8月14日 名曲100選 交響曲篇・99 交響曲第2番「復活」
名曲100選も、残り2曲。交響曲篇では、マーラーの交響曲第2番ハ短調です。
「復活」というタイトルで知られていますが、これは第5楽章で歌われるクロブシュトックの詞による賛歌「復活」から取られたものでマーラーによる題名では無いようです。
アマチュア奏者対象にマーラーの交響曲のランキングを取ると、第1番、第5番といった歌の無いものになる傾向があるようですが、一般的にはこの第2番は1,2を争う人気曲のようです。
交響曲第2番は1888年から1894年にかけて作曲されました。1892年に完成した歌曲集「子供の不思議な角笛」と密接な関係があり、第3番、第4番と共に角笛交響曲と呼ばれています。
全5楽章からなる曲で、第4楽章にアルトの独唱、第5楽章にソプラノ、アルトの独唱と混声合唱が入り75分程度の演奏時間を要します。
それぞれの楽章にマーラー自身が標題的な説明を残しています。
編成も4管編成、ホルン6、トランペット4、トロンボーン4、ティンパニは2人、その他多数の打楽器、ハープ2、オルガン、他にホルン4,トランペット4、ティンパニ1、シンバル、大太鼓、のバンダが舞台外に控えるという超特大編成になっています。
第1楽章はソナタ形式の楽章です。マーラー自身の説明では英雄の生涯を高い位置から映し、いかなる目的のために汝は生まれてきたかという命題を提示している、という内容を書いています。冒頭から低弦が荒々しくも重厚な第1主題を延々と演奏する低弦奏者にとっては痺れる展開から始まります。第2主題はヴァイオリンによって提示される上行音型。再び第1主題が出てくると金管楽器がコラール風の主題を奏で第1主題と絡んでいきます。
展開部前半は第2主題が安らかに演奏される前半と、それを打ち破って第1主題がクライマックスを築いていく後半に分かれます。再現部が終わりコーダの最後は半音階的な下降音階で終わります。
第2楽章は、英雄の過ぎ去った生涯からの純粋で汚れのない太陽の光という過去の回想を表しています。緩徐楽章ですが曲調は舞曲的です。様々にオーケストレーションを変えて何度も同じメロディが出てきます。
第3楽章はスケルツォ。「子供の不思議な角笛」の中の「魚に説教するパドヴァの聖アントニウス」と同じメロディが使われています。前楽章で美しい過去が表現されていましたが、この楽章ではより現実的な人生の中の恐ろしさという内容です。ティンパニの一発から始まりヴァイオリンによって滑らかに上下する主題がスケルツォ主題。トリオは低弦の歯切れの良いリズミックなメロディから管楽器の快活な主題が出ます。コーダはトリオの主題が盛り上がって終わります。
第4楽章は信仰の音楽。「子供の不思議な角笛」の「原光」をそのまま引用しています。アルト独唱の入る非常に美しく荘重な楽章です。
第5楽章は荒野を進んで人生の終末から最後は神によって復活が許され勝利を歌う楽章。演奏時間がこの楽章だけで30分以上の壮大なフィナーレです。細かく書くと大変なので詳細は割愛。中ほどからは合唱も加わって復活を壮大に歌い上げています。
私の演奏経験は1回だけですが、今まで演奏した数ある曲の中で、最も大変で、最も印象に残った曲です。
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