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2023年1月31日 (火)

1月31日 名曲100選 日本のフォーク・ニューミュージック篇・72 世情

世情は、中島みゆきが1978年4月にリリースした4枚目のアルバム「愛してくれと云ってくれ」に収録されている楽曲です。
シングル化されてはいませんが、1981年放映のテレビドラマ「3年B組金八先生」の挿入歌として用いられて広く知られるようになった曲です。
メロディ自体は、短い同じメロディが繰り返される単純な音楽なのですが、その歌詞と相まってドラマティックな楽曲になっています。
1960年代から1970年代の安保闘争など反政府運動が終焉を告げる「東大安田講堂事件」の頃大学生だった中島みゆきが、日常的に見ていた先輩たちのデモの様子を見た時の想いを歌にしたのが「世情」です。
私は、学生運動の尻尾の世代。
60年安保闘争は、ごく普通の学生や労働者が大規模デモなどに参加した騒乱でしたが、70年安保闘争は全共闘や新左翼などに組織された闘争でした。それでも一般の学生などが参加する事もありましたが、安田講堂事件での敗北で、その後は完全に組織による闘争になって国民の支持も次第に得られなくなり、やがてセクト間の闘争、内ゲバや、リンチ事件などに至って一部の人間の反政府運動へと変わってしまいました。
学生運動の尻尾世代の私は、あさま山荘事件の数年後に大学に入学した世代で、ごくごく限られた組織が反政府運動を行っていた時代。それでも1・2年の時は組織の妨害にあって年度末の試験は中止になりレポート提出、3年の時も試験場に組織が乱入して来たという体験をしました。
今の、若い方々には考えられない状況でした。
「世情」は、闘争についての虚しさや挫折した若者へのレクイエムという意味をこめた曲だと思います。


2023年1月30日 (月)

1月30日 名曲100選 交響曲篇・72 交響曲第35番「ハフナー」

モーツァルトの交響曲第35番ニ長調「ハフナー」K.385は、モーツァルトの幼馴染であり元ザルツブルク市長の息子ジークムント・ハフナーのために作曲した2曲のセレナードの1曲を1783年に演奏会用に編曲したものです。残りの1曲は、1776年に作曲されたセレナード第7番(ハフナー・セレナードとして知られている曲)です。交響曲第35番の元となったセレナードは1782年にハフナー家が貴族になったことへの祝賀用として作曲された6楽章からなる曲で、交響曲に編曲する際に2曲あったメヌエットの内1曲と行進曲を削除し、編成もフルート、オーボエ、ホルン、トランペット各2とティンパニと弦楽合奏だったものに、第1・4楽章にフルートとクラリネットを加えています。
第1楽章 ニ長調の第1主題のみの変則的なソナタ形式。序奏は無くいきなり2オクターヴも跳躍する主題で始まります。
1_20230123090601
第2楽章 フルート、クラリネット、トランペットとティンパニを欠く緩徐楽章。緩徐楽章ですが、非常に細かい音符が使われていて動きのある緩徐楽章になっています。
第3楽章 メヌエット。冒頭はシンフォニックな響きの主題から始まります。トリオはオーボエとファゴットによる優雅な旋律になっています。
第4楽章 ロンドソナタ形式。動きは速いですが静かな主題からはじまり、すぐに力強く演奏されます。主題は歌劇「後宮からの誘拐」から取られています。第2主題は跳躍がある明るいメロディです。

2023年1月29日 (日)

1月29日 名曲100選 管弦楽曲篇・71 パラード

サティのバレエ音楽「パラード」は1917年に作曲されました。
バレエ・リュスのディアギレフがプロデュースしたこのバレエは、日曜日の見世物小屋で出演者たちがテント前で客寄せのために芸を披露し、3人のマネージャーが客を呼び込むという内容ですが、このバレエのスタッフが物凄いメンバーでした。台本がジャン・コクトー、美術・衣装がパブロ・カザルスという当時を代表する芸術家によって生み出されたわけです。
上演時間はわずか13分程度で、曲数も、コラール、赤いカーテンの前奏曲、中国の手品師、アメリカの少女、軽業師、終曲の6曲です。
その後ピカソは「三角帽子」と「プルチネルラ」でディアギレフと組むことになりました。
音楽界の異端児サティは主にピアノ曲の作曲で知られていますが、管弦楽による舞台作品も数多く作曲しています。「パラード」はその中でも「本日休演」と並ぶ代表作です。

2023年1月28日 (土)

