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2023年8月31日 (木)

8月31日 名曲100選 海外のロック篇・番外編

名曲100選の海外のロック篇も、先週で終了しました。
現在のロック音楽は全く聴かなくなってしまいましたので、1960年代後半から1990年ぐらいまでが守備範囲。特に1970年代半ばまでが、私にとっては全盛期という非常に短期間の選曲になっています。
ビートルズはリアルタイムで聴いていた世代ではありませんが、アフター・ビートルズ世代なのでビートルズの音楽は殆ど聞いています。
日本のフォーク・ニューミュージック篇でも書きましたが、あまり偏ってはいけないので、ビートルズは9曲に抑えました。
本当は「エリナ・リグビー」「ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー」「オール・マイ・ラヴィング」なども入れたかったのですが。
他にはクイーンの「ラジオ・ガ・ガ」、グラス・ルーツの「恋は二人のハーモニー」、ジョン・レノンの「ハッピー・クリスマス」、ブルース・スプリングスティンの「明日なき暴走」、マウンテンの「暗黒の旅路」なんていう曲も入れたかったのですが。

来週からは木曜日は、海外のポップス篇です。こちらも1960年代半ばから1980年ぐらいがメインターゲットです。

2023年8月30日 (水)

8月30日 名曲100選 歌劇のアリア篇・番外編

名曲100選の歌劇のアリア篇も先週で終了しました。
アリア篇と言っても歌劇の中の合唱曲も含めていましたが、ご容赦ください。
私自身も、オペラ全曲というのはなかなか聴く機会が無く、演奏もアリアのガラも含めて数回しかありませんので、知っている曲自体が、他のジャンルに比べるとそれ程多くはありません。従って、「あれが入ってないぞ」とか「この曲を忘れているゾ」というのもあるとは思います。
他にも、チャイコフスキーの「エフゲニ・オネーギン」の「手紙の歌」、ベルリーニの「清教徒」の狂乱の場、モーツァルトの「魔笛」の「愛の喜びは露と消え」などが漏れちゃっています。
来週からは、水曜日はクラシックの声楽曲になります。歌曲、合唱曲、ミサ曲などの宗教曲がメインとなります。

2023年8月29日 (火)

8月29日 名曲100選 日本のフォーク・ニューミュージック篇・番外編

名曲100選の日本のフォーク・ニューミュージックも、無事終了しました。
まあニュー・ミュージック、ロック、J-popという分け方の境目も、明確な区切りがあるわけでも無いので、あくまでも主観という事でお許しください。
中島みゆきや松任谷由実、井上陽水、さだまさしなどもっと素敵な曲がいっぱいあるのですが、あんまり偏っても不味いので一人あたり数曲にとどめました。中島みゆきの「春なのに」「悪女」など、松任谷由実の「不思議な体験」「やさしさに包まれたなら」「アニバーサリー」、井上陽水の「新しいラプソディ」「東へ西へ」、さだまさしの「天までとどけ」「夕凪」「つゆのあとさき」など素敵な曲がまだたくさんありますが、そういう理由で除かれているので、必ずしも私のベスト100の曲では無いという事です。

来週からは、J-pop、歌謡曲を扱っていきます。

2023年8月28日 (月)

8月28日 名曲100選 交響曲篇・番外編

名曲100選 交響曲篇は先週で終了しましたが、番外編です。
古典派の時代に確立され、ハイドン、モーツァルトを経てベートーヴェンによって熟成された交響曲はクラシック音楽では器楽合奏の王様として今でもオーケストラの演奏会のメインプログラムを飾る曲として演奏され続けています。
今回紹介した100曲では紹介し切れず、心残りの曲もいくつかあります。例えばシューベルトの第4番「悲劇的」、第8番(第9番)「グレート」、シューマンの第4番、ショスタコーヴィチの第7番「レニングラード」、ハイドンの第103番「太鼓連打」、プロコフィエフの第7番「青春」、マーラーの大地の歌など、是非機会があったら聴いていただければ幸いです。
個人的には演奏した交響曲の数は46曲、そのうち名曲100選で取り上げなかった曲が4曲あります。また、現在更に2曲ここで取り上げなかった曲を練習しているので50曲まであと2曲。達成できるのかな?

来週からは名曲100選第2部に突入。 月曜日は協奏的作品を含めた協奏曲になります。

2023年8月27日 (日)

8月27日 名曲100選 管弦楽曲篇・100 展覧会の絵(ラヴェル編曲)

名曲100選最後の曲は、ムソルグスキーのピアノ原曲をラヴェルが編曲した組曲「展覧会の絵」です。
ムソルグスキーの原曲自体が非常にユニークな作品なので、多くの音楽家が管弦楽に編曲していますが、最も知られ、最も頻繁に演奏されているのがラヴェルの編曲版です。
ピアノ版の「展覧会の絵」は、この後始まる名曲100選の第2部の器楽曲篇で登場すると思いますが、ムソルグスキーの友人の画家ハルトマンの遺作展での印象を音楽にしたものです。ムソルグスキーが絵画と絵画の間を歩く様子も表現されていますし、各曲がとても個性的な曲になっているので管弦楽に編曲してより色彩感を出す素材にぴったりだった事が、多くの編曲を産んだ理由なのでしょう。
原曲とラヴェル版の構成上の大きな違いは、第6曲と第7曲の間の第5プロムナードの有無です。ラヴェル版では第5プロムナードは削除されています。
第1プロムナード ムソルグスキーが展覧会場へ入り、最初の絵へ向かう様子を描いた曲。トランペットのソロから始まる有名な導入部です。
第1曲 こびと(グノーム)  グノームは地中で暮らす精霊の一種で身長120㎝ほどの老人の風貌をしたこびと。こびと、という雰囲気の曲では無く不気味で地中世界で蠢く怪しい曲です。
第2プロムナード ホルンによって静かに始まる管楽アンサンブル中心のプロムナードです。
第2曲 古い城 アルトサキソフォンとファゴットの掛け合いで始まる厳粛な雰囲気の曲です。古い城の佇まいやそこに刻まれた歴史を感じさせる曲です。
第3プロムナード トランペットで始まる勢いのあるプロムナード。
第3曲 デュイルリーの庭 遊びの後の子供たちの口喧嘩 一定のリズムが子供たちの遊びを表現している活発な曲です。
第4曲 ビドロ(牛車)   低音楽器が牛の歩みを表現、遠くから次第に近づいて来て、クライマックスに達し、やがて遠ざかっていきます。後半のチューバソロはユーフォニアムが使われる事もあります。
第4プロムナード 短調に変奏されたプロムナードです。ビドロの雰囲気を引きずりながら次の絵へ向かっているようです。
第5曲 卵の殻をつけた雛の踊り フルートとオーボエがピヨピヨと鳴きながら飛びまわる雛鳥を表現。高音の楽器は弦楽器も含めたピヨピヨと鳴き続けます。
第6曲 サミュエル・ゴールデンベルクとシュムイレ お金持ちのゴウルデンベルクを弦楽器と木管楽器が偉そうにユニゾンで吠え、貧しいシュムイレをミュートをつけたトランペットが卑屈に喋るという曲。この二人の対比が面白い曲です。
第7曲 リモージュの市場 市場の喧騒が表現された慌ただしい曲です。
第8曲 カタコンベ、ローマ時代の墓 低音楽器とトランペットの演奏による不思議な雰囲気を醸し出す短い曲です。
※死せる言葉による死者への呼びかけ プロムナードに当たる曲
第9曲 鶏の足の上に建つ小屋 バーバ・ヤガー 魔女バーバ・ヤガーを表した激しい曲です。途中同じメロディでミステリアスに展開し再び激しさを増し、最後の曲にそのまま突入します。
第10曲 キエフの大きな門 組曲のクライマックスを演出する曲です。テレビ番組ナニコレ珍百景で使われてよく知られた旋律です。ここで使われる鐘は打楽器のレンタル会社に、この曲専用の物が用意されています。
とにかくムソルグスキーによる良くできた構成の曲が、ラヴェルによって良くできたオーケストレーションを施された傑作です。

 

2023年8月26日 (土)

