12月5日 名曲100選 交響曲篇・64 交響曲第6番「田園」
1808年12月22日に初演された2つの交響曲がベートーヴェンの第5番「運命」と交響曲第6番「田園」です。この前後して作曲された(従来は同時期に作られたとされていましたが、最近の研究で作曲時期は重なっていないという事がわかってきています)2つの交響曲は、革新的であるという事以外には、全く共通点を見出せない究極の両極となる曲です。音楽として全く隙がなく、緊張感からの解放を歌った第5番と比べて、第6番は描写的音楽であり、その描写の対象が田舎の田園地域の叙事詩のような安らぎを持った内容になっています。
この曲の革新的部分はそれまでの交響曲が基本的に4つの楽章(舞曲(メヌエット)を除く3楽章のものもありましたが)だったのですが、この曲は5つの楽章で出来ています。
さらに3楽章から5楽章までは休みなく進みます。
また、各楽章に説明文が添えられているのも特徴です。
第1楽章 田舎に到着したときの愉快な感情の目覚め いきなり主題となる有名なメロディで始まります。この第1主題の動機は展開部では36回も繰り返されます。この楽章の特徴は、第1楽章としては珍しく大きなクライマックスがないところでしょうか。実は、こういう曲こそ、上手く聴かせるのが難しいんですよね。
第2楽章 小川のほとりの情景 ここでもいきなり主題が演奏されます。この楽章もクライマックスが無く、とにかく第1楽章と第2楽章で田園の穏やかな雰囲気を醸し出しているわけです。最後はナイチンゲール(フルート)、ウズラ(オーボエ)、カッコウ(クラリネット)といった鳥の鳴き声の模倣が入って、田園風景のピークとなります。
第3楽章 田舎の人々の楽しい集い この楽章では、風景描写ではなくてそこに住む人たちの活き活きとした集まりが描かれるスケルツォ楽章です。複合三部形式で、中間部は踊りの音楽になります。最後には速度を上げてクライマックスを築きますが、いきなり黒い雲がやってきて第4楽章へ。
第4楽章 雷雨、嵐 この楽章でトロンボーンとピッコロ、ティンパニが加わります。コントラバスは嵐の効果音担当。チェロも時々効果音に加わります。左手の弦を押さえる指が磨り減るのではないか、と思うほど弦の上を這いながら演奏しないと弾けない楽章。雷雨、嵐を通常の楽器だけで表現しています。嵐の表現で有名なアルプス交響曲やグランドキャニオンはウィンド・マシーンを使っていますので、通常の楽器だけで表現したベートーヴェンはスゴイ。
第5楽章 牧歌 嵐の後の喜ばしい感謝の気持ち とにかく嵐の後のホッとする感じが良く出ている楽章です。短い序奏は第1主題のメロディの一部を使っています。長いコーダがあって、最後は弦楽器が弧を描くような音型で低音楽器に下がって行って、ジャンジャン。
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