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2022年1月31日 (月)

1月31日 名曲100選 交響曲篇・20 交響曲第1番(ビゼー)

ビゼーの交響曲第1番ハ長調は、1855年ビゼーがまだ17歳の時に作曲した交響曲です。ビゼーは3曲の交響曲を作曲したとされていますが残りの2曲は破棄されたり存在自体もわからないようです。
ビゼーは「カルメン」や「アルルの女」などを残して36歳で早逝したわけですが、17歳の時のこの作品を聴けば彼が天才だった事がわかります。35歳で亡くなったモーツァルトにも匹敵する才能だった可能性もありますが、当時のフランスは器楽曲は全く不人気で舞台音楽の作曲家しか認められなかったのがとても残念です。そのために初演されたのは、サン=サーンスらが1871年に国民音楽協会を設立し純器楽作品が認められるようになってからかなり後の1935年でした。
交響曲第1番はオーソドックスな2管編成と楽章構成をもっています。
第1楽章 ハ長調の分散和音を基にした溌剌とした第1主題から始まります。
11_20220124094701第2主題はオーボエによって提示されるト長調の伸びやかなメロディです。
第2楽章 イ短調の緩徐楽章。短い序奏のあとオーボエによって哀愁を含んだ美しい主題が演奏されます。
12_20220124095701この楽章では中間部では序奏のリズムを基にしたフーガが使われています。
第3楽章 スケルツォ楽章。主部はト長調、中間部はハ長調の分散和音を基にした主題で展開されます。
第4楽章 第1主題はヴァイオリンの細かな動きによるもの、第2主題は早いテンポの中でも優雅さを持つメロディによるもの。
本当にどの楽章をとっても瑞々しい音楽で、30分をリラックスした気分で聞くことができる名曲だと思います。

2022年1月30日 (日)

1月30日 名曲100選 管弦楽曲篇・19 ローマの松

「ローマの松」はレスピーギのローマ三部作と呼ばれる交響詩の2番目の作品です。
レスピーギは20世紀前半のイタリアの作曲家。イタリアでは19世紀後半ヴェルディ、プッチーニから始まりヴェリズモ・オペラに至る流れで器楽作品が殆ど生まれなかった時代でしたが、レスピーギによってようやく音楽史に残る器楽作品が生まれるようになったわけです。
レスピーギは新古典主義に分類される作曲家で、ルネッサンス期やバロックの音楽様式を蘇らせました。レスピーギの場合、それに留まらずリムスキー=コルサコフから学んだ管弦楽法に磨きをかけて独特の鋭い色彩感豊かな管弦楽法を産み出しました。
「ローマの松」は、ローマにある松を単純に描いたものではなく、古代ローマ時代から続くローマの歴史に目を向けてグレゴリオ聖歌などの教会旋法なども用いて作曲された4つの部分から構成された交響詩です。
第1曲 ボルゲーゼ荘の松 煌びやかな伴奏に乗って、コールアングレとファゴット及びホルンによって華やかに主題が演奏されます。ボルゲーゼ公園の松並木で遊ぶ子供たちの様子を描写したものです。この曲は基本的には低音楽器は出てきません。コントラバスはお休み。チェロやファゴットもヘ音記号が使われずテナー記号やト音記号での棋譜のみという高音域しか使われていません。
第2曲 カタコンバ付近の松 カタコンバ(古代ローマのキリスト教初期の墓)の信者たちの祈りが描かれた曲です。
第3曲 ジャニコロの松 ローマの南西部にあるジャニコロの丘の松が月光に照らされる幻想的な様子をクラリネットによる主題で始まります。この曲の最後にナイチンゲールの鳴き声が出てきますが、これはテープで再生されます。
第4曲 アッピア街道の松 古代ローマの進軍道路として使われたアッピア街道の石畳を軍隊が近づいてくる様子を描いた曲。ピアニシッシモから始まりフォルティッシシモまで次第に大きくなって最後は華々しく力強く曲を閉じます。この曲ではコントラバスは最初から最後まで近づいてくる軍隊の足音をやります。

2022年1月29日 (土)

1月29日 名曲100選 映画音楽(洋画)篇・19 ビリー・ホリデイ物語愛のテーマ

ビリー・ホリデイ物語/奇妙な果実(原題 Lady Sings the Blues)は1972年に制作された、ジャズ歌手ビリー・ホリデイの歌に生き麻薬に溺れた半生を描いた映画でした。監督はシドニー・J・フューリー、ビリー・ホリデイを演じたのは映画初出演のダイアナ・ロスでした。
当初映画未経験のダイアナ・ロスの起用に批判もあったようですが、結果としてダイアナ・ロスはアカデミー主演女優賞にノミネートされ賞賛されました。
音楽はミシェル・ルグラン。愛のテーマはルグランの作曲によるものです。

