11月12日 名曲100選 舞台芸術のための管弦楽曲篇・10 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲
「ニュルンベルクのマイスタージンガー」はワーグナーが作曲した楽劇の中での唯一の喜劇。16世紀中頃のニュルンベルクを舞台にした3幕の作品で上演時間は4時間以上を要します。
この時代の徒弟制度を背景に、芸術と人間たちの価値を輝かしく肯定する内容の物語です。
前奏曲は第1幕への前奏曲と第3幕への前奏曲の2曲がありますが、圧倒的に人気が高く頻繁に演奏されるのが第1幕への前奏曲です。第1幕への前奏曲は本来であれば編成にハープが使われていますが、殆どの場合ハープは割愛されて演奏されます。ハープの音はアルペジオでは無くて和音だけなので無くても他の楽器が音自体は補完しているので、ハープの有無が曲自体に大きく影響する事はないからです。
劇中の主要な歌をモチーフに使用しています。4つの部分に分けられ最初は「マイスタージンガーの動機」が冒頭から堂々と奏でられ、続いて「ダヴィデ王の動機」が金管楽器を中心に演奏されます。次に「芸術の動機」が対旋律を伴って美しくかつ力強く演奏されます。2つ目の部分は「愛の動機」が弦楽器によって静粛に登場し、やがて「苦悩の動機」が出てきます。3つ目の部分はスケルツォ風の楽想になって「マイスタージンガーの動機」がスタッカートの短い音でおどけた雰囲気で演奏され、やがて再び「苦悩の動機」が現れ、再現部に入ります。ここでは「マイスタージンガーの動機」が低音楽器によって演奏され、それに「ダヴィデ王のの動機」が木管、ホルン、高弦によって重ね合わされコーダに向かっていきます。
コーダはシンバルの一撃がを合図にマイスタージンガーの動機や哄笑の動機やファンファーレによって高揚しながらエンディングへ向かいます。
複数のメロディが組み合わさって複雑な和音を展開する場面もありますが、それぞれの楽器の難易度がそれ程高く無く、演奏効果は高く、ハ長調で書かれている事もあってアマチュアでも好んで取り上げられる曲です。
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