パイオニア交響楽団第27回定期演奏会のご案内・8
ブラームスの交響曲第1番の終楽章は、ベートーヴェンの「運命」と同じように絶ちがたい運命からの解放の音楽です。但し、「運命」の終楽章のように冒頭からいきなり明るい世界が開かれるわけではありません。
終楽章の冒頭は、まだ嵐の中です。やがて、光明を求める足音のように弦楽器にピツィカートが一歩ずつ奏されますが、その先は、まだ嵐が続きます。もう一度ピツィカートで歩みを進めると、ようやく一筋の光がホルンの朗々たるメロディで導き出され、トロンボーンとファゴットによるコラールへと続きます。
トロンボーンは、3楽章までお休みで、ようやくここで初登場。しかも第1トロンボーンはいきなりハイトーンのAの音。ここまで30分ぐらいステージの上でウォーミングアップも出来ずに待っていて、いきなり高い音ですから、とっても出しにくいです。従って、ここまでの間にトロンボーン奏者は、秘かに唇を動かして暖め、マウスピースに息を吹き込んで暖め、という無音の準備運動をやっているのです。もちろんお客さんは、音も出さずにただ座っているトロンボーン奏者に注目する事など皆無なので、まあ多少動いてても気がつきませんけどね。
コラールの後は、木管楽器などで先ほどのホルンのメロディが次々と出てきて、嵐は完全に収まります。
そして、第九の「歓喜の合唱」との類似が指摘される第1主題がヴァイオリンの一番太い弦(G線)を中心に演奏されます。その後は、時折短調に転調するものの、基本的には嵐が再びやってくることもなく、展開部、再現部を経て怒涛の勢いでコーダに入ります。
このコーダへの導入部が、ブラームスらしいズレズレの音楽。チェロ、コントラバスやコントラファゴット、トロンボーンと言った低音楽器が演奏する第1主題の回想の中を、ヴァイオリンが上行音階の合いの手をいれ、最後にはチェロ、コントラバス、木管とヴァイオリン、ヴィオラは半拍ずれたリズムでグチャグチャグチャっとコーダに入ります。コーダでは、再びコラールのメロディが出ると、その後は行け行けドンドンで圧倒的な勢いで最後まで行くわけです。
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