8月26日 名曲100選 映画音楽(洋画篇)・100 サウンド・オブ・ミュージック

洋画の映画音楽最後の曲は、「サウンド・オブ・ミュージック」です。
マリア・フォン・トラップの自叙伝「トラップ・ファミリー合唱団物語」を原作とした、ロジャース&ハマースタイン二世コンビによるブロードウェイ・ミュージカルは1959年11月に初演され大ヒットとなりました。1965年にこれを映画化し、当時の歴代興行収入世界記録となる大ヒットとなりました。
オーストリアのザルツブルクの修道女見習いだったマリアは、家庭教師が長続きしなくて困っていたオーストリア= ハンガリー帝国の退役軍人ゲオルク・フォン・トラップ大佐の子供たちの家庭教師として赴任します。当初は子供たちの悪戯や大佐のあまりに厳格な教育方針に戸惑いがありましたが、持ち前の明るさで子供たちとも打ち解け、大佐も自分の教育方針の誤りに気づき始めます。
やがて様々な問題を乗り越えてマリアとゲオルクは結婚する事になります。
やがてザルツブルクにもナチスドイツの脅威が近づき、ゲオルクにもドイツ海軍から任務に就くように出頭命令が来ますが、オーストリア併合に反対するゲオルクはトラップ一家のザルツブルク音楽祭への参加を利用してスイスへ亡命する事を決意し実行する。というストーリー。
「サウンド・オブ・ミュージック」の序曲は、アルプスの自然を舞台にマリアが歌う雄大な曲です。
その後お転婆のマリアをからかって修道女たちが歌う「マリア」、トラップ大佐の家庭教師に赴任するために不安を払拭しようとマリアが歌う「自信をもって」、電報を届けに来た配達員ロルフと密かな恋仲の長女リーズルが歌う「もうすぐ17才」、雷鳴に怯えた子供たちを慰めてマリアが歌う「私のお気に入り」、子供たちが悪戯をするのは父親の気を惹きたいからだと聞いたマリアが歌を歌って気を惹いてはどうかと提案し歌の練習で子供たちと共に歌う「ドレミの歌」、ゲオルクが連れてきた婚約者のエルザと友人マックスの歓迎会で人形劇をしながら子供たちとマリアが歌う「ひとりぼっちの羊飼い」、子供たちに促されてゲオルクが歌う「エーデルワイス」、自宅で催された舞踏会で子供たちがお休みの挨拶として歌う「さようなら、ごきげんよう」、ゲオルクを愛してしまう事を恐れて戻ってきたマリアに対し修道院長が向き合って自分の道を見つけるように諭して歌う「すべての山に登れ」、ゲオルクとマリアが愛を告白しあう「何かいいこと」・・・名曲の数々です。
アカデミー賞も作品賞、監督賞など5部門を受賞し今でも色褪せないミュージカル映画となっています。

2023年8月25日 (金)

8月25日 名曲100選 室内楽曲篇・100 クラリネット五重奏曲(モーツァルト)

室内楽曲の最後の曲は、モーツァルトのクラリネット五重奏曲イ長調K.581です。
モーツァルトが友人のクラリネット奏者アントン・シュタードラーのために1789年に作曲したクラリネットと弦楽四重奏のための曲です。モーツァルトは2年後には彼のためにクラリネット協奏曲も作曲しています。
本来はシュタードラーが用いていたバセットクラリネットのために作曲したものです。バセットクラリネットは通常のクラリネットより低音域を拡張した楽器の為、現在はクラリネットで演奏できるように1802年に編曲された版を使用して演奏されます。
演奏時間は30分程度の4楽章構成の曲です。
第1楽章は弦楽器の清明な旋律にクラリネットのアルページョが乗って始まります。第2主題を含めて全体的に非常に明晰な音楽の曲です。
第2楽章はクラリネット協奏曲程では無いですが、それに似た天国的な美しさの曲。
第3楽章はメヌエット。トリオを2つ持っています。
第4楽章は変奏曲。軽快な主題に4つの変奏が続き、テンポをアダージョに落とした豊かな表情を見せた後、アレグロのテンポを速めた第6変奏が続き終曲に向かいます。
クラリネットは1700年ごろに作られた新しい楽器で、通常オーケストラで使用される木管楽器の中で唯一シングルリードの楽器です。モーツァルトは、この歴史の浅い楽器の魅力を余すことなく引き出しています。音楽史上最初の本格的なクラリネットをメインにした器楽曲であり最高傑作だと思います。ウェーバーやブラームスなどもこの分野で名曲を作曲していますが、モーツァルトのクラリネット五重奏曲は別格です。

2023年8月24日 (木)

8月24日 名曲100選 海外のロック篇・100 ボヘミアン・ラプソディ

海外のロック篇最後の曲は、クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」です。
「ボヘミアン・ラプソディ」は1975年発売の4作目のアルバム「オペラ座の夜」に収録され10月31日にシングルカットされた、フレディ・マーキュリー作詞作曲の楽曲です。イギリスでは9週連続1位となる大ヒットになりました。
1991年フレディの死後再発売された時も5週連続1位を記録し、同一アーティストの同一楽曲が2度全英1位を獲得した唯一の例となっています。イギリスの歴代シングル売上でも、エルトン・ジョンの「キャンドル・イン・ザ・ウインド」、バンド・エイドの「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス」に次ぐ3位。2002年にギネス・ワールド・レコーズ社が行った「英国史上最高のシングル曲」のアンケートでは2位のジョン・レノンの「イマジン」を抑えて1位となり、2018年にはYou Tubeやspotifyなどのストリーミング再生が16億回に達し20世紀に発表された楽曲の中で全世界で最もストリーミング再生が多い楽曲となっています。
「ボヘミアン・ラプソディ」は、クイーンの特徴でもある、シンセサイザーを使わずギターやコーラスの多重録音を多用した曲作りになっています。
内容は、適当に生きていた少年が殺人を犯してしまい、最初はどうでもいいと思っていましたが、悪魔や神様のような存在に裁かれる時になって、やっぱり生きたい、逃がしてほしい、と本心が現れてきたけれど、時すでに遅し、というような内容です。
「ボヘミアン」はロマ(ジプシー) を表わし、自由に生きる人という意味になりますし、ラプソディは「狂詩曲」と訳される自由な形式の民俗的または叙事的な内容を持つ曲という事で、全体的には自由奔放を表した題名です。
曲はいくつかのパートに分かれ、それぞれが独自のメロディを持ち、その変化も楽しめる曲です。

2023年8月23日 (水)

8月23日 名曲100選 歌劇のアリア篇・100 私の名はミミ

歌劇のアリア篇最後の曲は、プッチーニの「ラ・ボエーム」の「私の名はミミ」(Si, mi chiamano Mimi)です。
「ラ・ボエーム」は4幕の作品で、パリに暮らすボヘミアンの生活と愛を描いたものです。
ボヘミアンというのは、元々はボヘミア人の事ですが、比喩的に定住性に乏しく、異なった伝統や習慣を持ち、周囲からの蔑視をものともしない人々の事を意味するフランス発祥の言葉です。これは15世紀ごろフランスに流入していたロマが主にボヘミア出身だったことが背景にあります。
「ボヘミアン」の別称が「ボエーム」です。
最初の舞台は、パリのボヘミアン仲間が暮らす屋根裏部屋。そこに住むのが画家のマルチェッロ、詩人のロドルフォ、哲学者のコッリーネ、お針子のミミといったこのオペラのキャストたちです。
第1幕 クリスマスの日、ロドルフォの部屋に火を借りに来たミミがめまいを起こして倒れこみ、介抱されて落ち着いたミミが鍵を忘れて立ち去ってしまい、戻って来ますが、ロドルフォは鍵を隠してミミと話をします。その際にミミが自己紹介のために歌うアリアが「私の名はミミ」です。
「私はミミと呼ばれています。何故そう呼ばれているかは知りません・・・」と歌う非常に美しいソプラノのアリアです。
この後、ミミはロドルフォの恋に落ちます。
第2幕は、ボヘミアン仲間がパリの街に繰り出しカフェで食事をしている場面です。そこへマルチェッロの元カノのムゼッタが金持ちにパトロンと共にやって来ます。そこでムゼッタがマルチェッロの気を引こうとして歌うのが「私が街をあるけば」というムゼッタのアリアです。ムゼッタはマルチェッロと縒りを戻しパトロンに食事代の勘定書きを押し付けて去っていきます。
第3幕では、ミミがロドルフォが嫉妬深くうまくいかないとマルチェッロに悩みを打ち明けますが、そこへロドルフォがやって来ます。ミミは隠れて、ロドルフォはミミの病気が重く自分と暮らしていては助からないので別れなければならない、と本心を聞いてしまいます。彼の配慮を感じたミミは別れを告げます。
第4幕では、ロドルフォもマルチェッロも恋人と別れますが、二人とも恋人の事が忘れられません。そこへムゼッタが死ぬ前に一度ロドルフォに会いたいという金持ちの世話になっているミミを連れてきますが、ミミは倒れてしまいそこで息絶えてしまいます。
これが全体のストーリーです。
「ラ・ボエーム」自体大変に人気の高いオペラですし、「私の名はミミ」はガラ・コンサートなどの定番の曲。プッチーニのオペラのソプラノ歌手のアリアでは「蝶々夫人」の「ある晴れた日に」、「トスカ」の「歌に生き、恋に生き」、「ジャンニ・スキッキ」の「私のお父さん」と並ぶ人気曲です。