2022年1月28日 (金)

1月28日 名曲100選 室内楽篇・19 春の海

この曲を室内楽に入れて良いのかわかりませんが、一応筝と尺八の二重奏なので室内楽として紹介します。
盲目の箏曲家であり作曲家であった宮城道雄が1929年に作曲した曲です。「春の海」は瀬戸内海をイメージしたもの。まだ失明する前に住んでいた瀬戸内海の景勝地鞆の浦の美しい風景をイメージしてつくられたものです。
直接はお正月とは無関係ですが、何故かお正月に聞く事が多い曲です。
冒頭から始まるゆったりとした穏やかなパッセージが有名ですが、中間部では筝と尺八が激しいやり取りをする部分があって聴き応えたっぷりな曲です。
海外ではヴァイオリンやフルートとハープやピアノで演奏される事もあります。

2022年1月27日 (木)

1月27日 名曲100選 海外のロック篇・19 明日の風

「明日の風」はイギリスのロック・バンド、バッドフィンガーの初のスタジオ・アルバム「マジック・クリスチャン・ニュージック」に収録された曲(原題 Carry on till Tomorrow)です。
本国ではシングル化されませんでしたが、日本ではシングルとして発売されそこそこのヒットになりました。その時のB面が「ウィザウト・ユー」。後にニルソンやマライア・キャリーがカバーして大ヒットした曲です。
「明日の風」はバラード曲で、日本のプロデューサーがバラード好きの日本向けにシングル化したらしいです。この頃は、日本のレコード会社の洋楽部隊もアメリカで発売した以外の曲でも日本でヒットしそうな曲はシングル発売してヒットしたという例がいくつもありました。
今は独自色が無くなりました。これもグローバル化といえばそれまでですが。

2022年1月26日 (水)

1月26日 名曲100選 歌劇のアリア篇・19 さようなら、故郷の家よ

カタラーニは19世紀後半のイタリアの作曲家。39歳の若さで亡くなってしまった事もあり、遺された作品は多くありませんが、「ラ・ワリー」と「ローレライ」という2つのオペラは名作として残りました。カタラーニはワーグナーに傾倒していたため作品にもその影響が出ています。
「ラ・ワリー」は地主の娘ワリーの悲恋を描いた作品。ワリーは狩人のハーゲンバッハに恋しているが、ハーゲンバッハは別の女性を愛していました。またワリーの父親は執事のゲルナーと娘の結婚を望んでいて、この結婚話を拒否したワリーに「家を出て行け」と怒ります。それを受けて歌われるのが「さようなら、故郷の家よ」というワリーのアリアです。
この後、ゲルナーがハーゲンバッハを橋から突き落としてしまいます。それを助けたワリーに対しハーゲンバッハは自分の本当の気持ちに気がつき雪山で愛を告白しますが、そこで雪崩が起きてハーゲンバッハは巻き込まれ谷底に転落します。ワリーがいくら呼んでも返事がなく絶望したワリーは自ら谷底に身を投げオペラは終わります。
ワーグナーの影響を受けていた事もあり、このアリアもドラマティックな曲になっています。

2022年1月25日 (火)

1月25日 名曲100選 日本のフォーク・ニューミュージック篇・19 風

1968年のフォーク・グループのザ・フォーク・クルセダーズ解散後、加藤和彦はソロ活動を経て、妻の福井ミカらと「サディスティック・ミカ・バンド」をロックバンドを結成して活動、北山修は休学していた京都府立医科大学へ復帰、端田宣彦はフォーク・グループ「はしだのりひことシューベルツ」を結成し、1969年に発売したファースト・シングル「風」が大ヒットしレコード大賞新人賞を受賞しました。(最優秀新人賞はピーターの「夜と朝のあいだに」)
「風」は作詞が北山修、作曲が端田宣彦。「シューベルツ」のグループ名はシューベルトとシュー・べルツ(靴紐)をかけた名前だそうです。
はしだのりひことシューベルツは1970年にベースの井上博が急逝したことによって短い活動で解散しました。

歌詞は、後ろを振り返っても風が吹いているだけ。振り返らず前を向いて一歩ずつ進もうという内容です。

2022年1月24日 (月)

