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2023年5月31日 (水)

5月31日 名曲100選 歌劇のアリア篇・88 穏やかな夜に

「ルイザ・ミラー」はヴェルディが1849年に作曲した全3幕のオペラです。

原作は、ベートーヴェンの第九「歓喜の歌」で知られるシラーの戯曲「たくらみと恋」です。
主人公のルイザ・ミラーはヴェルディには珍し村娘。伯爵の息子ロドルフォと相思相愛の仲ですが、身分違いのため伯爵によって引き裂かれます。ルイザの父親が騒ぎを起こしたとして逮捕され、苦し紛れにルイザは伯爵の秘書を愛していると嘘の告白をしてしまいます。
裏切られたと勘違いしたロドルフォは毒を飲み、ルイザにも毒を飲ませます。死を前にしたルイザはロドルフォへの愛を告白し二人は息絶えます。
「穏やかな夜に」(Quando le sere al placido)は第2幕で裏切られたと思ったロドルフォが「静かな夕べに星を見ていたとき」と歌うテノールのアリアです。

2023年5月30日 (火)

5月30日 名曲100選 日本のフォーク・ニューミュージック篇・88 ゆうこ

「ゆうこ」は1982年に発売された村下孝蔵の4枚目のシングルです。
村下孝蔵の婚約者副島優子の名前から取られた題名です。地道に活動を重ね次第に知名度が上がってきていた村下孝蔵でしたが、この曲は有線放送で火がついてオリコン23位のヒットとなっています。
彼女への熱い愛情が表現された歌です。
村下孝蔵は、残念ながら若くして亡くなってしまいましたが「初恋」「踊り子」と共に心に残る名曲のひとつです。

2023年5月29日 (月)

5月29日 名曲100選 交響曲篇・88 交響曲第2番(ラフマニノフ)

ラフマニノフの交響曲第2番ホ短調op.27は、1907年に作曲されました。
ラフマニノフは1897年の交響曲第1番の初演の失敗により精神的に大きなダメージを受けました。それはラフマニノフの作品自体というよりも初演を指揮したグラズノフの無理解とオーケストラの放漫な演奏にあったようですが、いずれにしても暫くの間、作品の数は激減しました。有名な精神科医ダーリ博士の治療によって快方に向かい、1901年にピアノ協奏曲第2番を作曲し大成功を収め、作曲家として復活の狼煙を上げました。
やがて1902年に結婚して、2人の娘を授かったラフマニノフが満を持して作曲したのが、交響曲第2番です。
非常に大きな編成と長大な曲で、ロシアの交響曲特有のドラマティックかつ抒情豊かな曲になっています。
第1楽章 長い序奏つきのソナタ形式。非常に陰鬱な序奏から始まりますが、この序奏には全曲に影響を及ぼし重要な動機が含まれています。序奏がクライマックスを迎えた後イングリッシュ・ホルンが冒頭動機に基づくメロディを吹いて主部へ入っていきます。主部も緊張感に溢れる音楽で始まりますが第2主題は抒情的な柔らかい音楽になっています。
第2楽章 複合三部形式のスケルツォ。スケルツォ主題は「怒りの日」に由来する主題で、やがて柔らかいメロディのBパートに入ります。中間部はシンバルの強打を合図に始まります。
第3楽章 非常にロマンティックな楽章。ロック歌手のエリック・カルメンがこの楽章の第1主題を元に「恋にノータッチ」を作りました。
第4楽章 非常に活発な楽章ですが、開放感のある明るい楽章です。

2023年5月28日 (日)

5月28日 名曲100選 管弦楽曲篇・87 ガランタ舞曲

ガランタ舞曲はコダーイが1933年に作曲した管弦楽曲です。
ブダペスト・フィルハーモニック協会創立80周年記念のために依頼された曲で、コダーイが幼年期を過ごしたガランタ(現スロヴァキア南西部の市)に伝わる民謡を題材にしたもので、1800年代初めに出版された「ガランタ・ジプシー音楽集」という曲集を素材として使用しています。ハンガリーの18世紀終わりから19世紀半ばにかけて展開された募兵活動で使われた男性のダンスを基礎としたヴェルブンコシュとジプシーの演奏スタイルを合わせた作品です。序奏-A-B-A-C-A-D-E-F-A-コーダという構成の自由なロンド形式。チェロで始まる導入部はクラリネットのカデンツァで終わり、クラリネットによって舞曲Aが始まります。Bはフルートで始まる軽やかな音楽、Cはオーボエで始まる愛らしい曲、Dは動きの速い舞曲、Eはテンポを少し落とした優雅な舞曲で、次第に勢いを増して激しいFに至りクライマックスに達します。再度Aの舞曲が現れ、コーダは熱狂的に終わります。