1月28日 名曲100選 映画音楽(洋画)篇・71 レイダース・マーチ

スピルバーグ監督の「レイダース/失われたアーク≪聖櫃≫」は1981年に公開された冒険映画です。トレジャー・ハンターでありブリンストン大学の考古学者でもあるインディアナ・ジョーンズは、ナチス・ドイツがエジプトの遺跡で発掘を開始したアークをナチスより早く手に入れろ、というアメリカ陸軍の依頼を受けてナチスとの争奪戦を繰り広げます。
結局ナチスにアークを奪われてしまいますが、執拗に追いかけクレタ島のナチスの秘密基地で捕縛されてしまいます。アークが開かれますが、中には砂が入っているだけだったが直後に精霊たちが飛び出しドイツ兵は全滅、アークだけが残される。アークは政府機関の秘密の地下倉庫の無数の木箱に紛れて保管される事になりました。
主演はハリソン・フォード、音楽はジョン・ウィリアムズが担当しました。レイダース・マーチはこの後続く続編にも使われています。
シリーズ化された後は「インディ・ジョーンズ・シリーズ」として現在3作(魔宮の伝説、最後の聖戦、クリスタル・スカルの王国)が公開されており、今年2023年夏には「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」が公開される予定です。その他にヤング・インディ・ジョーンズ・シリーズがテレビ化され、日本でも1993年に「インディ・ジョーンズ/若き日の大冒険」というタイトルでテレビ朝日系で放送されました。
レイダーズ・マーチはタイトルの通り、行進曲風の曲ですがイントロでのシンコペーションが効果的なアクセントとなっています。

2023年1月27日 (金)

1月27日 名曲100選 室内楽曲篇・71 抒情組曲(ベルク)

抒情組曲は、アルバン・ベルクが1925年から26年にかけて作曲した弦楽四重奏曲です。
ベルクが十二音技法を用いた最初の大曲で、全6楽章の内、第1楽章と第6楽章及び第3楽章と第5楽章の一部で、他の部分は無調で書かれています。題名はツェムリンスキーの抒情交響曲から取られていて、第4楽章には抒情交響曲の第3楽章の引用があります。
また、第2・第3・第4楽章はのちに弦楽合奏のための「抒情組曲からの3楽章」に編曲されました。
第1楽章は 十二音技法による二部形式の快活な楽章です。
第2楽章は無調で作曲され、ベルク夫人のヘレーネの死後、不倫相手のハンナとその息子ムンツォ、娘のドロテアに捧げられている事がカミングアウトされました。
第3楽章は主部が十二音技法、トリオが無調で書かれる神秘的なアレグロと題される曲です。
第4楽章は第3楽章のトリオが展開される緩徐楽章。中間部でツェムリンスキーの抒情交響曲の「お前は私のもの、私のもの」を引用しています。
第5楽章は2つのトリオを持つスケルツォ楽章。狂気のプレストと表記されています。トリオのみ十二音技法です。
第6楽章はワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」を引用しています。悲嘆のラルゴと表記され、静かに終結します。


2023年1月26日 (木)

1月26日 名曲100選 海外のロック篇・71 ロザーナ

「ロザーナ」はロック・バンドTOTOの1982年のヒット曲です。
TOTOは1976年にロサンゼルスで結成されたロック・バンド。バンド名の由来は明確にはされていませんが、日本の陶器メーカー「TOTO」から取ったというのは日本に対するリップサービスのようです。オズの魔法使いに出てくる犬の名前トトがラテン語の「totus(全て)」を意味することから名づけられたという説が有力のようです。
「ロザーナ」はBillboard全米2位を5週間キープした曲でグラミー賞最終レコード賞を獲得しています。作詞作曲はメンバーのデヴィッド・ペイチ。メンバーのポーカロと女優ロザンナ・アークエットの消滅した関係を歌ったという説もありましたが、実際は曲の中での響きの良さから選んだ名前だという事です。

2023年1月25日 (水)

1月25日 名曲100選 歌劇のアリア篇・71 オレンジの花は香り

「カヴァレリア・ルスティカーナ」は1890年に初演されたマスカーニの代表作であり、ヴェリズモ・オペラを代表作のひとつの歌劇です。
原作はイタリアのヴェルガの小説及び戯曲。
ストーリーについてはこちらをご参照ください。
「オレンジの花は香り」(Gi aranci olezzano sul verdi margini)は開幕直後の合唱曲。
舞台となったシチリアの村の自l然にあふれた美しい情景を歌った、これから起きる事件と対照的な曲です。
最初は女声合唱、続いて男声合唱、女声のソロを挟んで後半は男声と女声の掛け合いになっています。

2023年1月24日 (火)

1月24日 名曲100選 日本のフォーク・ニューミュージック篇・71 夏の終わりのハーモニー

「夏の終わりのハーモニー」は、井上陽水と安全地帯のコラボによるデュエット曲です。作詞井上陽水、作曲玉置浩二による曲で、1986年9月に発売されました。
安全地帯は、1973年旭川で結成され北海道でアマチュアバンドとして活動後、1981年井上陽水のバックバンドとして全国ツアーを経て1982年にデビューしました。最初の3枚のシングルは殆ど売れませんでしたが、井上陽水作詞の4枚目のシングル「ワインレッドの心」が大ヒットして全国的なバンドとなったという、井上陽水とは濃い関係がありました。
歌詞は、1コーラス目は愛し合う2人が奏でるハーモニーを、2コーラス目は夏と共に恋が終わってしまう切なさを歌っています。
勿論、陽水と玉置の2人の素晴らしいハーモニーという意味も込められていると思います。

2023年1月23日 (月)

