1月30日 名曲100選 管弦楽曲篇・19 ローマの松
「ローマの松」はレスピーギのローマ三部作と呼ばれる交響詩の2番目の作品です。
レスピーギは20世紀前半のイタリアの作曲家。イタリアでは19世紀後半ヴェルディ、プッチーニから始まりヴェリズモ・オペラに至る流れで器楽作品が殆ど生まれなかった時代でしたが、レスピーギによってようやく音楽史に残る器楽作品が生まれるようになったわけです。
レスピーギは新古典主義に分類される作曲家で、ルネッサンス期やバロックの音楽様式を蘇らせました。レスピーギの場合、それに留まらずリムスキー=コルサコフから学んだ管弦楽法に磨きをかけて独特の鋭い色彩感豊かな管弦楽法を産み出しました。
「ローマの松」は、ローマにある松を単純に描いたものではなく、古代ローマ時代から続くローマの歴史に目を向けてグレゴリオ聖歌などの教会旋法なども用いて作曲された4つの部分から構成された交響詩です。
第1曲 ボルゲーゼ荘の松 煌びやかな伴奏に乗って、コールアングレとファゴット及びホルンによって華やかに主題が演奏されます。ボルゲーゼ公園の松並木で遊ぶ子供たちの様子を描写したものです。この曲は基本的には低音楽器は出てきません。コントラバスはお休み。チェロやファゴットもヘ音記号が使われずテナー記号やト音記号での棋譜のみという高音域しか使われていません。
第2曲 カタコンバ付近の松 カタコンバ(古代ローマのキリスト教初期の墓)の信者たちの祈りが描かれた曲です。
第3曲 ジャニコロの松 ローマの南西部にあるジャニコロの丘の松が月光に照らされる幻想的な様子をクラリネットによる主題で始まります。この曲の最後にナイチンゲールの鳴き声が出てきますが、これはテープで再生されます。
第4曲 アッピア街道の松 古代ローマの進軍道路として使われたアッピア街道の石畳を軍隊が近づいてくる様子を描いた曲。ピアニシッシモから始まりフォルティッシシモまで次第に大きくなって最後は華々しく力強く曲を閉じます。この曲ではコントラバスは最初から最後まで近づいてくる軍隊の足音をやります。
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