2月14日 名曲100選 声楽曲篇・24 ダムサイト幻想
「ダムサイト幻想」は小林純一作詩、中田喜直作曲の混声合唱のための組曲です。
不協和音が多く難しい上に、伴奏にピアノだけではなく複数の打楽器(ティンパニ、タムタム、ビブラフォンなど)が使用されている事もあって、あまり演奏される機会が多く無いのですが、私はたまたまオーケストラ伴奏に編曲された曲を受けて感銘を受けたので取り上げました。(オーケストラ伴奏のものは、中田喜直自身の指揮で新日本フィル、日本プロ合唱団連合の演奏でしたが、現在では入手不可能のようです)
1971年に芸術祭参加作品としてNHK中部本部の委嘱で作曲されたもので、序奏と5つの曲からなる組曲です。
1961年に岐阜県の庄川の上流に荘川村と白川村の一部を水没させて建設された御母衣ダムを歌った曲です。
第1曲 孤独な征服者 ダムを孤独な征服者として歌った曲。地盤が脆弱だったためロックフィル方式の比較的柔らかい景観のダムですが、それでもよそ者として歌われています。
第2曲 黒のオブジェ 湖底に沈んで残っている部落の廃墟を歌っています
第3曲 桜の回想 村にあった樹齢400年以上のアズマヒガンザクラを湖岸に移植して「庄川桜」として残しています。その桜の目で回想される湖底に沈んだ村への情感を歌った曲。途中白川の民謡「小大臣」が出てきます。
第4曲 現代のピラミッド ダム工事の様子を歌った曲。
第5曲 神秘なるダム 完成したダムを歌った曲。最後は御母衣ダムの讃歌となって高らかに歌って終わります。
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