1月23日 名曲100選 交響曲篇・71 交響曲第104番「ロンドン」

ハイドンの交響曲第104番ニ長調HobⅠ:104は、ハイドンが作曲した最後の交響曲です。ロンドンの音楽興業主ザロモンの招きによって2回のロンドン訪問のために作曲された93番以降の12曲の交響曲を「ロンドン交響曲」や「ザロモン交響曲」などと呼称しており、本来はこの第104番だけが特別にロンドン交響曲というわけではありませんが、なぜか104番だけ「ロンドン」という愛称で呼ばれています。
交響曲第104番は、古典的な4楽章構成の曲ですが、非常にスケール感の大きな曲です。
第1楽章は、メロディらしいメロディが無い序奏で始まります。主部は軽快なメロディで、100番「軍隊」の第1主題に似たような第1主題から始まります。
第2楽章 変奏曲。ハイドンらしい愛らしい緩徐楽章です。変奏曲は全部で3つ。短い第3変奏からそのままコーダに入ります。
第3楽章 メヌエット スケールの大きい主部と流麗なトリオからなっています。
第4楽章 ホルンとチェロによるD音のドローン(音高の変化なしに長く持続される音)をベースにクロアチア民謡に基づく主題で始まるソナタ形式の楽章です。

2023年1月22日 (日)

1月22日 名曲100選 管弦楽曲篇・70 4つの海の間奏曲

ブリテンの4つの海の間奏曲op.33aは、歌劇「ピーター・グライムズ」の中の6つの間奏曲の内4曲をブリテン自身が選んだ組曲です。
ピーター・グライムズはジョージ・クラップの詩「町」の一節である「ピーター・グライムズ」を原作としています。
第1曲「夜明け」は第1幕第1場への間奏曲
第2曲「日曜の朝」は第2幕第1場への間奏曲
第3曲「月光」は第3幕第1場への間奏曲
第4曲「嵐」は第1幕第2場への間奏曲
です。
ブリテンの師匠であるフランク・ブリッジの交響組曲「海」の影響を受けた作品と言われています。

2023年1月21日 (土)

1月21日 名曲100選 映画音楽(洋画)篇・70 慕情

「慕情」(Love is a Many-Splendored Thing)は1955年に公開されたアメリカ映画です。
ベルギー人と中国人の血を引く女性医師ハン・スーインの自伝的小説を映画化した作品で、ハン・スーインにはジェニファー・ジョーンズが扮しました。
舞台は第二次大戦直後の香港。映画ではハンはイギリスと中国のハーフという設定です。スーインは香港で病院勤めをしながら祖国の中国に帰る機会を伺っていました。夫は中国国民党の将校でしたが戦死し、今や中国は敵である共産党に支配されつつありました。
アメリカ人特派員マーク(ウィリアム・ホールデン)と知り合い恋に落ちましたがマークには別居中の妻がいて離婚の話し合いが難航。マークは朝鮮戦争の取材を命じられ、スーインはスキャンダルで居づらくなった病院を辞めてマークの帰りを待ち続けましたが、そこへ届いたのがマークの戦死の知らせでした。
主題歌は映画と同名の「慕情」。作詞ポール・ウェブスター、作曲サミー・フェイン、歌唱フォー・エイセスによるこの曲はアカデミー歌曲賞を受賞し、コニー・フランシス、アンディ・ウィリアムズ、フランク・シナトラなど多くの歌手によってカバーされ、映画音楽のスタンダード・ナンバーのひとつになっています。

2023年1月20日 (金)

1月20日 名曲100選 室内楽曲篇・70 ディヴェルティメントK.136

ディヴェルティメントは、18世紀中頃から流行した器楽のための組曲。明るく軽妙で楽しい曲調を特徴とし日本語では嬉遊曲(喜遊曲)と訳しています。楽器の編成は特に決まりがありません。また形式や楽章数も自由なのでセレナードに似ていますが、セレナードは野外での演奏を前提にしているのに対してディヴェルティメントは屋内での演奏用という違いがあります。
モーツァルトも様々なスタイルのディヴェルティメントを作曲していますが、管楽器アンサンブルや管楽器を中心とした作品が多くを占めていて弦楽器のみの曲は弦楽三重奏のK563以外ではK136~138の3作品のみです。
ニ長調 K.136(125a)は、最もよく知られるディヴェルティメントの曲ですが、K.137、138と共にもともとの楽器編成がはっきりしません。モーツァルトの指定ではヴァイオリン2部、ヴィオラとバスと書かれていますが、このバスとは何なのかという問題と、この曲は各パート複数で演奏するものなのか一人ずつで演奏するものなのかが論争されて来ています。
①単純な弦楽四重奏曲②チェロをはずしてコントラバスを入れる③弦楽五重奏④弦楽合奏という考え方が存在しています。
最近では下のC音が多用されているため、モーツァルトの時代にあまり5弦バスが使われていなかった事を考えるとバス=チェロが定説になっています。
現在は、弦楽四重奏か弦楽合奏で演奏される事が多いです。

2023年1月19日 (木)

