今日の音楽 2月29日 葬送協奏曲(ハルトマン)
ハルトマンの葬送協奏曲は1940年2月29日にザンクト・ガレン・トーンハレで初演されました。
20世紀ドイツを代表する作曲家」カール・アマデウス・ハルトマンは7曲の協奏曲を作曲しました。そのひとつがヴァイオリン協奏曲「葬送協奏曲」です。キリスト教の一派であるフス派のコラールに基づくもので、ナチスへの抵抗作品として作曲され「反ファシスト」というサブタイトルも付けられたものです。全曲を通して緊張感溢れる作品です。
モランティ指揮 ハンガリー国立歌劇場管弦楽団, ハンガリー放送合唱団, アントネッロ・パロンビ, グンナル・ルンドベリ: プッチーニ:グローリア・ミサ/交響的前奏曲
ヴェンゲーロフ(vn)ロストロポーヴィチ指揮ロンドン交響楽団: プロコフィエフ&ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番
ガウク指揮 レニングラード国立フィルハーモニー管弦楽団: チャイコフスキー:交響曲第4番 グリンカ:≪ルスランとリュドミラ≫序曲
チョン・キョンファ(Vn)フォスター指揮ロンドン交響楽団: サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番/ヴュータン:ヴァイオリン協奏曲第5番 (SHM-CD)
ショルティ指揮コヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団: グノー:「ファウスト」バレエ音楽/オッフェンバック(ロザンタール編):バレエ音楽「パリの喜び」
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ハルトマンの葬送協奏曲は1940年2月29日にザンクト・ガレン・トーンハレで初演されました。
20世紀ドイツを代表する作曲家」カール・アマデウス・ハルトマンは7曲の協奏曲を作曲しました。そのひとつがヴァイオリン協奏曲「葬送協奏曲」です。キリスト教の一派であるフス派のコラールに基づくもので、ナチスへの抵抗作品として作曲され「反ファシスト」というサブタイトルも付けられたものです。全曲を通して緊張感溢れる作品です。
映画「病は気から 病院へ行こう2」は1992年12月に公開されました。
1990年公開の映画「病は気から」のヒットを受けて作られた作品ですが、続編ではありません。
小泉今日子演じるがん患者と、ホスピスの担当医(三上博史)の恋愛や、病院関係者とのふれあいを描いた作品。
主題歌は広瀬香美の1stシングル「愛があれば大丈夫」です。アルペンのCMソングとなった3枚目のシングル「ロマンスの神様」が大ヒットしてブレイクする前の曲で、オリコンの最高位は42位でした。
1992年の邦楽年間ランキング第17位は、平松愛理の「部屋とYシャツと私」でした。
1989年ソロ・デビューをした平松愛理の8枚目のシングルでレコード大賞作詞賞を受賞した曲です。さだまさしの「関白宣言」の女性版とも言われミリオン・セラーになりました。結婚前の女性の心情を歌った曲で、内容は厳しい事を言っていますが、そこには夫に対する強い愛情が感じられる曲になっています。翌年にはこの曲をモチーフとした映画も製作されています。
昨年2019年には、同じメロディでこの曲のアンサーソング「部屋とYシャツと私~あれから~」が発売されました。夫婦として月日を重ねた妻の心情を歌った曲です。
ボロディンの交響曲第2番ロ短調の初稿は1877年2月26日にナープラヴニークの指揮でサンクトペテルブルクで初演されました。
ボロディンは作曲家の他に、化学者・医者の本業を持っていたため、滅茶苦茶多忙でひとつの作品を完成するのに多くの時間がかかってしまった作曲家として知られています。未完成のものも数多く残されています。
この交響曲第2番は1869年に作曲に着手して完成まで8年を要しています。初演の評価は芳しくなく、その後オーケストレーションに手を入れて1879年にリムスキー=コルサコフの指揮で改訂版が初演され、こちらは成功したようです。非常に勇壮な主題を持ち典型的なロシア風の色彩に溢れた曲になっています。
映画「ゴジラvsモスラ」は1992年12月に公開されました。
平成ゴジラ・シリーズの第4作、通算では第19作にあたる作品で、ゴジラ・シリーズ中シン・ゴジラに次ぐ観客動員数となった作品です。
