12月31日 名曲100選 舞台芸術のための管弦楽曲篇・17 ジークフリートの葬送行進曲
ワーグナーの「ニーベルングの指環」の最終作、楽劇「神々の黄昏」はライン川に向けて旅立つジークフリートとブリュンヒルデの別れの場面から始まります。やがてハーゲンらギービヒ家の人間たちの策略で忘れ薬を飲まされ、ブリュンヒルデの事を忘れてしまったジークフリートはギービヒ家のグートルーネと婚約してしまいます。それを知ったブリュンヒルデは復讐心に取りつかれハーゲンらにジークフリートの弱点の秘密を喋ってしまい、ジークフリートは殺されてしまいます。
事実を知ったブリュンヒルデはギービヒの館を燃やし自ら炎の中に飛び込みます。ギービヒの館は崩れ落ち、ライン川は氾濫して大洪水になり、天井まで広がった炎によって神々のヴァルハラも炎上してしまいます。
「ジークフリートの葬送行進曲」は第3幕第2場と第3場の間奏曲として演奏され、「ニーベルンクの指環」全体の第1のフィナーレの役割を果たすものです。曲は「哀悼」「葬送」「舞台転換」の3つに分けられます。
「哀悼」 死を象徴する減5度の和音が多用される緊張感あふれる部分。低弦の「英雄の死の動機」が繰り返され「ヴェルズングの苦悩の動機」が現れます。
「葬送」 前半は「ヴェルズングの英雄の動機」、後半は「ジークリンデの動機」と「ヴェルズングの愛の動機」が連結されます。
「舞台転換」 トランペットの「剣の動機」「ジークフリートの動機」などが再現されます。