1月19日 名曲100選 海外のロック篇・70 オーディナリー・ワールド

イギリスのロック・バンド デュラン・デュランは1978年にバーミンガムで結成され1981年に「プラネット・アース」でデビューしました。デビュー作は全英チャート12位を獲得し、その後1983年には「プリーズ・テル・ミー・ナウ」が全英1位、全米4位となり世界的なバンドとなりました。1985年には映画「007美しき獲物たち」の主題歌を歌って全米1位となりピークを迎えましたが、1988年の「アイ・ドント・ウォント・ユア・ラヴ」を最後にトップ10のヒットから遠ざかってしまいました。
そのデュラン・デュランが復活の狼煙を上げたのが1993年発売の「オーディナリー・ワールド」でした。「オーディナリー・ワールド」は全米3位、全英6位のヒットを記録しました。

2023年1月18日 (水)

1月18日 名曲100選 歌劇のアリア篇・70 兵士の合唱(ファウスト) 

ゲーテの「ファウスト」に基づく音楽作品の多さは、他に比肩するものが無いほどの数に上ります。
シューベルトの「糸を紡ぐグレートヒェン」や「トゥーレの王」などドイツのロマン派の作曲家のリート作品には多く使われています。
その他では、ベルリオーズの「ファウストの劫罰」、ワーグナーの「ファウスト序曲」、リストの「ファウスト交響曲」、シューマンの「ゲーテのファウストからの情景」、ムソルグスキーの「のみの歌」、マーラーの交響曲第2番などが知られています。オペラとしてはグノーの「ファウスト」とボーイトの「メフィストフェーレ」が代表的な作品です。
グノーの「ファウスト」は1858年の秋に完成し、翌年に初演されています。
今までの人生を空しく感じて嘆き、苦悩する老学者ファウストの目の前に悪魔メフィストフェレが現れ、ファウストの死後の魂と引き換えに快楽をを得るという契約をしてしまいます。その契約によってファウストの恋が一旦成就しますが、恋人のマルグリットはやがて狂気の世界へ落ちていきますが最後に神の元へ召され、メフィストフェレは大天使ミカエルによって倒されるという5幕の長大なオペラです。
バレエ音楽や、数々のアリアも演奏会などで取り上げられますが、今回は第4幕で兵士たちに歌われる「我らの父祖の不滅の栄誉」を取り上げました。兵士の合唱らしい無骨な音楽が、かえってこの長いオペラの中では新鮮です。

2023年1月17日 (火)

1月17日 名曲100選 日本のフォーク・ニューミュージック篇・70 秋止符

「秋止符」は1979年12月に発売されたアリス17枚目のシングルです。
横山みゆきが先行して9月にシングルをリリースしましたが、やはり本家には勝てなかったようです。
アルバム「ALICE Ⅶ」に収録されていて評判が良かったためのシングル化だったそうです。
オリコンでは4位を獲得しました。
夏に彼氏と別れたばかりの女性が秋になってその寂しさを歌った曲です。

2023年1月16日 (月)

1月16日 名曲100選 交響曲篇・70 交響曲第5番(プロコフィエフ)

プロコフィエフの交響曲第5番変ロ長調op.100は、1944年にモスクワで作曲されました。作品番号100という事もあって普段より力を入れて作曲され、プロコフィエフの代表作のひとつとされています。
ヒトラーが独ソ不可侵条約を一方的に破棄して攻め込んで来た事によって、普段政治には無関心だったプロコフィエフも愛国心に目覚めて作曲したものです。3管編成の大規模な作品で演奏時間は約45分です。
第1楽章はソナタ形式。第1主題は変拍子に近い4拍子、第2主題は3拍子となっています。
第2楽章は三部形式のスケルツォ。主部はニ短調ですがトリオはニ長調となって軽快さを増しています。
第3楽章はロンド形式の緩徐楽章。抒情的な歌謡的な主題を持っています。
第4楽章はロンド形式。序奏の後第1楽章の主題が回想され、快活な主部に入っていきます。最後は楽器を減らして一旦音量を絞って、そこから急激に盛り上げてトゥッティで終わります。

2023年1月15日 (日)

1月15日 名曲100選 管弦楽曲篇・69 寄港地

イベールの交響組曲「寄港地」は、フランスの作曲家イベールが1922年に作曲した管弦楽曲です。
イベールは1910年にパリ音楽院に入学しましたが1914年に第一次大戦が勃発すると、志願して海軍士官になり地中海を航海しました。その際寄港した際に接した異国の風物の見聞や、ローマ大賞を受賞してローマに留学した時に旅行したスペインの印象が盛り込まれています。
3つの曲による組曲になっていて、初演の際はバレエ音楽として演奏されました。
第1曲 ローマ-パレルモ ローマを出航してシチリア島のパレルモへ向かう航海を描写したもの。最初はミュートをつけた弦楽合奏で始まり海の様子をフルートが静かに演奏します。徐々に音楽が高まりタランテラのリズムに乗って南国の喧騒が始まります。それが収まると再び静かな海の描写に戻っていきます。
第2曲 チュニス-ネフタ チュニジアの港町チュニスから奥地の町ネフタへ向かう旅の情景を描いた7拍子という特殊な拍子の曲。ティンパニと、コル・レーニョ(弓の木の部分で弦を叩く)やピツィカートを交えた弦楽器の伴奏に乗せてオーボエがアラビア風の旋律を展開していきます。
第3曲 スペイン東部の港町バレンシアの情景。バレンシア スペイン舞曲セギディーリャのリズムに乗って多彩なメロディが登場します。中間部は緩やかになりますが再び活気を取り戻しクライマックスを迎えて全曲が終わります。