トレジャーハンター役の別所哲也が盗掘と遺跡破壊行為で逮捕され、免罪を条件に元妻(小林聡美)らとインファント島へ調査へ行きモスラの卵を持ち帰ります。コスモスと名乗る2人の小美人(今村恵子と大沢さやか)が悪のモスラであるバトラの復活を警告するも、バトラの復活を防げず名古屋を破壊。海上を運搬中のモスラの卵はゴジラの襲撃を受けますが、モスラは孵化しゴジラ、モスラ、バトラの三つ巴の戦いが始まります。
最後はモスラとバトラが協力してゴジラを退治するというストーリーです。主題歌はモスラの歌。初代ザ・ピーナッツに続き2代目小美人を演じた今村恵子と大沢さやかが歌っています。
ちなみに第3代の小美人は「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS」で登場する大塚ちひろと長澤まさみでした。
2020年3月8日(日) ティアラこうとう大ホール(都営新宿線/東京メトロ半蔵門線 住吉駅 徒歩4分) 午後2時開演
指揮 黒岩英臣
曲目 ワーグナー 歌劇「リエンツィ」序曲
モーツァルト 交響曲第41番ハ長調「ジュピター」 K.551
シューマン 交響曲第3番変ホ長調op.97「ライン」
今日は、シューマンの交響曲第3番「ライン」のご紹介PART1です。
この曲は、番号では4曲の交響曲中第3番という番号がついていますが、実際に作曲されたのは4番目になります。1850年にデュッセルドルフのオーケストラと合唱団の音楽監督に招かれ、当地でライン川沿岸を好んで散歩し上流のケルンでも大聖堂に感銘を受けて作曲したものです。「ライン」の副題はシューマンが名づけたものではありませんが、ライン川と関係が深い音楽になっています。それぞれの楽章がライン川周辺にまつわる音楽になっています。
よく言われるようにシューマンのオーケストレーションは決して巧いとは言えません。特に感じるのは、とにかく音が多い事、楽器の重ねすぎ、楽器の特性を十分に理解していない事です。楽器の重ねすぎはクリアな音を妨げ、くすんだ音に聴こえます。そのため多くの指揮者が、オーケストレーションの変更や間引きを行って演奏する事が多かったようです。有名なところではマーラーの編曲版が挙げられますが、最近では、このくすんだような音色がシューマンの音色であるとしてオリジナルで演奏する事が多いようです。
そんなわけで、この曲技術的にも簡単ではありませんが、何と言っても体力。特にフレンチ弓のコントラバスの場合練習の最後の方では右手の握力が限界を迎えるわけで、第5楽章の最後のテンポが上がるところあたりでは、弓を持っているのがやっと。まともに元気よく弾けた事が一度も無いという有様です。練習時は本番と違って止まって何回も繰り返すので余計に体力を消耗しますので本番は大丈夫だとは思いますが、前回のショスタコの5番の時の第1楽章後半で腕が攣ったという経験があるので若干心配ではあります。
「ライン」は5楽章という通常の交響曲とは異なる構成になっています。
第1楽章は、いきなり勢いのある第1主題から始まります。この楽章は3拍子なのですが、実は音楽としては2小節で3拍子になっているように聴こえますが、そのように演奏しては絶対にイケナイわけで、ここがとってもわけわからなくなる要因です。第2主題は哀愁を帯びた旋律になります。展開部はシューマンらしくあまり工夫はありませんが、ホルンの雄叫びがあった後コーダに入ります。
この楽章で3小節以上の休みがあるのが、たった4箇所。それも最も長いのが5小節の休みなので、殆ど弾きっぱなし。これだけ弾きっぱなしの楽章は経験した記憶がありません。
第2楽章は、スケルツォ楽章。川の流れの中に漂うような感じのする曲です。中間部はホルンなどで演奏されるイ短調の曲です。休みの小節があるのは1ヶ所。それも最後から5小節前からの3小節間だけ。しかも途中に28小節にわたってドの音の刻みがあって、ここでは弦をおさえる左手の指も限界に達します。
第3楽章は、緩徐楽章です。が、通常の緩徐楽章と違って動きのある音楽です。この曲も連続5小節の休暇が冒頭からある以外は年中無休。しかも今度は6.5小節間ラソラソラソラソラソラソラソラソ(ラは♭ラ)という試練も与えられています。
to be continued