1月24日 名曲100選 交響曲篇・19 交響曲第1番「春」

シューマンの最初に完成した交響曲は、第1番変ロ長調op.38「春」。1841年3月にメンデルスゾーンの指揮で初演されました。
シューマンという作曲家は、作曲の能力は勿論非常に高かったのですが、オーケストレーションがイマイチ。特に、個々の楽器の特性をあまり理解していなかった事と、楽器の組み合わせによる響きがイメージできていなかったことで、特に未熟なアマチュア・オーケストラが演奏するのにかなりの苦労があります。例えば、この第1番では冒頭にファンファーレが出てきますが、最初にシューマンが書いたメロディはバルブの無いホルンやトランペットではストップ奏法を用いなければ出ない音が書かれていて、それを初演のリハーサルで始めて知り本番に向けてメンデルスゾーンのアドヴァイスを受けながら書き直したというエピソードがあります。曲中でソロでなければストップ奏法でも良いのですが、ファンファーレですから。ストップ奏法というのは金管楽器のベルに手を突っ込んで音程を変える奏法で、音質が変わってしまうのでファンファーレでは無理です。
しかもシューマンは音が多いというのは良く言われます。同じ音を複数の楽器に演奏させる所謂重奏の状態をたくさん作るので、弾いていても聴こえない音が多い、しかも弾きっぱなしなので非常に疲れます。聴こえない音を一所懸命弾くほど虚しい事はありませんね。
それでも、アマチュアのオーケストラがシューマンの曲を取り上げるのは、魅力的なメロディや流れの良さによるのだと思います。

前置きが長くなってしまいましたが、第1番は4つの楽章から出来ていて初稿では、それぞれの楽章に「春の始まり」「夕べ」「楽しい遊び」「たけなわの春」という標題がつけられていました。改訂稿では削除されているので、現在演奏に使われるスコアには標題はありません。
第1楽章は前述のファンファーレつきの序奏の後、春らしい明るい第1主題が出てきます。
第2楽章は緩徐楽章ですが、ここでは夢見るような旋律が展開されます。
第3楽章のスケルツォは短調になって厳格な音楽を展開します。もし標題の「楽しい遊び」が残っていたら違和感しかない楽章です。トリオが2つありますが第1トリオは多少浮き立つ音楽にはなっていますが「遊び」からは程遠く、第2トリオになってはじめて弾けるような音楽になります。
第4楽章は短い前奏の後、第1主題は活発な動きのリズムとメロディです。
この曲「春」という標題から考えるとこの終楽章が全てという感じ。構成的にも完成度が高い楽章です。

2022年1月23日 (日)

1月23日 名曲100選 管弦楽曲篇・18 女学生

「スケーターズ・ワルツ(スケートをする人々)」で知られるワルトトイフェルは19世紀後半のフランスの作曲家。フランスのヨハン・シュトラウスとも呼ばれるワルツ・ポルカの作曲家です。音楽史の流れの中では保守的な作風のため19世紀末からフランスで印象主義音楽が中心になると時代から取り残され、大衆音楽の作曲家として名を残すのみとなりました。
ワルツ「女学生」は、日本語に訳されるときに世紀の誤訳で名づけられたタイトルで、原題の"Estudiantina"は学生の音楽隊という意味。Estudiante(学生)の女性形と誤って名づけられたと言われています。ネッケの「クシコス・ポスト」(Csikos post)が正しい訳では郵便馬車という意味ですが、Csikosを地名と誤解して長い間「クシコスの郵便馬車」という題名で呼ばれていた・・・という誤訳は、近年は正しく「クシコス・ポスト」と訂正されているのですが、こちらは誤訳の「女学生」が今でも使われています。
「女学生」はカスタネットが印象的に使われる明るい曲で、ヨハン・シュトラウス同様複数のワルツがポプリ形式で連なって行きます。

2022年1月22日 (土)

1月22日 名曲100選 映画音楽(洋画)篇・18 チャーリー・ブラウンという名の少年

「スヌーピーとチャーリー」(A Boy Named Charlie Brown)は、ピーナッツ・ブックの初映画作品です。
何をやってもダメなチャーリー・ブラウンがひょんな事からスペリング大会に出場する羽目になります。毛布をめぐってのライナスとスヌーピーの大冒険のエピソードなどがあり、最後は肝心のビーグル(Beagle)のスペルを(Beagel)と間違えて準優勝に終わってしまいます。
このアニメのシリーズが長年にわたって人気が続くのは、それぞれの魅力あるキャラクターでしょう。どこにでも居そうな、でもよく考えてみると実際には居ないような、しかも完全な悪人はいないというのが長続きの要因ではないでしょうか。

このアニメの主題歌がロッド・マッケンの歌ったA Boy Named Charlie Brown(チャーリー・ブラウンという名の少年)です。
とっても優しい歌です。
アカデミー主題歌賞にもノミネートされました。