2023年1月14日 (土)

1月14日 名曲100選 映画音楽(洋画)篇・69 サウンド・オブ・サイレンス

1967年公開の映画「卒業」の音楽は、デイヴ・グルーシンが作曲したインストロメンタル曲と、サイモンとガーファンクルの曲が使われ、サウンドトラック・アルバムは全米1位を獲得してグラミー賞の最優秀インストゥルメンタル作曲賞(映画・テレビ音楽部門)を受賞する大ヒットとなりました。
主題曲の「サウンド・オヴ・サイレンス」は1966年1月に発売されたサイモンとガーファンクルの2nd アルバム「サウンド・オヴ・サイレンス」に収録されていた曲でこの時はシングル化されたもののヒットしませんでした。
監督のマイク・ニコルズがポール・サイモンにサウンド・トラックの制作を依頼し2曲を提供しようとしましたが、ニコルズが却下して選んだのが「サウンド・オヴ・サイレンス」「スカボロー・フェア」「4月になれば彼女は」「プレジャー・マシーン」を選び、さらに新曲を依頼しようとしたもののポール・サイモンが多忙のため「ミセス・ロビンソン」1曲だけを新曲として提供することになったわけです。
「サウンド・オヴ・サイレンス」は、有名なギターの分散和音から始まって、最初は静かに、次第に盛り上がって行くドラマティックな歌です


2023年1月13日 (金)

1月13日 名曲100選 室内楽曲篇・69 ヴェニスの謝肉祭

「ヴェニスの謝肉祭」は元々はナポリ民謡です。
この曲19世紀頃にはかなり良く知られていた曲らしくって、多くの作曲家が取り上げています。
最も知られているのがパガニーニの「ヴェニスの謝肉祭」op.10。主題と20の変奏曲からなるヴァイオリンのための曲です。その他にはエルンストがヴァイオリンとピアノのために書いた「ヴェニスの謝肉祭」op.18、アルバンがコルネットのために書いた「ヴェニスの謝肉祭変奏曲」、ショパンもパガニーニの曲を聴いて作曲したピアノのための変奏曲「パガニーニの思い出」、タレガがギターのために書いた「パガニーニのヴェニスの謝肉祭による変奏曲、ヨハン・シュトラウス一世の幻想曲「エルンストの思い出、またはヴェニスの謝肉祭」op.126など。
ここで取り上げるのは、フランスのフルート奏者ポール・ジュナン(正しくはジェナンらしい)が作曲した「ヴェニスの謝肉祭」op.14です。元々はフルート独奏とオーケストラ伴奏のために書かれましたが、ピアノ伴奏にも編曲され、今日ではフルート・リサイタルなどの定番としてピアノ伴奏で演奏される事が多いようです。
3分以上にわたる長い序奏の後、主題が軽快に始められます。フルートの超絶技巧を駆使した作品になっています。

1月13日 名曲100選 室内楽曲篇・69 ヴェニスの謝肉祭

「ヴェニスの謝肉祭」は元々はナポリ民謡です。
この曲19世紀頃にはかなり良く知られていた曲らしくって、多くの作曲家が取り上げています。
最も知られているのがパガニーニの「ヴェニスの謝肉祭」op.10。主題と20の変奏曲からなるヴァイオリンのための曲です。その他にはエルンストがヴァイオリンとピアノのために書いた「ヴェニスの謝肉祭」op.18、アルバンがコルネットのために書いた「ヴェニスの謝肉祭変奏曲」、ショパンもパガニーニの曲を聴いて作曲したピアノのための変奏曲「パガニーニの思い出」、タレガがギターのために書いた「パガニーニのヴェニスの謝肉祭による変奏曲、ヨハン・シュトラウス一世の幻想曲「エルンストの思い出、またはヴェニスの謝肉祭」op.126など。
ここで取り上げるのは、フランスのフルート奏者ポール・ジュナン(正しくはジェナンらしい)が作曲した「ヴェニスの謝肉祭」op.14です。元々はフルート独奏とオーケストラ伴奏のために書かれましたが、ピアノ伴奏にも編曲され、今日ではフルート・リサイタルなどの定番としてピアノ伴奏で演奏される事が多いようです。
3分以上にわたる長い序奏の後、主題が軽快に始められます。フルートの超絶技巧を駆使した作品になっています。

2023年1月12日 (木)

1月12日 名曲100選 海外のロック篇・69 レッツ・プリテンド

「レッツ・プリテンド」はラズベリーズの1972年のヒットシングルです。
この曲の特徴は、イントロが無いこと。エリック・カルメンがいきなり「I can't sleep night・・・」と歌い始めます。
ラズベリーズは1970年にクリーヴランドで結成され1972年に"Don't want to say goodbye”でメジャー・デビュー。2枚目の「ゴー・オール・ザ・ウェイ」が全米5位を記録しその後も「明日を生きよう(I wanna be wity you)」が全米16位、そして「レッツ・プリテンド」が35位とヒットを続けましたが1975年に解散。その後ヴォーカルのエリック・カルメンはソロ・シンガーとして大活躍しました。
ラズベリーズの特徴は、エフェクトをたっぷり使ったギターとエリック・カルメンの甘い声とコーラスと言えるでしょう。ゴー・オール・ザ・ウェイではディストーションを使ったギターサウンドがイントロで使われ、この「レッツ・プリテンド」ではもう一つの特徴であるエリック・カルメンの歌がいきなりイントロで出てくるという具合いに、自分たちの特徴を知った音楽構成になっていました。

