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2023年10月31日 (火)

10月31日 名曲100選 J-POP、歌謡曲篇・9 時代おくれ

「時代おくれ」は河島英五が1986年にリリースしたシングルです。ヒットチャートでは目立った動きでは無かったものの、河島英五の代表作のひとつとして愛されている曲です。
作詞阿久悠、作曲森田公一で、白鶴酒造のコマーシャルにも使用されています。
「トレンド」「流行」に惑わされない「時代おくれ」の男になりたいという内容の曲で、この1986年頃における「時代おくれ」とはどんな男なのかがとても具体的に歌われています。そのため、この逆が当時の時代の普通の男だという事が推察されます。ちょうど団塊の世代が40歳を迎える頃なので、多分ここで言われる「時代おくれ」の男は、団塊の世代の前の世代の男なのでしょうね。
まあ「団塊の世代」は「目立たぬように、はしゃがぬように」「似合わぬことは無理をせず」「ねたまぬように焦らぬように」という世代ではありませんからね。

2023年10月30日 (月)

10月30日 名曲100選 協奏曲篇・9 4本のホルンと管弦楽のためのコンチェルトシュテュック

シューマンの4本のホルンと管弦楽のためのコンチェルトシュテュック ヘ長調op.86は、1849年に作曲された曲です。
コンチェルトシュテュックは協奏的小品と訳されますが、実際の編成は独奏ホルン4本の他に、2管編成のフルオーケストラになっておりトロンボーンも3本というこの時代の協奏曲としては大規模な編成になっています。
曲は協奏曲に多い舞曲楽章を割愛した3楽章構成ですが、連続して演奏されます。
第1楽章は生き生きと、第3楽章はとても生き生きとという指示があり、更に緩徐楽章である第2楽章のロマンツェが、かなりゆっくりと、しかしひきずらずに という指示があるように、曲全体は非常に明るい曲です。
また、ホルンは演奏可能な音域の限界音まで用いていて非常に難曲と言われています。まあ、シューマンの金管楽器の扱いについては、交響曲第3番「ライン」や交響曲第4番のトロンボーンのように限界音を平気で使う作曲家なので、特筆するようなことではありませんが。

2023年10月29日 (日)

10月29日 名曲100選 舞台芸術のための管弦楽曲篇・8 サムソンとデリラ バッカナール

「サムソンとデリラ」はサン=サーンスが旧約聖書を元に1874年に作曲した3幕のオペラです。
旧約聖書「土師記」第13章から16章のサムソンの物語に基づいたもので、ペリシテ人の美女デリラの誘惑に惑わされ、自らの弱点を告白してしまい囚われてしまったヘブライの英雄サムソンの物語です。
第3幕第2場で、ペリシテ人の勝利を祝う曲が「バッカナール」です。
「バッカナール」はローマ神話の酒の神「バックス」(バッカス) を称える酒宴の踊りの曲で、ワーグナーの「タンホイザー」パリ版の序曲の直後の音楽などが有名。
オリエンタルの雰囲気がするオーボエの序奏から始まる楽しい曲です。

2023年10月28日 (土)

10月28日 名曲100選 映画音楽(邦画)篇・8 さんぽ

「さんぽ」はジブリ映画「となりのトトロ」のオープニング・テーマ曲です。
ジブリ作品の中で今でも子供たちから圧倒的な支持がある「となりのトトロ」。
それもそのはずで、トトロは子どもの時にしか会えないと言われる不思議な生き物です。
サツキとメイという姉妹が、父親と共に、母が療養している病院の近くであり、空気のきれいなところに引っ越してきたところから物語は始まります。この作品では、大中小のトトロ以外にも、まっくろくろすけ(ススワタリ)、ネコバスなど魅力的なキャラクターがたくさん登場しています。
「さんぽ」は井上あずみが歌った行進曲風の楽曲。小学校の音楽の教科書にも掲載され、合唱曲としても歌われるなど子供たちからは絶大な人気を誇った曲です。

2023年10月27日 (金)