2022年1月21日 (金)

1月21日 名曲100選 室内楽曲篇・18 弦楽四重奏曲(ドビュッシー)

ドビュッシーの弦楽四重奏曲ト短調op.10は1893年に作曲された曲です。
この曲は、ドビュッシーが敬愛したフランクの影響を受けて循環形式が使用されています。31歳の作品でちょうどドビュッシーの作風の転換点になる時期で、フリギア旋法をはじめとする様々な教会旋法を試みています。ドビュッシーらしい色彩感に溢れる作品で形式的な試みの中でも夢幻的な印象の強い音楽になっています。

2022年1月20日 (木)

1月20日 名曲100選 海外のロック篇・18 ハイウェイ・スター

ディープ・パープルは1970年代前半、ハードロックの代表的なバンドでした。ロック好きな同級生はディープ・パープルのコピーを演奏するのが必須という程大きな影響力があったバンドでした。「ハイウェイ・スター」が収録されたアルバム「マシン・ヘッド」の頃のメンバーはギターのリッチー・ブラックモア、ドラムのイアン・ペイスなどと共に、ヴォーカルにイアン・ギランが加入していた時期でした。

クラシック音楽の影響を強く受けていたリッチー・ブラックモアは、この曲の中盤部分でもバッハのコード進行を使用しています。ブラックモアのギターも絶賛され、バッハとジミ・ヘンドリックスの融合と評されました。

2022年1月19日 (水)

1月19日 名曲100選 歌劇のアリア・18 わが青春の輝ける日々よ(エフゲニ・オネーギン)

チャイコフスキーの代表的な歌劇「エフゲニー・オネーギン」は、ロシアの文豪プーシキンの小説を元に1878年に作曲されました。
ロシアの農村が舞台。地主の娘タチアーナとオリガ姉妹と、友人同士の若者レンスキーとオネーギンの複雑に絡み合う恋。そしてふとしたきっかけで決闘になってしまいレンスキーを撃ち殺してしまったオネーギンの苦悩を中心とした歌劇です。

第2幕で決闘の直前にレンスキーが人生とオリガへの未練を吐露して歌うのが、レンスキーのアリア「わが青春の輝ける日々よ」です。
このオペラの中では、第1幕のタチアーナによる「手紙の歌」と並ぶ名場面・名曲です。

2022年1月18日 (火)

1月18日 名曲100選 日本のフォーク・ニューミュージック篇・18 夢をあきらめないで

「夢をあきらめないで」は1987年2月に発売された岡村孝子5枚目のシングルで最大のヒット曲です。
大学の同級生加藤晴子と結成した「あみん」で1982年に「待つわ」でポプコンのグランプリを受賞しましたが元々ポプコンに出るためという約束で結成したデュオだったため1983年には活動を休止。岡村孝子はその後1985年にソロデビューをして現在まで活動を続けています。

岡村孝子は、この歌を失恋ソングとして書いたそうです。「心配なんてずっとしないで 似てる誰かを愛せるから」とか「切なく残る痛みは」とかにその片鱗があります。しかしながら、タイトルや歌詞全体の雰囲気から応援歌としてずっと歌われる歌になってきました。岡村孝子本人も今は応援歌として歌っているという事です。

2022年1月17日 (月)

1月17日 名曲100選 交響曲篇・18 交響曲第40番(モーツァルト)

モーツァルトが作曲した僅か2曲の短調の交響曲のひとつが第40番ト短調K.550です。管楽器の編成はフルート1本、オーボエ、ファゴット、ホルンが2本で、トランペットもティンパニもありません。改訂稿ではクラリネット2本が追加され、現在はそちらの版で演奏される事が多いのですが、いずれにしても、この編成から推測できるように華やかさとは縁遠い曲になっています。
第1楽章は有名な第1主題から始まります。この主題は、レイモン・ルフェーブルなどの演奏による「愛よ永遠に」とかシルヴィ・バルタンの歌「哀しみのシンフォニー」などにも転用されました。

Moz401第2楽章は緩徐楽章ですが、唯一の長調の楽章です。ただし、美しいメロディの楽章というよりは構成力に優れた楽章という感じです。
第3楽章のメヌエットも短調。中間部はト長調になります。主要部は非常に厳しいメロディでフレーズの長さがやたらに変わるという事もメヌエットらしくない印象を受けます。
第4楽章も厳しい音楽。冒頭の主題は駆け上がって行く音型なので、より切羽詰った印象になります。
Moz404モーツァルトの交響曲の中でもトップクラスの人気を誇る40番ですが、冒頭の有名な主題は別にして、ものすごく重っ苦しくて演奏するとぐったりする曲です。でも、勿論名曲ですよ。

