6月14日 名曲100選 日本のフォーク・ニューミュージック篇・39 初恋
村下孝蔵は27歳でデビューした遅咲きのシンガー・ソングライターでした。
1979年にCBS・ソニーのオーディションを受けたのは既に26歳のとき。グランプリを獲得しましたが、当時は既にフォークがヒットする時代は過ぎて、山下達郎や南佳孝などのシティ・ポップス系が売れていて、ルックスが優れているわけでもなく年齢的な問題もありましたが、曲の良さや声の良さが評価され翌年「月あかり」でデビューしました。
地道にプロモーションを続け2枚目のシングル「春雨」が最高位58位にチャートイン、3枚目の「ゆうこ」は最高位23位まで上昇していました。
1983年30歳の時に発売した5枚目のシングルが「初恋」でした。「初恋」はオリコンチャートで最高位3位となる大ヒットを記録し村下孝蔵の名前がメジャーになった曲です。
村下孝蔵は、他人の意見を受け入れる度量を持っていた人で、「初恋」も当初はバラードとして作ったものをアレンジャーの水谷公正が「もうフォークにこだわらなくても良いのではないか」とアップテンポの曲にした事によって大ヒットに繋がったと言われています。
村下孝蔵は、英単語を歌詞に使わず四季に彩られた美しい日本語をめざした歌詞づくりを目指しています。
この「初恋」でも、冒頭の「五月雨(さみだれ)」から始まって「ふりこ細工の心」「風に舞った花びらが水面(みなも)を乱すように」などが見られます。
村下孝蔵はこの後もコンスタントにヒット曲を出していきましたが1999年6月20日にコンサートのリハーサル中に体調不良を訴え高血圧性脳内出血で4日後に死去しました。享年46歳。命日は梅雨の時期だったこともあり「初恋」冒頭に使われた「五月雨忌」と呼ばれています。
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