2023年5月27日 (土)

5月27日 名曲100選 映画音楽(洋画)篇・87 ペイネ愛の世界旅行

「ペイネ愛の世界旅行」は、レイモン・ペイネの「ペイネの恋人たち」を原作とした1974年イタリア製作の長編アニメです。
バレンティノとバレンティナの2人が天国に来て、大天使から世界中あらゆるところを自在に行ける「ラブ・パスポート」を貰い、心の底から安息できる愛の世界を求めて世界中を旅するストーリー。
可愛らしい絵柄の中にもお色気や風刺なども盛り込んであり、各国ごとに様々なネタが使われています。
音楽はエンニオ・モリコーネ。モリコーネらしい美しい曲です。
ギリシャの歌手デミソ・ルソスが歌った主題歌も、彼のハイトーンが魅力的な曲です。

2023年5月26日 (金)

5月26日 名曲100選 室内楽曲篇・87 ピアノ五重奏曲第2番(フォーレ)

フォーレのピアノ五重奏曲第2番ハ短調op.115は1921年に作曲されました。
この曲は長い間構想が練られていた曲ですが、1905年からパリ音楽院の院長の職にあったフォーレにとって、なかなか作曲に割く時間が得られず進めることができないでいました。1920年に進行する聴覚障害と高齢(75歳)を理由に院長職を退き、作曲に専念できるようになり翌年に完成しました。
この曲は名曲が少ないと言われるピアノ五重奏曲の傑作のひとつに加須イラレフォーレの室内楽曲の頂点とも言われる曲です。
4つの楽章から成っています。
第1楽章は簡素なソナタ形式。展開部に新しい楽想を置かず簡潔ながら生気に富んだ楽章になっています。
第2楽章はスケルツォ。フォーレ研究家のネクトゥーは「風のように吹き抜ける熱狂的なスケルツォ」と評しています。
第3楽章はソナタ形式の緩徐楽章。第1主題はピアノによる情感たっぷりな歌で弦楽器との対話になっています。第2主題はコラール風の主題です。
第4楽章は自由なロンド形式。最後は壮大なコラール風な旋律が歌われ曲を閉じます。

2023年5月25日 (木)

5月25日 名曲100選 海外のロック篇・87 恋の魔法使い

「恋の魔法使い」(You Make Me Feel Like Dancing)は、レオ・セイヤーが1976年に発売したシングルで、初の全米1位となった曲です。
徹底的に彼女を褒めまくる曲で、「君の話し方はとってもキュート」「君の言うままに綱で引かれた犬みたい」「君を見ていると踊りたくなる」「君が僕に魔法をかけたから僕は君の思うがままになってしまう」・・・などという歌詞が延々と続きます。

2023年5月24日 (水)

5月24日 名曲100選 歌劇のアリア篇・87 衣装をつけろ

「衣装をつけろ」は、レオンカヴァッロの歌劇「道化師」の第1幕最後に、妻ネッダの浮気を知った旅回りの道化一座の座長カニオが、怒りと悲しみの中で「道化師はそんな時でも客を笑わせるのが仕事だ」と身の辛さを歌う激情的なアリアです。最後のメロディは第2幕の最後にカニオがネッダを舞台上で殺した後オーケストラによって演奏されるドラマチックなメロディです。

2023年5月23日 (火)

5月23日 名曲100選 日本のフォーク・ニューミュージック篇・87 乾杯

「乾杯」は1980年発売の長渕剛の3枚目のオリジナルアルバム「乾杯」に収録された曲です。
長渕が結婚する友人への祝福のために作詞作曲したもので、人生の大きな節目(結婚)を迎えた人に対する応援歌になっています。
当初はシングルとして発売されませんでしたが、結婚披露宴などの人気曲となり、1988年に発売されたセルフカバー・アルバム「NEVER CHANGE」製作の際に再レコーディングされ、先行シングル「乾杯-NEW RECORDING VERSION」として発売されました。このシングルはオリコンチャート1位の大ヒットとなりレコード大賞の金賞を受賞したり、後に小学校の音楽の教科書にも掲載されるなど長渕の代表作となりました。
淡々としたテンポと情感豊かなメロディですが、歌詞の力強さによって励まされ、前を向いて生きていく糧になるような曲です。