10且27日 名曲100選 器楽曲篇・8 ハープサルの思い出

「ハープサルの思い出」op.2は、チャイコフスキーが1867年に作曲した連作ピアノ曲集です。
ハープサルは現エストニア共和国西海岸のレーネ県にある都市でリゾート地としても知られる場所です。
チャイコフスキーは、1867年の夏妹のアレクサンドラの義母の住むこの地に来て作曲したものです。アレクサンドラの義理の姉妹にあたるヴェラ・ダヴィドヴァに献呈されています。
「城の廃墟」「スケルツォ」「無言歌」の3曲からなり、特に第3曲の「無言歌」は指揮者のエルトマンスデルファーによってオーケストレーションを施されチャイコフスキーもお気に入りだったようです。
チャイコフスキー最初の成功作とも言われています。

2023年10月26日 (木)

10月26日 名曲100選 海外のポップス篇・8 愛の讃歌

「愛の讃歌」(Hymme a l'amour)は、フランスを代表するシャンソン歌手エディット・ピアフの最大のヒット曲でシャンソンを代表する曲として世界中で親しまれています。
エディット・ピアフが1947年に出会ったプロ・ボクサーのマルセル・セルダンとの恋愛に終止符を打つために書いたエディット・ピアフの詩にマルグリット・モノーが曲を付けた楽曲で1950年に発売され、その後多くの歌手に歌われ続けています。
日本でも岩谷時子の訳詞を歌った越路吹雪のものが知られているほか本田美奈子、岸洋子、美輪明宏、淡谷のり子、美空ひばり、加藤登紀子、宇多田ヒカルなど多くの歌手に取り上げられました。
曲自体は、美しいというよりドラマティックに構成されています。ドラマティックな主要部分と中間の語り掛けるような部分との対比と最後の盛り上げという構成効果がとても大きい曲です。

2023年10月25日 (水)

10月25日 名曲100選 声楽曲篇・8 死と乙女

「死と乙女」(Der Tod und das Madchen)op.7-3, D531は、シューベルトが作曲したリートです。詩はマティアス・クラウディウスで、病の床に伏す乙女と死神との対話を描いたものです。乙女が死を拒否し死神に去るように懇願すると、死神は乙女を苦しめるために来たのではなく、安息を与えに来たと語りかけるもの。
最初はニ短調で「死」を描くコラールがピアノで演奏され、乙女の死への拒否が描かれ、再度コラールの後、死が安息であると語り掛けニ長調に転調して全曲を終わります。
シューベルトは、この曲のコラールを弦楽四重奏曲第14番の第2楽章の変奏主題に用いたため、14番は「死と乙女」という標題で呼ばれます。

2023年10月24日 (火)

10月24日 名曲100選 J-POP、歌謡曲篇・8 だれかが風の中で

「だれかが風の中で」は1972年に発売された上條恒彦のシングルです。テレビドラマ「木枯し紋次郎」の主題歌として作られた曲で、作詞和田夏十、作曲小室等でした。
「木枯し紋次郎」の製作総指揮の市川崑は妻であり脚本家であった和田夏十の作詞を依頼し、フォークシンガーの小室等に詞を持ち込んで作曲を依頼しました。歌手には、前年に小室等率いる六文銭とユニットを組んで第2回世界歌謡祭でグランプリを受賞し、歌唱賞も受賞していた上條恒彦を指名し出来上がった曲は、上條の歌唱力と時代劇としては新鮮な音楽だったことなどから大ヒット曲となりました。その後上條は、俳優としても活躍するとともに、「ラ・マンチャの男」や「屋根の上のヴァイオリン弾き」など多くのミュージカルに出演し、日本のミュージカル・スターの第一人者となりました。

2023年10月23日 (月)

10月23日 名曲100選 協奏曲篇・8 ピアノ協奏曲(シェーンベルク)

シェーンベルクのピアノ協奏曲op.42は、アメリカ時代の1942年に作曲されました。
厳格な十二音技法によって作曲された単一楽章の曲ですが、中身は4つの部分に分けられ、手稿ではそれぞれの部分に言葉が添えられています。
・Andante 8分の3拍子 変奏曲形式 穏やかな人生に
・Molto Allegro 2分の2拍子 突然憎しみがわき起こり
・Adagio  4分の4拍子 暗い状況が作り出されるが
・Giocoso Moderato   2分の2拍子 ロンド形式 しかし人生は何もなく過ぎていく

