8月11日 名曲100選 室内楽曲篇・98 弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」
ドヴォルザークの弦楽四重奏曲第12番ヘ長調op.96「アメリカ」はドヴォルザークがニューヨークのナショナル音楽院の院長として招かれアメリカに滞在中の1893年に作曲された曲です。
ドヴォルザークはアメリカ滞在中に黒人霊歌やアメリカ先住民の歌に興味を持ち、その影響の下に作曲したものです。アメリカ滞在中に作曲した交響曲第9番「新世界より」と帰国後に作曲されたチェロ協奏曲を合わせた3曲は、そうしたアメリカの音楽に強い影響を受けた作品です。
弦楽四重奏曲第12番は、音楽院でヴァイオリンを学んでいたコヴァリックの父親に招かれてアイオワでの夏季休暇を過ごしている最中、コヴァリック一家が演奏するために3日間でスケッチを終え、着手から2週間程度で書き上げられたものです。
第1楽章はヘ長調のソナタ形式。ヴィオラによって提示される五音音階の旋律による第1主題と、1stヴァイオリンによって提示されるイ長調の懐かしいような旋律を中心に展開される典型的なソナタ形式の楽章です。どの旋律もとても親しみやすくこの曲の人気の理由がわかる楽章です。
第2楽章はニ短調の三部形式の緩徐楽章。ヴァイオリンの黒人霊歌風のメロディによって主部が始まり、中間部はボヘミアの民謡風の音楽による郷愁を誘う楽章です。
第3楽章はヘ長調のスケルツォ。アイオワで耳にした鳥のさえずりを表現した主題。中間部はへ短調で主部から派生した音楽になっています。
第4楽章はヘ長調のロンド。非常に快活な主題から始まります。途中コラール風の副主題を持ち荘厳な雰囲気を創出し、快活な主部と対比されています。最後冒頭の主題が変形されてややスピードを落としながら快活なまま終わります。
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