最初のバージョンとNEW バージョンでは、大幅に変わっています。最初のバージョンはピアノの前奏から始まるアコースティック伴奏がメインになっていて、歌唱も澄んだ声で歌われています。NEW バージョンでは、シンセによる華やかな前奏から始まり、歌唱もバラード調に変わっています。是非両方とも聞いて頂きたいと思いますので、You Tubeは2つ貼りました。

2023年5月22日 (月)

5月22日 名曲100選 交響曲篇・87 交響曲第41番「ジュピター」

交響曲第41番ハ長調K.551はモーツァルトが作曲した最後の交響曲です。そのスケールの大きさ、輝かしい荘厳な曲想からザロモンがローマ神話最高神の名前「ジュピター」をニックネームとして付けました。
第1楽章は、数々の動機を複雑に組み合わせたソナタ形式の楽章です。序奏なしで、いきなり三連符の上昇音階を伴ったハ音の連打の動機が現れます。その後伸びやかな旋律による動機が組み合わされ、それがト音の連打の動機へと続くのが第1主題です。第2主題はいたずらっぽい音楽です。
第2楽章は緩徐楽章、第3楽章は優美なメヌエット。
第4楽章はジュピター音型と呼ばれる「ドーレーファーミ」の動機ではじまる第1主題かスタートします。この楽章の目玉はフーガ。このジュピター音型を使った壮麗なフーガと、華やかな構成の楽章で、最後も華々しく幕を閉じます。

2023年5月21日 (日)

5月21日 名曲100選 管弦楽曲篇・86 弦楽セレナード(ドヴォルザーク)

ドヴォルザークの弦楽セレナード ホ長調op.22は、ドヴォルザークが33歳の1875年に作曲されました。
チャイコフスキーの弦楽セレナードと並び賞せられる作品で、チャイコフスキーの作品同様終楽章のコーダに第1楽章の旋律が回帰されるという共通点はありますが、チャイコフスキーの作品ほど派手なメロディを持つ作品ではなく、どちらかと言えば渋い哀愁が漂う曲になっています。
5つの楽章から構成され、ソナタ形式の終楽章以外が三部形式になっています。
第1楽章 第2ヴァイオリンとチェロの掛け合うような主題から始まります。この主題は最終楽章にも登場します。中間部は付点のリズムの舞曲風の主題です。
第2楽章 嬰ハ短調のワルツです。中間部は変ニ長調の明るい曲調のワルツになります。
第3楽章 スケルツォ。2拍子の快活なスケルツォです。トリオは伸びやかな雰囲気の曲想で、後半にスケルツォ主題が回帰され、再度スケルツォに戻ります。
第4楽章 緩徐楽章。流れるような甘美な旋律で始まります。中間部は勢いが増すような雰囲気が出ますが長くは続かず穏やかに進んでいきます。
第5楽章 快活なフィナーレ。厳しい雰囲気を持つ導入部の後快速の主題が展開されます。第2主題は緩やかな旋律。第3主題はカノン風に呈示されます。第1楽章の主題が回想され、静かに終わるように見せかけられますが、急にプレストの急速なコーダに入ります。

2023年5月20日 (土)

5月20日 名曲100選 映画音楽(洋画)篇・86 ピンクパンサーのテーマ

「ピンク・パンサー」は1963年公開の「ピンクの豹」を第1作とするシリーズ作品です。
ブレイク・エドワーズ監督のオリジナルシリーズは8本製作されました。
世界屈指のダイヤモンド「ピンクパンサー」をめぐって、デヴィッド・ニーヴンやクリストファー・プラマー演じる怪盗ファントムなどとピーター・セラーズ演じるクルーゾー警部との対決をコミカルに描いた作品です。
シリーズを通して使用されるピンクパンサーのテーマはヘンリー・マンシーニが作曲しています。

2023年5月19日 (金)

5月19日 名曲100選 室内楽曲篇・86 序奏と華麗なるポロネーズ

ショパンの数少ない室内楽作品のひとつが「序奏と華麗なるポロネーズ ハ長調op.3」です。
ショパンはチェロとピアノのための作品を3作品残しました。その他のチェロが絡むものとしてはピアノ三重奏曲がありますが、最も早い時期に作曲されたのがこの「序奏と華麗なるポロネーズ」です。
チェロとピアノのための作品ですが、決してチェロ独奏、ピアノ伴奏という内容ではなく、序奏の始まりもピアノの華やかなカデンツァ風の独奏で始まります。パトロンであったラジヴィウ親子のために作曲されたもので、オーストリアのチェリスト ヨーゼフ・メルクに献呈されました。メルクはベートーヴェン、シューベルトやリストとの交流もあった当時の代表的なチェリストです。

