メイン曲のショスタコーヴィチの交響曲第5番について、もう少し言及しておきましょう。
この曲の演奏については大別すると2種類の演奏があるそうです。(そんな大雑把な分け方が正しいとは思いませんけど)
特に終楽章のコーダの前のテンポに顕著に現れます。運命からの解放だとか歴史的背景を深堀りした演奏では概ねゆったりとしたテンポで演奏されます。代表例はムラヴィンスキーなど。そして勝利の音楽を奏でて終楽章らしく終わらせる演奏では速いテンポで演奏されます。代表例はバーンスタイン。
また、ショスタコーヴィチのかつての恋人が結婚して「カルメン」と性が変わった事にひっかけて、ビゼーのカルメンをかなりしつこく引用しているとも言われています。
まず、第1楽章は、非常にインパクトの強いカノン(低弦から始まり高弦が追いかける)からスタートします。コントラバスにとっては第一の難関がここ(最初からかい)。タタ~~~、タタ~~~の~~~の部分は殆どの指揮者がクレッシェンドを要求しますが、これテンポが遅いので弓が足りない。でも、弓が足りないからと言って弓を折り返すオーケストラは見たことがありません。ひたすら粘りに粘って音を出さなければならないのです。
その後静かにゆったりとしたテンポで第1主題が出てきますが、この間は長~いお休み。そして、タンタタ タンタタというリズムを延々と刻まされるのですが、これ第1楽章の3回登場します。それぞれ場面が違っていて調も異なって(3回目などは長調になります)、こういうリズムパートで表情や音色を変えろ!と言われるのが最も難しい事のひとつです。で、このリズムに乗って登場するのが、カルメンの「ハバネラ」を思わせる(一部は全く同じ)ゆったりとした音楽。再現部ではこれが長調になって、ノホホンとした雰囲気で出てきますが、最後はチェレスタが半音階を演奏する中で、静かに第1楽章は終わります。
第2楽章は、スケルツォで、これもチェロとコントラバスが全部ダウンボウ(下げ弓)で弾く演奏する方は忙しいけど、かっちりと聞こえるように弾かなければならないという疲れる場面です。これ、きっちり弾かないと演奏が忙しい(すべての音を弾くために弓を一回一回戻すので)から速くなってしまいます(我々の世界では 走る といいます)。ここで走るようなオーケストラはこの後期待できません(笑)
このスケルツォのメロディは様々に楽器や形を変えて、時には弦楽器のピチカートだけで何回も登場してきます。
中間部は妙に色っぽい音楽がヴァイオリンソロでスタートします。スケルツォと言っても完全にスケルツォの主題に戻っていくわけでもなく、絡み合いながら中間部のメロディもからんで終わっていきます。
2019年8月31日(土) PM2:00開演
場所 めぐろパーシモン大ホール(東急東横線 都立大学駅下車7分)
指揮 黒岩英臣
全席自由 1,500円
先着10組様に入場チケットのプレゼントを行っています。詳しくは こちらへ。