12月5日 名曲100選 管弦楽曲篇・13 交響組曲「シェエラザード」
「シェエラザード」はリムスキー=コルサコフが作曲した交響組曲です。千夜一夜物語の語り手であるシェエラザードの物語がベースとなっています。交響曲と同じ4楽章の構成になっていますが、様々な動機が各楽章を通じて使われており物語性の強い音楽になっています。
また全楽章を通じて独奏ヴァイオリンが活躍するのも特徴です。
第1楽章<海とシンドバッドの船>は、シャリアール王の主題のユニゾンで始まります。続いて独奏ヴァイオリンがシェエラザードの主題を演奏します。
これらの物語のプロローグとなる序奏が終わって主部に入ります。海のうねりを表現する伴奏にのって豪壮な海の主題と大海原の中のちっぽけな船を連想させる船の主題が登場。その後シャリアール王の主題とシェエラザードの主題が絡み合いながら進みます。
第2楽章<カランダール王子の物語>。カランダールとは諸国行脚の修行僧の事。冒頭のヴァイオリンソロによるシェエラザードの主題に続いてファゴットによって王子の主題が演奏されます。中間部は管楽器のソロやTuttiによるメロディが繰り返されます。
第3楽章<若い王子と王女>はヴァイオリンによって歌われるメロディックな主題から始まります。中間部はクラリネットによって提示される舞曲風の王女の主題です。
第4楽章<バグダッドの祭り。海。船は青銅の騎士のある岩で難破。終曲>は変化の激しい楽章です。
シャリアール王の主題が速いデンポでTuttiで演奏され、それをシェエラザードの主題が受ける展開が2回繰り返された後、祭りの音楽がタランテラのリズムで激しく演奏されます。各楽章の音楽が回想されながら徐々に盛り上がり荒れ狂う波に呑まれる難破船の場面まで駆け上がり、海の主題が出てきて静けさを取り戻します。最後はヴァイオリン独奏でシェエラザードの主題が消え入るように演奏されて終結します。
この曲は管楽器も弦楽器も技巧的な要求がされる曲の上、ヴァイオリン独奏が協奏曲のような技巧的なものでは無いものの簡単ではないという中途半端な難しさという事で、プロのソリストを呼ぶのは勿体ないけど、通常のアマオケのコンサートマスターなどが弾くには高めのハードルという感じな上、編成が大きい事もあってなかなかアマチュアでは取り上げる機会が多くありません。
ただ、ストーリーが分かり易くドラマティックなので、楽しい音楽です。
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