パイオニア交響楽団第26回定期演奏会・5
ラヴェルのクープランの墓は、当初はピアノ曲として作曲されました。
「クープランの墓」という邦題は、正しい訳では無いようです。「クシコスの郵便馬車」(ネッケ)、「士官候補生」(スーザ)、「女学生」(ワルトトイフェル)などの完全なる誤訳とはちょっと違いますが、音楽史をよく知らない人が訳した邦題のようです。
原題の「 Le Tombeau de Couperin」は確かに辞書どおり翻訳すれば「クープランの墓」に間違いは無いのですが、実はTombeauというのは「トンボー」という形式の曲で18世紀ぐらいまでに作曲された故人を追悼するための器楽曲の形式です。従って、正しくは「クープランを偲んで」というようなタイトルが正解のようです。
クープランの墓は、2重の意味合いを持つ曲です。
1つ目は、クープランの時代(フランス・バロック時代)の音楽へ捧げるオマージュです。
2つ目は、第一次世界大戦で散ったラヴェルの友人たちへ捧げるレクイエムです。
元々のピアノ曲はプレリュード、フーガ、フォルラーヌ、リゴドン、トッカータ、メヌエットの6曲から出来ています。それぞれジャック・シャロル中尉、ジャン・クルッピ少尉、ガブリエル・ドゥリュック中尉、ピエール&パスカルのゴーダン兄弟、ジャン・ドレフュス、ジョゼフ・ドゥ・マルリアーヴ大尉という6組の犠牲者への追憶として作曲されたものです。
ラヴェルは管弦楽に編曲する際に、プレリュードと3つの舞曲の4曲構成としました。これはバロック時代の組曲が舞曲によって構成されていたという事に倣っているようです。
ラヴェルは管弦楽法に優れており、特に色彩感豊かなオーケストレーションをする作曲家として知られていますが、この古典的な形式の曲も彩り豊かに仕上げています。管楽器の音色の違いと楽器ごとの音域による音色の違いを巧みに操っています。また、弦楽器もピチカートやフラジオレット(ハーモニクス)を駆使し音色の変化を生み出しています。
第1曲 「プレリュード」 この曲は16分の12拍子で、古典的な組曲の冒頭に置かれる前奏曲を念頭に作曲されいています。装飾音を多用することでバロック以前の雰囲気を強めています。また、冒頭からのオーボエのメロディはオーボエにとっては難曲中の難曲として知られています。
第2曲 「フォルラーヌ」 北イタリアを起源とする古典的な舞曲。8分の6拍子の曲で複合三部形式でできています。時々拍が変則的になるのが難しいところです。
第3曲「メヌエット」 3拍子の可愛らしい曲・・・なのですが、コントラバスは複雑なハーモニクスがたくさん登場していて、それがとっても難儀な曲です。
第4曲「リゴードン」 4分の2拍子の活発な舞曲で、プロヴァンス地方の舞曲です。中間部は打って変わった酔っ払いの音楽みたいな(失礼)曲です。
ラヴェルの音楽としては編成が小さい曲ですが、そこから生まれる色彩感を味わって頂ければと思います。
ご希望の方には演奏会のチケットを差し上げていますので、是非お越しください。 詳細は、こちらのページです。
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