1992年の邦楽年間ヒットランキング第14位は、小野正利の「You're the Only」でした。
4オクターヴの声域と地声とファルセットの喚声点を感じさせないミックスボイスで中学時代からバンド活動を始め大学時代にはハードロックバンドで活動していた小野正利のソロデビュー3作目のシングルが「You're the Only・・・」でした。
フジテレビ系ドラマ「君のためにできること」の主題歌となって初のミリオン・セラーを獲得。その後大ヒットには恵まれないものの活動を続け2009年にはヘヴィメタのバンドGALNERYUSのヴォーカルとしても活動を続けています。
映画「ボディ・ガード」は1992年12月に日本で公開されました。
ホイットニー・ヒューストンが扮する女性歌手と、その身辺警護に雇われたケビン・コスナーが、反発しながら次第に理解し合っていくというストーリー。
主題歌の「オールウェイズ・ラヴ・ユー」は1974年にシンガー・ソングライターのドリー・パートンがリリースしたカントリーで、ビルボードのカントリー・チャートで1位を獲得した曲の、カヴァー。ホイットニー・ヒューストンのカヴァー・ヴァージョンはビルボード全米1位を14週連続で獲得した曲。デヴィッド・フォスターが編曲したサントラ盤は全世界で4,200万枚を売り上げる大ヒットとなりました。
ブルッフのスコットランド幻想曲op.46は、1881年2月22日にヨアヒムのヴァイオリン独奏、ブルッフ指揮リヴァプール・フィルハーモニー協会の演奏で初演されました。
ブルッフが、スコットランドの詩人ロバート・バーンズが音楽学者ジェームズ・ジョンソンとともに編集した「スコットランド音楽博物館」という全6巻599曲からなる曲集に出会い、作曲したのが「スコットランド民謡の旋律を自由に用いた、管弦楽とハープを伴ったヴァイオリンのための幻想曲」という正式な題名を持つ協奏的作品です。
サラサーテのために作曲され、献呈していますが、初演は作曲上のアドバイスを行ったヨアヒムが行い成功しましたが、一時期演奏される事がなくなっていました。世界的に知られるようになったのは、ハイフェッツがこの曲を好んで演奏した為と言われています。
この曲は序奏と4つの楽章からできています。
甘美で物悲しいテーマによる序奏が終わると、スコットランド民謡「森を抜けて、若者よ」をベースとしたゆったりとしたテンポの第1楽章、バブパイプを模した伴奏に乗って舞曲風のリズムで「粉まみれの粉屋」をベースとした第2楽章、「ジョニーがいなくなってがっかり」をベースにした親しみ易い旋律の第3楽章、スコットランドの非公式国歌のひとつ「スコットランドの民よ」をベースとした華やかで快活な終楽章という変化に富んだ音楽が楽しめます。
1992年の邦楽年間ランキング第4位は大事MANブラザーズバンドの「それが大事」でした。
ボーカルの立川俊之を中心に1982年に埼玉県草加市で結成されたバンドで、アルバム1枚、シングル2枚をリリースしましたがヒットせず、事務所から解雇をほのめかされ背水の陣で制作したのが「それが大事」です。テレビ朝日系の「スポーツフロンティア」のエンディングに使われましたがヒットせず、フジテレビ系「邦ちゃんのやまだかつてないテレビ」のテーマ曲に使用されてブレークしオリコン1位を獲得しました。
「負けない事、逃げ出さない事、投げ出さない事、信じぬく事・・・これが一番大事」という応援ソングとして色々なところで歌われました。
結局大事MANブラザーズバンドは、このヒット後所属事務所とレコード会社との契約上のトラブルが原因で移籍しましたが、一発屋で終わって1996年に解散しました。
映画「アダムス・ファミリー」は1992年4月に日本で公開されました。
原作はチャールズ・アダムスの一コマ漫画。丘の上の洋館に住むお化け一家が繰り広げるホラーコメディ。1964年にドラマ化されて日本では「アダムスのお化け一家」というタイトルで人気を得たものの映画化作品です。
テーマ曲はテレビ版でも使用された公式テーマソングです。
1992年の邦楽年間ヒットランキング第2位は、浜田省吾の「悲しみは雪のように」でした。
1976年にデビューしライブ中心の活動でコアなファンを多く持っていた浜田省吾が1981年にアルバム「愛の世代の前に」からシングルカットしたのが「悲しみは雪のように」でした。自分の母親が脳閉塞で意識不明の重体になった際の深い悲しみと、その中から人に対して優しい気持ちになれたというエピソードを基にした書かれたもので、当時は殆ど売れませんでした。