2022年1月16日 (日)

1月16日 名曲100選 管弦楽曲篇・17 道化師(カバレフスキー)

1939年にカバレフスキーが作曲した組曲「道化師」を取り上げます。
児童劇「発明家と道化役者」のために作曲された16曲からなる付随音楽から10曲を選んで組曲としたのが、組曲「道化師」op.26です。
プロローグ、ギャロップ、行進曲、ワルツ、パントマイム、間奏曲、叙情的小シーン、ガヴォット、スケルツォ、エピローグの10曲です。

カバレフスキーは現代の作曲家ですが、子供向けに優れた作品を残した作曲家で、ソビエトとの関係も良好でした。
ソビエトとの良好な関係を保つために、大衆に受けのよい分かりやすい作曲法で、半音階技法などの現代音楽技法はところどころに登場するに留まっています。
「道化師」の中でも第2曲の「ギャロップ」は運動会のBGMでも使われるほど有名な曲になっています。

2022年1月15日 (土)

1月15日 名曲100選 映画音楽篇(洋画)・17 ムーン・リバー

映画音楽の人気投票をすると必ず上位に登場するのが、「ティファニーで朝食を」の主題歌「ムーン・リバー」です。
「ティファニーで朝食を」はトルーマン・カポーティ原作の中編小説を映画化したもの。監督はブレイク・エドワーズ、主演はオードリー・ヘプバーン、1961年公開の作品です。主人公のホリーは、いつか自分がティファニーで朝食を食べるような身分になりたいと憧れるアパート住まいの女の子。語り手の作家との恋の行方がこの映画の骨子です。
主題歌の「ムーン・リバー」はヘンリー・マンシーニ作曲。劇中で声域の狭いオードリー・ヘプバーンに歌わせるために1オクターヴ+1音という非常に狭い音域で作曲されています。そんな制約がありながらこの曲はアカデミー歌曲賞、グラミー賞の最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞、最優秀編曲賞を受賞するという快挙。しかも歴史に残る名曲。素晴らしいですね。
ちなみに、私が初めて買った映画音楽のレコードが、アンディ・ウィリアムズの歌った「ムーン・リバー」でした。

2022年1月14日 (金)

1月14日 名曲100選 室内楽曲篇・17 クラリネット五重奏曲(ブラームス)

クラリネット五重奏曲ロ短調op.115はブラームスの晩年の傑作のひとつです。
クラリネットをメインとする室内楽曲を複数作曲した作曲家は、その時代の名クラリネット奏者の存在が欠かせません。
モーツァルトはオーストリアのシュタードラー、ウェーバーはドイツのベールマン、そしてブラームスはドイツのミュールフェルトです。
ブラームスはミュールフェルトのためにこの五重奏曲とクラリネット三重奏曲を作曲しました。

この曲は、40分前後という長い曲で4つの楽章からなっています。ブラームスは交響曲ではメロディよりも構成を重視して組み立てをしていますが、室内楽曲は歌曲的なものが多いのが特徴です。この曲も第1楽章から非常に心に染みる歌曲的な雰囲気を持っています。第2楽章は「愛の歌」とも呼ばれる豊かな叙情性をもつ音楽です。第3楽章も中間部が速いPrestoですが、主部がAndantinoというややゆっくりとした通常のスケルツォとは趣が異なる楽章です。終楽章は主題と5つの変奏曲からなる美しい楽章です。

2022年1月13日 (木)

1月13日 名曲100選 海外のロック篇・17 ゴー・オール・ザ・ウェイ

ラズベリーズは1970年にエリック・カルメンを中心にアウトサイダーズの名前で結成され、1972年にラズベリーズと改名し1975年までの短期間の活動の間に数曲のヒットを残したロック・バンドです。
「ゴー・オール・ザ・ウェイ」は全米5位となった大ヒット曲です。「ラズベリーズ」は、エリック・カルメンの存在感が大きかったゆえに、アイドル的な人気が先行していましたが、実は同業のファンが非常に多いバンドでした。代表的な人はジョン・レノンとブルース・スプリングスティーン、ジョン・ボン・ジョヴィ。実際のところは、きちんとした音楽教育を受けたカルメンの高い音楽性でビートルズ、ビーチボーイズなどの融合的なサウンドと評されています。
残念ながら、エリック・カルメンがソロ活動を開始して解散となりましたが2004年に再結成されています。

2022年1月12日 (水)