2023年8月22日 (火)

8月22日 名曲100選 日本のフォーク・ニューミュージック篇・100 時代

日本のフォーク・ニューミュージック篇の最後の曲は、中島みゆきの「時代」です。
中島みゆきは1975年5月の第9回ポピュラーソング・コンテスト(以下ポプコンと略)に「傷ついた翼」が入賞し9月に「アザミ嬢のララバイ」でレコード・デビュー。1975年10月の第10回ポプコンで「時代」によってグランプリを受賞し11月の第6回世界歌謡祭でもグランプリを受賞しました。
12月に2枚目のシングルとして発売されたのが、「時代」です。
その後、シンガー・ソングライター及びソングライターとして活躍し続けている中島みゆきは1970年代から2000年代まだ4つの年代でオリコン1位を獲得し、ソングライターとして1970年代から2010年代まで5つの年にわたってオリコン1位の曲を提供しているといった記録を持っています。
「時代」は、人生の応援ソングとして音楽の教科書に掲載されたり、卒業式で歌われたりと後世に残る曲のひとつとして2006年に文化庁などによって選定された「日本の歌百選」にも選ばれています(順位付けはされていません)。
この日本の歌百選に選ばれたフォーク系の曲は「いい日旅立ち」「今日の日はさようなら」「秋桜」「翼をください」と「時代」の5曲でした。
「時代」はオリジナルの物以外に数多くのバージョンが中島みゆき自身によって録音されていますが、個人的にはオリジナルが一番好きです。様々な投票などでも、中島みゆきの曲で最も好きな曲、ベスト曲を調査すると「時代」がトップになることが殆どという程人気の高い曲です。
オリジナル・バージョンのYou Tubeは無かったので別バージョンですが・・

 

2023年8月21日 (月)

8月21日 名曲100選 交響曲篇・100 交響曲第9番「新世界より」

名曲100選、今週はいよいよ最後の曲になります。
交響曲篇の最後の曲は、ドヴォルザークの交響曲第9番ホ長調op.95「新世界より」です。
ドヴォルザークがアメリカのナショナル音楽院の院長として滞在した3年間に作曲された曲のひとつです。「新世界より」という副題はアメリカから故郷のボヘミアへのメッセージという意味合いがあります。ネイティヴ・アメリカンや黒人の音楽に刺激を受けたメロディが数多く登場しますが全てドヴォルザークのオリジナルで、従来の民謡などは使っていない事を考えると、ドヴォルザークのメロディ・メーカーとしての才能には驚かされます。この交響曲は、第2楽章のコラールの後の主題が知らない人は殆どいないというぐらい有名ですが、それ以外にも魅力にあふれる曲です。
編成は2管編成ですが、一部物凄く贅沢な楽器の使い方がされています。
①ピッコロ 奏者はフルート奏者が持ち替えで演奏。第1楽章の4小節だけ。まあ、とっても小さな楽器なので持ってくるのが面倒ではありませんが、チューニングとかは手間かかりますよね。
②コール・アングレ 言わずと知れた第2楽章の「遠き山に日は落ちて」のメロディを担当しますが、登場は第2楽章の3か所のみ。第2オーボエの奏者が持ち替えて吹くことになっていますが、持ち替えの為に休みが1小節未満(4拍子の3.5拍)なので実際は別の奏者が吹く事が慣習的です。
③チューバ 第2楽章の初めのコラール5小節と最後の方にあるコラール4小節のみ。こちらはピッコロと違って楽器大きいのでこれだけの為に楽器持ってくるの大変です。是非とも、「新世界より」をプログラムする場合、他の曲にチューバが登場する楽器を選んで貰いたいと思います。
④シンバル これこそ、贅沢の極み。第4楽章の提示部の第1主題から第2主題への経過部に一発だけ、しかも聞こえるか聞こえないかわからない程度の音量なのです。奏者は第3楽章のみに登場するトライアングルと兼務が普通なのでこの音一発だけではありませんが、シンバルは重い楽器ですし、演奏しない時にはきちんとスタンドなどにセッティングしておかないと、共鳴してしまう事があるので、そのスタンドなどを準備する手間もあります。
ドヴォルザークは、第8番でも12小節のみのピッコロと2小節半のみのコール・アングレなんていう前科があるので不思議ではありませんけど。
曲は、古典的な4つの楽章で構成されています。
第1楽章は序奏つきのソナタ形式。序奏は弦楽器によって穏やかに始まり、ホルンの音を挟んで木管楽器に旋律が移ります。突然荒々しい雄叫びがあがり一旦静まった後、第1主題の断片を演奏しながら盛り上がって行き、ティンパニのトレモロに続き高弦のトレモロが鳴り、ホルンによって第1主題が提示されます。第2主題はフルートとオーボエで黒人霊歌を思わせる旋律が奏でられます。コーダは戦闘的な雰囲気で短音階のまま強烈に楽章を終わります。
第2楽章は、三部形式。管楽器のコラールの後、有名な「遠き山に日は落ちて」の第1主題、フルートとオーボエによって提示されるちょっとテンポの速い経過メロディから、コントラバスのピチカートに乗ってクラリネットが奏でるゆっくりとしたメロディと、この楽章は印象的なメロディの宝庫です。中間部はオーボエのソロから始まる長調に転調した細かい動きのメロディがやがて弦楽器に変わり形を変えていきますが、そこでいきなり第1楽章の断片がトロンボーンによって現れ、弦に移って音量を落として、冒頭の主題に戻っていきます。最後は静かにコントラバスの和音で楽章を閉じます。
第3楽章はスケルツォ。インディアンの祝宴を描いた詩にヒントを得て作曲された楽章ですが、メロディの多彩さは健在。トライアングルの入った短い序奏の後木管による舞曲風の主題が入ります。その後出て来るメロディは四七抜き音階なので日本人には親しみやすいメロディ、中間部は森進一の「花と蝶」のサビの部分にそっくりのメロディです。
第4楽章も短い序奏は、映画「ジョーズ」の音楽にも、ドヴォルザークが大好きだった蒸気機関車の出発にも似た序奏です。その後堂々とした第1主題が金管を中心に呈示されます。そしてシンバルが一発静かに打たれると第2主題がクラリネットによって優美に奏されます。展開部では第1楽章や第2楽章、第3楽章の主題が断片的に登場し再現部に突入。コーダにも以前の楽章の音楽が絡みつき、最後に第4楽章の第1主題が静かに戻ってきて、徐々にクライマックスを形成し最後は管楽器の和音の音が残って余韻と共に終わります。

 

2023年8月20日 (日)

