7月10日 名曲100選 管弦楽曲篇・42 ハーリ・ヤーノシュ
「ハーリ・ヤーノシュ」はハンガリーの詩人ガライ・ヤーノシュの作品に登場する初老の農民。ハンガロー版「ほら男爵」というような人物で「7つの頭のドラゴンを退治した」「ナポレオンに勝った」「オーストリア皇帝フランツの娘マリー・ルイーズから求婚されたが断った」などという荒唐無稽な冒険談を語る人物です。これを「五つの冒険」というタイトルで4幕のジングシュピールにした時音楽を担当したのがハンガリーの作曲家コダーイ・ゾルタン。この劇音楽の中から6曲を抜粋して演奏会用の組曲にしたのが「ハーリ・ヤーノシュ」です。
この組曲、とっても贅沢な編成になっていて、ハンガリーの民族楽器ツィンバロンが第3曲と第5曲に使われたり、第2曲と第4曲は弦楽器なしで管楽器と打楽器だけ。使われる打楽器は10種類で、その他に第2曲ではピアノとチェレスタが使われたり・・かなり金食い虫の曲なので、日本のアマチュア・オーケストラはほとんど演奏しません。
私は何故か大学の時に演奏しましたが・・・
第1曲 前奏曲、おとぎ話は始まる ハンガリーでは「聞いている者がくしゃみをすれば、その話は本当のことである」という慣用表現があり、冒頭でいきなり「大きなくしゃみ」から始まります。その後はコントラバスの重奏によるメロディから始まって次第にテンポアップしながら盛り上がっていきます。
第2曲 ウィーンの音楽時計 ファゴット、トロンボーン、チューバといった低音楽器を除く管楽器と打楽器、鍵盤楽器だけによる曲。行進曲風に時を刻むようなリズムですが、音楽時計とは時計のことではなくてオルゴールのようなぜんまい仕掛けの機械の事だそうです。
第3曲 歌 ヴィオラのソロでハンガリー民謡が奏でられて始まり、やがてオーボエ、ホルンに受け継がれ、ツィンバロンが装飾的にからんでいきます。
第4曲 戦争とナポレオンの敗北 3本のピッコロ、アルトサクソフォンと金管楽器、打楽器だけで演奏される曲。とにかくユーモアたっぷりの曲で「ラ・マルセイエーズ」のパロディがチューバによって奏でられ最後の葬送行進曲の部分は、敗北したナポレオンの情けない様子がメロディや奏法を駆使して表現されます。
第5曲 間奏曲 ハンガリー民謡が使われツィンバロンが大活躍する曲です。とにかくテンポや強弱の変化を大袈裟にするように求められる曲でした。
第6曲 皇帝と廷臣たちの入場 豪華絢爛にオーストリア宮廷が表現され、ファンファーレの後テンポを速めバスドラムのfffで曲を閉じます。
弾いていても聞いていてもとっても楽しい曲なのですが、上記のような理由でなかなか演奏会で取り上げられないのが残念です。
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