7月13日 名曲100選 歌劇のアリア篇・43 慕わしい御名
「リゴレット」はヴェルディが1851年に作曲したヴェルディ中期の傑作と言われるオペラです。
「女心の歌」で知られる「リゴレット」ですが、オペラの内容は陽気な「女心の歌」とは全く異なる、かなり衝撃的な悲劇です。好色なマントヴァ伯爵の獲物となった少女ジルダは、屋敷に出入するせむしの道化師リゴレットの隠し子。公爵は名前を偽ってジルダに近づき、心を奪われたジルダが歌う第1幕の曲が「慕わしい御名」です。
最後にリゴレットは、殺し屋に依頼して公爵を殺そうとしますが、誤ってジルダを殺害してしまいます。お金と引き換えに殺し屋から死体の入った布袋を受け取ったリゴレットの耳に公爵の歌う「女心の歌」が聞こえてきて、慌ててあけた袋の中から出てきたのは虫の息のジルダだったという悲劇でした。しかもジルダは愛する男の身代わりになって天に召される幸福を感じながら息絶えるという結末。誤ってではありますが、リゴレットが自分の愛する娘を殺害してしまうという超悲劇と、不実な公爵への愛を全うしたジルダ、そして殺し屋の妹との逢瀬を楽しんで何のお咎めもなかった公爵。ちょっとやりきれない結末です。
このアリア、貧しい学生と偽って近づいてきた公爵に心を奪われてしまったジルダが歌う美しく、甘いアリアです。
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