2023年10月22日 (日)

10月22日 名曲100選 舞台芸術のための管弦楽曲篇・7 マドンナの宝石間奏曲

歌劇「マドンナの宝石」はイタリアの作曲家ヴォルフ=フェラーリが1911年に発表した3幕のオペラです。
1900年頃のスペイン統治下のナポリを舞台にした悲劇。奔放な女性マリエッラは秘密結社の首領ラファエレに恋をしていたが、義兄のジェンナロが言い寄って来るので「聖母の像にはめ込まれている宝石を取ってきたらいう事をきく」と言って盗み出させます。マリエッラはラファエレにふられてしまい宝石を盗ませた事の罪の重さに気づき身を投げて死んでしまいます。それを知ったジェンナロもナイフを胸に突き立てて死んでしまう、というストーリーです。
現在オペラ全曲が演奏される事は稀ですが2曲の間奏曲がよく知られています。特に第2幕の前の第1間奏曲はコンダートなどで単独で演奏されます。美しく、切ない雰囲気のする曲です。

2023年10月21日 (土)

10月21日 名曲100選 映画音楽(邦画)篇・7 獄門島 愛のテーマ

「獄門島」は、横溝正史の金田一耕助シリーズの映画化作品で1977年に公開されました。
市川崑監督の金田一耕助シリーズの「犬神家の一族」「悪魔の手毬唄」に続く3作目で、初めて原作と異なる犯人の設定になったものです。
原作の「獄門島」は横溝正史の金田一耕助シリーズの作品中人気が高い作品のひとつです。
このシリーズは元々人気は高かったものの、以前はミステリー・ファンの間でという事でしたが、市川崑の映画のシリーズが「犬神家の一族」から始まってからは、どうしても映画化された作品に人気が集中するように変化しました。デビュー作の「本陣殺人事件」は市川崑のシリーズでは映画化されなかったため、日本のミステリー小説では物理的なトリックの先駆けの作品にも関わらず、人気はイマイチという状況になってしまっています。
この映画で犯人が原作と異なる設定になったのは、金田一シリーズ=美女が犯人という市川監督のこだわりがあったからだそうです。原作シリーズでは、「獄門島」は「本陣殺人事件」に次ぐ2作目で犯人=女性という固定した考えは無かったのですが、市川監督が映画化した時点では既に数多くの金田一シリーズが出版されていて犯人=女性のパターンが多かったという事が理由だったのでしょう。
音楽は田辺信一が担当しました。映画の中では使われていませんがイメージソングとして前野曜子が歌っています。

2023年10月20日 (金)

10月20日 名曲100選 器楽曲篇・7 軍隊ポロネーズ

ショパンは生涯でポロネーズを16曲作曲しています。
ポロネーズはマズルカ同様ポーランド起源の舞曲でゆっくりとしたテンポの4分の3拍子の曲です。これがやがて音楽の形式として定着し、舞曲ではないポロネーズ風(alla polacca)というものも存在しています。
「軍隊ポロネーズ」は、正式にはポロネーズ第3番イ長調で、作品40の2曲のポロネーズの1曲目として1840年にまとめられました。
曲は、序奏もコーダも経過部も持たない単純な構成で、複合三部形式で書かれています。半音階の進行も無く明るく勇壮な曲のため「軍隊」という愛称が付けられました。

2023年10月19日 (木)

10月19日 名曲100選 海外のポップス篇・7 ジョージアの灯は消えて

「ジョージアの灯は消えて」(The Nigt the Lights Went out in Gergia)は、ヴィッキー・ローレンスが1973年に全米1位を獲得した曲です。
作詞作曲は彼女の当時の夫のボビー・ラッセル。
ヴィッキー・ローレンスは殆どこの曲一発屋ですが、なぜこの曲がそれ程の大ヒットをしたのでしょうか。
実は、この曲はアメリカ南部で実際にあった殺人事件をストーリー仕立てで扱ったセンセーショナルな曲です。
主人公は親友のアンディが自分の奥さんと浮気をしていた事を知り、その奥さんは行方不明になってしまいます。その後アンディは撃ち殺され彼は逮捕されいい加減な裁判で殺人の罪を着せられ絞首刑となります。
実際の真相はわかりませんが、浮気をしていた奥さんがアンディを撃ち殺し、彼に罪をなすりつけて逃亡したというのが一般的な見方のようで、歌詞もそういった内容になっています。

