今日の音楽 4月11日 クープランの墓(ピアノ版)
ラヴェルのクープランの墓(ピアノ版)は1919年4月11日に独立音楽協会の演奏会でマルグリット・ロンのピアノで初演されました。
ラヴェル最後のピアノ独奏曲で、フランスのバロック時代の大御所フランソワ・クープランを偲んで、その頃の音楽のスタイルを取り入れた作品として作曲されました。構想を練り始めた時に第一次大戦が勃発しラヴェルも従軍し、除隊後に戦火に散った友人たちの思い出に捧げる6曲の組曲として完成されたものです。
第1曲 プレリュード ジャック・シャルロ中尉に捧げる曲で16分音符による速いテンポの曲。管弦楽に編曲されたものではオーボエソロによって演奏されますが、さすがにピアノ程の速いスピードでは吹けないので、少しテンポは抑えられています。
第2曲 フーガ ジャン・クルッピ少尉に捧げる曲。ピアノ版のみ。
第3曲 フォルラーヌ ガブリエル・ドゥリュック中尉に捧げる曲。フォルラーヌは北イタリアを起源とする舞曲で、組曲の中で最も長い曲です。
第4曲 リゴドン ゴーダン兄弟に捧げる曲。生き生きとした曲です。管弦楽組曲ではメヌエットと入れ替えて最後の曲になっています。
第5曲 メヌエット ジャン・ドレフュスに捧げる曲。愛らしいメロディのメヌエットです。
第6曲 トッカータ 初演者のマルグリット・ロンの夫であったマルリアーヴ大尉に捧げられています。これもピアノ版のみ。
バロック時代のクープランの活躍以後、フランスではフランス革命を初めとした度重なる革命などによって安定した時代が長続きしなかったこともあり、ロマン派までの時代ではドイツやイタリアに比べると音楽の創作は停滞していました。19世紀後半にサン=サーンスやフォーレによって国民音楽協会が立ち上げられ、ようやくフランスの音楽が動き始めました。ラヴェルが、音楽が盛んだったクープランの時代に思いを馳せて作曲した作品です。
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