8月20日 名曲100選 管弦楽曲篇・99 惑星

管弦楽曲も残り2曲。まずは、ホルストの組曲「惑星」op.32です。
ホルストの代表作で1914年から1916年にかけて作曲されました。
今でこそ、イギリスを代表する作品のひとつとして認識され、作曲者のホルストもイギリスの有名作曲家のひとりとされていますが、惑星もホルストも20世紀半ば過ぎまでは忘れられた存在でした。
この曲が再評価されるきっかけとなったのが、1961年頃にカラヤンがウィーン・フィルの演奏会で取り上げ、レコーディングをして大評判となった事です。
現在では、「火星」と「木星」は非常に知られた曲となり、特に日本では「木星」は平原綾香が「ジュピター」のタイトルでデビュー曲として歌ってクラシック・ファン以外の間でも有名になりました。
この曲が、半世紀近く埋もれてしまったのには原因があります。1つは編成の問題。4管編成のためアマチュア・オーケストラでは滅多やたらに演奏できる編成では無い事と、最後の海王星だけのために女声合唱が必要な事。演奏するためには、女声合唱団の助けが必要なのですが、わずか数分のために合唱団が無料で或いは参加費を払って協力してくれません。しかもこの女声合唱は舞台の外で歌うので尚更、お金を払って歌ってもらう必要があるわけですから、余計敷居が高くなります。
もう1つは、ホルトスによる厳格な制約。楽器編成の厳守、抜粋演奏の禁止、アレンジの禁止というのがその制約でホルストの死後も遺族によって守られてきました。楽器編成はアマチュア団体に限り編成の縮小を認めていましたが、「木星」だけ演奏したいと考えても認めらなかったので、おのずと演奏される機会が非常に少なかったわけです。
1976年に冨田勲によるシンセサイザー演奏が許可されて、この制約は緩められ、やがて プログレッシブ・ロックや吹奏楽でも演奏されるようになり高い知名度を得るようになったわけです。
曲は太陽系の8つの天体から地球を除いた7曲からなります。冥王星が発見されたのが1930年なのでこの曲には入っていませんが、後にホルスト協会理事の作曲家コリン・マシューズが冥王星を作曲してそれを付け加えて演奏する事もありましたが、2006年に冥王星は惑星から除外されたため余計なお世話だったようです。
各曲には副題が付けられています。
第1曲 火星、戦争をもたらす者 4分の5拍子の「タカタ タン タン タタ タン」の特徴的なリズムに乗った挑発的な曲です。
第2曲 金星 平和をもたらす者 緩徐楽章に相当する曲
第3曲 水星 翼のある使者 スケルツォに相当する曲。
第4曲 木星 快楽をもたらす者 三部形式で第4主題はホルストによって管弦楽付きコラールにも編曲されて、イギリスの愛国的な讃歌として歌われていますし、前述の平原綾香の「ジュピター」もこの旋律を使っています。
第5曲 土星 老いをもたらす者。組曲中最長の曲で、特殊な和音が多用されています。
第6曲 天王星 魔術師。スケルツォに近い楽章です。
第7曲 海王星 神秘主義者。5拍子の曲で後半に女声合唱が加わり、最後は女声合唱のみになりますが、反復記号によって音が無くなるまで繰り返すように指示されています。いわゆるフェード・アウト効果を狙っているため、これも生演奏をしにくい原因になっています。

2023年8月19日 (土)

8月19日 名曲100選 映画音楽(洋画)篇・99 デボラのテーマ

ミュージカル映画以外で、映画全体を彩る音楽のイチオシは、「ワンス・アポ・ア・タイム・イン・アメリカ」の音楽です。
「ワンス・アポ・ア・タイム・イン・アメリカ」はセルジオ・レオーネ監督の遺作となる1984年公開の作品。音楽を担当したのがレオーネ監督との名コンビで「荒野の用心棒」や「夕陽のガンマン」など数々の映画音楽を手掛けたエンニオ・モリコーネです。
エンニオ・モリコーネは2020年91歳で亡くなった映画音楽の巨匠で、レオーネとのコンビ以外でも、「死刑台のメロディ」の「勝利への讃歌」、ニュー・シネマ・パラダイスなど琴線に触れる数々の音楽を世に出しました。
「ワンス・アポ・ア・タイム・イン・アメリカ」は、1920年代のニューヨークの貧しいユダヤ系移民の子、ヌードルス(ロバート・デ・ニーロ)と友人のマックス(ジェームズ・ウッズ)の少年時代、青年期、壮年期の3つの時代を描いた大河ドラマです。
映画はカンヌ国際映画祭で先行上映されて高い評価を得ましたが、アメリカでの公開時に3時間を超える作品のため一般観衆に受け入れやすくするために製作会社が大幅にカットして上映したため酷評されました。その後レオーネ自身の編集によって3時間49分の完全版を再公開したところ絶賛されるようになったという事です。日本での公開は最初からオリジナル版でしたので高評価を得ています。
基本的にはギャング映画ですが、ヌードルスとマックスの友情と裏切り、そして衝撃の再開という人間ドラマの色が強い作品です。
音楽は、「デボラのテーマ」、「少年時代の記憶」、スペインの歌曲をリメイクした「アマポーラ」、「コックアイの歌」などどの曲も名曲 ぞろいです。
特に「デボラのテーマ」は低弦の持続音の中から湧き出て来る美しいメロディが印象的な曲です。映画音楽全体でパン・フルートを活用しておりそれによって情感あふれる音楽になっています。デボラは、ヌードルスが少年時代から憧れた上昇志向の強い女の子。少女時代はジェニファー・コネリー、青年期以降はエリザベス・カクガヴァンが演じています。

2023年8月18日 (金)

8月18日 名曲100選 室内楽曲篇・99 弦楽四重奏曲第2番(ボロディン)

ボロディンの弦楽四重奏曲第2番ニ長調は1881年に作曲されました。
ボロディンが妻のエカテリーナに愛を告白した20周年の記念として夫人に献呈されました。
化学者、医者としても活躍していたボロディンは、その忙しさから自ら「日曜作曲家」と称する程作曲に関しては遅筆として有名でした。
歌劇「イゴーリ公」は1869年から書き始め1987年で亡くなった時点ではまだ未完でしたし、交響曲第1番は6年、第2番は7年と大作の完成には長い期間を要していますが、この弦楽四重奏曲第2番は、完成目標の期限があったからか1年で書き上げました。
この曲が知られるようになった最大の要因は第3楽章のノクターンの存在です。とても美しいメロディのロマンティックな楽章ですが、この曲全体が美しいメロディに溢れていますので、是非全曲を聞いてもらいたいものです。
第1楽章は冒頭からいきなり民俗的な美しいメロディの第1主題が登場します。第2主題は速めのテンポでやや活発になりますが、透明感は失われません。
第2楽章はスケルツォ楽章ですが、三部形式ではなくソナタ形式になっています。
第3楽章はノクターン。三部形式、ソナタ形式に変奏曲が折衷された楽章です。弦楽合奏や、管弦楽など様々な形式に編曲されています。第2主題は動きが速くなって提示されますが、直ぐに第1主題が絡んで来ます。
第4楽章は、打って変わって途切れ途切れに第1主題の断片がゆっくりと演奏される序奏に続いて、テンポを速めて主部に入ります。この楽章は断片の組み合わせや展開を楽しみながら、最後はテンポを緩めながらコーダを演奏します。

 

2023年8月17日 (木)

8月17日 名曲100選 海外のロック篇・99 ローズ

100選の海外のロック篇も残すところ2曲。ラス前に選んだのは、ベット・ミドラーの「ローズ」です。
ベット・ミドラーはホノルル出身のロック歌手。1972年に「アメリカが生んだ最後のシンガー/ベット・ミドラー・デビュー」という大仰なタイトルのアルバムでデビューし全米9位のヒットを記録。デビュー・シングルの「踊ろよベイビー」は全米17位、セカンド・シングルはアンドリュー・シスターズのリメイク「ブギ・ウギ・ビューグル・ボーイ」で全米8位になり順調なデビューを飾り、グラミー賞の最優秀新人賞を受賞しました。
元々演劇を学んで舞台女優を目指していた彼女は、シリアスもコメディもこなせる女優として現在も活躍していますが、その最初となったのが1979年の映画「ローズ」の主役でした。
「ローズ」は早逝のロックシンガージャニス・ジョプリンをモデルにした映画。ベトナム戦争中の60年代アメリカを舞台に、酒と麻薬に溺れながらも歌い続けた女性ロック・シンガー「ローズ」の愛と激情の人生を描いています。
主題曲の「ローズ」はカリフォルニア出身の女性シンガー・ソングライター アマンダ・マクブルームの作詞作曲で、当時のプロデューサーたちはこの曲を「退屈」だとか、「讃美歌であってロックンロールではない」と考えて却下しましたが、この映画の音楽担当であり、ジャニス・ジョプリンのプロデューサーでもあったポール・ロスチャイルドはこの曲を強く推し、最終的に主演のベット・ミドラーが気に入って採用されました。
この作品で、ベット・ミドラーはグラミー賞最優秀女性ポップ・ボーカル・パフォーマンスを受賞。作者のマクブルームもゴールデングローブ賞の主題歌賞を受賞しました。
カバーもジュディ・コリンズ、ナナ・ムスーリ、ボニー・タイラー他日本人によるカバーも大変に多い曲で、1991年にはジブリ映画「おもひでぽろぽろ」の主題歌として監督の高畑勲が訳詞をした「愛は花、君はその種子」を都はるみが歌ってカバーし、そのカバーも数多くあります。
曲は静かに始まり、徐々にテンションを上げてクライマックスを迎え、最後はまた静かに終わります。

