12月12日 名曲100選 交響曲篇・65 交響曲第10番(ショスタコーヴィチ)
1945年軽妙洒脱な交響曲第9番がスターリンの怒りに触れて1948年にジダーノフ批判を受けて危うい立場になっていたショスタコーヴィチが、8年の年月を経て交響曲第10番を発表したのは1953年の事です。
正にスターリンの死の直後であり、ショスタコーヴィチはそれを待っていたようです。
第7番以来の4つの楽章構成になっています。ドイツ式の自身のイニシャルから取ったDSCH音型(Dmitorii SCHostakowitch)が重要なモチーフに使われているのも特徴です。
第1楽章 Moderato ここではD,S(Es)が暗示的に現れる程度で明確なショスタコーヴィチ自身の表現はありません。
第2楽章 Allegro スケルツォ この楽章はショスタコーヴィチが「音楽によるスターリンの肖像」と言っている楽章です。第1主題がムソルグスキーの歌劇「ボリス・ゴドゥノフ」の冒頭に似ており、暴君による圧政を描いたと解釈されています。トリオが無いスケルツォで最初から最後まで荒々しい楽章です。
第3楽章 Allegretto 第3楽章からDSCH音型がはっきりと現れてきます。スターリンから解放されショスタコーヴィチの真の姿が次第に浮かび上がって来ます。
第4楽章 Andante-Allegro 序奏は陰鬱な雰囲気を持ちますがアレグロの主部に入ると明るい力強い曲調になります。DSCH音型が頻繁に現れるようになりスターリンからの完全なる解放を高らかに宣言しているようです。
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