ホームページ

ウェブページ

紹介した音楽

2024年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ

« 7月2日 名曲100選 映画音楽(洋画)篇・41 ジッパ・ディー・ドゥー・ダー | トップページ | 7月4日 名曲100選 交響曲篇・42 交響曲第7番(ブルックナー) »

2022年7月 3日 (日)

7月3日 名曲100選 管弦楽曲篇・41 くるみ割り人形

チャイコフスキーのバレエ音楽「くるみ割り人形」はチャイコフスキーの三大バレエであるばかりでなく世界を代表するバレエ音楽のひとつです。
原作はドイツの幻想文学の奇才E.T.A.ホフマンの「くるみ割り人形とねずみの王様」をフランスのアレクサンドル・デュマ・ペール(大デュマ)がフランス語に翻案した「はしばみ割り物語」」です。ホフマンの18世紀末から19世紀に活躍した作家でもあり音楽家でもあり、その他画家、法律家という多彩な才能の持ち主でした。ホドリーブの「コッペリア」の原作になる「砂男」もホフマンの原作で、オッフェンバックの「ホフマン物語」もホフマンの複数の作品を原案にしています。
くるみ割り人形は、クリスマスイヴにくるみ割り人形を贈られた少女が、人形と共に夢を世界を旅するという物語です。そのシチュエーションのため、毎年クリスマスシーズンになると世界中でバレエ「くるみ割り人形」が上演されています。初演は1892年でその後数回にわたって改訂されています。
全曲を通すと(版によって多少の違いはありますが)1時間半程度の曲ですが、オーケストラの演奏で人気の高いのが20分強の組曲版です。この演奏会用組曲は三大バレエの組曲として演奏される曲の中で唯一チャイコフスキー自身が編んだものです。組曲はアマチュア・オーケストラでも技術的に手頃な上、人気、知名度とも高いので、チェレスタやハープといった特殊楽器が必要にも関わらずかなりの頻度で演奏される人気曲です。私も3回か4回(花のワルツだけではその倍近い)は演奏しています。以下は組曲版のお話です。

第1曲 小序曲 小序曲といってもバレエ音楽の序曲と同じ曲。チェロとコントラバスは全休でヴァイオリン、ヴィオラがそれぞれ2つの分かれて6部の中高音弦楽器と管楽器という編成で愛らしさを出しています。組曲中技術的には難しい曲で、チェロ・バスはしばしば練習時に長い時間待たされるのが常です。
第2曲 行進曲 第1幕の情景描写のあとの行進曲です。行進曲と言っても、弾むリズムを使っているのでこの曲では歩けません(笑)
第3曲から第7曲までの5曲は第2幕お菓子の国の魔法の城でのパーティでの様々なキャラクターたちの踊りの音楽で「性格舞曲」と名づけられています。
第3曲 金平糖の精の踊り 発明されたばかりのチェレスタを起用した最初の作品として知られています。中間部の終わりにチェレスタのカデンツァがあるのでチェレスタを省くことが出来ません。
第4曲 トレパック(ロシアの踊り) 非常に早いテンポの曲。速度指定もMolto vivace。コントラバスにとっては組曲中最大の難曲です。
第5曲 アラビアの踊り クラリネットがメロディを吹くグルジアの子守歌をベースにした曲。ヴィオラとチェロが弱音器をつけて60小節間同じ伴奏を繰り返すという気が遠くなるような曲。チェロに到っては中間部も25小節間同じ音程で同じリズムを刻むというおまけつき。勿論再現部もチェロは16小節同じ伴奏、という事でチェロはこの曲の譜面は3種類+最後のト短調の基音だけ。ちょっと紙の無駄というパート譜です。
第6曲 中国の踊り フルートが主役の曲。この曲で気の毒なのはファゴット。特に第1ファゴットは31小節間ファレファレファレファレという伴奏を繰り返し、最後の和音だけ違う音を吹くという地獄。管楽器は息継ぎがあるので大変ですね。
第7曲 葦笛の踊り おもちゃの笛「ミルリトン」を模したフルートの三重奏の主部と物憂げな中間部のメロディによる曲です。
第8曲 花のワルツ クラシック音楽の中で最も有名な曲のひとつ。冒頭にハープの華麗なカデンツァがあるのでハープの省略は不可な曲です。
かつて組曲を演奏会のプログラムに取り込んで、アンコールでも花のワルツだけを演奏した時に、ハーピストのお嬢様がアンコールの時は異なるカデンツァを弾いてお客様だけでなく、我々も指揮者の先生もブラボー。やっぱりプロはお客様を楽しませる事を色々考えているんだと改めて感心しました。

« 7月2日 名曲100選 映画音楽(洋画)篇・41 ジッパ・ディー・ドゥー・ダー | トップページ | 7月4日 名曲100選 交響曲篇・42 交響曲第7番(ブルックナー) »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 7月2日 名曲100選 映画音楽(洋画)篇・41 ジッパ・ディー・ドゥー・ダー | トップページ | 7月4日 名曲100選 交響曲篇・42 交響曲第7番(ブルックナー) »