2023年8月16日 (水)

8月16日 名曲100選 歌劇のアリア篇・99 行け、我が思い、金色の翼に乗って

歌劇のアリア篇では、アリアだけではなく歌劇の中の合唱曲も含めて扱っています。
今日取り上げるのは、ヴェルディの歌劇「ナブッコ」の中の「行け、我が思い、金色の翼に乗って」(Va. pensiero,sull'ali dorate)です。
歌劇「ナブッコ」の題材は旧約聖書の「エレミヤ書」と「ダニエル書」です。「ナブッコ」は「ネブカドネザル」のイタリア語で、紀元前605年から紀元前562年にかけて在位し新バビロニア王国の最盛期を築いた2代目の王ネブカドネザル2世です。
ネブカドネザル2世は、シリアやパレスチナへの遠征を繰り返し次々と征服していきましたが、反乱を起こしたユダ王国を攻め紀元前597年にエルサレムが陥落、多くの住民をバビロニアに連行しました。これが「バビロン捕囚」と呼ばれる事件です。ユダ王国は、ダビデ王によって統一されたユダヤ教国家イスラエルが、ダビデの死後イスラエル王国とユダ王国に分裂して成立したヘブライ人の国家でした。結局、このバビロンの捕囚は新バビロニアをアケメネス朝ペルシアが滅ぼし解放される紀元前537年頃まで続きます。
「ナブッコ」では史実と異なり、バビロニアの内紛によって捕らえられたナブッコがユダヤ教の唯一神エホバによって許されエホバ神を讃えてヘブライ人たちの解放を宣言するという内容。第3幕第2場ユーフラテス川河畔で、ヘブライ人たちが祖国への想いを歌った合唱曲が「行け、我が想い、金色の翼に乗って」です。この曲は序曲の主要主題としても使われています。

「行け、我が想い、金色の翼に乗って」は旧約聖書の詩篇137「バビロンの流れのほとりに座り、シオンを思って、わたしたちは泣いた」を題材にした歌です。当時オーストリアに支配されていて統一国家を持たなかったイタリア国民は、この曲を第二の国家として愛するようになり、今でもイタリア人にとっては重要な歌となっています。

2023年8月15日 (火)

8月15日 名曲100選 日本のフォーク・ニューミュージック篇・99 あの素晴しい愛をもう一度

「あの素晴しい愛をもう一度」は、北山修が作詞し加藤和彦が作曲し1971年4月に発売されました。
当初はシモンズのデビュー曲として用意された曲ですが、シモンズには別の曲「恋人もいないので」が用意され「あの素晴しい愛をもう一度」は北山と加藤が歌う事になりました。
スリー・フィンガーにようギター伴奏は、当時のギター小僧たちのコピーの的となりオリコン10位のヒットとなっています。
北山修や2002年新結成(実際は再結成)のザ・フォーク・クルセダーズのセルフカバーを含め、天地真理、井上陽水、桑田佳祐、ダ・カーポ、チェリッシュ、玉置浩二、トワ・エ・モア、ザ・ピーナッツ、ブラザーズ・フォア、ベンチャーズなど多くのアーチストにカバーされ、中学校の音楽の教科書に採用されたり、合唱コンクールの定番曲としても愛される名曲です。
特に加藤和彦が絶賛した北山修の歌詞は、心が通い合わなくなった恋人を懐かしんで歌いながら、未練タラタラという感じではなく、ノスタルジックに表現した素敵な歌詞です。

2023年8月14日 (月)

8月14日 名曲100選 交響曲篇・99 交響曲第2番「復活」

名曲100選も、残り2曲。交響曲篇では、マーラーの交響曲第2番ハ短調です。
「復活」というタイトルで知られていますが、これは第5楽章で歌われるクロブシュトックの詞による賛歌「復活」から取られたものでマーラーによる題名では無いようです。
アマチュア奏者対象にマーラーの交響曲のランキングを取ると、第1番、第5番といった歌の無いものになる傾向があるようですが、一般的にはこの第2番は1,2を争う人気曲のようです。
交響曲第2番は1888年から1894年にかけて作曲されました。1892年に完成した歌曲集「子供の不思議な角笛」と密接な関係があり、第3番、第4番と共に角笛交響曲と呼ばれています。
全5楽章からなる曲で、第4楽章にアルトの独唱、第5楽章にソプラノ、アルトの独唱と混声合唱が入り75分程度の演奏時間を要します。
それぞれの楽章にマーラー自身が標題的な説明を残しています。
編成も4管編成、ホルン6、トランペット4、トロンボーン4、ティンパニは2人、その他多数の打楽器、ハープ2、オルガン、他にホルン4,トランペット4、ティンパニ1、シンバル、大太鼓、のバンダが舞台外に控えるという超特大編成になっています。
第1楽章はソナタ形式の楽章です。マーラー自身の説明では英雄の生涯を高い位置から映し、いかなる目的のために汝は生まれてきたかという命題を提示している、という内容を書いています。冒頭から低弦が荒々しくも重厚な第1主題を延々と演奏する低弦奏者にとっては痺れる展開から始まります。第2主題はヴァイオリンによって提示される上行音型。再び第1主題が出てくると金管楽器がコラール風の主題を奏で第1主題と絡んでいきます。
展開部前半は第2主題が安らかに演奏される前半と、それを打ち破って第1主題がクライマックスを築いていく後半に分かれます。再現部が終わりコーダの最後は半音階的な下降音階で終わります。
第2楽章は、英雄の過ぎ去った生涯からの純粋で汚れのない太陽の光という過去の回想を表しています。緩徐楽章ですが曲調は舞曲的です。様々にオーケストレーションを変えて何度も同じメロディが出てきます。
第3楽章はスケルツォ。「子供の不思議な角笛」の中の「魚に説教するパドヴァの聖アントニウス」と同じメロディが使われています。前楽章で美しい過去が表現されていましたが、この楽章ではより現実的な人生の中の恐ろしさという内容です。ティンパニの一発から始まりヴァイオリンによって滑らかに上下する主題がスケルツォ主題。トリオは低弦の歯切れの良いリズミックなメロディから管楽器の快活な主題が出ます。コーダはトリオの主題が盛り上がって終わります。
第4楽章は信仰の音楽。「子供の不思議な角笛」の「原光」をそのまま引用しています。アルト独唱の入る非常に美しく荘重な楽章です。
第5楽章は荒野を進んで人生の終末から最後は神によって復活が許され勝利を歌う楽章。演奏時間がこの楽章だけで30分以上の壮大なフィナーレです。細かく書くと大変なので詳細は割愛。中ほどからは合唱も加わって復活を壮大に歌い上げています。
私の演奏経験は1回だけですが、今まで演奏した数ある曲の中で、最も大変で、最も印象に残った曲です。

2023年8月13日 (日)

