8月8日 名曲100選 交響曲篇・47 交響曲第9番(ショスタコーヴィチ)
何だか、このご時勢ロシア音楽は取り上げにくい状況になってはいますが、ショスタコーヴィチは常に体制(特にスターリン)と自らの目指す芸術との間で苦しみ続けていた作曲家でもあり、また、交響曲を語る上では無くてはならない存在なので、取り上げることにしました。
第二次世界大戦後発表した交響曲第9番は、体制側が望んでいた「大戦の戦勝を祝う華々しい音楽」とは程遠い内容の曲でした。体制側は第9番という事もあって、ベートーヴェンの第9のソヴェト版のようなものを望んでいたようですが、実際は軽妙洒脱な音楽で、後にジダーノフ批判を受けて窮地に立たされる事になりました。
5つの楽章からなる25分程度の短い曲です。
第1楽章 軽やかな序奏から金管楽器のファンファーレの後、ピッコロで軽妙な主題が出て来て戦争の終結の喜びを素直に表現した楽章になっています。
第2楽章 クラリネットによる暗い旋律からはじまる緩徐楽章。この交響曲中最長の10分程度の長さの楽章です。
第3楽章 スケルツォ楽章。3分弱の単純な構成の楽章になっています。
第4楽章 第3楽章からアタッカで演奏される間奏曲的な楽章です。突然トロンボーンとチューバのファンファーレが鳴り響きファゴットのカデンツァの後ほの暗い音楽が続きそのまま第5楽章へ繋がっていきます。
第5楽章 第4楽章から続く物悲しい雰囲気が次第に変化しながら、戦争終結への確信へと変わっていきます。ユダヤ民謡旋律を使ってナチス崩壊によるユダヤ人の解放を意図しているとも言われています。
この曲は、当局の意図と異なる曲という事でスターリンを揶揄するものと受け止められ、ショスタコーヴィチは批判の嵐にさらされ、この後ショスタコーヴィチはスターリンが死去するまで交響曲を作曲しませんでした。
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