌謡曲篇・42 北国行きで

以前、しばたはつみの「マイ・ラグジュアリー・ナイト」の項で、技術、表現力、声量を備えた女性ボーカリストで名前を挙げたひとりが朱里エイコでした。
オペラ歌手と舞踏家を両親に持っていた朱里エイコは18歳で単身渡米してラスベガスやニューヨークなどアメリカ各地のホテルやナイトクラブで活動し1966年に帰国しましたが、彼女の持ち味が行かせるほど日本の音楽シーンは進んでおらず、1969年に再度渡米してラスベガスなどのショーで成功し1971年に一時帰国。今度は1972年に発売した「北国行き」が大ヒットして人気を得ることができて、アメリカから正式に帰国しました。
1972年に交通事故で頸部外傷を負って一時心身が不安定な状態になりましたが、その後ステージを中心に活躍するようになりました。
ただ、1970年代はアイドル全盛で実力があっても評価されない時代が続き苦悩の日々が続きましたが、活動は続けました。
残念ながらしばたはつみ同様2004年7月に虚血性心不全のため58歳で亡くなりました。
「北国行きで」は、次の北国行の列車で、恋人と彼と暮らした街に別れを告げるという曲です。

2024年6月17日 (月)

6月17日 名曲100選 協奏曲篇・42 オーボエ協奏曲(チマローザ)

チマローザは18世紀イタリアの作曲家で、オペラ・ブッファで人気を博した作曲家です。
1787年にはロシアのエカテリーナ2世の招きでペテルブルクへ赴きましたが、満足な演奏家もいなかったために契約満了で帰国。1791年にはレオポルト2世の招きでサリエリの後任としてウィーンの宮廷楽長になり、代表作オペラ「秘密の結婚」を作曲しましたが、翌年レオポルト2世が没し宮廷楽長や作曲家の重要性が薄れたためナポリに帰国しています。
その後ナポリで共和政がひかれた時に、新時代を讃える曲を作曲したため王政復古後反逆者として逮捕され、追放処分となり、その過労などでヴェニツィアで51歳で亡くなっています。
オペラ以外ではあまり曲が残されていませんが、イギリスの作曲家アーサー・ベンジャミンが32曲のチェンバロのためのソナタから4曲を選んでオーボエ協奏曲に仕立てた曲が「チマローザのオーボエ協奏曲」として有名になりました。
チェンバロソナタの第29番ハ短調、第31番ト長調、第23番イ短調、第24番ハ長調の4曲で、教会ソナタ形式の緩急緩急の4つの楽章になっています。

2024年6月16日 (日)

6月16日 名曲100選 舞台芸術のための管弦楽曲篇・41 ペネロープ前奏曲

フォーレの楽詩劇「ペネロープ」は1913年に初演されています。
「ペネロープ」は古代ギリシアのホメロスの叙事詩「オデュッセイア」を基にした作品で、ペネロープは英雄オデュッセウスの妃の事。トロイア戦争で離れ離れになったオデュッセウスとペネロープが紆余曲折の後、無事に再会する話です。
前奏曲は離れ離れになった夫婦の2つの主題によって構成されます。最初にペネロープの主題が現れ様々な動機と組み合わされます。続いてオデュッセウスの主題が力強く奏でられますが、展開部ではペネロープと求婚者の対立と煩悶が表現され、静かに第1幕へ入っていきます。

2024年6月15日 (土)

6月15日 名曲100選 映画音楽(邦画)篇・41 ルージュの伝言

「ルージュの伝言」は1975年に荒井由実5枚目のシングルとしてリリースされた曲でした。
1989年公開のジブリ映画「魔女の宅急便」も他のジブリ作品同様久石譲が音楽を担当しましたが、久石自らのアルバム制作とスケジュールが重なっていたため、松任谷夫妻に白羽の矢が立ったのですが、アニメの音楽制作に難色を示し(正隆氏はジブリ作品の音楽制作は荷が重いという事だったそうです)たため、苦肉の策で荒井由実の既存楽曲を使用する事になり、オープニング「ルージの伝言」、エンディング「やさしさに包まれたなら」が採用されたそうです。
「魔女の宅急便」は、魔女の卵キキが、正式に魔女になるための修業としてやって来たコリコの街でおソノが経営するパン屋に住み込んで、自分の魔法を活かして宅急便を始めますが、やがて魔法の力を失って飛べなくなってしまいます。森の中で暮らす画家のウルスラや友人のトンボの手助けもあって魔法を力を取り戻すという話です。
「ルージュの伝言」はコーラスに山下達郎、大貫妙子、吉田美奈子など豪華歌手が参加しています。