2023年10月18日 (水)

10月18日 名曲100選 声楽曲篇・7 春(グリーグ)

「春」は、1873年から80年にかけて作曲された農民詩人であったヴィニエの詩による「12のメロディ」op.33の第2曲の曲です。
グリーグはこの歌曲集から、第3曲の「傷ついた心」と第2曲の「春」を1880年に弦楽合奏曲「2つの悲しき旋律」op.34として編曲しました。
日本では特にその2曲目が「過ぎし春」として良く知られていますが、実は、この「過ぎし春」の題名の和訳は誤訳のようです。
歌曲の原題は「Varen」で、これは和訳でもそのまま「春」と訳されています。「2つの悲しき旋律」の第2曲も当初は「Varen」(ドイツ語では   Der fruhling」(春) でしたが、ドイツで再版される時に元の詩の内容を暗示するために「Letzter Fruhling」(英語ではLast spring)というタイトルに改題されました。これを日本語に訳す際にLastを「終わった、去る」という意味に訳してしまい「過ぎし春」とされたのですが、実際の詩では、死を目前にした老人が、これが最後の春だという心情を歌ったもので、文字通り「最後の」という意味のLastであったわけです。

どちらにしても、歌曲の方は単に「春」というタイトルなので問題はありません。抒情豊かな曲です。

2023年10月17日 (火)

10月17日 名曲100選  J-pop、歌謡曲篇・7 この空を飛べたら

「この空を飛べたら」は1978年3月に加藤登紀子がリリースしたシングルです。
加藤登紀子自身もシンガー&ソング・ライターとして作詞作曲もしており、「ひとり寝の子守唄」(作詞作曲)、「愛のくらし」「灰色の瞳」「リリー・マルレーン」「ANAK(息子)」「百万本のバラ」(いずれも 作詞のみ)などのヒット曲がありますし、他の歌手への提供曲としては石原裕次郎の「わが人生に悔いなし」(作曲のみ)、中森明菜の「難破船」(作詞作曲)もあります。また女優としても活動している多才な方です。
「この空を飛べたら」は、中島みゆき作詞作曲の曲で、テレビドラマ「球形の荒野」の主題歌にも使われました。
「世界歌謡祭」でグランプリを受賞した中島みゆきを見て、主催者のヤマハ音楽振興会に電話を入れて中島みゆきに会わせてもらって、依頼した曲です。
失恋の悲しみを歌ったこの曲は、第20回日本レコード大賞の西條八十賞(現作詞賞)を受賞しています。

2023年10月16日 (月)

10月16日 名曲100選 協奏曲篇・7 序奏とロンド・カプリチオーソ 

序奏とロンド・カプリチオーソ イ短調op.28は、サン=サーンスが1863年に作曲したヴァイオリンと管弦楽のための協奏的作品です。
名ヴァイオリニスト パブロ・デ・サラサーテのために作曲され1864年4月4日にヴァイオリン協奏曲第1番と同時にサラサーテの独奏ヴァイオリンで初演されました。
穏やかで抒情的な序奏と、情熱的な舞曲風のロンドからなる曲です。わずか9分程度の曲ですが、聴きごたえのある名曲です。

2023年10月15日 (日)

10月15日 名曲100選 舞台芸術のための管弦楽曲篇・6 歌劇「オイリアンテ」序曲

歌劇「オイリアンテ」は中世フランスのロマンス「ジェラール・ド・ヌヴェールと徳高く貞節なウラン・ド・サヴォワ」を元にヘルミーナ・フォン・ジェジーが台本を書き、ウェーバーが1823年に作曲した歌劇です。
ネヴィール伯爵アドラールと妻のオイリアンテは、人も羨む仲の良さでしたが、この二人それぞれに横恋慕する者が二人を引き裂くために罠をかけ、その罠に嵌って妻の貞操を疑うようになったアドラールは妻を捨て去ります。王によってオイリアンテが悲嘆で亡くなった事を告げられたアドラールは、今までの事が罠だった事を知り、後悔します。王は罠をかけたリジアルトに復讐するようにアドラールに言いますが、アドラールは無実の妻を見捨てた事を悔やむばかりでした。そこへオイリアンテが現れ、喜びの中2人は再び結ばれる、というのがあらすじになります。
3時間近い労作なのですが、台本の完成度の低さや準備不足などで今ではオペラ全体が上演される事は殆どありませんが、序曲は頻繁に演奏されます。
序曲は劇中の旋律を用いたソナタ形式のもので堂々とした第1主題とアリア調の第2主題からなり、展開部でフーガが使われます。付点のリズムが多用される事もあって全体的には軽快な音楽になっています。