2023年5月18日 (木)

5月18日 名曲100選 海外のロック篇・86 恋は二人のハーモニー

「恋は二人のハーモニー」(Two divided by love)は、アメリカのロックバンド グラスルーツの1971年のヒット曲です。
グラスルーツは1966年にソングライター兼プロデューサーのP.F.スローンとスティーヴ・パリによる覆面バンドとして1966年から活動を行っていましたが、正式にメンバーを募集して活動を行って60年代後半から70年代前半にかけてヒット曲を産み出しました。
「恋は二人のハーモニー」はBillboard全米チャート第16位となりました。
この時期のロック音楽らしい、コーラスを重視した曲です。

2023年5月17日 (水)

5月17日 名曲100選 歌劇のアリア篇・86 夢のように

歌劇「マルタ」(正式名 マルタまたはリッチモンドの市場)は、ドイツの作曲家フロトーが作曲し1847年11月に初演されたコミカルでロマンチックなオペラです。
18世紀初頭のアン女王時代のイギリスを舞台にした作品で、アン女王の女官ハリエットは宮廷生活に退屈して侍女ナンシーと共に田舎娘マルタとユリアに変装し、農夫ボブに変装した従兄弟のトリスタン卿と共に、娘たちが1年間の奉公先を決める奉公人市場にでかけました。そこで若い農場主ブランケットと義弟ライオネルが2人を見染て女中として雇う契約をしてしまいます。

ブランケットとライオネルは農作業が全くできない二人にあきれながらも、ライオネルはマルタの美しさと歌声に魅せられて結婚を申し込みます。マルタもライオネルに惹かれつつも拒絶し迎えに来たトリスタン卿と共に宮廷へ戻りますが、マルタ(ハリエット)もライオネルもお互いを忘れられずにいたところ、ある日女王の狩に同行してブランケットとライオネルに遭遇。ブランケットは女中契約の履行を迫り逮捕されます。ハリエットの本当の身分を知ったライオネルはただの遊びだったのかと嘆きますが、身の証のために役人に差し出した亡父の形見の指輪から、ライオネルはかつて無実の罪で追放されたダービー伯爵の遺児であることがわかり二人は結ばれます。
「夢のように」は第3幕でライオネルがマルタへの思いをこめて歌うアリアです。

2023年5月16日 (火)

5月16日 名曲100選 日本のフォーク・ニューミュージック篇・86 さよならをするために

「さよならをするために」は日本テレビのドラマ「3丁目4番地」の主題歌として発売されたビリー・バンバンの楽曲です。
作詞はドラマにも出演していた石坂浩二、作曲は坂田晃一。
ビリー・バンバンは元々4人組のバンドとして結成されましたが、1968年ヴォーカルとコントラバスの菅原孝とヴォーカルとギターの菅原進の兄弟によるフォーク・デュオとして再編成され1969年に「白いブランコ」でデビューしました。その後はヒットに恵まれませんでしたが、「さよならをするために」で80万枚の大ヒットを記録しました。当時のフォーク歌手は自分で作った曲を歌うという風潮が強かったため、弟の進むは抵抗感を感じてレコーディングをボイコットしたという逸話があります。この頃から兄弟の考え方が食い違って1976年に解散しました。

2023年5月15日 (月)