1992年にテレビドラマ「愛という名のもとに」の主題歌として採用されるにあたり、アレンジを大幅に変更して再リリースして大ヒットとなりました。
ドビュッシーの「喜びの島」は1905年2月18日にパリの国民音楽協会でビニェスの独奏で初演されました。
ヴァトーの絵画「シテール島への巡礼」の影響を受けて作曲されたピアノ曲。当初は「ベルガマスク組曲」の1曲になる予定でしたが出版上の都合で独立した曲として発表されました。
装飾音やリズムの変化などの技巧を駆使して色彩感豊かな幻想的な曲に仕上げられています。
のだめカンタービレで、マラドーナ・ピアノコンクールの二次予選曲のひとつとして取り上げられていました。
フランクの交響曲ニ短調は1889年2月17日にパドルーの指揮でパリ音楽院演奏協会にて行われました。
フランクはドイツ系ベルギー人ですが12歳の時に一家がパリに移住して、15歳の時にパリ音楽院に入学し作曲、ピアノ、オルガンなどを学びました。一時退学して帰郷しましたが、その後パリへ戻りピアノ教師や教会オルガニストとして静かに活動をしていました。
1871年にサン=サーンスやフォーレなどと共にフランス国民音楽協会の設立に加わり最晩年になって作曲家として次々と作品を発表して注目されました。また、パリ音楽院に教授として迎えられ、ダンディ、ショーソン、ピエルネ、デュパルクなどフランスの器楽音楽を支える作曲家を多く育てた事で、フランス音楽の歴史を語る上で欠かせない存在となりました。
フランク唯一の交響曲はラロ、サン=サーンス、ダンディなどの交響曲が相次いで発表されたのを受けて作曲したものですが、初演はあまり芳しくなかったようです。死後フランス音楽を代表する交響曲として受け入れられるようになっています。
フランク得意の循環形式を用い、オルガン的な響きや重厚なオーケストレーションを特徴とする曲で、スケルツォ楽章を欠く3楽章で構成されています。
この曲は高校生の時に友人からチケットをもらって行った大学のオーケストラ(どこの大学だか忘れた・・・東工大だか理科大だかだったと思います)の演奏会で初めて聴いて、感動してはまりました。第1楽章の第2主題まで駆け上がるところ、終楽章の展開部の第1主題の総奏では今でも痺れちゃいます。
アイヴズのオーケストラ・セット第1番「ニューイングランドの3つの場所」は1930年2月16日にスロムニスキーの指揮で非公開に初演されました。
「ボストン広場のセント・ゴードンス」「コネチカット州、レディングのパットナム将軍の野営地」「ストックブリッジのフーザトニック河」の3曲からなる組曲。
ポピュラー音楽やアメリカ国歌などが顔を出して、アイヴズらしい曲です。
2020年3月8日(日) ティアラこうとう大ホール(都営新宿線/東京メトロ半蔵門線 住吉駅 徒歩4分) 午後2時開演
指揮 黒岩英臣
曲目 ワーグナー 歌劇「リエンツィ」序曲
モーツァルト 交響曲第41番ハ長調「ジュピター」 K.551
シューマン 交響曲第3番変ホ長調op.97「ライン」
今日は、モーツァルトの交響曲第41番のご紹介です。
パイオニア交響楽団では、第35番以降のモーツァルト後期6大交響曲で唯一演奏していない作品です。私個人では約40年ぶりです。
モーツァルトの曲は、どの曲も演奏会で良い演奏を聞かせるのが難しいです。古典派の譜面はダイナミクスなどは最低限の事しか書かれていないので、曲の構成・フレージングなどを理解しないで譜面通りの演奏をすると無味乾燥な、場合によっては滑稽な音楽になってしまうので演奏の上手下手以上に出来の差が現れてしまいます。
41番は、モーツァルトの最後の交響曲です。最後らしく、またハ長調という基本的な調性を使った堂々とした曲になっています。木管楽器はオーボエとファゴットは2本ずつですが、フルートは1本、ハ長調が苦手なクラリネットは無しという編成です。
第1楽章は全く序奏なく、木管と全弦楽器のユニゾンでいきなり第1主題が提示されます。最初はハ長調で、ヴァイオリンの経過句のあとト長調で演奏されます。ベートーヴェンの交響曲第1番の第1楽章よく似た主題です。モーツァルトでは、ド・ソラシド・ソラシドですが、ベートーヴェンはドーソシ ドーソシ ドで、主題の転調はト長調ではなくニ長調でした。第2主題はモーツァルトらしい可愛らしい音楽ですが、この楽章全体を通して瑞々しくしかも堂々としている音楽です。
