ウォルトンのヴィオラ協奏曲は1929年10月3日にヒンデミットのヴィオラによる演奏で初演されています。
ヴィオラという楽器は、オーケストラの弦楽器の中でも非常に目立たない存在です。内声と言われる、メロディを担当するヴァイオリン、低音のメロディと拍子を決定付けるリズムを担当するチェロと、そのチェロを下支えするコントラバスという楽器群の中で、真ん中の音を担当するのですから目立たないんでしょうね。
でも、実はオーケストラ曲のヴィオラパートは非常にユニークなんです。まあ、メロディでもなくリズムでも無いという事は、???なパートを担当するわけで、ヴィオラだけがとんでもない事を演奏させられる曲も多いんですよ。ヴィオラの使い方次第でオーケストレーションの雰囲気は全く変わって来るといっても過言ではないでしょうね。
ヴィオラは、ヴァイオリンよりも一回り大きい楽器ですが、それでも肩に当てて演奏するわけですからチェロに比べて遥かに小さい。さらに、弦の張力が弱い、という事から大きな音が出しにくい、クリアな演奏がしにくいという欠点があります。逆にそれが豊かな音とか、様々な楽器と溶け込み易いなどという長所にもなるのですが、ソロ楽器として扱われる事が少ないのもそんな特徴からでしょう。古典派音楽から前期ロマン派音楽の間ではヴィオラをソロとした協奏曲はあまりありませんでしたが、後期ロマン派以降は結構作品的にも増えています。
ウォルトンのヴィオラ協奏曲はイギリスの名ヴィオラ奏者ライオネル・ターティスの為に作曲されたものですが、ターティスが拒んだため、結局ヒンデミットが初演をすることになりました。
初めは3管編成で作曲されましたがヴィオラという楽器の独奏に対してオーケストラが重厚すぎるという事から、若干編成を小さくした改訂が1961年にされています。
第1楽章です。
今まで取り上げた曲
ニールサイモンも読みかけのままに
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