5月15日 名曲100選 交響曲篇・86 交響曲第3番「スコットランド」

メンデルスゾーンの交響曲第3番イ短調op.56「スコットランド」は1842年に作曲されたメンデルスゾーン最後の交響曲です。
メンデルスゾーンの交響曲の番号は出版順になっているため、作曲順ではありません。第4番「イタリア」、第5番「宗教改革」は、それぞれ1833年、1800年に作曲され出版が死後だったためです。
4つの楽章は休みなく演奏されるように指示されていますが、それぞれの楽章とも明確な終止で区切られているため、連続性は緩やかなものです。
コントラバス奏者にとってメンデルスゾーンはすべての曲が超難曲です。理由は①古典派音楽を好んだからかチェロとのユニゾンが多いのですが、ロマン派音楽の難しいチェロの旋律をコントラバスもユニゾンで弾く事が多い。②分散和音が多い。ヴァイオリン属の楽器が弦の間隔が5度(ヴァイオリンは低い方からG-D-A-E、ヴィオラとチェロはC-G-D-A)ですが、ヴィオール属の特徴を持つコントラバスは間隔が4度(E-A-D-G)のため和音の5度(和音の根音と第5音)を弾くためにはヴァイオリン属が隣の弦を弾けば良いのに、コントラバスは1つ飛ばしの弦を弾く必要があります。さらにコントラバスはその大きさから弦と弦の間隔が広い。という事で分散和音がとても苦手な楽器です。
などと、愚痴のように書いていますが、メンデルスゾーンの交響曲は好きです。特にこの第3番。
4つの楽章はオーソドックスな構成です。
第1楽章 序奏つきソナタ形式。悲劇的な雰囲気の長い序奏で始まります。序奏も主部もイ短調ですが主部はメロディックとは言えない短調の主題で始まります。クライマックスはありますが終始地を這うような印象の暗い音楽です。最後は序奏が戻ってきて静かに終わります。
第2楽章 ヘ長調のスケルツォ風の楽章。短い単純な前奏に続いてスコットランド風の主題が現れます。スケルツォ風というのは明確なトリオが無く展開部を持っているためスケルツォ楽章では無いからです。第2主題はハ長調に変わります。この楽章も最後は静かに終わります。
第3楽章 短い序奏のあと歌のような第1主題から始まる緩徐楽章。
第4楽章 ソナタ形式のテンポの速いリズミカルな主題を持つ楽章です。コーダが全く別物の主題を持っていて、非常に壮大な明るいものです。全体的に悲劇的な雰囲気を持つこの曲が、ここに来ていっぺんに雰囲気が変わります。20世紀の指揮者クレンペラーはこのコーダが嫌いで、勝手に別のコーダを作って演奏したものもあるそうです。>

2023年5月14日 (日)

5月14日 名曲100選 管弦楽曲篇・85 美しく青きドナウ

「美しく青きドナウ」(An der shonen, blauen Donau)op.314は、本来はヨハン・シュトラウス二世が1867年に作曲した合唱用のウィンナ・ワルツです。
2月の初演は成功したとは言えませんでしたが、3月に管弦楽版を初演した後、4月にパリ万博で演奏され高い評価を受けナポレオン三世からも賞賛を受け、続いてロンドンでも絶賛され逆輸入のような形でウィーンでも人気を得るようになりました。
当初の歌詞は愉快なウィーン子の歌といったものでしたが、その後ヨーロッパ各国を流れるドナウ川を国と国を結びつける存在として讃える歌詞が付けられオーストリアの第二の国歌として位置づけられる曲になったわけです。
曲は序奏と5つのワルツからなっています。5つのワルツはどれをとっても馴染みの深いメロディになっていて、今ではニューイヤー・コンサートの「ラデツキー行進曲」の次ぐ2つ目のアンコールとして毎年演奏されています。

 

2023年5月13日 (土)

5月13日 名曲100選 映画音楽(洋画)篇・85 いつか王子様が

「白雪姫」は1937年に制作されたディズニー長編映画の第1作です。
現在でもアニメ史に残る傑作として知られています。
「口笛吹いて働こう」「ハイ・ホー」など数々の名曲が作られましたが、「いつか王子様」(Someday My Prince Will Come)は、「ピノキオ」の「星に願いを」に次ぐ名曲として知られています。そのためにカヴァーは数知れず。ジャズのスタンダードにもなっています。

2023年5月12日 (金)

5月12日 名曲100選 室内楽曲篇・85 弦楽四重奏曲第77番「皇帝」

ハイドンの弦楽四重奏曲第77番ハ長調op.76-3、Hob.Ⅲ:77は1797年に作曲されています。
30年ほど務めたエステルハージ家の楽団長を当主の死亡で解雇されイギリスへ旅立ったハイドンが、イギリス人たちが口ずさむイギリス国歌を聞いて感銘を受けました。当時故国のオーストリアはナポレオンの侵略に脅かされており、ハイドンは故郷の存続を願い人々にオーストリア人としての誇りを取り戻させるためにオーストリア国歌制定を提唱し、作曲に取り掛かりました。
こと時作曲した旋律を弦楽四重奏曲に取り込んだのが、この第77番の弦楽四重奏曲です。
第1楽章 ソナタ形式。G-E-F-D-Cという音型から始まりますが、これは Gott erhalte Franz den Kaiser(神よ皇帝フランツを守り給え)の単語の頭文字を取ったものです。
第2楽章 現在もドイツ国家となっているオーストリアの祝歌による変奏曲。主題と4つの変奏曲からできています。
第3楽章 メヌエット 優雅な舞曲です。
第4楽章 フィナーレ ハ短調から始まる闊達な楽章です。