第2楽章は個人的には一番難しい楽章。モーツァルトの交響曲は全般的に緩徐楽章がとっても難しいです。理由は息の長いフレーズ。弓の使用量の多いコントラバスにとっては息の長いフレーズはとっても難しいです。ヴァイオリンだけが弱音器をつけてゆっくりですがリズムの変化が多い主題を奏でます。第2主題は一転短調の厳しい表情の音楽。こちらはフレーズの長さがめまぐるしく変化していきます。最後は天国に上るような美しい音楽で終わります。
第3楽章はメヌエット。非常に優美なメヌエットです。トリオ後半で短調のジュピター音型が出てきて終楽章を暗示しています。
第4楽章はドレファミというモーツァルトが好んで使った音型、ジュピター音型による第1主題がいきなり提示されます。ここでおわかりと思いますが、この41番の交響曲は全楽章とも頭から主題が演奏されます。これって実は結構難しいんです。この終楽章では1stヴァイオリンの全音符の主題のバックで2ndヴァイオリンが音楽を作る作業をやっていますが、序奏もなくていきなりテンポを作らなければならないので、かなり大変です。
終楽章の目玉は何と言っても、複雑なフーガ。フーガって立ての線(簡単に言えば、各楽器間の拍)が合わないとグシャグシャになるのですが、それぞれの楽器の出るタイミングが一定ではなくて複雑なので、きちんと聴こえるように演奏するのは非常に難しいフーガです。
このモーツァルトのジュピター音型は、モーツァルト自身も交響曲第1番など多くの楽曲で使用していますし、後の作曲家にも大きく影響を与えています。ブラームスは4つの交響曲を作曲していますが、第1番はハ短調、第2番はニ長調、第3番はヘ長調、第4番はホ短調。ドレファミですよね。シューマンの4つの交響曲も作曲順に並べると第1番変ロ長調、第2番ハ長調、第3番変ホ長調、第4番ニ短調ですが、各調を1度(半音2つ分)上げるとハ長調、ニ長調、へ長調、ホ短調になってドレファミになります。まあ、シューマンの交響曲の場合は作曲順ではないので、こじつけかもしれませんけど。
ビゼーの序曲「祖国」op.19は、1874年2月15日にパドゥルーの指揮でコンセール・ポピュレールで初演されました。
元々は「ドン・ロドリーグ」というオペラ(マスネの「ル・シッド」=映画でも知られる「エル・シド」と同じ題材)のために作曲された曲でしたが、初演直前にパリ・オペラ座が火災で焼失してしまったため、結果的にオペラは未完に終わってしまいました。
ビゼーが、この作品を演奏会用序曲として発表したのが「祖国」です。ポーランド戦争の挿話という副題が付けられており普仏戦争を念頭に祖国愛を表現したものです。1875年に36歳で早逝したビゼーの最晩年の作品となり、同じ管弦楽の曲でも交響曲ハ長調などの瑞々しさはないものの、完成度の高い曲となっています。
1992年の国内映画興行収入年間ランキング第2位は「フック」でした。
成長して40歳になったピーター・パンが宿敵にフック船長と再び戦うというスピルバーグ監督のSF映画です。
自分がピーター・パンだった事の記憶を完全に失っていた弁護士ピーター・バニングの子供たちがフック船長に誘拐されてしまい、祖母のウェンディから自分がピーター・パンである事を聴かされ、妖精ティーンカーベルと子供たちを救うためにネバー・ランドへ向かいます。次第に空を飛ぶ能力を取り戻しフック船長を破って子供たちを取り戻すという内容。
ピーター・パンにはロビン・ウィリアムズ、フック船長にはダスティン・ホフマン、ティーンカーベルにはジュリア・ロバーツが扮していました。
音楽はジョン・ウィリアムズ。
1992年の邦楽年間ヒットランキング第1位は米米CLUBの「君がいるだけで」でした。
文化学院のサークル仲間を中心に結成されたのが米米CLUB。13枚目のシングルで最大のヒット曲が「君がいるだけで」です。フジテレビ系ドラマ「素顔のままで」の主題歌に起用されたのがヒットにつながりました。
しかしながら、それまでは比較的ディープな路線を歩んでいた米米CLUBから、メジャー路線を歩みだしたこともあり、それが解散へと繋がってしまった事は否めません。
ツィーラーのワルツ「ウィーンの市民」op.419は1890年2月12日にウィーン市庁舎での舞踏会でツィーラー指揮のウィーン第4連隊の演奏で初演されました。