2024年6月14日 (金)

6月14日 名曲100選 器楽曲篇・41 夢

ドビュッシーのピアノ独奏曲「夢」は1890年に作曲されました。
まだドビュッシーが駆け出しの頃、経済的に必要に迫られて書いた曲で、ドビュッシー自身は、この頃に作曲した若い頃の作品は意に反して出版されたものという事で評価しておらず、やっつけ仕事で書いた粗悪品と酷評しているようです。
とは言っても、タイトル通り夢の世界の雰囲気に満ちた、分散和音に乗った甘美な旋律と中間部のコラールという平易な構成が分かり易く、人気の高いのも事実です。

2024年6月13日 (木)

6月13日 名曲100選 海外のポップス篇・41 雨に濡れた朝

「雨に濡れた朝」(Morning Has Broken)はキャット・スティーヴンスが1972年に発売した曲です。
Morning Has Broken は1931年に作られたエレノア・ファージョン作詞の讃美歌が原曲になります。曲はスコットランドの「ブネッサン」という曲で、これをキャット・スティーヴンスがアレンジして発売したものです。
全米チャートでも6位を記録し世界的に有名な曲となりました。
1971年に公開された「ハロルドとモード 少年は虹を渡る」という19歳の富裕層の少年ハロルドと天衣無縫な79歳の老女との恋を描いた映画にも使われています。

2024年6月12日 (水)

6月12日 名曲100選 声楽曲篇・41 4つの最後の歌

リヒャルト・シュトラウスの「4つの最後の歌」は、シュトラウスが最晩年の1948年に作曲した管弦楽伴奏つきのソプラノのための歌曲集です。
初演は死後の1950年です。
「春」「九月」「眠りにつくとき」「夕映えの中で」の4曲で、前3曲がヘルマン・ヘッセ、「夕映えの中で」がアイヒェンドルフの詩に曲をつけたものです。4曲共に死を歌っていて、シュトラウス自身にも迫る死の直前に完成された文字通り「最後の歌」に相応しい曲です。
「春」では、「うす暗い谷で私は永く夢を見ていた」と死を象徴する詞で始まります。「九月」は夏が終わる事を死になぞらえた曲です。
「眠りにつくとき」は疲れて眠るという言葉が死を表しています。「夕映えの中で」は最後に具体的に「死」という表現が使われています。

2024年6月11日 (火)

6月11日 名曲100選 J-POP、歌謡曲篇・41 真昼の月

島谷ひとみは1999年に演歌歌手としてデビューし、翌年にポップスへ転向し「パピヨン~papillon」「シャンティ」などをヒットさせ2002年にはヴィレッジ・シンガーズのヒット曲「亜麻色の髪の乙女」をカバーし大ヒットとなりました。
その後、ロック、ラテン、R&B、ジャズなど様々なジャンルの歌を歌い続け、現在も積極的に活動しています。
「真昼の月」は、20枚目にして初のバラードシングルで2005年8月にリリースされました。ピアノやストリングスをバックにじっくりと歌い込んだ曲で、彼女の歌の幅広さを象徴する曲のひとつだと思います。
歌詞は古語をあちらこちらに使ったもので、真昼の月のように、よく見なければわからない存在、何気ない存在への想いを歌ったものです。
テレビドラマ「新・科捜研の女2」の主題歌にも採用されました。

2024年6月10日 (月)

6月10日 名曲100選 協奏曲篇・41 詩曲(ショーソン)

詩曲op.25は、エルネスト・ショーソンが1896年に作曲したヴァイオリンと管弦楽のための16分程の作品です。
ショーソンは24歳の時にパリ音楽院に入学してマスネ、フランクに作曲を学び様々な分野の音楽を作曲しましたが、44歳の若さで自転車事故によって早逝しています。
独奏楽器と管弦楽による協奏曲は1曲も作曲していないため(ヴァイオリン、ピアノと弦楽四重奏のための協奏曲は1曲作曲しています)、この詩曲が唯一協奏的作品となっています。
当初はツルゲーネフの小説「恋の凱旋」に基づく交響詩として着想されましたが、この小説の神秘性を絶対音楽として完成したものです。
緩やかな序奏(Lento e misterioso)で始まり、主題もヴァイオリン独奏によって静かに奏でられ、その後はテンポが上がる部分もありますが、終始神秘的な雰囲気のまま最後まで演奏されます。最後は穏やかな和音で結ばれホッとするという音楽です。

2024年6月 9日 (日)