2023年5月11日 (木)

5月11日 名曲100選 海外のロック篇・85 安息の日々

「安息の日々」(Easy Living)は、イギリスのハード・ロック・バンド ユーライア・ヒープが1972年に発売したシングルで、ユーライア・ヒープ最高のBillboard全米39位を記録した曲です。
ユーライア・ヒープというバンド名はイギリスの作家ディケンズの「デヴィッド・カパーフィールド」に登場する大悪人から取ったものです。ちょうどディケンズ没後100周年でブームになっていたらしいです。
アルバム「悪魔と魔法使い」(Demons and Wizards)に収録された曲で、アルバム自体も全英20位、全米23位と最高を記録しています。日本でもオリコンのLPチャートの28位を記録しました。
付点つきの単純なビートをバックに、これぞハードロックという曲です。

2023年5月10日 (水)

5月10日 名曲100選 歌劇のアリア篇・85 闘牛士の歌

世界で最も人気の高いオペラのひとつがビゼーの「カルメン」でしょう。特に日本では人気が高い作品です。
1984年から2004年までの日本での上演回数のベスト3は、魔笛、フィガロの結婚、カルメンの順。2019年の上演回数ベスト3はフィガロの結婚、椿姫、カルメンとなっていて必ずベスト3に入る人気。海外でも例えばニューヨークのメトロポリタン歌劇場の開設以来の上演回数ランキングもボエーム、アイーダ、カルメン。イギリスで発表された2018年の世界中でも上演ランキングも「椿姫」「トスカ」「カルメン」。
という程、世界中で安定的な人気を誇っています。
ストーリーは、セビリヤを舞台に、たばこ工場で働くジプシー女のカルメンの色香に狂ってしまった衛兵のドン・ホセが、喧嘩をして捕らえられたカルメンを逃がしてしまい牢に入れられます。釈放されたドン・ホセはカルメンがいる酒場へ行きますが、そこへやって来たのが花形闘牛士エスカミーリョ。カルメンの心はエスカミーリョに移っており、カルメンの気を引くためにドン・ホセはカルメンが属する密輸団へ入ってしまいます。そこへホセの許婚ミカエラがホセの母親の危篤の知らせを持ってきて、ホセはカルメンに心を残しつつ密輸団を去ります。
1か月後ホセは闘牛場へやってきてカルメンに復縁を迫りますがカルメンは以前ホセからもらった指輪を投げつけ、逆上したホセはカルメンを刺し殺してしまいます。
第2幕で酒場にエスカミーリョがやってきて歌うのが「闘牛士の歌」です。前奏曲でも中間に使われている超有名なアリアです。

2023年5月 9日 (火)

5月9日 名曲100選 日本のフォーク・ニューミュージック篇・85 まぼろしの人

「まぼろしの人」は茶木みやこが1977年に発売したシングルです。
茶木みやこは同志社女子大学在学中1970年に小林京子と結成したピンクピクルスで活動。「僕にさわらせておくれ」がラジオで紹介され、リクエストが殺到したことがきっかけで1年限定でメジャーデビューしました。1972年解散後はソロ活動を開始し1977年にテレビドラマ「横溝正史シリーズ」のテーマソングとして発売されたのが「まぼろしの人」です。ボサノバ調の曲と少しくぐもったような茶木みやこの歌が、ミステリーにぴったりの音楽でした。
茶木みやこはその後もコンスタントに活動を続けています。

2023年5月 8日 (月)

5月8日 名曲100選 交響曲篇・85 幻想交響曲

幻想交響曲op.14は、ベルリオーズが1830年に作曲した交響曲です。原題は「ある芸術家の生涯の出来事、5部の幻想的交響曲」です。
自らのアイルランドの女優ハリエット・スミスソンへの一方的な恋をモチーフに、ある芸術家が深く恋した女性への恋が実らず、絶望からアヘンを吸って妄想の末殺してしまい、断頭台へ送られ、魔女の饗宴の夢を見るというのが全曲のストーリーです。
5つの楽章には、それぞれ題名が付けられている明らかな標題音楽になっています。
驚く事には、この進歩的な交響曲が、ベートーヴェンが第九を作曲した年からわずか6年後に作曲された事でしょう。
第1楽章「夢・情熱」 女性への狂おしいほどの愛を表現した楽章。序奏の後恋する女性を表す旋律(固定観念)がヴァイオリンによって提示されます。固定観念はすべての楽章で登場してきます。
第2楽章「舞踏会」 舞踏会のざわめきから始まり、華麗なワルツが演奏されます。時折固定観念が顔を覗かせます。
第3楽章「野の風景」 アヘンによって狂った男の妄想の世界が表現されます。2人で演奏される4台のティンパニが雷を表現し、コールアングレとオーボエが牧歌を演奏します。
第4楽章「断頭台の行進」夢の中で愛していた女性を殺し死刑となります。断頭台へひかれていく行進曲です。最後に固定観念が現れますが、すぐに首を切られ、弦のピツィカートで首が落ちる様子を表現。そしてファンファーレが鳴り響きます。
第5楽章「魔女の夜宴の夢」 ワルプルギスの夜の魔女たちの饗宴です。グロテスクな骸骨の踊りなどの後、「怒りの日」が演奏され力強く曲を閉じます。