ツィーラーはウィーンのオペレッタの黄金時代(金の時代)を築いた作曲家のひとりで、後の銀の時代と呼ばれる時代にも活躍した作曲家です。
ヨハン・シュトラウス二世との関係が悪化していた出版業者ハスリンガーの後押しで、シュトラウスのライバルに祭り上げられようとされていましたが、実際はヨハン・シュトラウス二世のライバルは弟のヨーゼフ・シュトラウスで、ツィーラーが頭角を現したのはヨーゼフの死後の事でした。かなりの多作家で作品番号は560を超え、当時のウィーンではシュトラウス一家と並ぶ人気を誇っていたようです。
ウィーンの市民は代表作のひとつでウィーン市庁舎での初めての舞踏会ではシュトラウス二世とツィーラーが新作を用意し、シュトラウス二世は「市庁舎舞踏会」というワルツを作曲し、ツィーラーは「ウィーンの市民」を披露しました。人々が軍配を上げたのは「ウィーンの市民」だったようです。
2020年3月8日(日) ティアラこうとう大ホール(都営新宿線/東京メトロ半蔵門線 住吉駅 徒歩4分) 午後2時開演
指揮 黒岩英臣
曲目 ワーグナー 歌劇「リエンツィ」序曲
モーツァルト 交響曲第41番ハ長調「ジュピター」 K.551
シューマン 交響曲第3番変ホ長調op.97「ライン」
今回はワーグナーの歌劇「リエンツィ」序曲のご紹介です。
「リエンツィ、最後の護民官」は、ワーグナーがドイツで成功できずパリに逃れて完成させた初期のオペラで、この作品の成功によってワーグナーのオペラ作曲家としての方向性が定まった作品です。まだまだ旧来のドイツ・オペラの延長線上の作品であり、初稿は6時間以上を要する長大なものであり(現在は3時間40分程度に短縮されています)、バイロイト音楽祭の演目にも入っていないため、全曲が演奏される事はごく稀です。
ストーリーは14世紀のローマに実在した政治家コーラ・ディ・リエンツィの話。貧しい家に生まれたリエンツィは弁説によって頭角を現し教皇庁がアヴィニョンに移っていたため(アヴィニョンの捕囚)荒廃していたローマを建て直し、絶大な権限を与えられるようになりました。税制改革などの改革を行いましたがやがて皇帝のように振舞うようになり、意に沿わないものを次々と処刑するなど恐怖政治を行うようになり、かつての部下に殺されてしまうという史実が下敷きになっています。
序曲は、このオペラの中の曲を使って構成されています。
冒頭から数回登場するトランペットの単一の音は、民衆蜂起のための召集ラッパ。ここから荘厳なチェロとコントラバスのメロディによって導入され、やがてアレグロの主要部に入ります。第2幕で自身の暗殺者を赦したリエンツィを民衆が讃える賛歌による行進曲風のメロディ、第3幕の反乱軍との戦争を制圧して歌われる「精霊よ、護り給え」といったメロディが繰り返され、華々しくコーダを迎えます。
ワグネリアンからすると、官能的なものも無く、神々しさもなく、この曲はワーグナーらしさが殆ど見られない、稚拙な曲と思われるかもしれませんが、これはこれで、いかにもドイツ音楽という感じで今回の演奏会には相応しいと思います。
とにかくコントラバスとしては最初の部分のメロディでいかにお客さんを引き込めるかが勝負、というとっても重要な役割を担わされる曲です。
美女と野獣 Beauty and the Beast セリーヌ・ディオン&ピーボ・バイソン 1992年Billboard年間ランキング第64位 最高位9位
フランスのヴィルヌーヴ夫人によって書かれ、それを短縮したボーモン夫人による版を下敷きとしたディズニー・ミュージカル・アニメ。実際にはストーリーはかなり異なっています。
魔法によって野獣に姿を変えられた王子が、心清らかな人間の娘の愛によって魔法が解かれるという話。1946年にジャン・コクトーによって初めて映画化され、1991年以降3作の実写版が製作されています。
音楽は「リトル・マーメイド」と同じくアラン・メンケン。
1992年の国内年間映画興行収入ランキング第1位は「紅の豚」でした。
スタジオ・ジブリによる長編アニメ映画。監督は宮崎駿。世界大恐慌時代のイタリア、アドリア海を舞台に、飛行艇による空中海賊と、彼らを相手に賞金稼ぎで生きるブタの姿をした退役軍人ポルコ・ロッソの話。
宮崎駿の趣味を反映して、ここ数年の子供向け作品から大人向けの作品へと転換した作品です。