 

2023年1月11日 (水)

1月11日 名曲100選 歌劇のアリア篇・69  人生は素晴らしい

「ジュディエッタ」はレハールが1933年に作曲したオペレッタです。
地中海沿岸の港町と北アフリカを舞台にした作品で、外人部隊の大尉オクターヴィオと彼が駐屯する地中海沿岸の港町に住む人妻ジュディエッタの恋の顛末を描いた作品です。当時オペラ界の大スターだったリヒャルト・タウバーのために書かれたものなので、テノールの見せ場が多いのが特徴。
ジュディエッタとオクターヴィオは港町から駆け落ち同然に北アフリカへやってきて甘い生活を満喫していましたが、オクターヴィオに進軍命令が下され、恋人よりも任務を選んで去ってしまいます。ジュディエッタはナイトクラブで人気歌手として働く内にバリモア卿が彼女を見初めてパトロンとなります。帰国したオクターヴィオは二人が仲睦まじくしているのを見てしまい愕然とします。
4年後オクターヴィオはある大都市の高級ホテルのピアニストとなっていましたが、そこへジュディエッタがやってきます。オクターヴィオに気づいた彼女はもう一度やり直そうと言いますが、オクターヴィオはもう過ぎ去った事、過去は忘れようと答え、「僕の恋はメルヘンだった」と叫んで幕となります。
第1幕のオクタヴィーオの登場シーンで歌われるのが「人生は素晴らしい」というアリアです。エキゾチックで情熱的な歌なので、単独でも歌われることが多い曲です。

2023年1月10日 (火)

1月10日 名曲100選 フォーク・ニューミュージック篇・69 耳をすましてごらん

森山良子などとともに女性のカレッジ・フォークの第1人者として活動していた本田路津子。メジャー・デビューは1970年「秋でもないのに」。
本田路津子の6枚目のシングルが、1972年のNHKの朝ドラ「藍より青く」の主題歌「耳をすましてごらん」でした。
「藍より青く」の脚本を担当した山田太一が作詞し、音楽を担当した湯浅譲二が作編曲をした曲です。
「藍より青く」は第二次大戦によって結婚直後に未亡人となったヒロイン真紀が周囲に支えられながら戦争未亡人同士で商売を始め中華料理店を経営するまでを描いた作品。主役は真木洋子、夫役は大和田伸也。
本田路津子の透明感溢れる歌声が世に認められる事になったヒット曲でした。1990年に南野陽子が19枚目のシングルとしてカバーしています。

2023年1月 9日 (月)

1月9日 名曲100選 交響曲篇・69 交響曲第5番(ブルックナー)

ブルックナーの交響曲第5番変ロ長調は1878年に完成され1894年4月8日にグラーツにおいてシャルクの指揮で初演されました。この初演の際は、シャルクによって大幅に改訂が施されたシャルク改訂版が使用され、ブルックナー自身は病気のため初演の演奏会を欠席したこともあって、シャルクの大幅改訂に抗議のためとも言われています。
原典版であるハース版の初演はブルックナーの死後1935年であり、ブルックナー自身はこの曲の演奏を直接聴くことなく亡くなっています。
4つの楽章構成ながら、演奏には1時間20分程度を要する大作です。
第1楽章 序奏付きのソナタ形式。低弦のピツィカートで静かに始まりますが突然金管楽器がコラールを奏でクライマックスを築いた後、静けさを取り戻して主部に入っていきます。この序奏部の低弦のピツィカートは主部になっても登場し曲全体で現れてきます。最後はブルックナーらしい金管を中心とした景気のよいクライマックスです。
第2楽章 ロンド形式。ここでも低弦のピツィカートでスタート。オーボエのヘミオラのメロディが主題となっています。副主題は弦楽合奏によって奏せられる雄大なコラール風の旋律。
第3楽章 3拍子のスケルツォ楽章。この楽章ではピツィカートのリズムの代わりにスピッカートで伴奏が奏でられ、ブルックナーらしいせわしないスケルツォが始まります。トリオは、優雅なメロディになりますが、テンポは落とさず演奏されます。
第4楽章 序奏付きのソナタ形式。ここでも低弦のピツィカートから始まります。この楽章は途中でフーガが使われています。最後には第1楽章の第1主題が出てきて全曲を閉じます。

2023年1月 8日 (日)