2023年10月14日 (土)

10月14日 名曲100選 映画音楽(邦画)篇・6 テルーの唄

ゲド戦記は、宮崎吾郎監督初作品となったジブリ映画で2006年に劇場公開されました。
「ゲド戦記」自体はル=グヴィンの小説「ゲド戦記」の第3巻「さいはての島」を原作とした作品ですが、宮崎駿の絵物語「シュナの旅」のキャラクターイメージを使用するなど強い影響を受けているため、原作とはかなり異なる作品になっています。ル=グヴィンは「これは私の本ではない」と発言しストーリー自体の浅さも指摘するなどもあり、専門家からも厳しい評価をされ、国内の映画雑誌でも評価は低かったようです。
まあ、映画の世界観も最後まで良くわからなかったのは事実でした。
主題歌は手嶌葵の歌う「テリーの唄」です。
作詞宮崎吾郎となっていますが、こちらも萩原朔太郎の「こころ」という詩に酷似しており、「こころ」に着想を得て作詞されたと謝罪しましたがCD等に原詩萩原朔太郎の表示をしなかったなど批判の的になりました。
それでも手嶌の唄はとても心に響く歌でした。

2023年10月13日 (金)

10月13日 名曲100選 器楽曲篇・6 交響的練習曲

ロマン派を代表するピアノ曲の作曲家といえば、シューマン、ショパン、リストが挙げられます。
この3人生まれ年もほぼ同じ、シューマンとショパンは1810年、リストは1811年の生まれです。すごい年代ですね。
シューマンはドイツ生まれで、若い頃からピアニストとして活躍していましたが指の故障でピアノ奏者を断念し作曲家と評論家に専念するようになりました。
交響的練習曲op.13は、指強化のための器具のために指を痛めてしまったのちの作品で、主題と12の練習曲からなります。練習曲の内9曲は主題の変奏曲で、主題は友人の父親が作曲したフルートとピアノのための主題と変奏の旋律を利用したものです。
第1版は1837年に完成しましたが、その後2度にわたって改変され第3版では「遺作」とされる5曲が加えられています。
交響的というタイトル通り、豊かな響きとスケールの大きさを持つ作品です。

2023年10月12日 (木)

10月12日 名曲100選 海外のポップス篇・6 落葉のコンチェルト

イギリス出身のシンガー・ソングライター アルバート・ハモンドは1970年代にアメリカに移住。1972年に「カルフォルニアの青い空(It Never Rains in Southern Carifornia)」が全米5位のヒットとなり一躍名を知られるようになりました。
そのアメリカでの2枚目のアルバム "The Free Electric Band"に収録された曲が落葉のコンチェルト(For the Peace of All Mankind)です。
この曲は日本でのみシングル発売されオリコン最高位33位ながらロングヒットとなりました。
曲の内容は「落葉」でも無ければ、原題の「人類の平和」でも無くて、ムーディー・ブルースのツアーの前座を務めた時に出会った女優のテリー・ムーアとの恋愛を描いた作品です。
アルバート・ハモンドはその後「ダウン・バイ・ザ・リバー」などのヒット曲を出しますが、作曲家としても活躍し、ホリーズの「安らぎの世界」やカーペンターズの「青春の輝き」などを作曲しています。

2023年10月11日 (水)

