クリスマス・ソングの番外編を始めた時に「ホワイト・クリスマス」や「ジングル・ベル」、「クリスマス・イブ」といった超有名曲は扱わないと宣言しましたが、「きよしこの夜」はちょっとはずせないと思って、トリをとってもらう事にしました。 「きよしこの夜」はヨゼフ・モールによってドイツ語の詞が書かれ、フランツ・グルーバーが作曲して1818年のクリスマス・イブに初演されたクリスマス・キャロルとしては比較的出自のはっきりしている曲です。 日本では由木康が詩をつけて1909年の讃美歌集に収録され、1961年には小学校の教科書にも採用されました。 静かで聖なる夜、処女の母から生まれた神の子は静かに安らかに眠るという内容の曲です。 やっぱり、この曲は This is the"Christmas song"だと思います。
私がこの曲を知ったのは、カーペンターズが1978年に発売した「クリスマス・ポートレート」というクリスマスソングを集めたアルバムでした。 元々はジュディ・ガーランドが1944年の映画「若草の頃 (Meet me in St.Louis)」の中で歌った曲。この時の歌詞は父親の仕事の都合で住み慣れたセント・ルイスからニューヨークへ引越しをしなければならなくなって動揺する妹たちをジュディ・ガーランドが励ます内容の歌詞になっていますが、後にちょっと暗い歌詞だということで後にフランク・シナトラが歌う時に幸せなクリスマスを迎える内容に書き換えて歌いました。よく歌われるのはこのバージョンが多いようです。 静かなジャズナンバーで、ホッとする音楽です。
「神の御子は今宵しも」(O Come, All Ye Faithful)はイングランドのウェードが作曲したとされる讃美歌ですが、はっきりした作者はわかっていないようです。歌詞も誰の手によるのかはっきりしていませんが、現在はイングランドカトリック教会の聖職者フレデリック・オークリーの英語詩が広く歌われています。
「恋人たちのクリスマス(All I Want for Christmas Is You)」はマライア・キャリーが1994年に発表したクリスマス・ソングです。 ここで取り上げるクリスマス・ソングの中では最も新しい曲です。マライア・キャリーとウォルター・アファナシェフの共作によるアップテンポのラブソングで「ザ・ニューヨーカー」誌では「ホリデーソングの名曲集に加える価値のある数少ない現代曲のひとつ」と評され、その後も多くのアーティストにカバーされています。 内容は原題「クリスマスに欲しいものはあなただけ」のとおり、プレゼントはいらないからクリスマスには最愛の人と一緒に過ごしたいという気持ちが歌われています。
「O Holy Night(さやかに星はきらめき)」は、バレエ音楽「ジゼル」で知られるフランスの作曲家アドルフ・アダンが作曲したクリスマス・キャロルです。原題は「クリスマスの賛美歌」でカポーによるものですが、英語圏ではドワイトが自由に英訳したものが「O Holy Night, the stars are brightly shininng」として知られています。このドワイトの詩を由木康が翻訳したものが日本の賛美歌として収録されています。
「荒野の果てに」(Angels We Have Heard on High)は16世紀フランスの伝統的なキャロルが下になっているクリスマス・キャロルです。 現在よく知られている旋律はエドワード・シッペン・バーンズが編曲したもので曲の最後に「Gloria in excelsis Deo」(いと高きところに神の栄光あれ)という歌詞がつけられています。 日本ではカトリック教会の「カトリック聖歌集(1966年版)」では「天(あめ)のみつかい」という日本語に訳されています。プロテスタント系の日本基督教団の「讃美歌集(1954年版)」などでは「荒野の果てに」というタイトルになっています。