1月8日 名曲100選 管弦楽曲篇・68 幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」

幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」op.32は、1876年にチャイコフスキーによって作曲された曲です。
ダンテの「神曲」の中にある詩「地獄変」第5歌の「フランチェスカ・ダ・リミニ」を題材にしたもので、内容は以下の通りです。
13世紀ラヴェンナのポレンタ家の美しい娘フランチェスカは、宿敵マラテスタ家と若いするために同家の長男のジョヴァンニと結婚することになります。マラテスタ家でフランチェスカを迎えたのはジョヴァンニの弟で美青年のパオロでした。2人は恋に落ちてしまい、醜いジョヴァンニとフランチェスカの結婚後も密会は続きますが、ある夜ジョヴァンニに見つかってしまい、嫉妬に狂ったジョヴァンニによって2人は殺害され、2人は密会の罪で地獄に落とされるという話。
チャイコフスキーの音楽は導入部と3つの部分が展開されます。
導入部は重苦しい4拍子の音楽で、次々と動機が現れます。
第1部はテンポの速い6拍子で地獄の様子やフランチェスカたちを待ち受ける過酷な運命が表現されます。
第2部はゆったりとしたテンポの4拍子。甘い音楽でフランチェスカとパオロの恋を描いています。後半はテンポが上がって2人の破滅が描かれます。
第3部は終結部で第1部の主題が現れ地獄に落ちた2人が表現されテンポを速め激しい音楽で終わります。

 

2023年1月 7日 (土)

1月7日 名曲100選 映画音楽(洋画)篇・68 ハリー・ポッター・シリーズ(ヘドウィグのテーマ)

J.K.ローリングのハリー・ポッター・シリーズは全7巻ですが、映画の方は、第7巻の「ハリー・ポッターと死の秘宝」が2部に分かれているために全8作品となっています。
音楽を担当したのが「賢者の石」「秘密の部屋」「アズカバンの囚人」がジョン・ウィリアムズ。「炎のゴブレット」が「いつか晴れた日に」「ハムレット」などのパトリック・ドイル、「不死鳥の騎士団」「謎のプリンス」がニコラス・フーパー、「死の秘宝」PART1と2が「ライラの冒険」「ベンジャミン・バトンの数奇な人生」などのアレクサンドル・デスプラが担当しています。
ただし、このシリーズの音楽には、人物などに様々なモチーフが使われているため、ウィリアムズが作曲した曲が全作品に登場してきます。
メイン・テーマともいうべき曲が、「ヘドウィグのテーマ」です。「ヘドウィグ」はジャロ^・ポッターのペットとなる大きな白ふくろう。第1巻の「賢者の石」でハグリッドがダイアゴン横丁で購入しハリーの誕生日のお祝いとしてプレゼントしたもので、ハリーと友人やシリウスなどとの間の手紙の配達などを忠実にこなします。「死の秘宝」PART1でハリーを死喰い人からかばって死の呪文を受けて死んでしまいます。

2023年1月 6日 (金)

1月6日 名曲100選 室内楽曲篇・68 ヴァイオリンソナタ第2番(シューマン)

シューマンのヴァイオリンソナタ第2番ニ短調op.121は1851年にヴァイオリンソナタ第1番の完成から2か月足らずで作曲された曲です。
公開の初演は1853年10月29日にヨアヒムのヴァイオリンとクララ・シューマンのピアノ演奏でデュッセルドルフで行われました。
第1楽章序奏付きのソナタ形式、第2楽章スケルツォ、第3楽章緩徐楽章、終楽章ソナタ形式というオーソドックスな4楽章構成になっています。
第1楽章は、エネルギッシュでゆったりとした和音の連打で開始される序奏で始まります。最初の2小節の4つの和音の最上部の音は(D-A-F-D)は、この曲の作曲を進めてくれたフェルディナンド・ダヴィッド(ダーフィトとも表記される)の名前に基づく(DAFD)ものになっています。
第2楽章は8分の6拍子のスケルツォで、シューマンらしくトリオが2つ置かれています。
第3楽章は変奏曲形式の緩徐楽章。コラール「深き淵より」に基づく主題を基に4つの変奏曲で構成されています。
第4楽章は活発な第1主題と落ち着いた第2主題を持つソナタ形式の楽章。ニ短調で始まりますが、コーダではニ長調に転調されます。

2023年1月 5日 (木)

1月5日 名曲100選 海外のロック篇・68 ならず者

「ならず者」(Desperado)は、アメリカのロック・バンド イーグルスが1973年に発表した2枚目のアルバム「ならず者」のタイトル曲です。シングル化はされませんでしたが、数々のアーディストにカバーされ、映画やテレビなどでも頻繁に使われたため、イーグルスを代表する曲のひとつとなっています。
歌詞は「ならず者」への語り掛けになっていて、お金はお前を裏切るし、手に入れられないものだけを追い求めずに、すぐ近くにある愛を受け入れてみろ、というような内容です。
最初のカバーは、かつてイーグルスがバックバンドとしてサポートしていたリンダ・ロンシュタット。続いてカーペンターズがアルバム「緑の地平線」の中でカバー(邦題は「愛は虹の色」)、その後はリン・アンダーソン、ジュディ・コリンズ、ケニー・ロジャース、ジョニー・キャッシュ、ニール・ダイアモンドなどがカバーしています。日本でもEPO、平井堅、杉山清貴、Superfly、コブクロなどがカバーしています。
非常に素朴で美しい曲です。上がオリジナルのイーグルス、下がリンダ・ロンシュタットです。

 

2023年1月 4日 (水)

