演奏会のご案内です。今回はパイオニア合唱団主催のコンサートで招待券も無いので、いつもより簡単にご紹介。
日時 2015年11月3日(祝) 午後2時開演
場所 東京芸術劇場大ホール
指揮 松岡究
演奏 パイオニア合唱団、パイオニア交響楽団
曲目
ブラームス 悲劇的序曲
ワーグナー 楽劇「トリスタンとイゾルデ」より 前奏曲と愛の死
モーツァルト レクイエム
会社自体が縮小になって、社員団員も殆どいなくなってしまうため、パイオニア合唱団最後の演奏会だそうです。パイオニア交響楽団も、新川崎のパイオニア本社移転に伴い、現在の練習拠点では最後になります。
そういうわけで、パイオニア合唱団発足のスタートとなったモーツァルトのレクイエムが選ばれました。
前半はオケだけの演奏ですが、メインがレクイエムという事で、明るい曲が選曲できず、ブラームスの悲劇的序曲とワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死という選曲になりました。
ブラームスは、交響曲、協奏曲やハンガリー舞曲のようにピアノ曲のアレンジを除く管弦楽のための曲は僅かしか作曲しませんでした。大学祝典序曲、ハイドンの主題による変奏曲、2曲のセレナーデと悲劇的序曲です。悲劇的序曲は、「笑う序曲」と呼んだ大学祝典序曲と対になる「泣く序曲」を作曲しようと考えて同時期に作った曲です。まあ、悲劇的という程悲劇的な曲とは思いませんが、大学祝典序曲が有名な学生歌をモチーフに使ったためブラームスらしさがあまり感じられない曲ですが、悲劇的序曲はブラームスらしい構成の曲です。静かな哀しみの音楽ではなく、悲・劇的な曲です。
トリスタンとイゾルデの「前奏曲と愛の死」は、楽劇の前奏曲と、最後のシーンを合わせて管弦楽だけで演奏される曲です。冒頭に現れるトリスタン和音が物語全体を暗示します。結局は不義密通、媚薬などの登場する官能の世界と浄化というワーグナー得意のテーマを表現しているので、悲しみの音楽とは少し違うようです。
モーツァルトのレクイエムは、映画「アマデウス」でも最後に登場するようにモーツァルトの未完の作品です。第8曲の「ラクリモーサ」の8小節目まで完成してモーツァルトは亡くなってしまいました。その後多くの人によって完成されましたが、最も有名なものが今回も演奏するジュスマイヤーというモーツァルトの弟子によって補筆完成させられたものです。但し、必ずしも曲順どおり作曲しているわけではないので、この曲以前の曲もジュスマイヤーが補筆しているものもあり、これ以後の曲でもモーツァルトが作曲した部分があります。そのせいもあってか、ちょっと後半間延びしたりして前半の緊張感とは異なる雰囲気がしてしまいます。