8月16日 名曲100選 歌劇のアリア篇・99 行け、我が思い、金色の翼に乗って
歌劇のアリア篇では、アリアだけではなく歌劇の中の合唱曲も含めて扱っています。
今日取り上げるのは、ヴェルディの歌劇「ナブッコ」の中の「行け、我が思い、金色の翼に乗って」(Va. pensiero,sull'ali dorate)です。
歌劇「ナブッコ」の題材は旧約聖書の「エレミヤ書」と「ダニエル書」です。「ナブッコ」は「ネブカドネザル」のイタリア語で、紀元前605年から紀元前562年にかけて在位し新バビロニア王国の最盛期を築いた2代目の王ネブカドネザル2世です。
ネブカドネザル2世は、シリアやパレスチナへの遠征を繰り返し次々と征服していきましたが、反乱を起こしたユダ王国を攻め紀元前597年にエルサレムが陥落、多くの住民をバビロニアに連行しました。これが「バビロン捕囚」と呼ばれる事件です。ユダ王国は、ダビデ王によって統一されたユダヤ教国家イスラエルが、ダビデの死後イスラエル王国とユダ王国に分裂して成立したヘブライ人の国家でした。結局、このバビロンの捕囚は新バビロニアをアケメネス朝ペルシアが滅ぼし解放される紀元前537年頃まで続きます。
「ナブッコ」では史実と異なり、バビロニアの内紛によって捕らえられたナブッコがユダヤ教の唯一神エホバによって許されエホバ神を讃えてヘブライ人たちの解放を宣言するという内容。第3幕第2場ユーフラテス川河畔で、ヘブライ人たちが祖国への想いを歌った合唱曲が「行け、我が想い、金色の翼に乗って」です。この曲は序曲の主要主題としても使われています。
「行け、我が想い、金色の翼に乗って」は旧約聖書の詩篇137「バビロンの流れのほとりに座り、シオンを思って、わたしたちは泣いた」を題材にした歌です。当時オーストリアに支配されていて統一国家を持たなかったイタリア国民は、この曲を第二の国家として愛するようになり、今でもイタリア人にとっては重要な歌となっています。
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