10月11日 名曲100選 声楽曲篇・6 わが歌に翼ありせば

レイナルド・アーンは、ベネズエラで生まれフランスで19世紀末から20世紀前半にかけて活躍した作曲家です。
パリ音楽院でマスネやサン=サーンスに師事し、特にマスネには特別に目をかけられた天才作曲家でした。15歳の時にドーデに劇音楽を依頼されるほどでした。
様々な分野の作品を残しましたが、結局今は歌曲が記憶として残されるのみで、唯一現在でも演奏されるのは1896年に作曲した「20曲の歌曲集第1集」の中の「わが歌に翼ありせば (Si mes vers avaient des ailes) 」です。
この曲はフランスを代表する詩人ヴィクトル・ユゴーの詩に曲をつけたもので、私の詩に翼があれば鳥のようにあなたの元へ飛んで行くだろうという愛の歌です。

2023年10月10日 (火)

10月10日 名曲100選 J-Pop、歌謡曲篇・6 好きになってよかった 

「好きになって、よかった」は、1991年にデビューした加藤いづみの7枚目のシングルで1993年7月に発売されました。
テレビドラマ「悪魔のKISS」の挿入歌にも使われ彼女の代表作にもなった曲です。
好きな男性とすれ違い初めて別れを決意した女性の気持ちを歌った曲。訥々と静かに歌われるのがかえって印象的です。

2023年10月 9日 (月)

10月9日 名曲100選 協奏曲篇・6 ピアノ協奏曲イ短調(グリーグ)

三大交響曲「未完成」「運命」「新世界より」、三大ヴァイオリン協奏曲「ベートーヴェン」「メンデルスゾーン」「ブラームス」、三大レクイエム「モーツァルト」「フォーレ」「ヴェルディ」というのはありますが、あまり三大ピアノ協奏曲というのは定説がありません。
上記の交響曲もヴァイオリン協奏曲もちょっと昔の基準という感じがしますし、その時代であれば「チャイコフスキーの1番」「ベートーヴェンの皇帝」「グリーグ」あたりかもしれませんね。現在であれば「ラフマニノフの2番」が頭抜けた人気曲という感じがします。
そうは言っても、グリーグのピアノ協奏曲はピアノ協奏曲の中でも人気の高い曲のひとつです。グリーグは抒情組曲を筆頭に数多くのピアノ曲の作曲家として知られていますが、協奏曲はこの1曲だけ。もっともグリーグは交響曲は1曲、器楽のソナタはピアノ1曲、ヴァイオリン3曲、チェロ1曲のみ、弦楽四重奏曲も1曲だけといった具合に、固定的な形式を持つ曲はあまり得意では無かったようです。
そんなわけで、たった1曲のピアノ協奏曲はグリーグ自身何度も改訂を行っていて、現在演奏されているのは最晩年の1907年頃に改訂され1917年に出版されたものです。
この曲の人気の理由は、まずは最初のつかみ。ティンパニのトレモロが1小節の間にppからfまでクレッシェンドされ2小節目の1拍目に全楽器でイ短調の主和音(AGE)の強奏と同時にピアノによる強烈な下降音によるカデンツァが4小節という導入部があまりにも有名です。5小節目から主部に入り木管によって素朴な第1主題が演奏されます。第2主題は静かな歌うような旋律。展開部は短く、再現部の後に非常に長いカデンツァがありコーダに入ります。最後はピアノの冒頭のフレーズが再現されて終わります。
第2楽章は弱音器をつけた弦楽器によって演奏される美しいメロディで始まる複合三部形式。
第3楽章は第2楽章から続けて演奏される規模の大きな楽章。中間部で演奏されるフルートの独奏による第2楽章が印象的で、この第2主題が最後のコーダで壮大に合奏されて曲を閉じます。

2023年10月 8日 (日)

10月8日 名曲100選 舞台芸術のための管弦楽曲篇・5 シュテファン王序曲

ベートーヴェンの劇音楽「シュテファン王」は1811年に作曲されました。
オーストリア皇帝フランツ1世がハンガリー国内で沸き起こりつつあった国家主義的感情を鎮め、オーストリアに対するハンガリーの忠誠を称えるべく建設したブダペストの大規模な劇場のこけら落としにベートーヴェンに依頼したもので、序曲と9つの声楽曲から構成されています。現在では序曲以外は殆ど演奏される事はありません。
「シュテファン王」は1000年にハンガリー王国を建国したイシュトヴァーン1世のことで、副題には「ハンガリーで最初の善政者」と記されています。
曲はいきなり金管と弦楽器による重厚なファンファーレと木管楽器の軽妙なメロディによる序奏から始まり、主題に入ります。主題も軽妙で明るい音楽です。再びファンファーレが出て中間部の落ち着いたメロディが出てきます。再び主題に戻り、コーダへ向かいます。