8月13日 名曲100選 管弦楽曲篇・98 ハイドンの主題による変奏曲

ハイドンの主題による変奏曲op.56aはブラームスが1873年に作曲した管弦楽曲です。
先に2台のピアノのための版(op.56b)が完成し、次に管弦楽曲が完成しました。
主題となる元のメロディは実はハイドンの作曲によるものではありません。ハイドンの作と考えられていたディヴェルティメント Hob.Ⅱ:46の第2楽章のコラール(聖アントニウスのコラール)を用いたもので、現在はコラール自体は古くからある讃美歌の引用であり、ディヴェルティメント自体もハイドン作ではないと考えられる様になっています。
まあ、そんな事はとにかくこの曲はロマン派以降の変奏曲の中ではお手本になるような曲だと思います。古典派以前の変奏曲は、主題の和声をあまり逸脱せずにリズムと旋律を変えて変奏をしていく曲が多かったのですが、この曲はちょっと聞いただけでは主題を想起できない変奏もあります。でも良く聴くと確かに元のメロディを感じる事ができますが第8変奏は元のメロディ全く思い浮かばないでしたね。演奏経験は2回。20分程度の曲ですが、ブラームスらしいしっかりとした構成と、へんてこなリズムと意地悪さに満ちていて、とっても難しい曲です。
主題はオーボエとファゴットがメロディを吹いて序奏も無く始まります。伴奏はホルンのサブメロディと低弦のピチカートだけのシンプルな提示です。
第1変奏は弦楽器のレガート奏法のメロディを中心に対位法的な進行の変奏です。
第2変奏は木管の付点のリズムが特徴のメロディが中心になります。低弦はものすごく忙しい分散和音のピチカートで、時々アルコ(弓で弾く)の音符が出てくるので、一番難しいのが持ち替えという難曲です。
第3変奏は曇りガラスの世界のような変奏曲。ピアニッシモとピアノだけの強弱記号の中での表現になっているので緊張感満載でフラストレーションの溜まる曲です。
第4変奏はとっても暗い曲。変ロ短調という物凄く弾きにくい調です。オーボエとホルンのメロディが二重対位法で進みます。
第5変奏スケルツォはテンポが速い上に曲の中で変奏が進むので難しい曲です。
第6変奏はホルンとファゴットによってメロディが奏でられる元気の良い曲です。
第7変奏はフルートによって演奏される懐かしい感じのメロディからはじまり、それを弦が引き継いでいきます。とっても愛らしい曲です。
第8変奏は弱音器をつけた弦楽器の不安げな動きの上に木管が陰鬱なメロディを乗せて、静かなまま盛り上がりも無く終わります。
フィナーレは壮麗なパッサカリア。主題のベースラインを低弦が9回繰り返す中で木管、ホルン、高弦楽器が変奏をしていきます。その後もベースラインが他の楽器に移り最終的にパッサカリア主題は19回変奏され、最後は主題のコラールが高らかに演奏されテンポを徐々に落とした後、いきなり大見栄を切って終わります。

2023年8月12日 (土)

8月12日 名曲100選 映画音楽(洋画)篇・98 風と共に去りぬ

「風と共に去りぬ」(Gone with the Wind)は1936年に出版されたマーガレット・ミッチェルの長編時代小説を原作とした南北戦争の時代を描いた超大作。映画の公開は1939年、上演時間は3時間42分にもなる大作でした。
奴隷制が残るアメリカ南部のジョージア州タラの農園主の娘スカーレット・オハラの波乱の半生を描いた作品です。
最愛の男性アシュレーが従姉妹のメラニーと結婚し、その当てつけでメラニーの弟チャールズと結婚するも、結婚2カ月で長男ウェードを残し病死。息子を連れて移住したアトランタで野心家のレット・バトラーと再会するが南北戦争が激化し北軍によってアトランタも陥落目前となりレットは南軍に従軍してしまいます。故郷のタラの農場を守るための税金にも窮し、金の工面のため妹の恋人フランクを奪って結婚するもフランクは殺されてしまいます。やがてスカーレットはレットと三度目の結婚をし娘ポニーを出産し、レットもポニーを溺愛しますが、落馬して死んでしまい二人の最後の絆が断たれ、レットは家を出て行ってしまいます。
親友のメラニーも病死し、スカーレットは自分がレットを本当に愛していた事を知りますが、レットはスカーレットを追う事に疲れ切ってしまい故郷のチャールストンに帰ってしまいます。孤独になったスカーレットは明日に希望を託し絶望の中から一歩踏み出します。

スカーレットを演じたのはビビアン・リー、レットはクラーク・ゲーブル、メライーはオリヴィア・デ・ハヴィランドが演じ、監督はヴィクター・フレミング。音楽はマックス・スタイナーが担当しました。アカデミー賞は作品賞、監督賞、主演女優賞、助演女優賞(オハラ家の奴隷でスカーレットの乳母。黒人俳優初のアカデミー賞受賞) など主要8部門や特別賞など合計11部門を受賞しました。
私は勿論映画公開の時は生まれていませんでしたが1972年2月11日世界初のシネラマ方式でのリバイバル・ロードショーを新宿ミラノ座で見ました。何で日にちまで覚えているかというと、2月6日に札幌オリンピックで金銀銅独占した70m級(当時はノーマルヒルとかラージヒルとは言わなかった)ジャンプを受けて、90m級ジャンプが実施された日。ラジオ持参で映画を見たために覚えているわけです。90m級では笠谷が7位に入賞しただけでしたが。
話を元に戻しますが、「風と共に去りぬ」の「タラのテーマ」は映画史に残る名曲のひとつだと思います。後半コーラスでディキシーランドのメロディが入りますが、これも素晴らしい。アカデミー作曲賞は「オズの魔法使い」のハーバート・ストサートが受賞しています。
AFI(America Film Institute)が2005年に選出したアメリカ映画のランキングでは「スター・ウォーズ」に次ぐ2位、2009年映画音楽誕生100年を記念してハリウッド・レポーター誌が映画音楽作曲家と関係者の投票で選定した「オールタイム映画音楽ベスト100」では8位など高い人気を保っています。もっとも、映画も上記のAFI ランキングでは第4位と映画自体も高人気です。

2023年8月11日 (金)

8月11日 名曲100選 室内楽曲篇・98 弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」

ドヴォルザークの弦楽四重奏曲第12番ヘ長調op.96「アメリカ」はドヴォルザークがニューヨークのナショナル音楽院の院長として招かれアメリカに滞在中の1893年に作曲された曲です。
ドヴォルザークはアメリカ滞在中に黒人霊歌やアメリカ先住民の歌に興味を持ち、その影響の下に作曲したものです。アメリカ滞在中に作曲した交響曲第9番「新世界より」と帰国後に作曲されたチェロ協奏曲を合わせた3曲は、そうしたアメリカの音楽に強い影響を受けた作品です。
弦楽四重奏曲第12番は、音楽院でヴァイオリンを学んでいたコヴァリックの父親に招かれてアイオワでの夏季休暇を過ごしている最中、コヴァリック一家が演奏するために3日間でスケッチを終え、着手から2週間程度で書き上げられたものです。
第1楽章はヘ長調のソナタ形式。ヴィオラによって提示される五音音階の旋律による第1主題と、1stヴァイオリンによって提示されるイ長調の懐かしいような旋律を中心に展開される典型的なソナタ形式の楽章です。どの旋律もとても親しみやすくこの曲の人気の理由がわかる楽章です。
第2楽章はニ短調の三部形式の緩徐楽章。ヴァイオリンの黒人霊歌風のメロディによって主部が始まり、中間部はボヘミアの民謡風の音楽による郷愁を誘う楽章です。
第3楽章はヘ長調のスケルツォ。アイオワで耳にした鳥のさえずりを表現した主題。中間部はへ短調で主部から派生した音楽になっています。
第4楽章はヘ長調のロンド。非常に快活な主題から始まります。途中コラール風の副主題を持ち荘厳な雰囲気を創出し、快活な主部と対比されています。最後冒頭の主題が変形されてややスピードを落としながら快活なまま終わります。

 

2023年8月10日 (木)

8月10日 名曲100選 海外のロック篇・98 ロックン・ロール・シンガー

「ロックン・ロール・シンガー」(I'm Just a Singer(In a Rock and Roll Band)は、ムーディー・ブルースの唯一の全米ナンバーワンとなったアルバム「セヴンス・ソジャーン」から1973年にシングルカットされ全米12位となった曲です。
ムーディー・ブルースは1964年に活動を開始したロック・バンドで、サンプル音声再生楽器メロトロンをいち早く取り入れたプログレッシブ・ロックの草分け的なバンドです。当初はR&B的なサウンドでしたがメンバー入れ替えによってジョン・ロッジとジャスティン・ヘイワードが加入しメロトロン、シンセを駆使した前衛的な音楽で新しいロックへと歩んでいきます。1967年に発売された「サテンの夜」は当初全英19位のヒットでしたが、1972年にラジオ局から火がついて全英9位、全米2位の大ヒットとなり代表曲となりました。
1972年発売の「セヴンス・ソジャーン」発表後、メンバーのソロ活動が中心となり一時活動が停滞。「ロックン・ロール・シンガー」はその直前のヒット曲となりました。
ドラムのリズムから始まりベースギターの刻むリズムを経てコーラスが始まり電子楽器を駆使した複雑な音楽づくりが、これぞプログレの草分けを感じさせます。

2023年8月 9日 (水)