2023年5月 7日 (日)

5月7日 管弦楽曲篇・84 アンダンテ・フェスティーヴォ

シベリウスのアンダンテ・フェスティーヴォは最初は弦楽四重奏のためにサイナトゥサロ製作所から25周年記念祝賀会のために依頼されて1922年に作曲されました。その後1930年に任意のティンパニを含む弦楽合奏に編曲され、現在では弦楽合奏の主要レパートリーのひとつとなっています。6分程度の曲なのでアンコールピースとしても使われています。
楽譜にはテンポの指示がありませんが、タイトルがAndante Festivoなので当然Andanteで演奏されます。
テンポ変更の指示もなく、転調もト長調-ホ短調という平行調、和声的にも複雑なものは無く簡潔な構成になっていますが、非常に美しく宗教的な響きのする名曲です。

2023年5月 6日 (土)

5月6日 名曲100選 映画音楽篇(洋画)・84 避暑地の出来事(夏の日の恋)

映画と映画音楽は切っても切れない関係がありますが、この映画ほど、主題歌が映画から切り離されて大ヒットした作品は殆ど無いでしょうね。
映画の日本でのタイトルと、主題歌の邦題は「避暑地の出来事」と「夏の日の恋」と異なっていますが、原題は両方とも「A Summer Place」。日本でも非常に人気のある主題曲ですが、映画と同じ題名だったらこれ程人気になったかどうか、わかりませんね。
映画は1959年公開のアメリカ映画で、落ちぶれた名門ハンター家にかつて雇われていたケンという男性の娘モリーとハンター家の長男ジョニーの恋愛に、昔ケンと恋仲だったハンター家の主人バートの妻シルヴィアの再び燃え上がった恋が絡んだドラマです。

「夏の日の恋」(Theme from A Summer Place)は、マックス・スタイナーが作曲した歌付きの音楽でしたが、1960年にパーシー・フェイス楽団による演奏のバージョンが9週連続全米ヒットチャートの1位を記録し翌年にはグラミー賞を受賞。映画主題歌やインストゥルメンタル曲がグラミー賞を受賞したのは初めてだったそうです。
後の1976年にパーシー・フェイスはディスコ調の「夏の日の恋'76」をリリースしましたが、前作には遥かに及びませんでした

2023年5月 5日 (金)

5月5日 名曲100選 室内楽曲篇・84 木管五重奏曲(ニールセン)

ニールセンの木管五重奏曲op.43は1922年に親交のあったコペンハーゲン管楽五重奏団のために作曲した曲です。
3つの楽章からなっていますが緩徐楽章が無く、第2楽章はメヌエットになっています。
ニールセンの同時期の作品と比較すると親しみやすい曲想です。
第1楽章は主題が3つあるソナタ形式、第2楽章はメヌエット、トリオともに前半と後半から成っていて、どちらも前半のみ繰り返しがあります。
第3楽章は前奏曲と11の変奏を持つ「主題と変奏」及びコーダからできています。
主題と変奏の主題はニールセンの歌曲集「賛歌と聖歌集」の中の「わがイエズスよ、わが心をそなたへの愛に向けさせたまえ」の旋律を使っています。

2023年5月 4日 (木)

5月4日 名曲100選 海外のロック篇・84 ロックンロール黄金時代

「ロックンロール黄金時代」(The Golden Age of Rock'N' Rokk)は、イギリスのグラムロックバンド モット・ザ・フープルが1974年に発売した曲です。冒頭のピアノ演奏・MCから始まる、少し前の時代のロックンロール讃歌のような歌です。
モット・ザ・フープルはこの曲を最後に脱退者が続出しセールスは落ち込んでいき1977年には解散してしまいます。
モット・ザ・フープルにとっても最後の黄金時代だった曲です。

