4月3日 名曲100選 交響曲篇・80 交響曲第36番「リンツ」
モーツァルトの交響曲第36番ハ長調K.425「リンツ」は1783年に作曲されました。
モーツァルトがリンツ滞在中ホーエンシュタイン伯爵の予約演奏会のために4日間という速さで作曲したものです。こんなすごい曲を僅か4日で書き上げてしまった事はモーツァルトが天才だったことを証明するエピソードとして語られています。
編成はフルートもクラリネットも無く管楽器は2本ずつのオーボエ、ファゴット、ホルンとトランペットだけというコンパクトなものですが、そんなことは微塵も感じさせない堂々とした響きの曲になっています。
第1楽章はモーツァルトが初めて緩やかな序奏を置いた曲です。3小節の堂々としたトゥッティから始まり、その後はトーンを落として主題へと誘っていきます。第1主題はシンプルなもの。主題提示の後トゥッティになるところの低弦の分散和音の2小節間が、3年後に作曲された歌劇「劇場支配人」序曲の冒頭の低音楽器によって演奏されるメロディと全く同じというのは、知る人ぞ知るお話です。とにかくこの楽章、勿論途中メロディックなところはありますが、全体的には明るく勇壮な楽章です。
第2楽章は愛らしい主題から始まります。モーツァルトの交響曲の緩徐楽章でトランペットとティンパニ両方が使われている唯一の曲です。そのためにちょっとハイドン風な響きがします。
第3楽章はメヌエット、跳ねるようなリズムが印象的な曲。トリオはオーボエとファゴットの二重奏に他の楽器が伴奏するという雰囲気の曲です。
第4楽章は第1主題も第2主題も4度跳躍を持つメロディです。非常に勢いのある第1主題は問と答えのように対話をしながら提示されていきます。第2主題も勢いのあるレガートな曲。スケールの大きなフィナーレです。
この曲木管楽器が少ない分、トランペットの登場が多く、ホルンや弦楽器に負荷が高くなっている弾きがいのある曲です。
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