1月12日 名曲100選 歌劇のアリア篇・17 セレナーデ「眠ったふりをせずに」

ゲーテの戯曲「ファウスト」を取り上げた作曲家は少なくありません。ストーリーが長く複雑なので一部を抜き出したものが結構多いのですが、全編をオペラ化したのは数人です。特にグノーの作品は彼の代表作になっています。
グノーの歌劇「ファウスト」は全5幕で上演時間は3時間を超える大作です。単独で取り上げられるアリアや合唱曲も少なくありませんが、今回は悪魔メフィストフェーレが第4幕で歌うセレナーデ「眠ったふりをせずに」を取り上げます。
セレナーデ、特にオペラの中では、恋人の部屋の窓の下で愛を歌うものなのですが、このセレナーデはファウストに欺かれて身篭ったマルグリットの家の前で、ファウストが良心の呵責に苛まれている横で嘲笑うようにマルグリットに歌いかけるもので、途中で笑い声が入ったりしています。
いずれにしても特異なセレナーデです。

2022年1月11日 (火)

1月11日 名曲100選 日本のフォーク・ニューミュージック篇・17 遠い世界に

1967年から1972年にかけて初期フォーク・ブームを牽引した「五つの赤い風船」の2枚目のシングルが「遠い世界に」でした。
「五つの赤い風船」は、西岡たかしを中心に結成されたフォーク・グループで、「遠い世界に」は1968年のデビュー曲「恋は風に乗って」のB面として発売されましたが、翌年にAB面を入れ替えて同品番で再発されました。
合唱曲としても人気が高く、中学校の音楽の教科書にも採用され、1975年にはNHKのみんなの歌でも取り上げられています。

当時は、学生運動真っ盛りで、公害や格差といった高度成長期の歪みが現れてきた時代でもあり、また団塊の世代が成人になった時期という時代背景がありました。若者にとっては先が見えない不安感が漂い始めた頃で、「遠い世界」は、まだハッキリとは見えないけれど希望がある可能性がある未来の事。若者たちは、簡単ではないが、この明るい未来を自分たちの力で切り開こうというのが歌詞の内容です。ザッツ・フォーク・ソングというような内容なので、フォークの祭典などでは一番最後に大合唱で歌われる事が多かった曲のひとつです。
西岡たかしが得意としたオートハープが印象的な曲です。

2022年1月10日 (月)

1月10日 名曲100選 交響曲篇・17 交響曲「画家マチス」

交響曲「画家マチス」はヒンデミットが1933年から1934年にかけて作曲した作品で、同名のオペラの素材を再構築する形で並行して作曲されたものです。
この曲は、曲自体の内容はとにかく、歴史的にも重要な事件を起こすきっかけとなった曲として知られています。事件とは「ヒンデミット事件」と言われるもので当時のドイツを一党支配していたナチスに睨まれていたヒンデミットが、この歌劇を上演禁止にしたことに対して指揮者のフルトヴェングラーが抗議の論評を発表しヒンデミットを擁護しました。これに対しナチスの宣伝相ゲッペルスはベルリン・フィルや国立歌劇場の監督を辞任させたという事件が発生したというものです。
結果としてベルリンフィルの技量は落ち込んでしまい、ナチスがフルトヴェングラーに歩み寄って復帰する事になりました。

この歴史的事件は置いておいて、曲について書きます。
30分程度の長さで3つの楽章を持つ曲です。マティスは16世紀ドイツのマティアス・グリューネヴァルトの事で、この交響曲ではマティスの代表作「イーゼンハイムの祭壇」にちなんで各楽章に題名がつけられています。
第1楽章 天使の合奏 序奏つきのソナタ形式で第1主題は「3人の天使が歌う」というドイツ民謡からとられています。
第2楽章 埋葬 最終場面への間奏曲にあたる曲です。葬送行進曲のような雰囲気を持つ曲です。
第3楽章 聖アントニウスの誘惑  マティスが見る幻影(修行中の聖人を襲う怪物の幻想)の場面の音楽を再構成したもの。最後は金管によってグレゴリオ聖歌「シオンよ、救い主を讃えよ」が出て、「アレルヤ」の大合奏で高らかに曲を閉じます。

 

2022年1月 9日 (日)

1月9日 名曲100選 管弦楽曲篇・16 十字軍の王シーグル

「十字軍の王シーグル」は、グリーグが1972年に作曲した劇音楽です。シーグルは第1回十字軍に参加したノルウェーの国王シーグル1世のこと。この国民的英雄の活躍を描いた作品です。1892年に3曲からなる組曲に編曲されたものが近年は演奏されます。