ロッソの昔なじみのホテル経営者ジーナの声を演じた加藤登紀子が主題歌を歌っています。
主題歌の「さくらんぼの実る頃」は1866年に発表されたフランスを代表するシャンソン。イヴ・モンタン、ジュリエット・グレコなどが持ち歌として歌っていた曲です。
エンディング・テーマの「時には昔の話を」は加藤登紀子自身の作詞作曲によるものでした。1987年に発売された「百万本のバラ」のカプリング曲として収録されていたもののライヴバージョンを採用しています。
私の所属するパイオニア交響楽団の第33回定期演奏会まであと1ヶ月となりました。
今回は久々のオール・ドイツ・プログラムです。全て本格的なドイツ音楽というのは第22回定期以来です。しかも古典派音楽、中期ロマン派、後期ロマン派とドイツ音楽の歴史を感じさせるプログラムとなっています。
古典派音楽は、モーツァルト最後の交響曲である第41番「ジュピター」。パイオニア交響楽団としては35番以降のモーツァルト6大交響曲の最後となる曲です。モーツァルトの交響曲を取り上げるのは38番「プラハ」以来10年ぶりです・・・私自身もこれ以来の演奏になります。
中期ロマン派音楽は、シューマンの交響曲第3番「ライン」。シューマンは4曲の交響曲を作曲していますが、番号は出版順に付けられていて作曲順ではありません。そのため実質的にはこの第3番が最後の交響曲になっています。シューマンを取り上げるのは2009年の第1番「春」以来。この10年でシューマンを演奏する苦労を忘れてしまい、選曲してしまいました。
後期ロマン派音楽は、ワーグナーの歌劇「リエンチ」序曲。後期ロマン派音楽といっても、まだワーグナー初期の作品で、トリスタン和音も出てこないワーグナー音楽っぽくない曲ですが、この曲の成功でワーグナーの名が世に出るきっかけとなったものです。
そして、この3曲。譜めくりが大変。体力的に非常にハード。個人的にこういうプログラムを演奏できるのは年齢的に最後かもしれません・・・
1991年の邦楽年間ランキング第49位は、やまだかつてないWinkの「さよならだけど さよならじゃない」でした。
フジテレビ系のバラエティ「邦ちゃんのやまだかつてないテレビ」で、当時人気のあった女性アイドル・デュオWinkのパロディとして(元々山田邦子が相田翔子のものまねをしていたため)鈴木早智子役を公募し結成した やまだかつてないWinkの2枚目のシングルが、「さよならだけど さよならじゃない」です。作詞は山田邦子、作曲はKANでオリコンチャートでは最高位2位になりました。
卒業式の定番ソングとしても歌われた曲です。
シェーンベルクの室内交響曲第1番op.9は、1907年」2月8日にウィーン宮廷歌劇場管弦楽団員とロゼー弦楽四重奏団の演奏で初演されました。
オリジナルの編成は15人の奏者による編成ですが、弦楽器は各1人ずつなのに比べて管楽器は総勢10人という特殊な編成になっています。通常の管弦楽曲や室内楽曲で管楽器の数が弦楽器を上回る事は常識的に考えられなかったため初演の時は非難の嵐だったようです。
音楽自体も、合奏部分になると鋭い音色が特徴で、普段聞き慣れた音楽に比べるとかなり耳障りに感じます。これは弦楽器による叙情的な音色をできるだけ排したものを狙ったと考えられます。
単一楽章の曲ですがスケルツォや緩徐楽章にあたる部分を含んだ多楽章の要素を持った曲になっています。
1914年にはフル・オーケストラに編曲もされています。
1991年の邦楽年間ランキング第30位は永井真理子の「Zutto」でした。
永井真理子は1987年にデビューし、ボーイッシュな雰囲気で人気を得、フジテレビ系「邦ちゃんのやまだかつてないテレビ」のエンディングテーマとして採用された「Zutto」がオリコン2位のヒットとなりました。
永井真理子は元気印のアイドル的歌手として歩んで来ましたが、このバラード曲のヒットが大人の本格的歌手として認められるきっかけとなったと感じました。
ストラヴィンスキーの交響的幻想曲「花火」は1909年2月6日に、ジロティの指揮で初演されました。
5分以内の演奏時間という短い曲で、1908年リムスキー=コルサコフの娘ナジェージダと作曲家シテインベルクの結婚を記念して作曲したものです。1917年にはバレエ・リュスによってバレエとして上演されています。
