8月13日 名曲100選 管弦楽曲篇・98 ハイドンの主題による変奏曲
ハイドンの主題による変奏曲op.56aはブラームスが1873年に作曲した管弦楽曲です。
先に2台のピアノのための版(op.56b)が完成し、次に管弦楽曲が完成しました。
主題となる元のメロディは実はハイドンの作曲によるものではありません。ハイドンの作と考えられていたディヴェルティメント Hob.Ⅱ:46の第2楽章のコラール(聖アントニウスのコラール)を用いたもので、現在はコラール自体は古くからある讃美歌の引用であり、ディヴェルティメント自体もハイドン作ではないと考えられる様になっています。
まあ、そんな事はとにかくこの曲はロマン派以降の変奏曲の中ではお手本になるような曲だと思います。古典派以前の変奏曲は、主題の和声をあまり逸脱せずにリズムと旋律を変えて変奏をしていく曲が多かったのですが、この曲はちょっと聞いただけでは主題を想起できない変奏もあります。でも良く聴くと確かに元のメロディを感じる事ができますが第8変奏は元のメロディ全く思い浮かばないでしたね。演奏経験は2回。20分程度の曲ですが、ブラームスらしいしっかりとした構成と、へんてこなリズムと意地悪さに満ちていて、とっても難しい曲です。
主題はオーボエとファゴットがメロディを吹いて序奏も無く始まります。伴奏はホルンのサブメロディと低弦のピチカートだけのシンプルな提示です。
第1変奏は弦楽器のレガート奏法のメロディを中心に対位法的な進行の変奏です。
第2変奏は木管の付点のリズムが特徴のメロディが中心になります。低弦はものすごく忙しい分散和音のピチカートで、時々アルコ(弓で弾く)の音符が出てくるので、一番難しいのが持ち替えという難曲です。
第3変奏は曇りガラスの世界のような変奏曲。ピアニッシモとピアノだけの強弱記号の中での表現になっているので緊張感満載でフラストレーションの溜まる曲です。
第4変奏はとっても暗い曲。変ロ短調という物凄く弾きにくい調です。オーボエとホルンのメロディが二重対位法で進みます。
第5変奏スケルツォはテンポが速い上に曲の中で変奏が進むので難しい曲です。
第6変奏はホルンとファゴットによってメロディが奏でられる元気の良い曲です。
第7変奏はフルートによって演奏される懐かしい感じのメロディからはじまり、それを弦が引き継いでいきます。とっても愛らしい曲です。
第8変奏は弱音器をつけた弦楽器の不安げな動きの上に木管が陰鬱なメロディを乗せて、静かなまま盛り上がりも無く終わります。
フィナーレは壮麗なパッサカリア。主題のベースラインを低弦が9回繰り返す中で木管、ホルン、高弦楽器が変奏をしていきます。その後もベースラインが他の楽器に移り最終的にパッサカリア主題は19回変奏され、最後は主題のコラールが高らかに演奏されテンポを徐々に落とした後、いきなり大見栄を切って終わります。
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