2023年10月 7日 (土)

10月7日 名曲100選 映画音楽(邦画)篇・5 蒲田行進曲

「蒲田行進曲」はつかこうへい作の戯曲で、つかこうへい自身が映画向けに脚色し、深作欣二監督で1982年に製作された作品です。
スター俳優の銀四郎(風間杜夫)が、恋人であり、かつての売れっ子女優で銀四郎の子を妊娠した小夏(松坂慶子)を、銀四郎の舎弟的存在の大部屋俳優ヤス(平田満)に押し付けますが、元々小夏のファンだったヤスは子供を含めて受け入れていくという内容。
ヤスが演じる新選組の志士が、池田屋襲撃事件で切られて階段から落ちる劇中劇がクライマックスというものでした。
主題歌の「蒲田行進曲」は元々は1929年に公開された松竹キネマ蒲田撮影所製作のサイレント映画「親父とその子」で使われた曲。原曲はプラハ生まれの作曲家フリムルが製作したオペレッタ「放浪の王者」の第1幕で歌われた「放浪者の歌」ですが、第4幕では同じメロディで「勝利の行進曲」というタイトルで華やかに歌われます。これに堀内敬三が歌詞をつけたものが、「親父とその子」で使われました。その後1929年にレコードが発売され松竹キネマ蒲田撮影所の所歌としても採用されていたものを、カバーしたのが「蒲田行進曲」の主題歌です。

2023年10月 6日 (金)

10月6日 名曲100選 器楽曲篇・5 4つの即興曲 D935

シューベルトは「4つの即興曲」を2つ作曲しています。1つはD899の4曲、もうひとつがD935の4曲です。
D899が自由な形式の4曲であるのに対し、D935の4曲はピアノ・ソナタと見なす事ができると言われています。
第1曲は、Allegro moderato へ短調の展開部を欠いたソナタ形式。
第2曲は Allegretto 変イ長調のメヌエット風の曲。
第3曲は Andante  変ロ長調の変奏曲。主題はシューベルト自身の劇音楽「キプロスの女王ロザムンデ」の間奏曲の旋律です。この旋律は、他にも弦楽四重奏曲第13番にも流用されていて、先週のベートーヴェンのエロイカ主題同様、作曲者のお気に入りの旋律のようです。
変奏曲は第5変奏まであります。
第4曲は Allegro scherzando  へ短調。狂詩曲に近いテンポの速い曲です。

2023年10月 5日 (木)

10月5日 名曲100選 海外のポップス篇・5 シーモンの涙

グローバル化というのは、全世界で情報が共有され便利な反面、その国の文化の独自性が薄くなっていくという面があります。
私が海外のポップスを聴きまくった1970年代は、日本ではアメリカのヒット状況とは別に日本のレコード会社が国内でウケそうな曲を日本だけで発売したりプロモーションしたりしてヒットした曲が少なからずありました。
例えば、ビヨルンとベニーによる「木枯らしの少女」(She's My Kind of Girl)は1972年に日本で大ヒットして、その後彼らによって結成されたABBAが世界でヒット曲を量産するようになったわけです。
「シーモンの涙」は、イングランド・ダンとジョン・フォード・コーリーというポップス・デュオの曲でアメリカ本国では殆どヒットしませんでしたが、日本では1972年に発売されヒットしました。
その後、1976年にアメリカで「I'd Really Love to See You Tonight (邦題:秋風の恋)」が全米第2位のヒットとなりブレイクしています。
「シーモンの涙」はシーモンという女性を優しく励ます歌です。

2023年10月 4日 (水)