8月9日 名曲100選 歌劇のアリア篇・98 誰も寝てはならない

「誰も寝てはならない」(Nessun dorma) は、プッチーニ最後の未完の歌劇「トゥーランドット」のアリアです。
トゥーランドットのあらすじについては以前の記事に詳しく記載していますので、そちらをご覧ください。
自分に求婚する者に3つの謎を出し、解ければ結婚、解けなければ打ち首という条件を出していたトゥーランドット姫に対し、王子カラフは謎解きに成功しましたが、姫が結婚を嫌がるのを見て、「明日の朝までに私の名前を言い当てたら私は死に、私の名前を知ることが出来なければ私と結婚しよう」という提案をします。そこで姫はカラフの名を知ろうと国中の者に「男の名がわかるまでは誰も寝てはならぬ、朝までにわからなければ皆を処刑する」というお触れを出し町が恐怖に陥ります。そのお触れを聞いて勝利を確信したカラフが歌うアリアが「誰も寝てはならない」です。
勿論、この歌劇のクライマックスシーンのひとつではありますが、フィギュア・スケートのフリーのプログラムにしばしば使われ、特に日本では荒川静香がトリノ五輪で金メダルを取った時のフリースケーティングの曲として高い人気を得ました。
テノールの歌う「カラフ」の歌から始まり、2コーラス目のサビの部分は民衆の合唱で静かに歌われ、引き継いだカラフがクライマックスを創ります。オペラ本体ではその後途切れなく次の場面へ繋がっていくので、単独で演奏される場合は仮のエンディングで曲を閉じることになります。

2023年8月 8日 (火)

8月8日 名曲100選 日本のフォーク・ニューミュージック篇・98 心の旅

「心の旅」は1973年4月に発売されたチューリップの3枚目のシングルです。作詞作曲は財津和夫。
チューリップは1968年にザ・フォーシンガーズとして結成され1972年にチューリップとしてプロ・デビュー。ビートルズの影響を受けたバンドでしたが、2枚のシングルがあまり売れず、路線を変更して出したシングルが「心の旅」でした。発売当初はそれ程ヒットしなかったもののジワジワと人気が出てきて5か月を経た9月にオリコンの1位を獲得し、チューリップ最大のヒットとなりました。
チューリップはメンバー全員がボーカルを取れる事が特徴。財津がボーカルを担当する曲が多いのですが、この曲は甘い声の姫野達也がボーカルを担当しています。
財津和夫が上京する直前の心境を元に作った曲で、レコーディング直前になって曲の冒頭にサビの部分を持ってくることにしました。この手法は次の曲「夏色のおもいで」や「ぼくがつくった愛の歌」「虹とスニーカーの頃」などにも使われています。

2023年8月 7日 (月)

8月7日 名曲100選 交響曲篇・98 交響曲第7番(ベートーヴェン)

いよいよ、今週からトップ3に入ります。交響曲篇では、ベートーヴェンの交響曲第7番イ長調op.92を取り上げます。
ベートーヴェンの交響曲は非常に人気の高い曲が多いのですが、弦楽器に比べて管楽器の団員の多いアマチュア・オーケストラでは人気の割に演奏会に取り上げられる回数は決して多くありません。20分~30分程度の曲であれば、前半のプログラムで取り上げられる事も可能なのですが、30分を超える曲は2曲プログラム(前半1曲、後半1曲)にしないとプログラムのバランス的に重くなりすぎたり、弦楽器の負担が異常に大きくなったりしてしまいます。但し、2曲プログラムにすると団員数が多いフルートやクラリネットが演奏会に乗り切れないため、1曲は4管編成などの大きな曲が必要になる・・・と言った難点があってなかなか難しい。
そんな事で、ベートーヴェンの交響曲で30分を超える上、トロンボーンも登場しない第2番、第3番、第7番はアマチュア・オーケストラでは決して演奏される回数が多いとは言えません。
第7番は、第8番同様、有名な「運命」「田園」と第九に挟まれた地味な存在の、超派手な曲です。標題も無く、ある程度のクラシックファンでなければ聴いたことが無い曲だったのですが、この曲を一躍有名にしたのは「のだめカンタービレ」でした。「のだめ」の実写版がテレビ放映された頃には演奏会で取り上げられることが急に多くなりました。
そんな事とは別に、私がトップ3にこの曲を挙げたのは、高校のオーケストラ部に入った1年生の時に初めて演奏した曲だからという事が大きいと思います。
交響曲第7番の命はリズムです。美しいメロディは多くはありませんが、ワーグナーが「舞踏の聖化」と評する程リズムを重視した曲になっています。古典的な4つの楽章からなりますが、明確な緩徐楽章が存在していません。また編成は2管編成で管楽器や打楽器の拡張もありません。そんな純古典的な編成で、リズム重視の曲を作ったベートーヴェンはやはり天才だと言わざるを得ません。
第1楽章は、ベートーヴェンの交響曲中最長の序奏で始まります。トゥッティでイ長調の和音が強奏されオーボエがソロで序奏主題を奏でます。16分音符の上昇音階がこれに絡みついて行きます。やがてオーボエとフルートが対話をしながら主部へ向かい、タンタタン、タンタタンのリズムに乗ってフルートによって第1主題が演奏され主部がスタートします。最後は低弦によるオスティナートが繰り返される中PPからffまでクレッシェンドされてなだれ込むように楽章を終わります。
第2楽章は初演時に人気の高かった楽章ですが、速度指定もアレグレットなので緩徐楽章ではありません。この楽章の基本リズムはタンタタターター。これが変奏され後半にはフーガが登場してクライマックスを迎えます。
第3楽章は三部形式のスケルツォ。基本リズムはタタンタタン。ABABAの形になっていますが、2回目のスケルツォでは1回目と3回目でfになる部分もpやppで演奏するように指定され単純な繰り返しとは異なっています。最後は3回目のスケルツォの後3回目のトリオが来るような雰囲気を持ちながらこの楽章唯一の短調も現れて見栄を切って終わります。
第4楽章はタンタラララララが基本リズム。和音が2回トゥッティで奏され、基本リズムの第1主題に入っていきます。その後はタンタカタンとかタッタタッタといったリズムが次々と登場し、第1楽章同様低弦のオスティナートに乗って華々しく曲を閉じます。

2023年8月 6日 (日)

8月6日 名曲100選 管弦楽曲篇・97 レ・プレリュード

古典派における交響曲は絶対音楽として作曲されたものが殆どでしたが、ベルリオーズは幻想交響曲で標題交響曲を成立させ、フランクが「人、山の上で聞きし事」で具体的な表現をする管弦楽曲を世に出しました。
リストは、これらの動きを更に進めて、詩的或いは絵画的な内容を表現する管弦楽曲のジャンルとして新たに交響詩の名前を付けて作品を世に出しました。交響詩は、その後スメタナ、ドヴォルザーク、サン=サーンス、リヒャルト・シュトラウス、シベリウス、レスピーギなど多くの作曲家によって作曲されるようになりました。
リストは、フランクが作曲したユゴーの詩集から取られた「人、山の上で聞きし事」を交響詩第1作目として作曲、さらにゲーテの戯曲「タッソー」を元に「タッソー、悲劇と勝利」を作曲しました。
3作目が交響詩第3番「前奏曲(レ・プレリュード)」S.97で、原曲は男声合唱「四代元素」の序曲として、合唱曲に使われた主題を用いて作曲もので、これを改訂してラマルティーヌの詩「詩的瞑想録」を再構築して標題として付加したもので「人生は死への前奏曲」という考えに基づき、リストの人生観が歌いあげられたものです。
曲は2つの主題を用いた緩-急-緩-急の4部構成。第1部は低音楽器が死へと向かう人生の始まりを暗示する主題、次いでホルンが愛を歌う第2主題を奏して、変奏されていきます。第2部は人生の嵐が描かれ、激しい嵐に金管楽器のファンファーレを加えてクライマックスを迎えます。第3部は嵐の後の慰めの音楽でホルンの穏やかな旋律によって静かで平和な田園生活が描かれます。第4部は運命に果敢に挑戦する行進曲。冒頭の主題から変奏された全合奏の勇ましいマーチへ発展し、最後は速度を落として、死の主題が形を変えて高らかに奏され華々しく曲を閉じます。
実のところ、この曲と私の出会いは、伊丹十三監督の映画「タンポポ」。メイキング画像で伊丹監督がこの曲を使った経緯を語っていて、それが印象に残って好きになった曲です。

2023年8月 5日 (土)

8月5日 名曲100選 映画音楽(洋画)篇・97 2ペンスを鳩に(メリー・ポピンズ)

