パイオニア交響楽団第27回定期演奏会のご案内・その5
ブラームスの交響曲第1番の第1楽章は、ティンパニなどの低音楽器のC音の連打とヴァイオリン、チェロの息の長いメロディによる非常に印象的な序奏から始まります。ブラームスは敬愛するベートーヴェンの交響曲を継承するという使命感から、長い年月をかけてこの曲を作曲していますが、この序奏の主題は、半音階的な音楽で古典派のものとはかなり違っています。
オーケストラの技量を測る上でも、この序奏部は実に分かり易い部分です。Un poco sostenutoという指示のsostenutoは音を保持してという意味です。従って、この長いヴァイオリン、チェロのメロディや管楽器の副旋律が長く平らな音でメロディを奏でなければなりません。弦楽器には移弦や弓の折り返しがあるために、このように長い音を平らに弾く事は練習の基礎段階でみっちりやるのですが、なかなかこれが簡単ではありません。
従って、この序奏部が音の強弱のデコボコや途切れなく演奏できれば、そのオーケストラの演奏はこの後期待して良いでしょう。それが出来ていないと、あまり期待しない方が良いかも・・・勿論プロのオーケストラでは、ここでボロを見せる事はありませんが。
主部も半音階の旋律による主題で始まります。2つ目の主題はベートーヴェンの運命と似たリズムですが、似て非なるもの。「運命」のタタタタ(~)ンは頭の拍が休符で始まりますが、ブラームスのこの部分は8分の6拍子にすっぽり収まります。古典的な交響曲に倣って、提示部には繰り返し記号がありますが、個人的には取ってつけたような感じで好きではありません。昔は繰り返しをする演奏は皆無でしたが、最近は繰り返す演奏も多少はあります。今回は繰り返しはしません。
最後のコーダ部分でも「運命」に似た動機がティンパニなどのC音によって打たれます。これはとっても印象的です。最後はハ長調に転調して静かに終わります。「運命」程ではないですが緊張感にあふれる楽章です。
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