10月18日 名曲100選 声楽曲篇・7 春(グリーグ)
「春」は、1873年から80年にかけて作曲された農民詩人であったヴィニエの詩による「12のメロディ」op.33の第2曲の曲です。
グリーグはこの歌曲集から、第3曲の「傷ついた心」と第2曲の「春」を1880年に弦楽合奏曲「2つの悲しき旋律」op.34として編曲しました。
日本では特にその2曲目が「過ぎし春」として良く知られていますが、実は、この「過ぎし春」の題名の和訳は誤訳のようです。
歌曲の原題は「Varen」で、これは和訳でもそのまま「春」と訳されています。「2つの悲しき旋律」の第2曲も当初は「Varen」(ドイツ語では Der fruhling」(春) でしたが、ドイツで再版される時に元の詩の内容を暗示するために「Letzter Fruhling」(英語ではLast spring)というタイトルに改題されました。これを日本語に訳す際にLastを「終わった、去る」という意味に訳してしまい「過ぎし春」とされたのですが、実際の詩では、死を目前にした老人が、これが最後の春だという心情を歌ったもので、文字通り「最後の」という意味のLastであったわけです。
どちらにしても、歌曲の方は単に「春」というタイトルなので問題はありません。抒情豊かな曲です。
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