「メリー・ポピンズ」は、P.L.トラヴァースの小説「メリー・ポピンズ」シリーズを基にしたミュージカル映画で、1964年に公開されアカデミー賞13部門にノミネートされ、ジュリー・アンドリュースの主演女優賞、作曲賞など5部門を受賞した大ヒット映画です。
厳格で気難しい銀行員バンクス氏と女性参政権運動に夢中の妻ウィニフレッドの間にはジェーンとマイケルという姉弟がいます。子育てはナニー任せですが、子供二人はとても悪戯好きでナニーは直ぐに辞めてしまいます。
そんなバンクス家に雲の上からやって来たナニーがメリー・ポピンズです。メリーは早速子供部屋に行って指をパチンと鳴らすと、魔法のように部屋が片付き(♪スプーンいっぱいの砂糖)子供たちとメリーは直ぐに仲良しになります。
メリーは大道芸人のバートと二人を絵の中の世界へ連れて行ったり(♪楽しい休日、スーパーカリフラジリスティックエクピアリドーシャス) 楽しい体験を重ねていきます。
ある日、子供たちをバンクス氏の働く銀行へ連れて行き働く姿を見せるという事になり、途中の寺院で貧しい老婆が売る鳩の餌(♪2ペンスを鳩に)を小遣い2ペンスで買おうとする子供たちから「無駄遣いをするな」とバンクス氏は取り上げてしまいます。銀行に着いて「私のお金を帰して」と叫ぶ子供たちの声を聴いた預金者たちが騒ぎ出し取付騒ぎになってしまいます。
逃げ出してきた子供たちは煙突掃除姿のバートに出会い、メリーと共に煙突を伝って屋上に登って新しい体験をします。(♪チム・チム・チェリー、踊ろう調子よく)
取付騒ぎでクビになったバンクス氏は、本当に大切だったのは仕事では無く子供たちだった事に気づき、一家そろって凧揚げをする中(♪凧を揚げよう)銀行の重役たちがバンクス氏の復職を告げ、自分の役目は終わったと感じたメリーは、風に乗って雲の世界に帰っていきます。
途中、絵の中へ入る場面では実写とアニメを合成して斬新さを出しています。
最も有名な曲は、アカデミー歌曲賞を受賞した「チム・チム・チェリー」ですが個人的に「2ペンスを鳩に(Feed the Birds(Tuppence a Bag))」を取り上げました。
子供たちが父親の働く姿を見るために銀行に行くことになった前夜、メリーが子供たちに聴かせる歌で内容は「毎日早く、セント・ポール大聖堂の階段に小さな年老いた女の人がやって来る。彼女は「どうぞ、パン屑の袋を買ってください。小さな鳥たちに食べ物を、あなたの真心を見せてあげてください」と歌います。この歌に従って翌日子供たちが行動しようとするわけです。
勿論、日本では糞害防止などの観点から野生の鳩への餌やりは禁止されていますが、こういう心を持ちなさいという事を歌っている事を汲み取ることが重要な事だと思います。
勿論映画では歌っているのはジュリー・アンドリュース。とっても優しい歌声ながらドラマチックに歌います。鳩の餌を売る老女は過去アカデミー助演女優賞を受賞した名優ジェーン・ダーウェル。彼女はこの映画を最後に3年後に亡くなっています。

2023年8月 4日 (金)

8月4日 名曲100選 室内楽曲篇・97 七重奏曲( ベートーヴェン)

ベートーヴェンの七重奏曲変ホ長調op.20は、1800年に作曲されたベートーヴェン初期の傑作のひとつです。
編成は、クラリネット、ファゴット、ホルン、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロとコントラバスで、40分を超える大作です。
6つの楽章から出来ていて、後にシューベルトがこの編成にヴァイオリンを1本追加して八重奏曲を作曲しています。
第1楽章はアダージョの序奏から始まるソナタ形式の楽章です。主題は軽快なメロディです。
第2楽章は緩徐楽章。クラリネットによって主題が奏でられる美しい楽章です。
第3楽章はメヌエット。ピアノソナタ第20番の第2楽章から転用したメロディが主部主題です。トリオは木管が細かいパッセージを刻みます。
第4楽章は変奏曲。民謡からの引用と思われる主題が変奏されます。
第5楽章はスケルツォ。ホルンのメロディとヴァイオリンの応答から始まる軽快なスケルツォ。トリオはチェロが主役です。
第6楽章はホ短調の厳粛な序奏の後、ホ長調でヴァイオリンが堂々として主題を奏でます。ホルンの分散和音の後ヴァイオリンとチェロによって第2主題がテンポ良く演奏されます。展開部には協奏曲を思わせるヴァイオリンのカデンツァ風のソロも見られます。最後はベートーヴェンらしい明るく堂々と終わります。

2023年8月 3日 (木)

8月3日 名曲100選 海外のロック篇・97 バンド・オン・ザ・ラン

「バンド・オン・ザ・ラン」は1973年にポール・マッカートニー&ウィングスの同名のアルバムから発売されたシングルで全米1位、全英3位となった曲です。
3種類の異なるセクションをメドレーにした曲で5分を超える演奏時間は、マッカートニーのシングルでは最長です。曲自体のテーマは自由と逃避です。
最初のセクションはスロー・テンポのバラード。ギターのソロから始まる短いパートで牢獄に閉じ込められた身動きの取れない身を歌っています。
キーボードが加わって、ファンキーな2つ目のセクションに入っていきます。ここでは逃避への願望を歌っています。
最後のセクションはアコースティックなギターのストロークで始まる逃避を歌った部分。これが半分以上を占める長いパートになります。
とにかく1曲でとてもドラマチックな展開を演出する名曲だと思います。

2023年8月 2日 (水)

8月2日 名曲100選 歌劇のアリア篇・97 ある晴れた日に 

「ある晴れた日に」はプッチーニの歌劇「蝶々夫人」の有名なアリアです。
日本に関する誤った描写の可否や、日本を下に見た人種差別的な題材であるとの批判はとにかく、オペラの傑作のひとつであることは間違い無いと思います。
アメリカ海軍の士官ピンカートンは日本滞在中に日本人の少女と結婚する事になり没落士族の娘で芸者の蝶々さんを見初めて結婚します。
結婚から3年がたち、子供もできますがピンカートンは任務が終了しアメリカに帰国してしまいます。「コマドリが巣を作る頃には帰ってくる」と約束していましたが、ピンカートンはアメリカ本国でアメリカ人女性と結婚してしまいます。領事のシャープレスは、夫の帰りを信じている蝶々夫人にそれを告げることができませんでした。結婚斡旋業のゴローはこの事実を知り蝶々夫人に裕福な紳士ヤマドリとの再婚を斡旋しようとしますが、蝶々夫人は激怒して断ります。
やがて再びピンカートンが日本を訪れますが、ピンカートンは罪悪感に打ちひしがれ蝶々夫人に会う事もできず、子供を引き取って養育する事をシャープレスに告げます。
ピンカートンに会えると待っていた蝶々夫人の元にやって来たのはアメリカでの妻ケイトで、蝶々夫人は真実を受け止めて子供を渡す事を承諾し、ひとり自害してしまいます。
この第2幕で、ピンカートンを待って歌う蝶々夫人のアリアが「ある晴れた日に」です。
プッチーニのアリアらしい美しいメロディの曲で、これもプッチーニのオーケストレーションの特徴である高音楽器と歌のユニゾンが美しい曲になっています。

2023年8月 1日 (火)

8月1日 名曲100選 日本のフォーク・ニューミュージック篇・97 TOMORROW

「TOMORROW」は1995年に発売された岡本真夜のデビュー曲で、オリコンチャートの1位となった曲です。
私の中では人生の応援歌としてはZARDの「負けないで」、中島みゆきの「時代」と、この「TOMORROW」なんです。
元々、地元のバイト仲間を慰めるために書かれた曲で、当初はバラード系の曲で作られたのですが、ドラマ「セカンドチャンス」の主題歌に採用される事が決まった際にアップテンポの曲という条件で、今の姿になったようです。
1995年は1月に阪神・淡路大震災があった年で、多くの人たちがこの曲から勇気をもらったという声が多く寄せられたようです。
サビの部分から始まりますが、歌詞も4拍子の1拍目の強拍にアクセントがあるように作られていて勢いのある曲になっています。

直接You Tube が貼れないのでリンクは こちら

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