8月27日 名曲100選 管弦楽曲篇・100 展覧会の絵(ラヴェル編曲)
名曲100選最後の曲は、ムソルグスキーのピアノ原曲をラヴェルが編曲した組曲「展覧会の絵」です。
ムソルグスキーの原曲自体が非常にユニークな作品なので、多くの音楽家が管弦楽に編曲していますが、最も知られ、最も頻繁に演奏されているのがラヴェルの編曲版です。
ピアノ版の「展覧会の絵」は、この後始まる名曲100選の第2部の器楽曲篇で登場すると思いますが、ムソルグスキーの友人の画家ハルトマンの遺作展での印象を音楽にしたものです。ムソルグスキーが絵画と絵画の間を歩く様子も表現されていますし、各曲がとても個性的な曲になっているので管弦楽に編曲してより色彩感を出す素材にぴったりだった事が、多くの編曲を産んだ理由なのでしょう。
原曲とラヴェル版の構成上の大きな違いは、第6曲と第7曲の間の第5プロムナードの有無です。ラヴェル版では第5プロムナードは削除されています。
第1プロムナード ムソルグスキーが展覧会場へ入り、最初の絵へ向かう様子を描いた曲。トランペットのソロから始まる有名な導入部です。
第1曲 こびと(グノーム) グノームは地中で暮らす精霊の一種で身長120㎝ほどの老人の風貌をしたこびと。こびと、という雰囲気の曲では無く不気味で地中世界で蠢く怪しい曲です。
第2プロムナード ホルンによって静かに始まる管楽アンサンブル中心のプロムナードです。
第2曲 古い城 アルトサキソフォンとファゴットの掛け合いで始まる厳粛な雰囲気の曲です。古い城の佇まいやそこに刻まれた歴史を感じさせる曲です。
第3プロムナード トランペットで始まる勢いのあるプロムナード。
第3曲 デュイルリーの庭 遊びの後の子供たちの口喧嘩 一定のリズムが子供たちの遊びを表現している活発な曲です。
第4曲 ビドロ(牛車) 低音楽器が牛の歩みを表現、遠くから次第に近づいて来て、クライマックスに達し、やがて遠ざかっていきます。後半のチューバソロはユーフォニアムが使われる事もあります。
第4プロムナード 短調に変奏されたプロムナードです。ビドロの雰囲気を引きずりながら次の絵へ向かっているようです。
第5曲 卵の殻をつけた雛の踊り フルートとオーボエがピヨピヨと鳴きながら飛びまわる雛鳥を表現。高音の楽器は弦楽器も含めたピヨピヨと鳴き続けます。
第6曲 サミュエル・ゴールデンベルクとシュムイレ お金持ちのゴウルデンベルクを弦楽器と木管楽器が偉そうにユニゾンで吠え、貧しいシュムイレをミュートをつけたトランペットが卑屈に喋るという曲。この二人の対比が面白い曲です。
第7曲 リモージュの市場 市場の喧騒が表現された慌ただしい曲です。
第8曲 カタコンベ、ローマ時代の墓 低音楽器とトランペットの演奏による不思議な雰囲気を醸し出す短い曲です。
※死せる言葉による死者への呼びかけ プロムナードに当たる曲
第9曲 鶏の足の上に建つ小屋 バーバ・ヤガー 魔女バーバ・ヤガーを表した激しい曲です。途中同じメロディでミステリアスに展開し再び激しさを増し、最後の曲にそのまま突入します。
第10曲 キエフの大きな門 組曲のクライマックスを演出する曲です。テレビ番組ナニコレ珍百景で使われてよく知られた旋律です。ここで使われる鐘は打楽器のレンタル会社に、この曲専用の物が用意されています。
とにかくムソルグスキーによる良くできた構成の曲が、ラヴェルによって良くできたオーケストレーションを施された傑作です。
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