第1曲「力比べ(王の広間にて)」 クラリネットとファゴットによる素朴なメロディから始まる曲です。中間部をもつ三部形式の曲。
第2曲「ボルグヒルの夢(間奏曲)」ティンパニのトリルの上に乗って弦楽器によるゆっくりとしたメロディが奏でられます。
第3曲「忠誠行進曲」 ファンファーレとドラム・ロールによる冒頭。主題は堂々とした行進曲。

2022年1月 8日 (土)

1月8日 名曲100選 映画音楽篇(洋画)・16 君に想いを

「トッツィー」は1982年公開のコメディ映画です。
監督はシドニー・ポラック。40歳に近い年齢の俳優マイケル・ドーシー(ダスティン・ホフマン)は妥協する事がなく周りとの反りがあわず仕事がなくなってしまい、演劇の弟子のサンディが落ちたソープ・オペラのオーディションに女装して「トロシー・マイケルズ」と名乗り翌日乗り込みます。そこではっきりとした物言いがプロデューサーに気に入られ合格。やがてドロシーは一躍スターになってしまいます。
その作品で共演したジュリー(ジェシカ・ラング)に惹かれるようになりますが、弟子のサンディやジュリーの父親レスが絡み合ってのドタバタの末、正体を明かし、ジュリーとの愛を実らせるという内容。

音楽はデイヴ・グルーシンで主題歌は、シンガー&ソング・ライターのスティーヴン・ビショップが歌った「君に想いを」(It Might Be You)。爽やかな優しい曲です。

2022年1月 7日 (金)

1月7日 名曲100選 室内楽曲篇・16 「魔笛」の主題による12の変奏曲

ベートーヴェンはチェロとピアノのデュエットのために、モーツァルトの歌劇「魔笛」の音楽による変奏曲を2曲作曲しています。ひとつは「娘か女房か」の主題による12の変奏曲op.66で、もうひとつが「恋を知る男たちは」の主題による7つの変奏曲WoO46です。
今回は、「魔笛」の中でも有名なアリアのひとつ「娘か女房か」を主題にして変奏曲の方をご紹介します。
「娘か女房か」は第2幕のフィナーレの直前に鳥刺しのパパゲーノが「娘か可愛い女房がひとりいれば、この世は素晴らしい」と歌う明るいアリアです。
この頃の変奏曲は、ブラームスやエルガーのような主題を大きく崩すことはしていないので、メロディの変奏が分かり易いのが特徴です。

2022年1月 6日 (木)

1月6日 名曲100選 海外のロック・16 スクールズ・アウト

「スクールズ・アウト」は、アメリカのグラム・ロックの代表格として1970年代前半から活躍しているアリス・クーパーの最初の大ヒット曲です。1972年5月にリリースされました。
歌詞のテーマは「永遠の夏休み」。学校が休みに入る直前は人生で最も偉大な3分間と捉え、その3分を歌の中に捕らえたアリス・クーパーの自信作でした。全米でもBillboardの7位、イギリスでは3週連続1位になるなど各国のヒットチャートを賑わした曲でした。
独特のだみ声による歌唱は非常に印象に残るロックシンガーでした。

2022年1月 5日 (水)

1月5日 名曲100選 歌劇のアリア篇・16 私は神の卑しい召使です

19世紀後半から20世紀にかけて活躍したイタリアのオペラ作曲家チレアが1902年に作曲したのが歌劇「アドリアーナ・ルクヴルール」です。
「アドリアーナ・ルクヴルール」は18世紀前半にパリで活躍した実在の女優アドリエンヌ・ルクヴルールの生涯を描いたオペラです。恋敵に毒殺された悲しい運命の女性の物語で(実際は病死との見方が強い)チレアの代表作です。
第1幕のコメディ・フランセーズの楽屋に、アドリアーナが登場した際、一同が彼女の演技の素晴らしさを賞賛しましたが、アドリアーナが謙遜して歌うのが「私は(芸術の)神に仕える卑しい召使です」です。

 

2022年1月 4日 (火)

1月4日 名曲100選 日本のフォーク・ニューミュージック篇・16 妹

南こうせつとかぐや姫は1970年にデビューし、暫くの間は知る人ぞ知るフォーク・グループとして活躍していました。
1971年に伊勢正三と山田パンダを迎えて第2期のかぐや姫が結成され再デビュー。1973年に「神田川」が大ヒットし一躍メジャー・フォーク・グループとなりました。神田川は映画化されヒット。次のシングルは「22才の別れ」か「なごり雪」を考えていましたが、レコード会社が一方的に映画化が決まっていた「赤ちょうちん」「妹」に変更し、アーチストの意思が無視される事になったなどの原因で1975年に解散しています。

