今日の音楽 1月16日 砂の器
邦画史上に名を残す名作といわれた「砂の器」も1974年公開作品でした。
松本清張の長編推理小説を橋本忍、山田洋次が脚本を書き、野村芳太郎が監督しました。私は原作を映画化される前に読んでいたのですが、映画は原作とはかなり違った印象のものでした。多分原作に忠実に作ったら、それまでの松本清張の映画化作品同様、面白くないものになっていたのでしょう。
大きな相違点は、映画ではハンセン病の親子が故郷を捨てて放浪するという事に焦点を当てていますが、原作ではこの放浪の旅は犯人である和賀英良(本名 本浦秀夫)の経歴のひとつとして語られているにすぎません。
そして何と言っても、この映画の成功要因のひとつは音楽担当の芥川也寸志の音楽と、芥川のサポートを受けて菅野光晃が作曲したピアノと管弦楽のための「宿命」でしょう。ラフマニノフを思わせるロマン派音楽的な曲が、本浦親子の放浪の旅を一層印象づけたと思います。但し、これも原作とは全く異なっており、原作では和賀英良、ヌーボーグループという前衛芸術家グループに属する作曲家で、電子音響楽器の研究家でした。この設定のままであったなら、こういう音楽は登場せず、この映画もそれ程ヒットしなかったのではないかと思います。
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