10月4日 名曲100選 声楽曲篇・5 蔵王

混声合唱のための組曲「蔵王」は尾崎左永子の詞に佐藤眞が作曲した曲です。
蔵王連峰の四季の移り変わりを冬を中心に全9曲で構成しています。
1961年にニッポン放送の依頼で作曲されました。作曲者が広く一般に歌われるようにという事で技術的に優しいものを目指して作曲されています。
第1楽章 蔵王讃歌 蔵王の春を表現した明るい曲
第2楽章 投げよう林檎を 第1楽章に曲調が似た軽快な曲
第3楽章 苔の花 夏について表現したゆったりとしたテンポの曲です。
第4楽章 どっこ沼 蔵王にある沼を歌った曲。同じフレーズが4回繰り返されます。
第5楽章 おはなし 冬の生活を描いた曲。アカペラの女声4部で曲が始まり、おじいさん(バスのソロ) と孫たち(合唱)の掛け合いで曲が進行します。
第6楽章 雪むすめ この組曲で初めて前奏が登場する曲。ソプラノが歌詞を歌って他のパートがハミングでバックコーラスを務める穏やかな曲です。
第7楽章 吹雪 激しい伴奏で始まる吹雪を表現した曲
第8楽章 樹氷林 吹雪が明けてできた樹氷を表現した増三和音が多用され調性が不安定な神秘的な曲。
第9楽章 早春 厳しい冬が去り再び春が訪れる事を表現した壮大な曲です。

2023年10月 3日 (火)

10月3日 名曲100選  J-pop、歌謡曲篇・5  流星群

流星群は、鬼束ちひろが2002年2月に発売した6枚目のシングルです。
テレビドラマ「トリック2」の主題歌として採用されました。
自分の醜さを認めながらも人との繋がりを無視しては生きていけないという内容のバラード。
鬼束は1998年高校3年の時にVirgin TOKYO主催のオーディションでグランプリを受賞し翌年高校卒業と同時に上京し作曲活動を開始し、2000年2月にシングル「シャイン」でデビュー。2作目のシングル「月光」はテレビドラマ「トリック」の主題歌となり、翌年には4枚目のシングル「眩暈」でレコード大賞作詩賞を受賞しました。
「流星群」は鬼束得意のバラードで、澄み通った声が美しい楽曲を彩っています。

2023年10月 2日 (月)

10月2日 名曲100選 協奏曲篇・5 ピアノ協奏曲へ調

ガーシュウィンのピアノ協奏曲へ調は1925年に指揮者のダムロッシュの委嘱により作曲された曲です。
ガーシュウィンは作曲にあたって初めて音楽理論書を買って楽式を学んだと言われています。
オーケストレーションにグローフェの手を借りた「ラプソディ・イン・ブルー」と異な、ガーシュウィンが自力でオーケストレーションを行っています。
初演は1925年12月3日、ガーシュウィン自身のピアノ独奏、ダムロッシュ指揮のニューヨーク交響楽団の演奏でカーネギー・ホールでした。
シャズとクラシックの両方の要素を持つ作品で、当時も評価は分かれていたようです。編成は基本的にクラシックベースの3管編成で、ラプソディ・イン・ブルーで使われたサキソフォンは使われていません。
第1楽章は自由なソナタ形式。当時の大衆的なダンス音楽でチャールストンが着想源になっていてジャズの要素が垣間見られます。
第2楽章はブルース風の緩徐楽章。
第3楽章は精力的なフィナーレ。先行楽章の数々の旋律を回想しながらフィナーレを迎えます。

2023年10月 1日 (日)

10月1日 名曲100選 舞台芸術のための管弦楽曲篇・4 歌劇「セミラーミデ」序曲

「セミラーミデ」はロッシーニがヴォルテールの悲劇「セミラミス」を基に1823年に作曲したオペラ・セリアです。
古代アッシリア時代の王妃セミラーミデの悲劇です。
「セミラーミデ」の序曲はロッシーニとしては珍しく劇中の音楽を採り入れた内容になっています。
序奏部では第1幕第3場でセミラーミデに忠誠を誓う四重唱をを使っています。
主部に入ると主題として第2幕第6場冒頭の司祭たちの合唱、さらに第2幕第2場のアルサーチェのアリア「このむごい災いの一瞬に」、第1幕第2場のセミラーミデとアルサーチェの二重唱「その忠誠を永遠に」を使っています。
勿論ロッシーニクレッシェンドも勿論健在です。

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