12月19日 名曲100選 交響曲篇・66 交響曲第8番(ベートーヴェン)
音楽史における交響曲の究極の姿ともいえる第9番の交響曲の1つ前に作曲された交響曲第8番ヘ長調は、それまでの革新的な交響曲作品の箸休めのような雰囲気を持つ比較的小規模な作品です。
音楽之友社がベートーヴェンの生誕250周年(2020年)に実施した投票によるベートーヴェン好きな曲ランキングでは交響曲は第1位に第九、第2位が7番、第4位田園、第6位「運命」、第7位「英雄」に次いで6番目の第17位に入ったのが第8番でした。結構地味な感じの曲なのですが、思ったより人気が高かった印象です。やっぱり「英雄」以外の初期の曲の人気が低いですね。
第8番は、初演は第7番と同じ1814年2月27日に行われ、その時は7番に人気が集中したようです。
しかしながら、第8番は第7番とは全く性格が異なる曲で、規模も小さい明るい愛らしい曲です。
楽章は通常の4つの楽章ですが、緩徐楽章を持たず、ベートーヴェンの交響曲の中で唯一メヌエットが採用されています。(第1番も第3楽章はメヌエットと書かれていますが、内容はスケルツォです)
第1楽章は、序奏が全く無くいきなり第1主題がトゥッティで始められます。第2主題はニ長調になって穏やかに演奏されます。この楽章の特徴はスフォルツァンドがやたらに多い事。リストに「リズムの神化」と言われた第7番のようにリズミカルでは無い分をスフォルツァンドでメリハリをつけて補っています。コーダは第1主題の断片で軽やかに終わります。
第2楽章は、緩徐楽章ではなく、実質的なスケルツォとも見られる楽章です。Allegretto scherzandoという速度指定で、木管楽器が刻むリズムは友人のメルツェルが考案したメトロノームを模したものと言われています。
第3楽章はメヌエット。この楽章は低弦にとっては鬼門の楽章。スラーの分散和音という弦の間隔が4度のコントラバスの弱点をついた譜面は、3つの弦を跨いだスラーで弾かなければならない難しい楽章。トリオではホルンの伴奏としてチェロのソロで分散和音を弾かされるのです。
第4楽章は、非常に速いテンポの楽章。冒頭から始まる3連符のメロディはこの楽章のシンボル的なもの。引き続けていると指が攣りそうですが、幸いコントラバスは僅かしか出てこない。
最後のコーダは運命を思わせるものですが、運命ほどしつこくなく終わります。
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