1月24日 名曲100選 交響曲篇・19 交響曲第1番「春」
シューマンの最初に完成した交響曲は、第1番変ロ長調op.38「春」。1841年3月にメンデルスゾーンの指揮で初演されました。
シューマンという作曲家は、作曲の能力は勿論非常に高かったのですが、オーケストレーションがイマイチ。特に、個々の楽器の特性をあまり理解していなかった事と、楽器の組み合わせによる響きがイメージできていなかったことで、特に未熟なアマチュア・オーケストラが演奏するのにかなりの苦労があります。例えば、この第1番では冒頭にファンファーレが出てきますが、最初にシューマンが書いたメロディはバルブの無いホルンやトランペットではストップ奏法を用いなければ出ない音が書かれていて、それを初演のリハーサルで始めて知り本番に向けてメンデルスゾーンのアドヴァイスを受けながら書き直したというエピソードがあります。曲中でソロでなければストップ奏法でも良いのですが、ファンファーレですから。ストップ奏法というのは金管楽器のベルに手を突っ込んで音程を変える奏法で、音質が変わってしまうのでファンファーレでは無理です。
しかもシューマンは音が多いというのは良く言われます。同じ音を複数の楽器に演奏させる所謂重奏の状態をたくさん作るので、弾いていても聴こえない音が多い、しかも弾きっぱなしなので非常に疲れます。聴こえない音を一所懸命弾くほど虚しい事はありませんね。
それでも、アマチュアのオーケストラがシューマンの曲を取り上げるのは、魅力的なメロディや流れの良さによるのだと思います。
前置きが長くなってしまいましたが、第1番は4つの楽章から出来ていて初稿では、それぞれの楽章に「春の始まり」「夕べ」「楽しい遊び」「たけなわの春」という標題がつけられていました。改訂稿では削除されているので、現在演奏に使われるスコアには標題はありません。
第1楽章は前述のファンファーレつきの序奏の後、春らしい明るい第1主題が出てきます。
第2楽章は緩徐楽章ですが、ここでは夢見るような旋律が展開されます。
第3楽章のスケルツォは短調になって厳格な音楽を展開します。もし標題の「楽しい遊び」が残っていたら違和感しかない楽章です。トリオが2つありますが第1トリオは多少浮き立つ音楽にはなっていますが「遊び」からは程遠く、第2トリオになってはじめて弾けるような音楽になります。
第4楽章は短い前奏の後、第1主題は活発な動きのリズムとメロディです。
この曲「春」という標題から考えるとこの終楽章が全てという感じ。構成的にも完成度が高い楽章です。
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