10月15日 名曲100選 室内楽曲篇・6 弦楽四重奏曲第13番「ロザムンデ」(シューベルト)
シューベルトという作曲家は、新しい曲を書き出しては途中で投げ出すという事が非常に多い作曲家でした。「飽きっぽい性格」とか「金銭的に苦しく1つの曲に没頭できる環境では無かった」とか様々な原因が考えられていますが、安定的なスポンサーが無く、そのスポンサーに依頼された締め切りのある作曲活動では無かった事も原因のひとつと考えられます。勿論宮廷楽団から雇われて演奏会のために新曲を書くという必要も無かったのでしょう。そんな理由から未完成や途中で破棄された膨大な作品があります。
弦楽四重奏曲も番号付きの曲は15曲ありますが、断片や未完のものを合わせると25曲ぐらいが確認されています。
15曲の弦楽四重奏の中で2曲だけ標題が付けられたものがあります。そのひとつが14番の「死と乙女」、もう1曲がこの「ロザムンデ」です。両方ともシューベルトが名づけたわけではありませんが、14番は歌曲「死と乙女」を引用していることから名づけられたもので、13番はシューベルト自身の作曲した劇音楽「ロザムンデ」を引用しているので、そう名づけられています。
13番の弦楽四重奏曲は1824年に作曲され、同年シューベルトの存命中に唯一出版された弦楽四重奏曲です。
第1楽章は歌曲「糸を紡ぐグレートヒェン」に基づく抒情的な主題を持つ楽章です。
第2楽章は「ロザムンデ」の間奏曲を元にした変奏曲。
第3楽章のメヌエット主題は歌曲「ギリシャの神々」に基づくものといわれています。
シューベルトはメロディの使いまわしが多い作曲家ですが、特に「ロザムンデ」は他の曲との関わることが非常に多い作品です。
まず、「ロザムンデ」序曲として現在も演奏されている作品は、元々は劇音楽「魔法の竪琴」の序曲をそのまま転用したものです。劇音楽「ロザムンデ」を作曲した際に、上演までに序曲が間に合わず、初演時にはその前年に完成していた歌劇「アルフォンソとエストレッラ」の序曲をそのまま演奏したため、専用の序曲が作曲されることはありませんでした。その後「魔法の竪琴」の序曲を使うようになりそのまま定着したようです。
さらに第1幕の間奏曲やバレエ音楽第1番を元々「未完成交響曲」の終楽章と第3楽章のトリオとして考えられていたものとの指摘もあるようです。
そして「第3幕の間奏曲」はシューベルトも気に入っていたメロディだったようで、この弦楽四重奏曲の第2楽章の変奏主題に使用され、さらに即興曲変ロ長調にも流用されています。メロディは終始静かで特に主部主題はシンプルで愛らしい旋律です。
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