パイオニア交響楽団第34回定期演奏会の曲目ご案内・2 エニグマ変奏曲 Part1
エルガーの「エニグマ変奏曲」op.36は、エルガーが作った主題による14の変奏曲です。「エニグマ」は「謎」という意味で、この曲には2つの謎が潜んでいると言われています。1つは各変奏曲のタイトルにつけられたイニシャルや略称などの該当人物で、謎解きはほぼ完了しています。2つ目は「主題とは別の、作品中に現れない謎の主題がある」というエルガーの発言に基づくもので未だに謎は解けていません。
編成は2管編成ですがトランペットが3本、コントラファゴット1本が加わって打楽器は小太鼓、大太鼓、トライアングルとシンバルがティンパニの他に使用されます。
各変奏曲には友人などが描かれていて、その性格なり特徴を音楽に込めていますので詳しく見てみましょう。
主題はト短調、Andante 4分の4拍子。冒頭から1st violinによって奏でられる6小節の第1主題とクラリネットによる4小節の第2主題が提示されます。その後第1主題に戻ってテンポを落とし弦楽器とクラリネットが最後の音を長く伸ばしてそのまま第1変奏に入ります。
・第1変奏 "C.A.E." ト短調 リステッソ・テンポ(元のテンポのまま) 4分の4拍子
エルガーの愛妻キャロライン・アリス・エルガーの頭文字。1st violinによって2小節間繋ぎが演奏され、第1変奏に入ります。楽器が増え伴奏パターンも増えますが基本的には主題と殆ど変わらないメロディが奏でられます。様々なリズムが重なり合いますが非常に静謐な音楽で、愛妻のやさしさや繊細さが表現されています。
・第2変奏 "H.D.S-P."ト短調 Allegro 8分の3拍子。ヴァイオリンによる細かな跳躍音が続く中、木管にがそれに呼応して上行下行音階を奏で、跳躍音が木管に移った後低弦によって変奏が奏でられます。跳躍音だけが残って消えるように終わります。この曲は、アマチュアのピアニスト ヒュー・デイヴィッド・ステュアート=パウエル(Hew David Stuart-Powell)の事。細かい跳躍音は、彼がピアノを弾く前に鍵盤の上で指を滑らせるルーティーンを茶化したもの。
・第3変奏 "R.B.T." ト長調 Allegretto 8分の3拍子。リチャード・バクスター・タウンゼンド(Richard Baxter Townsend)。アマチュアの俳優でパントマイマー。声の質や声域を自在に変えることが得意。それが曲に反映されていて、様々な音楽の集合体のような曲。冒頭オーボエがリズムを変えた変奏を奏で、それ以外の木管は別の旋律を奏でます。全体的に分かりにくい曲では無いのですが、それぞれの楽器が色々な事をやっているのですが、一番大変なのはファゴットです。
・第4変奏 "W.M.B." ト短調 Allegro di molto 4分の3拍子。グロスタシャー州ハスフィールドの地主ウィリアム・ミース・ベイカー(William Meath Baker)の事。彼が力強くその日の予定を読み上げ、急いで音楽室を去り、不用意に音を立ててドアを閉める様子を描いています。とても精力的な人間なのでトゥッティで騒々しく音楽が始まり、最後の音はクレッシェンドしたまま終わります。
この演奏会のチケットを先着10組の方にプレゼントいたします。
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