1月4日 名曲100選 歌劇のアリア篇・68 糸つむぎの合唱

ワーグナーの歌劇「さまよえるオランダ人」も水夫の合唱に続いて2度目の登場です。今回は女声合唱曲。
「さまよえるオランダ人」のストーリーについてはこちらをご覧ください。
第2幕の幕開け、ダーランド家でダーランドの娘がオランダ人に想いを馳せている中で、地元の女の子たちが糸車を回して糸を紡ぎながら歌う歌が、糸つむぎの合唱「ぶんぶん回れ糸車」です。女声コーラスですがとっても調子の良い歌です。

2023年1月 3日 (火)

1月3日 名曲100選 日本のフォーク・ニューミュージック篇・68 花嫁

「花嫁」は、はしだのりひことクライマックスが1971年に発売したファースト・シングルです。オリコン1位、年間チャートでも7位の大ヒットとなりました。
ヴォーカルの藤沢ミエの力強い歌と、サビのはしだのりひこの高音とのコーラスがとっても素敵な曲です。
当然、結婚式の定番・・・かと思えば実はさにあらず。理由は、この曲自体が『駆け落ち』の歌だからです。
 夜汽車に乗って海辺の町にいる彼の元へ駆け落ちしていく歌なのです。「帰れない何があっても心に誓うの」「何もかも捨てた花嫁 夜汽車に乗って」という歌詞を見れば、普通の結婚では無いですね。

2023年1月 2日 (月)

1月2日 名曲100選 交響曲篇・68 交響曲第1番「ズロニツェの鐘」

交響曲第1番ハ短調B.9「ズロニツェの鐘」はドヴォルザークが1865年に作曲した最初の交響曲です。ドイツのコンクールに提出しましたが入選せず、スコアも失われてしまったため生前には演奏すらされませんでした。ドヴォルザークの死後、プラハの歴史学者の遺品の中からスコアが発見され、1936年にようやく初演されました。副題のズロニツェはプラハの西にある町でドヴォルザークが初めて音楽の勉強をした場所です。
20歳代前半の若い時の作品という事もあって、比較的オーソドックスな構成の交響曲です。
第1楽章は、アコード中心の短い序奏から始まり長大な第1主題部を持つ楽章です。経過部の後再度登場する第1主題ではホルン4本のTuttiという強烈な音も出てきます。20分近い長い楽章です。
第2楽章は緩徐楽章。対位法なども用いられた響きの美しい楽章です。
第3楽章はスケルツォ。
第4楽章は主要主題に基づく序奏の後明るい主要主題が提示されます。この主題はあちこちに断片化されて登場します。
全体的な雰囲気はシューマンっぽい曲です。

2023年1月 1日 (日)

1月1日 名曲100選 管弦楽曲篇・67 吹雪

20世紀ロシアの作曲家スヴィリードフは、レニングラード音楽院でショスタコーヴィチに師事して作曲を学びました。
1948年にはジダーノフ批判によって、ショスタコーヴィチも批判の槍玉に挙げられましたが、スヴィリードフはジダーノフ批判に同調しなかったようですが、問題視されることは無かったようです。30歳代前半だったので、まだ槍玉に挙げられる程の大物では無かったからかもしれませんが。
「吹雪」は1975年に作曲された管弦楽組曲で、「プーシキンの物語への音楽の挿絵」という副題を持っています。プーシキンの恋愛小説「吹雪」を基にした映画音楽から8曲を選んで構成された組曲です。
1.トロイカ 小太鼓、タンブリンなどによってトロイカの進むリズムが刻まれる中、トゥッティによる前奏が奏でられます。やがてリズムは刻まれたまま、ロシアっぽい主題が始まりクライマックスを築いて行きます。
2.ワルツ 短調による物悲しい雰囲気のワルツです。中間部は一転して長調のワクワクするようなメロディが出てきますが長くは続かず短調に戻ります。
3.春と秋 鳥の鳴き声を模したフルートなど、穏やかな森の様子が描かれる春から、冬の厳しさを予感させる秋の様子を描いています。
4.ロマンス 前奏の後、ハープの伴奏によって独奏ヴァイオリンが甘いメロディを奏でます。やがてチェロのソロが加わり、メロディは木管に受け継がれ、その後金管にメロディが移りクライマックスを築いた後はクラリネットとチェロの独奏によって静かに曲を閉じます。
5.パストラーレ オーボエのメロディによって始まるメロディはヴァイオリンへと受け継がれ、その後再度オーボエが加わっていきます。小さなクライマックスを迎えて2分程度の短い曲を終えます。
6.軍隊行進曲 単独でも演奏される行進曲です。
7.婚礼の儀式 ヴィオラ以上の高弦の合奏から始まり神秘的で厳かなメロディへとつながれていきます。最後はアーメン終止になっています。
8.ワルツの反復 フルートのソロによって第2曲のワルツのメロディから始まりますが、第2曲と異なりその後もヴァイオリンソロに受け継がれ終始静かに演奏されます。
9.冬の道 再びトロイカのリズムに乗って第1曲のメロディが静かに奏でられて始まり、やがて楽器を増やしていき最後に向かって音量を上げクライマックスを形成しますが、突如音量を落として静かに曲を終えます。

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