7月11日 名曲100選 交響曲篇・43 交響曲第6番(マーラー)
第2番から第4番まで声楽入りの角笛交響曲と呼ばれる交響曲を作曲し、5番で久しぶりに器楽だけの交響曲を作曲したマーラーは、この第6番の交響曲では形式的に古典回帰をした交響曲を作曲しています。調性も変ホ長調の第3楽章以外の楽章はイ短調で、マーラーの交響曲中唯一短調ではじまり短調で終わるようになっています。
そうは言っても、オーケストラは拡大し木管楽器は5管編成でホルン8本、トランペット6本、トロンボーン4本とチューバという管楽器の編成で、ティンパニ奏者は2人、その他多種類の打楽器が使われています。またカウベルとむち、ハンマーといった特殊打楽器も登場し、ハープも2本、さらにチェレスタという第8番の千人の交響曲に匹敵するオーケストラの規模になっています。
「悲劇的」というタイトルはマーラーが付けたものか定かではありませんが、曲想にはふさわしい標題だと感じます。
第1楽章冒頭はチェロとコントラバスによって刻まれる切迫感あふれるリズムに乗せてヴァイオリンなどによって奏される緊迫の第1主題から始まります。第2主題はマーラーが妻アルマを描いたという「アルマの主題」です。この主題はこの楽章の最後を締める重要な主題となります。
第2楽章はスケルツォですが非常に重々しい曲です。第1楽章同様チェロとコントラバスとティンパニがリズムを刻んでヴァイオリンが主題を演奏します。トリオは古風にて記された長調の曲です。
第3楽章は緩徐楽章。情緒的で牧歌的な楽章です。
第4楽章は悲劇性の強い楽章です。ハ短調の序奏からはじまりイ短調の主部へと高揚していきます。最後は静寂が続き、そのまま終わるのかと思うと、いきなり大音量が打たれ、それでも結局静かに終わります。終楽章にはハンマーが登場しますがハンマーが打たれる回数は紆余曲折がありマーラーの最終稿では2回とされました。但し現在でも指揮者によって3回打つものもあります。
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