「妹」は、2人暮らしの兄妹の妹が結婚するにあたっての兄の気持ちを歌った、南こうせつらしい暖かく優しい歌です。
映画の方は林隆三と秋吉久美子が兄妹に扮していましたが、歌の内容とはかなり違って最後はブラックな結末でした。

2022年1月 3日 (月)

1月3日 名曲100選 交響曲篇・16 交響曲第2番(ベートーヴェン)

ベートーヴェンの交響曲第2番ニ長調op.36は、ベートーヴェンの交響曲の中でも地味な印象の曲です。特にこの次の第3番が今までの交響曲の形式から大きく飛躍した斬新な作品なので、余計にそのように感じるのかもしれません。
但し、ベートーヴェンですから勿論それまでの古典交響曲とは一味違う作品に仕上げていますし、個人的にはこの曲の緩徐楽章は第九と並ぶ美しい楽章だと思っています。
第1楽章は33小節の長い序奏から始まります。第1主題は非常に活発な音楽で第2主題も穏やかではありますが動きのある音楽になっています。コーダも長めで、全体としてはとっても立派な楽章です。
第2楽章は、前述した非常に美しい緩徐楽章。第1主題はヴァイオリンから木管へと続くメロディです。
221第2主題もヴァイオリンから始まるメロディですが第1主題より細かい動きが出てきます。
第3楽章は、ベートーヴェンが交響曲としてはじめてスケルツォを採用した楽章です。(第1番はスケルツォの性格が強いのですが、表記はメヌエットなので)とっても短い楽章です。
第4楽章は、トリルを使った短い動機から始まり、この動機が全体を支配します。
241第2主題は木管によって演奏される牧歌的なメロディ。コーダもとっても長くて堂々とした曲です。

2022年1月 2日 (日)

1月2日 名曲100選 管弦楽曲篇・15 交響詩「モルダウ」

スメタナの連作交響詩「我が祖国」の中でも最も知られているのが第2曲目の「モルダウ」です。
「我が祖国」はスメタナが1874年から1879年にかけて作曲した6つの交響詩からなるボヘミアの歴史や風土に基づく作品で、第2曲の「モルダウ(ヴァルタヴァ)」は、プラハなどを流れるヴァルタヴァ川の流れや周辺の風物などを描いたもので、6つの交響詩の中では最も描写的な音楽になっています。

「モルダウ」はヴァルタヴァ川の源流からプラハ市街を通って続く川の様子と周囲の風物の描写から出来ています。
冒頭のフルート2本によるソロは、Tepla VitavaとStudena Vitavaの2つの源流から川が流れ出し、やがて合流する様子を表現しています。そして有名な旋律がそれに続きます。1_20211226202101そして森林や牧草地を経て、農夫たちの結婚式の傍らを流れます。この時の音楽は4分の2拍子の軽やかな踊りの音楽です。
やがて夜になって月光の下水の妖精たちが舞います。ここでは弦楽器は弱音器を使います。
そして流れは最高潮へ向かって、「我が祖国」の第1曲目の「ヴィシェフラド」の傍らへ到達します。ここでは、第1曲目「ヴィシェフラド(高い城)」のメロディが力強く演奏され最後はエルベ川へと合流します。

この曲、実は演奏は非常に疲れる曲です。体力的にとっても厳しい。また、同じ力量のフルート奏者が2人いないと冒頭がうまく成立しない。非常にポピュラーな曲なのですが結構難しい曲です。

2022年1月 1日 (土)

1月1日 名曲100選 映画音楽(洋画)篇・15 荒野の七人 

あけましておめでとうございます。名曲100選今年もよろしくお願いいたします。

「荒野の七人」は1960年公開の西部劇。1954年に作られた黒澤明監督の「七人の侍」の舞台を西部開拓時代のメキシコの寒村に移したリメイク版です。七人のキャラクター設定は若干「七人の侍」とは違っていますが、盗賊から村を守るためにガンマンを雇って決戦に挑むというベースのストーリーは変わっていません。
リーダー格のクリスを演じたユル・ブリンナーをはじめ、スティーヴ・マックイーン、ホルスト・ブッフホルツ、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーン、ブラッド・デクスター、ロバート・ヴォーンというオールスターキャストによる作品で、監督はジョン・スタージェス、音楽はエルマー・バーンスタイン。
オリジナルが素晴らしいとリメイク版(2番煎じ)は出来が悪いと言われることが多いのですが、この作品は評価も高かった映画です。
メイン・テーマは、わくわくするような行進曲風の音楽で、その後テレビの西部劇やアメリカ西部にまつわる番組に多用され知名度が高い曲となりました。

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