今日の音楽 7月21日 タ・タ・タ・カノン
今はすっかり電子式のものに取って変わられてしまいましたが、私が楽器を始めた頃演奏家に必須のアイテムが2つありました。音叉とメトロノームです。
音叉は特定の周波数の音を発するY字型(2つに分かれた部分はU字型になってます)の金属棒で、調律(チューニング)に使っていました。今ではアマチュアオケでは殆どが電子式のチューナーを使っています。音叉は耳で聞いた周波数の音にあわせて自分の楽器のチューニングをするものですが、チューナーは、自分の発する音が合わせようとする周波数(音程)に合っているかを視覚的に見るもの。本当だったら耳を鍛える意味でも音叉を使う方が良いのですが、周りがうるさいと聴こえにくい欠点があるのでオーケストラではチューナーが主流です。
メトロノームは、振り子の等時性を利用した一定のテンポをカチカチと刻む道具。これも、今はピピピという電子音に変わってしまいました。メトロノームは完全に水平なところに置かないと正しく動作しないという欠点があるので、電子式になってもしかたないのでしょうね。
そのメトロノームを発明したのがヨハン・ネポムク・メルツェルで1816年に特許を取得しています。それまでは、AndanteとかAllegroといった速度記号でアバウトな速度を指定していましたが、このメトロノームの発明によって♪=100とうような指定を作曲家ができるようになり、作曲家が意図した速度での演奏が可能になりました。但し、実際の演奏はというとこの指定速度を無視して曲にマッチした速度を指揮者が指定して演奏する事が多いですね。そういう事もあってか、メトロノーム発明以降も、速度記号によって速度を指定する作曲家が存在しています。
速度指定を始めて使ったのがベートーヴェンです。この発明を讃えてベートーヴェンが作曲したのが、「タ・タ・タ・カノン ・・・親愛なるメルツェル」という短い合唱曲です。
このメロディはベートーヴェンの交響曲第8番の第2楽章に転用されて有名になりました。
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