3管の大きな編成で、この後作曲された「火の鳥」に近づく初期作品です。
イッポリトフ=イワノフの組曲「コーカサスの風景」は1895年2月5日にモスクワのロシア音楽協会演奏会で、自身の指揮によって初演されました。
リムスキー=コルサコフに師事しペテルブルク音楽院で学んだイッポリート=イワーノフは多くの曲を作曲したのですが、現在はこの「コーカサスの風景」のみが演奏されています。コーカサス地方の音楽に興味を持って作曲したのが「コーカサスの風景」です。
「峡谷にて」「村にて」「モスクにて」「酋長の行列」の4曲からなる組曲。
第1曲の「峡谷にて」はダリヤール峡谷の風景を描いたものです。冒頭のホルンの音は峡谷に響くこだまを、弦楽器の細かい動きはテレク皮のざわめきを表しています。
第2曲「村にて」は東洋的なメロディと東洋的な舞曲の組み合わせ。
第3曲「モスクにて」は木管楽器とホルン、ティンパニのみで演奏される単純なメロディ(アザーン=イスラムの呼びかけ)の繰り返し。
第4曲は最も有名な「酋長の行列」。勇壮さと東洋的な雰囲気を併せ持つ行進曲です。
1991年の邦楽年間ランキング第12位は、辛島美登里の「サイレント・イヴ」でした。
辛島美登里は鹿児島出身のシンガー・ソングライター。1983年に第26回ポプコンでグランプリを獲得しました。本格デビューは1989年「時間旅行」で翌年TBSドラマ「クリスマス・イブ」の主題歌となった「サイレント・イヴ」がオリコン1位になりました。これ以降クリスマスの定番ソングとして歌われています。
非常に透き通った歌と美しいメロディの素敵な曲です。
その後も自身の歌と永井真理子などへの楽曲提供などで活躍を続けています。
ロッシーニのイタリア時代最後の作品、歌劇「セミラーミデ」は1823年2月3日にヴェネツィアのフェニーチェ劇場で初演されました。
ヴォルテールの悲劇「セミラミス」を基に作曲されたオペラ・セリア。1822年初めてウィーンに滞在しベートーヴェンに面会した際に「君はオペラ・ブッファを書いたほうがいいよ。」と言われて発奮し、ドイツ音楽の影響を受けた多彩な管弦楽法を用いて作曲されたものです。
序曲もロッシーニらしさを持ちつつも重厚な音楽になっており、聴き応えのある曲になっています。
所属するパイオニア交響楽団の第33回定期演奏会のお知らせです。
2020年3月8日(日) ティアラこうとう大ホール(都営新宿線/東京メトロ半蔵門線 住吉駅 徒歩4分) 午後2時開演
指揮 黒岩英臣
曲目 ワーグナー 歌劇「リエンツィ」序曲
モーツァルト 交響曲第41番ハ長調「ジュピター」 K.551
シューマン 交響曲第3番変ホ長調op.97「ライン」
今回は久々にオール・ドイツのプログラムです。
本日2月27日の安部首相のイベント自粛の要請を受けて、演奏会は中止とさせていただきます。
チケット・プレゼントに応募された皆様にはお詫びを申し上げます。
映画「ドク・ハリウッド」は1991年10月に日本で公開されました。
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズでブレイクしたマイケル・J・フォックス主演の映画。マイケル扮する外科医ベンがビバリーヒルズで高収入が得られる美容整形外科になるためにワシントンから自動車で西海岸に向かう途中で道に迷い事故を起こしてしまいます。事故の代償として医師不足に悩んでいた町の病院で無料奉仕をする事になり、そこでの町民たちの交流の間に、本当に大切な事は何かをわかっていくというストーリーでした。そういえば、このストーリー「カーズ」に似ていますね。
主題歌はチェズニー・ホークスの「ワン・アンド・オンリー」。
ニールセンの交響曲第4番op.29「不滅(滅ぼし得ざるもの)」は1916年2月1日にコペンハーゲンで初演されました。
デンマークを代表する作曲家による代表作です。単一楽章による曲でこの交響曲から後多調性を採用しています。楽章の区切りはありませんが構成上は4つの部分からなっています。第1部はニ短調の激しい全奏から始まりクラリネットのメロディによるイ長調の部分を経て、田園風の曲想のト長調の第2部へ移ります。第3部は悲劇的な緩徐楽章で第4部は2群のティンパニが活躍するパートで最終的にはホ長調に落ち着きます。
標題の不滅(滅ぼし得ざるもの)は、偉大な芸術である音楽や人間の魂などを意図したものです。