6月9日 名曲100選 舞台芸術のための管弦楽曲篇・40 アルルの女

「アルルの女」はビゼーがドーデの短編小説「アルルの女」に基づく戯曲の上演のために1872年に作曲したものです。
現在では、第1組曲と第2組曲の2つの組曲が広く知られています。
小説のストーリーは、アルルの闘牛場でみかけた女性に心を奪われた南フランスの豪農の息子フレデリの悲劇を描いたものですが、組曲になっている曲は悲劇的な雰囲気の物は無く、明るい伸びやかな雰囲気になっています。
第1組曲はビゼー自身が編んだものですが、第2組曲はビゼーの死後彼の友人のギローが、「アルルの女」以外の作品からも一部引用して編曲したもので、こちらの方がかなり知られています。
第1組曲は「前奏曲」「メヌエット」「アダージェット」「カリヨン」の4曲。「前奏曲」はプロヴァンス民謡「3人の王の行列」に基づく第1部、アルトサックスによるフレデリの弟の知的障害を表す動機による第2部、フレデリの恋の悩みを表す第3部から構成されています。「メヌエット」は劇音楽第17曲間奏曲からのフルートの軽快な旋律から始まるメヌエット、「アダージェット」は第19曲のメロドラマの中間部分を用いた静謐な音楽、「カリヨン」はホルンが鐘の音を強く吹く中で、力強いメロディが演奏されます。
第2組曲は「パストラール」「間奏曲」「メヌエット」「ファランドール」の4曲。「パストラール」は三部形式で主部は力強い牧歌、中間部はプロバンス太鼓を用い、フルート、クラリネットにピッコロの合いの手が入るリズミカルなパートになっています。「間奏曲」は弦などのユニゾンの力強い主部とアルトサックスによる「神の子羊」という歌曲としても歌われる敬虔な旋律による中間部から構成されています。「メヌエット」は「アルルの女」の音楽では無く、ビゼーが作曲した「美しいパースの娘」を転用したハープ伴奏のフルート独奏が中心の有名なメロディによる曲です。「ファランドール」第1組曲にも出てきた「3人の王の行列」のメロディとファランドールが絡み合ってクライマックスめがけて山を作っていく音楽です。

2024年6月 8日 (土)

6月8日 名曲100選 映画音楽(邦画)篇・40 旅立ち

FUNKY MONKEY BABYSの「旅立ち」は「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」の主題歌です。
原作は2006年3月からブログの中のエッセイとして書かれた くろわっ による半フィクションのストーリー。
高校生のママチャリ(市原隼人)らと、駐在さん(佐々木蔵之介)との間の悪戯による戦いを描いたもので、作品中主題歌の他、ジュディ・オングの「魅せられて」、桑江知子「私のハートはストップモーション」、石野真子「狼なんかこわくない」など往年のヒット曲などが使われています。

2024年6月 7日 (金)

6月7日 名曲100選 器楽曲篇・40 ピアノ・ラグ・ミュージック

「ピアノ・ラグ・ミュージック」はストラヴィンスキーが1919年に作曲したピアノ曲です。
第一世界大戦中にスイスに住んでいたストラヴィンスキーがロシアの十月革命によってロシアからの収入を断たれ経済的に困窮していたことを知ったピアニストのアルトゥール・ルービンシュタインが金銭的援助を行い、その返礼として作曲したのが「ピアノ・ラグ・ミュージック」です。
当時ラグタイムに興味を持っていたストラヴィンスキーは「11楽器のためのラグタイム」や「兵士の物語」を作曲しましたが、その一連の流れの中で作曲したもので、単一楽章からなる3分程の小曲になっています。

2024年6月 6日 (木)

6月6日 名曲100選 海外のポップス篇・40 ワイルド・チャイルド

「ワイルド・チャイルド」は2001年にリリースされたエンヤのシングルです。
アイルランド出身のエンヤはケルト音楽をベースにシンガー・ソングライターとして活躍していましたが、「ウォーター・マーク」や「オリノコ・フロウ」のヒットによって一躍世界的な歌手となり2001年には映画「ロード・オブ・ザ・リング」に「メイ・イット・ビー」を提供しました。
「ワイルド・チャイルド」はアップテンポの曲ですが、内容はケルト人らしい、全てを自然の流れに任せて生きて行く姿を歌った曲です。

2024年6月 5日 (水)

