1月10日 名曲100選 交響曲篇・17 交響曲「画家マチス」
交響曲「画家マチス」はヒンデミットが1933年から1934年にかけて作曲した作品で、同名のオペラの素材を再構築する形で並行して作曲されたものです。
この曲は、曲自体の内容はとにかく、歴史的にも重要な事件を起こすきっかけとなった曲として知られています。事件とは「ヒンデミット事件」と言われるもので当時のドイツを一党支配していたナチスに睨まれていたヒンデミットが、この歌劇を上演禁止にしたことに対して指揮者のフルトヴェングラーが抗議の論評を発表しヒンデミットを擁護しました。これに対しナチスの宣伝相ゲッペルスはベルリン・フィルや国立歌劇場の監督を辞任させたという事件が発生したというものです。
結果としてベルリンフィルの技量は落ち込んでしまい、ナチスがフルトヴェングラーに歩み寄って復帰する事になりました。
この歴史的事件は置いておいて、曲について書きます。
30分程度の長さで3つの楽章を持つ曲です。マティスは16世紀ドイツのマティアス・グリューネヴァルトの事で、この交響曲ではマティスの代表作「イーゼンハイムの祭壇」にちなんで各楽章に題名がつけられています。
第1楽章 天使の合奏 序奏つきのソナタ形式で第1主題は「3人の天使が歌う」というドイツ民謡からとられています。
第2楽章 埋葬 最終場面への間奏曲にあたる曲です。葬送行進曲のような雰囲気を持つ曲です。
第3楽章 聖アントニウスの誘惑 マティスが見る幻影(修行中の聖人を襲う怪物の幻想)の場面の音楽を再構成したもの。最後は金管によってグレゴリオ聖歌「シオンよ、救い主を讃えよ」が出て、「アレルヤ」の大合奏で高らかに曲を閉じます。
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