3月20日 名曲100選 交響曲篇・78 交響曲第8番(ベートーヴェン)
ベートーヴェンの交響曲第8番ヘ長調op.93は、1812年に作曲され、交響曲第7番と同じ演奏会で初演されました。
この曲は、比較的小規模な、古典的な形式で作曲されていますが、そこここに斬新な響きが用意されています。初演の時は7番に人気が集中したのですがベートーヴェン自身は8番に自信があったようです。
第1楽章は、6番同様序奏が無く、いきなりトゥッティで第1主題が演奏されます。7番がベートーヴェン最長の序奏を持っているのに対して対照的です。第2主題はワルツ調の主題。展開部ではスフォルツァンドやヘミオラを多用してリズムに変化をつけています。
この楽章の再現部では低弦が第1主題を再現するのですが、他の楽器ががfffの大音量なので、楽譜通り演奏すると主題は殆ど聞こえない。この頃には既にベートーヴェンの耳は殆ど聞こえなくなっていたので、もし聞こえていたら何らかの修正をしていたかもしれませんね。
第2楽章は、展開部のないソナタ形式。ベートーヴェンは第8番では緩徐楽章を置かず、実質的なスケルツォを第2楽章に置いています。木管がリズムを刻む中メトロノームを模したとも言われるメロディが弦によって演奏されます。過去はメトロノームを考案したメルツェルに贈ったカノン「親愛なるメルツェル」を転用したと言われていましたが、今では交響曲が先行しており、「親愛なるメルツェル」の弟子のシンドラーの偽作という説が有力になっています。
第3楽章は、メヌエット。ベートーヴェンは第1番の交響曲でもメヌエットを使っていますが、そちらの方は内容的にはスケルツォのため、実質的には交響曲中唯一のメヌエットです。中間部はホルンとクラリネットによってのんびりとした牧歌風な旋律が吹かれますが、その影でチェロのソロが三連符の伴奏を忙しく弾いていて、その対比が面白いです。
第4楽章は自由なロンド形式。コーダのしつこさは第5番に次ぐものです。
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