6月5日 名曲100選  声楽曲篇・40 夏の思い出

「夏の思い出」はNHKの依頼によって、江間章子作詞、中田喜直作曲によって1949年に作られた曲です。
NHKのラジオ番組で石井好子の歌で放送されると、瞬く間に人気曲となって歌詞に登場する尾瀬の人気が飛躍的に高まったと言われています。
1962年には「みんなのうた」で取り上げられ、中学校の音楽の教科書にも採用され日本を代表する歌のひとつになりました。
江間章子が幼少の頃に住んでいた岩手山近くはミズバショウが咲く地域で、たまたま訪れた尾瀬で見た一面のミズバショウが心に残り、NHKからの依頼を受けた時に浮かんだのが尾瀬の情景だったそうです。
実際に尾瀬でミズバショウが咲くのは5月末ぐらいですが、ミズバショウは夏の季語でもあり、この季節は二十四節気でも夏にあたるので「夏の思い出」に採用したという事だそうです。

2024年6月 4日 (火)

6月4日 名曲100選 J-POP、歌謡曲篇・40 白いページの中に

シンガー・ソングライター柴田まゆみの「白いページの中に」は1978年に発売されました。
柴田まゆみは高校時代にフォークソング部で活動し18歳の時にヤマハポプコン予選に応募し「その時まで」という曲で東中国大会で作詞賞を受賞し、是非来年もと促されて高校卒業記念に作った曲を練り直して完成したのが「白いページの中に」でした。この曲は第15回のポプコンのつま恋本選会で入賞しレコード化されたものです。
柴田まゆみは、特にプロ歌手になろうと思っていたわけではなく、青春の思い出が出来たぐらいの気持ちだったので、この曲1曲で引退、音楽活動も休止しました。
1992年に音楽活動を再開し、現在も断続的にミニライブなどの活動をしています。
「白いページの中に」は好きだった人と別れて初めて、彼が大切な存在だったことに気づいたという内容の曲です。

2024年6月 3日 (月)

6月3日 名曲100選 協奏曲篇・40 オーボエ協奏曲(R.シュトラウス)

リヒャルト・シュトラウスのオーボエ協奏曲ニ長調は1945年に作曲されました。
第二次大戦終戦直後、シュトラウスがスイスのチューリヒ近郊滞在中に作曲され、チューリヒで初演されました。
3楽章からなりますが、連続して演奏されます。
当時シュトラウスはモーツァルトを勉強し直していたと言われ、その影響もあって古典的な作風の曲になっています。
オーボエ協奏曲の傑作は非常に少なく、特にバロック以降はモーツァルト、ベッリーニとシュトラウスの作品以外は演奏される事は稀です。

2024年6月 2日 (日)

6月2日 名曲100選 舞台芸術のための管弦楽曲篇・39 仮面舞踏会

「仮面舞踏会」は、ハチャトゥリアンがレールモントラの戯曲「仮面舞踏会」のために作曲した劇付随音楽です。
ストーリーは、帝政ロシア末期の貴族社会を舞台に、ロシアの貴族社会の特殊性を描くことで批判したものです。
劇音楽が作曲されたのは1941年ですが、1944年にハチャトゥリアン自身が5曲を選んで組曲に再編成しています。
組曲は、ワルツ、ノクターン、マズルカ、ロマンス、ギャロップの5曲で、この中でも1曲目のワルツはCMに使われるなど時々耳にする曲ですが、何といってもフィギュアスケートの浅田真央が2008年から2010年のシーズンにかけて使用して有名になりました。
フィギュアスケートの世界では、この「ワルツ」は結構使われていて、日本でも織田信成が、他の国でも多くのスケーターが使っています。滑りやすいんですかね。
ウィンナワルツとは異なり、リズミカルで哀愁を帯びた音楽が合っているのでしょうか。

2024年6月 1日 (土)

6月1日 名曲100選 映画音楽(邦画)篇・39 世界の約束(ハウルの動く城)

「ハウルの動く城」は2004年に公開されたスタジオ・ジプリのアニメ映画です。
イギリスのダイアナ・ウィン・ジョーンズのファンタジー小説「魔法使いとハウルと火の悪魔」を原作とした作品です。
「荒地の魔女」の呪いで90才の老婆に変えられてしまった18歳のソフィーと美女の心臓を食べてしまうと噂される魔法使いハウルを主人公とした話で、ソフィーの声を演じた倍賞千恵子が主題歌「世界の約束」を歌っています。
「世界の約束」は、「千と千尋の神隠し」の主題歌「いつも何度でも」の作曲と歌唱を担当した木村弓が作曲、作詞は谷川俊太郎。元々は木村弓のアルバム「流星」に収録されていたものを久石譲が編曲して倍賞千恵子がカバーしたものです。
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