2023年5月 3日 (水)

5月3日 名曲100選 歌劇のアリア篇・84 私はティターニア

トマの代表作である歌劇「ミニヨン」は1866年に初演されています。ゲーテの小説「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」に大幅な脚色を加えた作品で、ヴィルヘルム・マイスターに引き取られた旅芸人の可憐な少女ミニヨンを主人公としたもの。
ミニヨンは、ヴィルヘルムに対して恋心を抱きますが、ヴィルヘルムはミニヨンを子供としか見ていない事を知って懸命に気を引こうとしますが、ヴィルヘルムには女優のフィリーヌという愛する人がいます。フィリーヌの嫉妬にさいなまれるミニヨンは、年老いた吟遊詩人のロターリオにヴィルヘルムへの思いを打ち明けます。
フィリーヌが演劇「真夏の夜の夢」で大成功を収めた日に、ロターリオはミニヨンに同情するあまり会場である邸宅に火を放ちますが、ミニヨンは取り残されてしまいます。それを知ったヴィルヘルムは燃え盛る邸宅からミニヨンを救出し、火傷を負ったミニヨンはイタリアのとある城で療養する事になりますが、ヴィルヘルムはミニヨンの自分に対する愛を知り、また自分もミニヨンを愛している事に気づきます。
城に仕えるアントニオから、城主は幼い娘をさらわれてみすぼらしい吟遊詩人に身をやつして、娘を探し各地を放浪しているという事を聞き、ミニヨンがその娘であることがわかり、二人は結ばれるというお話です。

第2幕の劇中劇「真夏の夜の夢」の場面でフィリーヌが妖精ティターニアに扮して歌うコロラトゥーラの華やかな歌が「私はティターニア」です。

2023年5月 2日 (火)

5月2日 名曲100選 日本のフォーク・ニューミュージック篇・84 精霊流し

精霊流しは、長崎県でお盆に行われる伝統行事。初盆を迎えた故人の家族などが盆提灯や造花などで飾られた精霊船に故人の霊を乗せて川などに流す行事です。
これを歌ったグレープの「精霊ながし」は1974年に2枚目のシングルとして発売されオリコンチャート2位のヒットを記録し、作詞作曲のさだまさしは日本レコード大賞の作詩賞を受賞しました。
さだまさしの母方の従兄が水難事故で亡くなってしまった時の精霊流しの思い出が直接的なモチーフになっています。このエピソードについては、後に「親父の一番長い日」のB面として発売された「椎の実のママへ」でも歌われており、「椎の実のママへ」の中では間奏として「精霊ながし」のメロディが、さだのヴァイオリン演奏で挿入されています。
後にこのエピソードは2002年にNHKでテレビドラマ化され、翌年には映画化されています。また、多くの歌手にカバーされ1970年代を代表するフォークソングのひとつとなっています。

2023年5月 1日 (月)

5月1日 名曲100選 交響曲篇・84 交響曲第8番(ブルックナー)

ブルックナーの交響曲第8番ハ短調は1887年に完成しています。
私は、特にブルックナーが好きというわけでは無いので、ブルックナーの版の問題については殆ど知識がありませんので、版による違いがわかっているわけでは無いのですが、この第8番は特に版による違いが大きいようですが、ややこしいのでそこには言及しないことにします。
ただ、この曲は初稿は敬愛している指揮者ヘルマン・レヴィに総譜を見せたところ、演奏不能と返されて改訂され初演もこの1890年・第2稿によって行われたため、現在でも初稿が演奏される事は多くは無いようです。

編成は3管編成でホルンが8本という大きなもので演奏時間も80分から90分程度の長大な曲です。
第1楽章は、低弦による重苦しい主題から始まります。途中長調に転調したり、コーダ直前では金管楽器によってクライマックスが築かれますが最後は消え入るように終わり、全体的な重苦しい雰囲気は変わりません。(第1稿では力強く終わります)
第2楽章はスケルツォ。「野人が田舎を夢見る」という長大なトリオを持っていますが、スケルツォはしつこいぐらいの同じようなメロディが繰り返されます。
第3楽章は緩徐楽章。荘重にと書かれているように厳かな雰囲気のする楽章です。この曲で最も長い楽章になっています。
第4楽章は弦楽器が前打音つきの四分音符の連打をする中から金管のコラールとトランペットのファンファーレが奏されます。全てが重苦しさから解放された感じがする楽章です。でも、この楽章わざわざ重たいテンポで演奏する指揮者もいますね。どっちが良いかはその時の気分次第かな。

 

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